ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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 劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン見てきました。もうマジで感動です。まさか今になって映画館で泣くことがあるとは………。
 彼女をさっさと出したいので、サクサクと話を進められたらいいなぁ(願望)。


第38話 脱出

 直後、私が立っている場所が下から斬り裂かれた。私は瓦礫と共に、下の階へと流れるように落下する。

 

 そして、空中で姿勢を整え着地した。

 

 そこには大剣を握るリィエルと、険しい表情のアルベルトの姿がある。どうやらリィエルが、私の真下だけを斬ったらしい。

 

「助かったわ。ありがとう、2人共」

 

「礼は後にしろ。話は移動しながらだ」

 

「それもそうね。ところで、リィエルってば私まで斬りそうじゃなかった?地味に掠ったと思うんだけど………」

 

「気のせい」

 

「そう?」

 

 アルベルトに先導して貰い、外へ向かって移動する。その際にいくつも|作品(・・)を見かけたが、もはやどう手を施せばいいか分からなかった。

 

「………現状は?」

 

 それらから意識を外すため、アルベルトに尋ねる。

 

「セラとグレンが城の内部調査。翁がジャティスとセイバーを率いて、囮を務めている。グレン達は既にこの古城から出たようだ」

 

 今、何て?

 

「セイバーが?どうして?」

 

「いや、確かお前の使い魔なのだろう?俺に聞くよりも、お前の方が分かっている筈だが………それにしても戦闘力もそうだが、高い知能も保有させていると。流石だな」

 

 よく分からないけど、自分で思っている以上にセイバーの性能は高いらしい。所詮は使い魔の域を出ないと考えていたけど、その考えは改めて良さそうだ。

 

「で、私の救助に貴方達ってわけね。シノブは?」

 

「彼女は先に馬車に戻って貰った。馬車の周囲には結界も張ってあるから、特に心配もいらないだろう。それで、お前はどうなんだ?見たところかなり傷は深いぞ」

 

「“呼吸”で止血してるから大丈夫よ」

 

「??そうか」

 

 しばらく進むと彼は足を止め、リィエルにこう言った。

 

「やれ」

 

「ん、分かった」

 

 そして彼女は無造作に大剣で壁を破壊し、外へ通じる道を無理矢理作った。

 

(えー)

 

「よし、外に出るぞ」

 

「………随分と人目を気にしないやり方ね。らしくないわよ」

 

「今更、気にする人目がどこにある。なら、効率よくするだけだ」

 

「これ効率的って言うの?」

 

 あ、無視して飛び降りた。これは彼も本当に効率的とは思ってなさそう。

 

 リィエルとタイミングを合わせて私も飛び降りる。すると不自然に吹く強い風が、私達をある場所へと運んだ。

 

 そこは馬車を隠していた場所だった。

 

「良かったイヴ!無事………じゃないねッ!!?」

 

「やっぱり、セラだったのね。運んでくれてありがとう。皆は無事みたいで良かったわ」

 

 すぐシノブに左腕と腹の傷を治療して貰う。その際に治癒を施す彼女のその手が震えていた。

 

(………現場に連れて来ない方が、良かったかもしれないわね)

 

 もしかしたら、現地で治療を施せば救える命があるかもしれない。そんな風に考えてもみたが、そんな筈もなかった。

 

 特務分室が動くのは、基本的に手遅れな被害が出てからなのだから。

 

「え、いやホントに大丈夫なんだよね?無理してない?」

 

「そんな心配しないでも大丈夫よ。シノブが傷も塞いでくれたし………さて」

 

 これからどうするか皆の意見を聞こうとした瞬間、地鳴りが響き出した。それは徐々に大きくなる。

 

『許さぬ………断じて、許さぬぞ。我が聖処女を弄び魔女だと愚弄したその罪は、必ずやその身を以て贖わせてくれよう!!!』

 

 その中心である古城が崩れたかと思うと、代わりのように巨大な怪物が現れた。それは何度か見た海魔とはまた別物で、その大きさは城と比べても遜色ない。

 

「………あの男、何を考えている」

 

「ん?何か見えたの、アルベルト?」

 

「『青髭』といったか。あの男が自ら、あの化け物に飲み込まれていった」

 

 ………まぁ、下手に他所へ逃げられるよりかはマシか。

 

 私は改めてどうするべきか意見を求めた。

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