ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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 気づけばまた一年が過ぎましたね。早いものです。

 ところで皆さん鬼滅の刃のPVとか見ましたか!?もうね、あれだけで来年の4月がとっても楽しみになりますな!



第14話 シノブ=コチョウ

 吸血鬼に襲われた負傷した特務分室所属の女性、セラ=シルヴァースさんの治療を終えた私ことシノブ=コチョウは、帝都の隅に建つ自宅に帰って来ていた。

 

 ちなみに周囲に建つ他の建物とは根本的に造りが違っている。

 

 まず家屋全体が木で造られており、床はフローリングではなくタタミ。各部屋を仕切るのは襖か障子で、ちょっとした庭まである。トイレとか台所を除けば、他と同じような造りをしているものはないと思う。

 

「また、やっちゃいました……」

 

(折角久しぶりに会えたのに)

 

 姉さんと、そう前みたいに呼ぶことすらできなかった。

 

 お茶を飲んで、だらしなく寝転んだ。座布団を頭の下に敷いて、天井を見上げる。

 

 ぼんやりと私は昔を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 私と姉さんが出会ったのは、この帝都のある路地裏だった。

 

 詳細は省くが色々とあって親に捨てられ行く宛もなくした私は、そこを偶々通りかかった姉さんに拾われたのだ。

 

 いつの日だったか、どうして助けてくれたのかと彼女に問えば。

 

『こんな目に遭っている全ての子供を助けられるわけじゃないし、そうしたいとも思わないわ。だけど目の前で見捨てられるほど、私は非情にもなれないのよ』

 

 と言っていた。

 

 ちなみに姉さんと呼んでいるのは、出会ったその日に「姉と呼べ」と言われたから。人から聞いた話だと、何でも妹が欲しいと思っていたらしい。

 

「貴女もそろそろ就職くらいした方がいいわよねぇ……」

 

「就職、ですか?」

 

 ある日の昼下がり、姉さんは突然そんなことを言ってきた。

 

「そ、就職。何か希望するところはある?できるだけのことはするわよ」

 

 どうやら姉さんの中では、既に就職することは決定事項のようだ。

 

 それならと私は、姉と同じところを望んだ。

 

 

 宮廷魔導士団特務分室。

 

 

 ずっと思っていた。この人の隣に居たいと。姉さんの側に居たいと。貴女の力になりたいと。

 

 姉さんが空いている時間に色んなことを教えてくれたおかげで、法医呪文(ヒーラー・スペル)に医療技術、それと薬や毒などの知識はさほど苦労なく習得できた。

 

 ただ相性の問題だったのだろう。

 

 どうしても攻撃呪文(アサルト・スペル)だけは身に付かなかった。

 

 それが理由で望んだことは叶わず、私は救護部隊への配属となった。

 

 ただその日に言われたことが、今でも胸の奥に残っている。

 

『やっぱり駄目ね』

 

 どこか失望を孕んだその一言が、いつまで経っても忘れられない。

 

 

 

 

 

 

 

 そして私はまるで姉さんから逃げ出すように、救護部隊として働き始めた。

 

 同じように姉さんも私と会うのを避けるようになり、今では任務以外で顔を合わせることがない。

 

 顔を合わせれば会話はする。だけどそれは、どこか上辺だけのもの。

 

 ………ふと壁際に立てかけた細身の剣と、外した蝶の髪飾りを視界に入った。

 

 両方とも姉さんから貰った物。正確に言うなら剣は姉さんの部下から手渡された物だが。

 

 あれからもずっとこれらを身に着けている私を、姉さんはどんな風に思っているんだろう?

 








 やや強引な回想で失礼しました。

 それでは皆様よいお年を。
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