ラブライブ!Ω/UC 外伝 ラブライブ!アイランドスターズ!!    作:la55

9 / 60
スピンオフ 第3.3~6.5話 九・ひろ子編 第3回

 そして、九とひろ子、2人の練習が始まった。もちろん、2人でスマホの動画を見ながら踊りの練習をしている。その動画のタイトルは「サルでもわかるスクールアイドル講座」。でもって、2人で踊っていると、1人ではわからないところも出てくる。

「九ちゃん、腕はもっとあげたほうがいいよ」

「ひろ子ちゃん、うん、わかった」

2人で動画と違うところを指摘していく。これを雪穂が草葉の陰から見ていると、

「うん、なんか2人ともスクールアイドルに見えるね」

と、なんだか感激していた。

 だが、雪穂はこのとき、ある場面をフラッシュバックする。

「亜里沙、ここ、違うよ」

「雪穂、そうだね。ありがとう」

「みやこ、ここはこう肘をあげて」

「愛さん、そうですね」

雪穂は昔の高3のとき、スクールアイドルとしてみんなと練習したときのことと九とひろ子、2人の練習の様子を重ね合わせてみてしまった。

「あれ、なんか涙がでてきた」

雪穂は感じた、自然と涙がでていることを。スクールアイドルになるために頑張る2人に感動したのかもしれない。

 雪穂はそのとき、自然と自分のスマホを持ってあるサイトにアクセスした。そして、雪穂は一言。

「金城さん、水木(ひろ子)さん、スクールアイドルに本当になりたいようだね」

この言葉のあと、スマホにはあるサイトのホームページが表示されていた。

「なぞの音楽屋さん」

雪穂はそこに何かを書き込むと、すぐにサイトを閉じてその場をあとにした。

 

 九とひろ子が一緒意練習を始めて数日後。

「これでサルでもわかるスクールアイドル講座(最終回)を終わります」

という動画からの音声を耳にした九、

「やったよ、ひろ子ちゃん。私たち、講座を全部受講できたよ」

と言うと、ひろ子、

「うん、やったね、九ちゃん。私も全部受講できて嬉しいよ」

と言うと2人は喜んだ。動画は1回あたり10分なので、全10回で100分。それでも全部をやるのは大変なことである。それでも、2人はたった数日で全部受講してのだ。やり遂げたという達成感は2人にとって初めてだった。

「九ちゃん、私、九ちゃんと一緒にやり遂げたのって初めてだよね。2人でやり遂げたのがこんなに嬉しいことなんて始めて知ったよ」

と、ひろ子が言うと、九も、

「私も初めて。もっといろんなことをやり遂げたいよ」

と喜んで言った。

 だが、明日から何をするかまだ決めてなかった。

「九ちゃん、明日からほかのスクールアイドルの動画を使って練習する?」

と、ひろ子が九に聞くと、九、

「う~ん、それもそうだね。明日になればなんかいいことが起こりそうかも」

と、あっけらかんに言うと、ひろ子、

「九ちゃんがそう言うんだったら、明日決めよう」

と言って、2人はその場で解散した。

 

 そして、翌日。2人は仲良く学校裏に行くと、校舎の窓枠のふちにあるSDカードを見つける。

「あれ、これって何かな?」

九がそう言ってSDカードを持ち上げると、なにかSDカードと一緒にはさんでいた手紙が見つかる。ひろ子がそれを拾ってひろげると、

「スクールアイドルを応援する者だって」

と、紙に書いてある文字を読むと、九はいきなり、

「えっ、本当に本当!!」

と驚いてしまった。

 九はすぐに自分のスマホにSDカードをセット、音を鳴らしてみる。すると、

「秋のまど あけていると~♪」

と、聞いたことのない音とともに女性の歌声が聞こえてきた。

「これって聞いたことがない曲だよ。私たちのための新曲かもしれないよ」

と、ひろ子が言うと、九、

「私たちの曲、私たちの曲だ!!」

と、元気よく飛び跳ねながら言った。ちなみに、この曲、実は数日前、2人の練習に感動した雪穂が「なぞの音楽屋さん」に発注してできた曲である。そして、早朝、雪穂が2人のために学校裏の校舎の窓枠のふちに手紙とともにはさんでいたのだ。

 そんなことは2人は知らずでも、2人にとって初めての自分たちだけの曲だったので、2人はすぐに踊りを考えていく。

「これでどうかな」

と、九が自分で考えた踊りを披露すると、

「いいんじゃないかな。で、次はこんなふうにして」

と、ひろ子も九の続きの踊りを考えて披露する。すると、九は、

「うんうん、いいんじゃないかな」

と、ひろ子に同意する。

 こうして、その日一日は2人でこの曲の踊りをすべて考えて決めていった。もちろん、2人にとって一から踊りを考えていくのはじめてである。それでも、2人にとって自分たちだけの踊りを作り上げるのは楽しいことだった。ひとつも苦ではなかった。

 そして、夕方。

「ここをターンして終わり。で、どうかな、ひろ子ちゃん」

と、九が言うと、ひろ子も、

「もっと手をあげたほうがかっこよく見えるよ」

と、九に指摘すると、九、

「そうでね。で、これで終わり、でいいのかな?」

と、ひろ子に聞くと、ひろ子、

「そうだね。これで完成だね」

と、九に言うと、九、

「これで、私たちの、私たちだけの曲が完成したね」

と、喜びながら言うと、ひろ子も、

「うん、そうだね」

と、九と一緒に喜びあっていた。2人の初めての作業、2人で自分たちだけの曲の踊りをすべて考える、これについて、九はこのとき、

(2人だけの曲、2人だけの踊り、すべてが完成したんだ。自分たちだけの曲、それが完成したんだ。自分たちだけの力で完成したんだ。自分たちだけの努力でできるなんて、こんなに嬉しいことなんだね)

と思っていた。それはひろ子も同じ気持ちだった。

 

 この翌日、ひろ子は九より少し早く学校に登校していた。そして、まず最初に図書室を訪れた。そこには星子がいた。

「星子先輩!!」

と、ひろ子は挨拶する。早朝にもかかわらず星子は学校に来ていた。

「ひろ子、どうしたの?」

と、星子が聞くと、ひろ子、

「本当にごめんなさい。勝手に学校史の編さんをさぼってしまって」

と、星子に謝る。ただ、星子はそんなひろ子に対し、

「いや、いいんだよ。これは最初から私1人だけで行う予定だったからね」

と言うと、続けて、

「でも、九とひろ子のおかげで予定より早く進んだからね。あともう少しで完成だよ」

と答える。これにはひろ子、

「よかった~」

と安心すると、それを見た星子、

「だから、あとは私1人で大丈夫だよ。それより、ひろ子、九と一緒にやりたいこと、見つけたんじゃないかな?」

と、優しく接すると、ひろ子、

「うん」

と大きくうなずく。これに星子、

「それはよかったね。九と一緒に頑張ってね」

と優しく答え、ひろ子を送っていった。

 続けて、ひろ子が訪れたのは職員室にいる雪穂だった。

「雪穂先生、ついに私たちだけの曲が完成しました」

と、雪穂に報告するひろ子。ただ、雪穂はたんに、

「うん」

と、答えるだけであった。実は、雪穂は2人が自分たちの曲の踊りを完成するまでずっと草葉の陰から見守っていたのだった。なので、そのことは雪穂も知っていた。だが、それでもそのことは黙っていた。

 そして、ひろ子は雪穂に対して言った。

「自分たちだけの力で、自分たちだけの曲を完成させる、こんなに嬉しいことは今まで経験したことがありません。スクールアイドルって、自分たちの力でいろんなことをやり遂げる、そんな嬉しい経験をさせてくれるのですね」

と言うと、雪穂は、

「うん、そうだね。スクールアイドルって、今まで経験したことがないこと、今まで会えなかった自分たちが知らない人たちに出会える、いろんな経験をさせてくれる。そう、スクールアイドルって楽しいことばかりなんだよ」

と言うと、ひろ子、

「はいっ」

と、元気よく答えた。

 そして、雪穂はすぐにひろ子にあることを伝えた。

「スクールアイドルっていうのはね…」

 

「もう、ひろ子ちゃん、遅いよ!!」

と、九はひろ子に遅れてきたことを怒っていた。ひろ子が朝早く学校に来て、星子と雪穂に会っていたのだが、そのせいで九より遅れて学校裏に来てしまったのだ。

「九ちゃん、ごめん」

と謝るひろ子、そんなひろ子に対し、九、

「今日から昨日考えた踊りを人前でも踊れるように練習しないとね」

と言うと、ひろ子も、

「うん、そうだね」

とうなずいていた。

 

 そして、夏休み最終日までの残された時間、九とひろ子の2人は自分たちのための新曲、「オータムウインド」の練習に費やした。

「ひろ子ちゃん、ここ、もっと大声で歌ったらどう?」

と、九がひろ子に意見すると、ひろ子は、

「あんまり大声ださないほうがいいんじゃないかな。だって、これって失恋ソングだから」

と反対する。また、踊りに関しても、

「ここはもっと大きく、大きくあらわさないと」

と、九が言うと、ひろ子は、

「あんまり大きく表現しちゃうと、失恋ソングとかけ離れてしまうよ。それより、もっと小さく表現したら言いたいことがわかるんじゃないかな」

と言うと、九も、

「ひろ子ちゃんの言うならそれでいいと思うよ」

と同意する。こうして、2人で微調整しながら自分たちが納得するまで練習に明け暮れていった。そして、練習していくうちに九は思った。

「なんでかな?とてもキツイのに、ひろ子ちゃんと練習することが楽しく感じちゃうよ」

そう、九は練習するうちに気づく、2人で練習を重ねるごとに楽しくなっていくことに。

 

 そして、

「九ちゃん、ここはもっと小さく動かさないと」

と、ひろ子は九に注意すると、九も言う。

「ひろ子ちゃんもあまり小さくなりすぎているよ。もう少し大きく動いたほうがいいよ」

夏休み最終日。2人は朝から最終調整をしていた。たった5分間の曲に自分たちの思いをのせた新曲、「オータムウインド」は完成へと近づいていった。

 そして…。

「ターン、そして、終わり!!」

九の終わりの合図で2人は動きを止める。

「これでどうかな?」

と、九が言うと、ひろ子も、

「うん、そうだね」

と同意する。その瞬間、

「やったー!!これで私たちだけの曲が完全に完成したよ」

と、九が喜ぶと、ひろ子も、

「うん、そうだね。私たちだけの曲、私たちの初めての曲、完全完成だね!!」

と、九と向かい合って喜んでいた。

 そして、九はこのとき思った。

「私たちだけの曲、私たちの初めての曲、これでようやくみんなに見せることができる。きつかったなあ、練習の日々。それでも、この曲をみんなに見せられるれビルに仕上げた。なんてすがすがしいんだ。こんな達成感、もう味わえないよ。みんなに見せたいよ。でも、なんで私、スクールアイドルになろうとしたのかな。たしか…、学校を守ろうと…。でも…、今は…」

そんなとき、九はふと気づいた、恭賀夏休み最終日であることを。そして、こんなことを言った。

「いやぁ、これで夏休み最終日だね」

これにひろ子、

「本当にそうだね」

とうなずく。さらに、九、

「でも、これで少しはさまになったかな?」

と、自分たちの新曲についての出来を少し心配すると、ひろ子は、

「私はスクールアイドルぽくなっていると思うよ」

と答えると、九も、

「それもそうだね。でも、私はそれをみんなに見せたいかな」

と答え返した。

 そして、ひろ子は九にあることを聞いた。

「九ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるけど。九ちゃんってなんでスクールアイドルになりたいの?」

これには九、

「私は…」

と、言葉を詰まらせる。対して、ひろ子、

「それって学校を、島を、町を守ること?」

と言うと、九、

「私、最初、スクールアイドルになって、この島を、町を、そして、高校を守ろうと思っていた。けど…」

と言うと、すぐに、

(私、今、ひろ子ちゃんと一緒に1つのことをやり遂げようとしている。スクールアイドル講座の受講、曲の踊りを考え、練習する。それはただ1つの小さな通過点にすぎないけど、その通過点をすぎていくごとに、私たちは少しずつレベルアップしている。その都度、自分たちはレベルアップしているという充実感が、達成感が味わえる、そして、それをみんなに披露する、それがいいんじゃないかな。そう思うと、学校を守ろうというのはなんか小さくみえてしまったのかもしれないね)

と思い、九はひろ子にあることを元気よく自分の思いを告げた。

「でも、練習を続けることでなんかわかってきた、スクールアイドルってやること自体に意味があるんだって。やって、いろんなことを楽しんで、それをお客さまに伝える。スクールアイドルって楽しくやることがすべてだと思えるんだよ」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。