ゴジラVSガイガン2019   作:マイケル社長

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ー異変Ⅲー

「6月4日月曜日、時刻は午後3時になりましたー、キャピタルFM『キミ―のhappy Monday!』みなさまいかがお過ごしでしょうか、キミ―こと吉住紀美子です。今日も東京半蔵門にあるCFMスタジオから生放送~!」

 

関越自動車道沼田ICに差し掛かるあたりで、近藤は毎週聴いているラジオ番組にチューニングを合わせていた(番組のファンということもあるが、パーソナリティーが中学時代の同級生という理由も大きい)。

 

「今日も東京は最高気温が39℃、暑いですね~。さて、午前中のニュースでもお伝えしたように、本日都内西部で大規模な停電がありましたが、さきほど復旧したと、東京電力から発表がありました。ねー、昨日もありましたけどね、連日の暑さで電力消費が間に合わないんでしょうかね。でもエアコンかけないと暮らしていけない暑さですよねー。さあ、今日も番組スタートです!さてさて、今日のお題は、『真夏じゃないのに肝試し!ドキッとしたたこと』真夏じゃないって、もう真夏じゃんね・・・」

 

まったくだ、と近藤は心の中でつぶやいた。

 

「日常の中でドキッ!としたこと、肝を冷やしたこと、教えてください~。FAXの方は東京03-・・・・。Twitterの方はハッシュタグ“ハピマン”。番組サイトのメッセージフォームでも受け付けてますよ~。今日も夕方5時まで生放送~!」

 

明るく快活な彼女の声としゃべりは、学生時代から変わっていないが、ここ最近は「メイクのノリが悪くなった」だの「スタジオまでの坂で息切れするようになった」など、年齢の進化を感じされることも多い。

 

お互い年をとったモンだな、と自嘲した。それにしても小腹が空いてきた。そういえば取材中は暑さで食欲が湧かず、昼食をとっていなかったのだ。

 

道路標識を見ると、赤城高原SAまで7キロと書かれていた。ちょうどいい、腹ごしらえしてくか。この調子だと、夜7時には月島にある自宅へ戻れるだろう。

 

「早速メッセージが届いてます~。新宿区にお住いのラジオネーム『はんぺん大臣』さん。“キミ―さんこんにちはー、今日の停電には参りました”ホントですよねぇ・・・。えー、“今日のテーマですが、僕は自動販売機の管理をしているのですが、午前中最初の現場で自販機を開けたところ、いきなりカマキリが飛び出してきて、思わず『ウヒャ!』て悲鳴上げちゃいました”・・・。あー、こういうのビックリしますよねぇ~。私も今年の冬に、久しぶりに掃こうとしたブーツからゴキブリが出てきて、腰抜かしました。続いては、杉並区の会社員『飲んだくれOL1号』さん。キミ―さんきいてください、さっき得意先回りしてたら、赤い洗面器を頭に乗せた男が・・・」

 

続きが気になるが、近藤はパジェロをSAに進め、指定の場所に駐車した。

 

車を降りると、うだるような空気が近藤を包んだ。だが幾分標高が高いためか、東京よりは心地よい。

 

フードコートに入り、きつねうどんを啜ってコーヒーを買おうとした時、ポケットに入れたiPhoneが鳴った。

 

『ようサリー、元気か』

 

独特のブルックリン訛りが耳に飛び込んできた。フリーのジャーナリストでアメリカ人のジョージ・マクギルだった。

 

「ジョージ、久しぶりだな。どうしたんだ?」

 

『いや実はな、いま取材でイトゥルップ島・・・えーと、日本ではエトロフだっけ?そこに来てるんだ』

 

「なんだって?水臭いな、早く教えてくれよ」

 

『いや、今回はロシア極東地域の取材でな、サハリンからクリル諸島入りしたんだよ。でもこれが終われば、日本へ寄ろうと思ってな。それでお前に声かけたんだ』

 

「ほう、いつごろこっちに?」

 

『来週、と言いたいが、こっち噴火のせいで空港が閉鎖されててな、いつ帰れるかわからないんだよ』

 

「あ、そういえば・・・。大丈夫なのか?」

 

『オレがいるところは影響ないけど、さっき噴煙が高く上がったのは見えたよ。まあ、足止め喰らった分、じっくり取材させてもらうがな』

 

「おいおい気をつけろよ」

 

『ああ。また詳しいこと決まったら連絡する』

 

「うん、じゃあな」

 

電話を切ると、近藤はパジェロに向かった。親友との邂逅は楽しみだが、相変わらずキナ臭いとこばかりにいる男だ。

 

(オレも、人のこと言えないか・・・)

 

車に乗り込むと、再び東京方面を目指してアクセルをふかした。

 

だがトンネルでも山岳部でもないのに、ラジオが途切れ途切れにしか聴こえてこない。

 

前方には、広大な関東平野が見えてきた。だが空の上には真っ黒な雲が広がっていた。

 

(こりゃ途中で降られるかな・・・)

 

全国的に水不足だが、北関東は連日激しい夕立が降ると聞いた。関東地区の水源は比較的心配なさそうだが、一度に降る量がおかしいのだ。

 

ふと、近藤は妙な胸騒ぎをおぼえた。夕立のせいだろうか・・・。先に浮かぶ厚い黒雲が先行きを不安にさせるだけなのだろうか・・・。

 

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