ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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 メリークリスマス!!

 いつもより投稿が遅れてすみませんでした。

 では、どうぞ。
 


第13話 吸血鬼編5

 

 私はシノブの視界に入らないように、煙草の箱を持っている手を背中に隠そうとした。

 

「はい、それ渡して下さい」

 

 一瞬でバレた。

 

 渋々ながら渡せば「捨てておきますね」なんて言う。

 

 悲しい。ちょっと前までは私を「姉さん」と呼んで、あんなに慕ってくれていたのに。

 

 

(………やっぱりあの日のこと、まだ根に持っているのかしら?)

 

 

 だとしたらちゃんと謝って仲直りしたいとは思うのだけど、今更どんな顔をしたらいいのかちょっと分からない。

 

 そんなこと考えながら彼女にセラのことを頼めば、真剣な顔をして頷き路地裏に入って行った。

 

 それを視界の隅で見ていると、ゆったりとした足取りでジャティスが私の隣に立った。

 

「彼女は確か、君がいつぞや拾った子供だったろう?」

 

「そうだけど、落とし物みたいに言わないでくれる?言い方が悪いわよ」

 

 ジャティスの言葉にそう言って路地裏に視線を向けると、ちょうどアルベルトが出てきた。しかし彼だけで、グレンが出てくる気配はない。

 

「アルベルト、グレンは?」

 

「あいつは吸血鬼の始末を付けに行った」

 

「………私たちの任務なんだけど?」

 

「まぁ、多目に見てやってくれ」

 

 アルベルトは肩をすくめて苦笑した。

 

 彼がこれほどグレンに、誰かに肩入れするというのも珍しい。ていうか最近甘くなったというか、丸くなったというか………いい意味で変わったと思う。

 

「ふん、別にいいわよ。貴方がそこまで言うんだし」

 

 そのとき再び天使たちが路地裏から飛び出し、救護部隊を運ぶのが見えた。どうやら、ジャティスが側に居なくても大丈夫らしい。何気に凄いな。

 

 いや偵察用の人工精霊(タルバ)があるくらいだし、別に不思議なことでもないのかな?

 

「それよりも僕は君に言いたいことがあるんだけどね」

 

 ふいにジャティスが声を掛けてきた。彼は不満そうな表情を浮かべながら、あまり中身のない財布を私に突き付ける。

 

「ギャンブルでもしてるの?だったら程々にしておきなさい」

 

 まぁ全くするなとは言わないが。ただ程度は弁えて貰いたい。

 

「君の!昼食代だよ!!」

 

「あぁそれね」

 

 あったなそんなのも。

 

 財布をぶらぶらと振りながら「これ経費で落ちるんだろうね」とボヤくジャティスに、「そんなわけがないでしょう」と返す。

 

「は、ぁ?」

 

 任務先での滞在費だったり、そういったものなら経費で落ちる。いくらでも落とす。

 

 ただ今日の昼食みたいなものを経費で落とそうものなら、私がサボっ………休んでいたことがバレる。誰にとは言わない。

 

 といったことをジャティスに伝えれば、彼はあからさまに顔をしかめた。

 

「ま、それ以外はちゃんと落としてあげるから。それとお昼ご馳走さま」

 

 ポンと肩を叩いてやれば、もはや怒る気もなくしたのだろうか。ジャティスは肩から力を抜いた。

 

「もういいよ、何でも」

 

「そう?なら戻りましょう」

 

 私たちは《業魔の塔》へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、歩くの疲れたんだけど」

 

「だからって天使は出さないからね。ただでさえ君の命令のせいで、救護部隊を運搬したから手持ちの粉が少ないんだ。……そもそも僕の天使は正義を為す崇高なものであって、決して荷物運び代わりに使うようなものじゃ」

 

「何よ、ケチくさいわね」

 

「お前がそれを言うのか……」 

 




 
 外伝三巻を基にした話はこれでお終いです。

 次はシノブ視点で回想したいとは思っていますが、思いつきでキャラをクロスさせるものじゃないですね。難しいです。
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