彼女をさっさと出したいので、サクサクと話を進められたらいいなぁ(願望)。
直後、私が立っている場所が下から斬り裂かれた。私は瓦礫と共に、下の階へと流れるように落下する。
そして、空中で姿勢を整え着地した。
そこには大剣を握るリィエルと、険しい表情のアルベルトの姿がある。どうやらリィエルが、私の真下だけを斬ったらしい。
「助かったわ。ありがとう、2人共」
「礼は後にしろ。話は移動しながらだ」
「それもそうね。ところで、リィエルってば私まで斬りそうじゃなかった?地味に掠ったと思うんだけど………」
「気のせい」
「そう?」
アルベルトに先導して貰い、外へ向かって移動する。その際にいくつも
「………現状は?」
それらから意識を外すため、アルベルトに尋ねる。
「セラとグレンが城の内部調査。翁がジャティスとセイバーを率いて、囮を務めている。グレン達は既にこの古城から出たようだ」
今、何て?
「セイバーが?どうして?」
「いや、確かお前の使い魔なのだろう?俺に聞くよりも、お前の方が分かっている筈だが………それにしても戦闘力もそうだが、高い知能も保有させていると。流石だな」
よく分からないけど、自分で思っている以上にセイバーの性能は高いらしい。所詮は使い魔の域を出ないと考えていたけど、その考えは改めて良さそうだ。
「で、私の救助に貴方達ってわけね。シノブは?」
「彼女は先に馬車に戻って貰った。馬車の周囲には結界も張ってあるから、特に心配もいらないだろう。それで、お前はどうなんだ?見たところかなり傷は深いぞ」
「“呼吸”で止血してるから大丈夫よ」
「??そうか」
しばらく進むと彼は足を止め、リィエルにこう言った。
「やれ」
「ん、分かった」
そして彼女は無造作に大剣で壁を破壊し、外へ通じる道を無理矢理作った。
(えー)
「よし、外に出るぞ」
「………随分と人目を気にしないやり方ね。らしくないわよ」
「今更、気にする人目がどこにある。なら、効率よくするだけだ」
「これ効率的って言うの?」
あ、無視して飛び降りた。これは彼も本当に効率的とは思ってなさそう。
リィエルとタイミングを合わせて私も飛び降りる。すると不自然に吹く強い風が、私達をある場所へと運んだ。
そこは馬車を隠していた場所だった。
「良かったイヴ!無事………じゃないねッ!!?」
「やっぱり、セラだったのね。運んでくれてありがとう。皆は無事みたいで良かったわ」
すぐシノブに左腕と腹の傷を治療して貰う。その際に治癒を施す彼女のその手が震えていた。
(………現場に連れて来ない方が、良かったかもしれないわね)
もしかしたら、現地で治療を施せば救える命があるかもしれない。そんな風に考えてもみたが、そんな筈もなかった。
特務分室が動くのは、基本的に手遅れな被害が出てからなのだから。
「え、いやホントに大丈夫なんだよね?無理してない?」
「そんな心配しないでも大丈夫よ。シノブが傷も塞いでくれたし………さて」
これからどうするか皆の意見を聞こうとした瞬間、地鳴りが響き出した。それは徐々に大きくなる。
『許さぬ………断じて、許さぬぞ。我が聖処女を弄び魔女だと愚弄したその罪は、必ずやその身を以て贖わせてくれよう!!!』
その中心である古城が崩れたかと思うと、代わりのように巨大な怪物が現れた。それは何度か見た海魔とはまた別物で、その大きさは城と比べても遜色ない。
「………あの男、何を考えている」
「ん?何か見えたの、アルベルト?」
「『青髭』といったか。あの男が自ら、あの化け物に飲み込まれていった」
………まぁ、下手に他所へ逃げられるよりかはマシか。
私は改めてどうするべきか意見を求めた。