ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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 感想等には今回のストーリーが一通り終わってから返信したいなと思ってます。


第33話 会敵

 

「おやおや、助けが来たのですか?良かったですねぇ坊や、喜びなさい。ようやく神が慈悲を示したよ。お友達は誰一人、救ってくれなかったというのにねぇ」

 

 そんな言葉と共に、木の陰から一人の男が姿を現した。

 

 不自然に飛び出した両目に、全身を覆い隠すローブ。その体つきはまるで現役の軍人のようであった。

 

 その風貌は男の子から聞いたものと一致していて、私が覚えているものとも全く同じだった。

 

「………一応、確認させて貰おうかしら?」

 

 シノブを庇うように前へ出る。そしてシンプルに問い掛けた。

 

「貴方が『青髭』?」

 

「如何にも。私が『青髭』、ジル=ド=レェにございます。そちらは噂に聞く宮廷魔道士団、特務分室に相違ありませんね?」

 

(どうして知っているの?)

 

 一応、特務分室はその存在が秘匿された組織だ。一般人はおろか、生半可な犯罪者では一生知ることはないだろう。

 

 それを知っているということは、かなり巨大な組織が裏にいるということなのか。

 

 まぁ、やることは変わらない。

 

 向こうの問いには答えずに、ただ一言こう告げた。

 

「戦闘、開始」

 

 まずグレンが発砲した。牽制が主な狙いだがしっかりと脳天に向かった弾丸は、『青髭』の足元から飛び出た触手の化け物に止められる。グレンが僅かに動揺した隙を埋めるように、それを私とリィエルで斬り裂いた。追撃をしようとしたリィエルの首根っこを掴み後ろに放り投げ、シノブと男の子に近づいていた化け物に向かわせる。

 

 すると木の上に隠されていた化け物が、複数体私の上に落ちてきた。それはセラが【シュレッド・テンペスト】をその分だけ生み出し、木っ端微塵に切り刻む。血肉が降りかかる前に、一度皆のところに下がった。

 

「ウフフ、凄いでしょう?我が友が遺したこの魔書によって、私は悪魔を統べる術を得たのです!」

 

 そう言うと男は人の皮を用いて作成したらしき分厚い本を、パラパラと勢いよく捲り出す。すると男の周囲に、同じ形の化け物が何体も出現した。

 

 私はセラ達と言葉を交わす。

 

「少しは減った?」

 

「いや、逆に増えてるみたい」

 

「化け物の血肉でまた化け物を召喚してるってとこだろうな………これ上限あるのか?」

 

「でも弱い。数が多いだけ」

 

 ………そう、弱い。確かにこの触手の化け物ーーー海魔はどちらかと言えば雑魚に分類されるものだ。

 

 けど、もしこの男が英霊であるならば。

 

(私たちが雑魚って感じることがそもそも変なのよね……)

 

 もう少し探るか。

 

「私が片っぱしから凍らすか燃やしていくわ。燃やしたのは放置でいいから、凍らせたのはすぐに砕いていって」

 

「分かった」

 

「了解」

 

「ん」

 

 この会話の間にも化け物は増え続けている。それらの向こうで『青髭』が笑っていた。

 

「話し合いは終わりましたか?ならば地獄へと落ちなさい!!」

 

 海魔が次々に迫ってくる。

 

 私達の立ち回りは自然と、シノブを守るようなものになっていた。

 

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