ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!!    作:la55

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九龍島伝 第4話

 こうして、長くて短い選挙活動期間は過ぎ、ついに投票日を迎える。

「さあ、あとは当選することを願うのみ。よし、今日も1日頑張ろう」

と、ハッピーさんは当選を願うために買ったダルマ(小)に拝むと、そのまま投票場へと向かい投票を済ませた。また、ゴンさんたち特効野郎Sチームもそれぞれの志を胸に秘め、投票を済ませた。

 そして、午後8時、投票は締め切られた。最終的な投票率は95%。まれに見る高さである。即日開票が行われた。開票状況が刻々と変化していく。結果がわかるのははやくて1時間後。その時間は立候補者たちにとって緊張が続く。

 ハッピーさんと特攻野郎Sチームのみんなはハッピーさんの家に集まり、開票作業をネット中継を通じてパソコンの前で見守っていた。その横にはダルマが5つ。そのダルマたちはみな全員の当選を願っていた。

「まだわからないのかな。早く知りたいな」

と、ハッピーさんが言うと、ゴンさん、

「やれることはやった。あとは神に祈るのみだ」

と、ハッピーさんを気遣う。ほかのメンバーもただただ開票作業を見守るのみだった。

 

 そして、午後9時、ついに当選確実、当確した立候補者名が出てきた。ネット中継画面に当確した立候補者の名前が掲載される。それを見たハッピーさん、

「えっ、3位。この俺が投票数3位で当確。やったぞ。俺、ついに町議会議員になれたぞ!!」

と、大喜びすると、ゴンさんも、

「俺もだ。俺は4位で当確だ。やったな、ハッピー。俺たち、ついに当選したぞ!!」

と男泣きしていた。

 そして、開票作業が続くうちに、特攻野郎Sチーム所属の立候補者たちも次々と当選を決める。その都度喜ぶハッピーさんと特攻野郎Sチームの面々。当確がでると、その都度ダルマに目玉をいれていく。5つのダルマにどんどん目玉がいれられていく。

 で、開票作業は11時で終了し、当選した人たち10人の名前がハッピーさんのパソコン上に表示されていた。で、ハッピーさんと特攻野郎Sチームから立候補した5人の結果は…、それはダルマたちが物語っていた。パソコンの横においていたダルマ5つとも目玉がはいっている。そう、立候補した5人全員が当選したのだ。これにはハッピーさん、

「ついにこれで九ちゃんたちが安全安心に、なにも気にせずに練習、活動できる環境が整備できるね」

と言うと、ゴンさんも、

「ああ、そうだな。でも、これは俺たちの初めての一歩にすぎない。これからが大変だぞ」

と気を引き締めていた。

 一方、前の議会にいた前議員たちは2人を除いて落選していた。

「なぜだ!!俺は賛成派を抜け出して反対派にまわったのに、なんで落選したんだ!!」

と、町谷元議員は悔し涙。で、賛成派の近場元議員も、

「この町を思ってリゾート開発に賛成したんだ。なのに、なんで、みんなわからないんだ」

と、こちらも悔し涙を流していた。で、前議員たちが落選したのか。これには理由があった。九龍祭りが終わってからリコール成立による解散までの1ヶ月半、議員たちは自分の利益を守るためだけに議会に参加しリゾート開発について論争を繰り広げていた。が、それが町議会の空転という最悪の結果を招いたことに住民たちは怒りを覚えた。なぜなら、それにより、リゾート開発以外のことが疎かになっていたからだった。やっぱり住民たちはそのことをわかっていたのかもしれない。また、案外、リゾート開発の是非についても争点にはならなかった。それは町民のほとんどがすでに反対しており、その是非を決めても今はあんまり関係ないこと、そして、それよりも町議会の空転状態と抗議デモによって町の機能がすでにマヒしていたため、それに嫌気がさした、はやく通常の生活に戻りたいと思っていた住民が大半だったのもその理由の一つだった。

 で、ハッピーさんたちは5人当選という嬉しいこともありハッピーさんの家では宴会騒ぎになっていた。が、ハッピーさん、まわりの様子を気にしつつ、最終開票結果を見た。上位2人について少し考えたハッピーさん。その2人とも前の町議会にいた議員だった。

「2位の前町議会の議長はなんとなくわかるな」

でも、その議長は前の町議会で空転状態を認めた張本人であった。が、その議会では中立を守っていた。また、5月のリゾート開発を認める条例案を可決成立したときも議長だったので、議決権がなく、そのためにその条例案の議決には参加していなかった。これがよかったのかもしれない。また、選挙活動のときも、ハッピーさんたちと同じようにリゾート開発についてはなにもいわず、もっぱら生活関連のことを訴えていた。この議長、意外と名白楽である。

 そして、1位は…。

「えっ、全有効投票数の3割!!凄すぎる、この長老議員…」

と、ハッピーさんも舌とまいてしまう。なんと、あの長老議員、全体の3割もの投票数でもってトップ当選していた。あの空転していた前町議会においてもずっとお茶を飲んでいた。そして、5月のリゾート開発を認める条例案の議決のときもただ1人棄権していた、あの長老議員である。また、今回の選挙でも立候補したこと以外なにもしていないのだ。ただたんに町の高齢者と一緒に毎日お茶を飲んでいただけだった。なのに、なぜかトップ当選を果たした。これにはハッピーさん、あとで長老議員からその秘訣を聞くと、

「おいそれしました」

と、頭をさげてしまった。では、長老議員はなぜトップ当選を果たしたのか。実はこの長老議員、町内の高齢者のほぼ半数以上の有権者の支持を集めていたのだ。それほど支持を集めた理由、それは長老議員独特の選挙活動にあった。選挙活動中にした町内の高齢者とのお茶のみ、実はそれこそ長老議員の選挙活動だったのだ。町内の高齢者と一緒にお茶をして、そのとき、参加している高齢者の意見を聞き入れ、それに対して自分はどうしていきたいかを語っていたのだ。これを町内に住む高齢者全員と行い、このお茶会を通じて自分の支持者を集めていた。これが長老議員がトップ当選した秘訣であった。人は見かけに寄らずとはこのことである。

 

 そして、投票日の翌日、町長はさっそく町議会を招集し、投票で決まったハッピーさんやゴンさんたち特効野郎Sチームのメンバー4人を含めた新議員たち10人はすぐに町役場の隣にある町議会室に集まった。そして、議長は前の議会と同じ人、つまり、前議長がそのまま留任した。なぜなら、あのトップ当選した長老議員を除くとみな新人議員、つまり、議員歴なんて0の素人だらけなのだ。それでもこの議員たちを選んだ住民はみな、空転してばかりしている前の町議会に飽き飽きして、町議会に新しい血を注ぐ、新しく生まれ変わるように新人たちに投票したのかもしれない。なお、長老議員はその新人たちを指導、もとい、導くための教育係となってもらった。その決まったときの長老議員の言葉が、

「ほほほ、お茶がおいしいのお」

と、いつもの通りお茶を飲みながら笑っていた。

 その後、リゾート開発以外のたまりにたまった議案を次々と可決していく新町議会。もちろん、副町長が前議会が空転する以前から作っていた補正予算案も可決成立した。これを見た町長、

「これでようやく町も沈静化する」

と安堵した様子をみせていた。

 そして、その翌日も新町議会はたまっている議案を次々と可決していく。そして、残りに残ったあの議案について採決した。

「土居建設とのリゾート開発に関する契約を破棄し、リゾート開発計画を白紙に戻す条例案の採決をします。これに賛成のものは起立を」

と議長が言うと、長老議員を除く8人全員が起立した。もともと中立の議長と長老議員を除く議員8人全員がこのまえの選挙で反対を表明していた。ハッピーさんもゴンさんたちも選挙活動中はそんなに言っていなかったが、一応反対は表明していた。ので、リゾート開発についてはその8人全員が反対してもおかしくなかった。ちなみに、長老議員はいつものようにお茶を飲みながら、

「棄権じゃ。ほほ、お茶がうまいの~」

と、いつものとおり棄権した。

 こうして、町としてもリゾート開発に反対の立場を表明したことにより、リゾート開発は中止に追い込まれ、これで反対派住民の抗議デモは鎮静化する、とみられていたが、逆のことが起こってしまう。突然、土居建設から、

「九龍町でのリゾート開発は続行する」

という声明が町に届いたのだ。これは自分の夢、そして、昔、建造と一緒に会社を創業し、道半ばして亡くなったパートナーの夢をなんとしてでも叶えたい土居建設の社長、土居建造の執念、というより、野望からだった。そして、土居建設自体開店休業中、ようするに、いろんな理由で大手建設会社との受注競争に負け続けてしまい仕事がない状態となり、結果として、土居建設単独の事業である九龍島のリゾート開発に会社存亡をかけてしまっているからだった。

 これで黙っていないのが反対派住民たちによる抗議デモ隊であった。出直し選挙でようやく町議会が正常化し、リゾート開発に対して反対したことで孤立した土居建設は町から出ていくと予想していたのだ。だが、逆のことが起こった。その土居建設は町が反対しても、リゾート開発をすることを続けると言っているのだ。また、そのリゾート開発のIR施設であることも問題視された。IR施設、総合型リゾートともいわれるもので、ホテル、ショッピングモール、映画館などいろんなものが集まったリゾート施設なのだが、そこにはカジノ場を設けることになっている。そのカジノ場が反対派にとって一番問題視されていた。カジノ場を設けることで子どもたちに悪影響を与えてしまう、治安が悪化する、ギャンブル依存症の人が増えるなど、いろんな問題が発生する。それが反対派にとってもっても危惧していたことだった。

 こうしたなか、反対派はついに抗議集会の日時を決めた。日時は12月末、場所はあの野外ステージだった。なぜ、あの野外ステージなのか。それは九龍島に住む全住民が集まることが想定されていたから。九龍祭りで利用して広場では全島民を収容できない。ではほかにないのかというと、あの野外ステージしか収容できないのだ。なんで、全島民を収容できる野外ステージが会場と決まった。

 が、ここで町議会議員になったハッピーさん、少し疑問に思った。なぜ野外ステージをそんなに貸出できたのか、それも反対派がである。なぜなら、あの野外ステージは町と土居建設の所有物であり、リゾート開発について反対の立場となった町はともかく、あの反対派が毛嫌いしている土居建設がよく許可したなと思ったからである。

 で、ハッピーさん、調べてみてわかったことがあった。あの野外ステージの使用許可をもらったのは、ハッピーさんたちと一緒に当選した議員の1人だった。その議員の正体、実は反対派住民による抗議デモのリーダーだったのである。そう、なにを隠そう、そのリーダーこそ、町役場だけでなく、土居建設の現場事務所、そして、この野外ステージの工事現場に抗議デモ隊を送った人、その人だった。そのリーダーは当初、野外ステージで映画上映会を行うと申請していたのだ。九龍町民にとって映画の上映を見るのは人生で1回あるかないかぐらい貴重なことだった。だって、島には映画館すらないし、DVD、BDの普及やネットで簡単に映画が見られるので、その意味でも映画の上映を見ること自体大変貴重な経験だった。が、実はそれは隠れ蓑で、本当は反対派住民による抗議集会だった。

 これに気づいたハッピーさん、

「これは大変だ。すぐにでもやめさせないと」

と、反対派住民に説得を試みる。もちろん、ゴンさんたち特効野郎Sチームの面々もそれに加わる。しかし、どの反対派住民も取り繕ってくれなかった。だって、土居建設は今だにリゾート開発を諦めていないし、もし、リゾート開発してカジノ場なんて造られたらそれこそいろんな問題がおきる、というのが反対派住民の意見だった。

「どうしたらいいのだろうか。なんとかして抗議集会を止めないと。止めないと町は大変なことになる」

と、悩むハッピーさん。そんなときだった。

「あれ、ハッピーさん、こんにちは。そこでなにをしているの?」

と、ある少女がハッピーさんを呼び止める。それにハッピーさん、

「あっ、九ちゃん、こんにちは」

と、その少女こと九に挨拶する。すると、九は突然ハッピーさんにあることを言った。

「ハッピーさん、私の悩み事、聞いてくれる?」

そのことにハッピーさん、思わず、

「俺でよかったらいいけど」

と、九の相談にのることに。九はすぐにハッピーさんに相談した。

「あのね、私の友達の多恵ちゃんと星子ちゃんたちが今ケンカしているの。どうしたら仲良くなれるかな?」

このとき、ハッピーさんは初めて気づいた。あの九たちアイランドスターズの中でもケンカが起きていることを。だが、ただ、それだけではケンカの原因がわからない。

「九ちゃん、どうして多恵ちゃんと星子ちゃんたちがケンカしているの?」

と、ハッピーさんは九に尋ねるも、九はただたんに、

「どうしてらいいの。どうしたらいいの」

と言ってくるだけ。これにはハッピーさん、困ってしまう。が、ここでハッピーさん、何かに気づく。

(そういえば、九ちゃんの笑顔を見ていると元気になれるなあ)

そう、九はいつも明るく元気な子である。そして、いつも前向きに考えるその心はときには危なくなるが、それが塞がっていた穴を開ける突破口にもなることもある。いつも元気で明るく笑いながら生きる九の姿はみんなを元気にさせてくれる。しかし、今の九は悩んでいていつもの顔じゃない。

(いつもみたいに笑ってくれている九ちゃん。でも、今は悲しんでいる。そんな九ちゃんは九ちゃんらしくない)

そう思ったハッピーさんはすぐに九に言った。

「九ちゃん、笑ってみせてよ」

これには九、

「わかった。ニカー」

と、いつもの元気で明るい、それでいてまわりにいる人たちを幸せにしてくれそうな笑顔を見せる。これを見たハッピーさん、

(これだよ。これこそいつもの九ちゃんだよ)

と言うと、すぐに九に言った。

「九ちゃん、その笑顔をいつもしていたら、きっと、多恵ちゃんと星子ちゃんも仲直りしてくれるよ」

と言うと、九、

「本当、本当にいつも元気よく明るく笑顔を見せたらみんな仲良くなるの!!」

と驚く。これにはハッピーさんはすぐに、

「そうだよ、九ちゃん。いつも笑顔でいること、そして、どんなときでも前を向いて全力で駆け抜けることこそがみんなを仲良くさせるコツかな」

と答えると、すぐに、九、思いっきりの笑顔で、

「そうだね。私、忘れていたよ。いつも前を向いて全力疾走。そして、笑顔を忘れないことが私のいいところなんだよね」

と、元気よく答えた。このとき、ハッピーさんは思った。

(そうだよ。反対派の抗議集会をやめさせるにはやっぱり九ちゃんの笑顔が一番の特効薬だよね)

そして、ハッピーさんはすぐに九に聞いた。

「ところで、次のラブライブ!九州予選はいつなの?」

これには九、

「う~んとねぇ、たしか今月の月末だよ」

と言うと、ハッピーさん、思わず、

(うわ~、抗議集会のある日だ~)

とがっかりする。なんと、ハッピーさん、抗議集会に九たちアイランドスターズを呼んで、九たちの笑顔をもって抗議集会をやめさせようと本当に思っていた。が、九の笑顔で抗議集会が中止できるほど世の中は甘くないのだが、ハッピーさんはなにか秘策があるみたいだった。が、当日、島の野外ステージに出られないのであれば万事休すである。

 が、そんなとき、ハッピーさんはあることをひらめいた。

(あっ、そうだ。たしか、ラブライブ!の九州予選も鹿児島県予選と同じくネット中継があったな。それならば…)

と、ハッピーさん、いきなり自分のスマホを出して九にあるお願いをした。

「九ちゃん、ごめん。九ちゃんのメールアドレス、教えて」

これを聞いた九、

「うん、いいよ。本当は知らない人から聞かれたら答えずに逃げなさいって言われるけど、ハッピーさんならいいよ」

と、ハッピーさんに自分のメールアドレスを教えた。

 そして、ハッピーさんは九に、

「ありがとう、九ちゃん。ラブライブ!九州予選、頑張ってね」

と言うと、九も、

「うん、ありがとう、ハッピーさん」

と、御礼を言って帰っていった。

 

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