プロローグ
ポケットモンスター、縮めて「ポケモン」。
たくさんの謎を秘めた不思議な生物。
その生態については、
まだわかっていないことが多い。
今日もポケモントレーナーたちは、
まだ見ぬポケモンとの出会いを求め、
冒険を続けている……。
この少年、マサラタウンのリョカは相棒のセレビィと共に旅を続けていた。
セレビィは時渡りポケモンだ。リョカが幼い頃に傷だらけのセレビィを助けたことからセレビィはリョカの相棒になっている。
そんなリョカとセレビィだが、マサラタウンから出て、長い年月が経ち、遠い地に来ていた。
リョカは既にポケモンマスターの称号を我が物としていた。
故に彼は結構満足していた。
「なあ、セレビィ、ポケモンマスターになったし、結構、満足だよな?」
セレビィはレビィと鳴きながらくるりと空中で一回転した。
「そうか、満足か、なら、もう一度、違う世界に行ってみないか」
唐突に声が聞こえた。
「おー、それもいいかも……?」
リョカは振り返ったが誰もいなかった。
「セレビィ、お前か?」
セレビィはレビィ?と鳴き、首を横に降った。
その時、天から光が降り注いだ。
「えっ」
リョカとセレビィが顔を見合わせた次の瞬間、二人の視界は光で埋め尽くされた。
光がなくなると、先程までいた道はなく、見渡す限り森になっていた。
「セレビィ、ここ、どこだろうな?」
セレビィはビィ、と困ったように鳴いた。
その時、ガサガサと、藪から角の生えたウサギが飛び出してきた。
リョカを攻撃しようとしているのか、一直線にリョカに向かって来た。
「セレビィ、サイコキネシス」
セレビィはサイコキネシスを使った。角ウサギはサイコキネシスにより、身体が潰れた。
「!?」
グロテスクな有様にリョカとセレビィは顔を青くした。
リョカとセレビィは見なかったことにし、森を出るため、歩き始めた。
闇雲に歩いても仕方がないので、リョカは手持ちのルギアをモンスターボールから出した。
最近、フウラシティで出会ったルギアで、風のルギアと呼ばれているルギアだ。
リョカを気に入ったらしく、旅に付いてきた。
「ルギア、人里につれていってくれ」
「分かった」
ルギアはテレパシーが使えるので、会話が可能だ。
ルギアに付いていくと、しばらくして人里が見えた。ルギアにはモンスターボールに戻って貰うと、リョカは人里である大きな街に向かって進んだ。
街の前には列ができていた。列に並んでいる人の話をリョカは盗み聞く。どうやら、この街はオラリオというらしく、冒険者達が集まる迷宮都市らしい。
ポケモンの世界では絶対に聞かないような単語ばかりだったので、リョカは自分たちが異世界に来たことを知った。
そんなことをしている内にリョカの番が回ってきた。
「入っていいぞ」
門番はあっさりとリョカを通してくれた。
リョカは門をくぐった。くぐった先には別世界が広がっていた。
幾ばくかの感動を抱えつつも、リョカは考えていた。
(異世界に来たのも、言葉が通じるのも神様の仕業かな)
実は、リョカは一度、神というお爺さんに会ったことがある。
それは、リョカがポケモンの世界に産まれる前の話だ。
現代日本で生きていたリョカはある日、心筋梗塞で死んだ。
そして神に出会った。
神のお爺さんは本来死なない運命にあったリョカを誤って殺してしまった為、様々な特典を付与してくれた。ポケモンの世界ではほとんど役に立たなかったが。
異世界では大いに役に立つことを祈りつつ、リョカは歩き始めた。
(オラリオ……か、なんか聞いたことある気がするんだけど……)
「やあ! 君、まだどこのファミリアにも入ってないよね、どうだい? 僕、ヘスティアのファミリアに来ないかい?」
若者に声を掛けているのは白いちょっと露出高めな服を纏ったロリ巨乳だった。
(あれ、どっかで見た……ああ!ヘスティア!そうか、ここはオラリオ、冒険者たちの集まるダンジョンの街で、この世界はダンまちの世界か!)
リョカはヘスティアから離れながら、考えた。
(ヘスティアはこれからベルくんに会うだろうし、止めておこう……)
どうしようか、とリョカは悩んでいると、人にぶつかってしまった。
ぶつかった人は水色の髪をした眼鏡を掛けた女性だった。
(あ、【万能者】だ)
その人は万能者、アスフィ・アル・アンドロメダだった。
「あ、すみません、考え事をしていて」
大丈夫ですか?と優しく声を掛けてきたアスフィに、リョカは思った。
(神はアレだけど、この人は常識人だし、この人たちのファミリアに入ろう)
と、決めた。
「あの、ぶつかってしまってすみません、聞きたいことがあるのですが……」
「なんですか?」
「ファミリアを探してるのですが、おすすめはありますか?」
アスフィは困ったような顔をした。
「そうですね、今、勢力が大きいのはロキファミリアなので、ロキファミリアがおすすめですかね」
「そうですか……お姉さんはファミリアに入ってるんですか?」
「……まあ、入ってますね」
「そこにします」
リョカはにこー、と良い笑顔を浮かべた。
「それを決めるのは、うちの神を見てからにしたほうがいいよ」
一応、一緒に行こうか。と、アスフィはリョカを連れて、ホームに行くことにした。