ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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 書き溜め、終了。原作まではまだまだですが、少しの間は定期的に投稿ができそうです。


第30話 任務先への同行者

「出発する前に、一人だけ追加のメンバーがいるの」

 

 ジャティスに三体ほどの天使を用意して貰って、私は不本意ながらも今回の任務に同行させることになった人物を紹介する。

 

「もう知ってるかもしれないけど、この娘はシノブ=コチョウ。特務分室の専属医を務めてくれているわ」

 

「皆さん、こんにちは。今回は現地で治癒術師が必要になる可能性が極めて高いらしいので、イヴさんからの要請を受けて同行させて頂くことになりました。よろしくお願いしますね」

 

 あのリィエルとの模擬戦の後に、シノブには肩書が一つ増えた。それが今さっき口に出した、特務分室専属医。

 

(最初はリィエルの面倒だけみてくれたらって思っていたのに、いつの間にやらそんな立場になっちゃって)

 

 これは彼女本人の希望もあるにはあるが、私のせいと言ってしまった方が正しいだろう。特務分室室長が個人的に連絡をし、部下を診るように頼んだという事実のせいだ。

 

(本当にどうしてあんな軽率な真似。………馬鹿なの私は?)

 

 実際あの時の私は馬鹿だったのだろうと思う。

 

「じゃあ皆、中に入ってくれる?すぐに出るわ」

 

「あぁ、そうしよう。僕は一番奥で構わないから、先に乗らせて貰おうか」

 

「アンタは私と一緒にこっちよ」

 

 ジャティスの首根っこを掴んで御者台に引っ張った。

 

 セラ以外の全員が馬車に乗って彼女も乗り込もうとした直前に引き止め、私はセラにトランプを渡した。

 

「いくらジャティスが飛ばしても、それでも街まで結構あるから。良かったらそれ使って時間潰してて」

 

「そういうことなら、使わせて貰うけど………いいの?私が御者台に座った方がいいんじゃないかな」

 

「いいわよ、別に。どうせただ気まずくなるだけでしょ」

 

 セラを含めた何人かは、私とシノブの関係を知っている。だから彼女は私にそんなことを言うのだろうけど、その気遣いは不要だ。

 

「それじゃ適当な所で休憩を挟むから、それまでは適当に過ごしておいて」

 

 セラを馬車の中に押し込み、ジャティスの隣に座る。

 

「今回は悪いわね。目的地までよろしく頼むわ」

 

「それは別に構わないさ。ところで君は御者台でいいのかい?」

 

「セラにも言ったけど、気まずくなるだけ。それならセラに任せて、皆と友好を深めるなりして貰った方がいいわ」

 

「………まぁ、さっさと行くとしよう。今回は任務だということもあるし、大人しく運送くらいしてあげるよ」

 

 そう言うと彼は天使に馬車を持ち上げさせ、空へと勢いよく飛び出させた。

 

「普段からそれくらい聞き分けが良ければいいのに」

 

「僕が普段から我儘を言っているような言い方は良くないよ。どちらかと言えばそれをしてるのは君だろう?」

 

「………………………今度グレンと任務組ませてやろうかしら」

 

「おっと。そんなことを本気でやるつもりなら、天使の操作を誤ってしまうかもしれないな」

 

「そんなにグレンは嫌い?あとそれは洒落にならないから止めなさい」

 

 今ジャティスは馬車を不可視化させた上で、かなりの高さを飛行させている。こんな状況で落ちたりしたら………………………………いや、割とどうにかなりそう。馬車自体は壊れるだろうけど。

 

(しかし『青髭』、ねぇ?)

 

 失踪しているのは全て幼い子供(・・・・)であり、発見されたのは悪趣味な芸術品(・・・・・・・)のように加工された遺体。

 

(嫌な予感がするのは私だけでしょうね………)

 

 前世を持つ私しか分からない不気味さに、思わずため息を一つ零していた。

 

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