さて、今回から以前アンケートで決まった敵役を絡ますお話です。
特務分室の執務室に集まった、もとい私が集めた面子を見回す。
「よく集まったわね。仕事よ」
緊急とも言える招集を掛けたのは
一つの任務にこれだけの人数を集中させるのは、私が特務分室室長になって以来初めてかもしれない。
「今回の任務は、ある魔術師の討伐。ここ最近ある街で子供が次々に姿を消してる、っていうのは聞いているわよね?」
「正確には誘拐だろう、これ」
そう言ったジャティスに頷いて言葉を返す。
「そうよ。下手人は『青髭』を自称する魔術師。だけど、目的とかは分かってないわ」
しかしその被害は甚大なものだ。
全員に配ったものと同じ資料に目を落とす。それにはこれまでの調査結果ーーーどれほどの人数が消えたのかなどの被害状況や、被害者が死体として発見されたときの状態などーーーが記されている。
「追加で言っておくと、本格的に編成された調査隊は誰一人として帰還してないそうよ。全員が行方不明………これに関して今は考えても仕方ないわ」
資料を机に置いて改めて任務を告げる。
「私たちの任務はこの失踪事件の首謀者、『青髭』なる魔術師を殺害すること。一時間後に出立するわ。各自、準備を済ませて頂戴」
一時間後。
私はリィエルを膝の上に乗せていた。彼女の頭を撫でれば、どこか心地良さげに目を細める。
リィエルは短期間で、執行官No.7《戦車》に相応しい活躍を上げた。だがそれ即ち、私がそれだけの任務を彼女に任せたことに他ならない。
(初めてリィエルに任務を告げた時は、グレンが猛反対したのよねぇ)
まだ特務分室の任務はリィエルに早すぎるとか色々と言われたけど、私はグレンの言い分に一切耳を貸さなかった。
何故かと言えばリィエルは自身の実力を模擬戦で示し、それをグレンとアルベルトやついでに私以外の特務分室メンバーも見ている。
そして残念極まりない話だが、それ程の人材を遊ばせておく余裕はない。
(いっそ何も知らなければ、戦う術も知らなければ………)
こんな幼い子供を、軍人として扱わないで済んだのだろうか。
「イヴ?」
「………何でもないわ」
私から何かを感じ取ったのか、肩越しに視線を寄越すリィエルにそう言って膝の上から降ろす。丁度その時に各々準備を整えたらしい皆が《業魔の塔》入口に姿を見せた。
「馬車?」
「かなり遠くの方だしね。これくらいの準備はするわよ」
セラが私の用意した馬のいない馬車を見て首を傾げる。
歩いて移動するには無理のある距離だし、バラバラで動くというのも阿呆らしい。
「でも馬がいないよ?」
「けど馬代わりを出せる奴はいるのよねぇ」
更に首を傾げるセラからジャティスに視線を移すと、彼は何かを悟ったのか顔を引きつらせた。