ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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 このすばセイバー面白いですよね。ね?


第39話 固有魔術

 

「撤退もありじゃと思うぞ?現状の戦力では、あの怪物に対する決定打がないからの」

 

「可能性があるとすれば、アルベルトかイヴくらいだろうね。それでも、確実に仕留める保証はない」

 

「流石にあんな質量を一撃で、っていうのは無理があるんじゃないかな?」

 

「アルベルトのあれなら、ワンチャンやれるんじゃね?ほら、七星剣とかいうの」

 

「対象を視認さえ出来ればな。だがあれ程分厚い肉に入り込まれると、直撃させるのは不可能と言わざるを得ない。そう言うお前こそ、【イクスティクション・レイ】はどうした?」

 

「セリカならともかく、俺があれに撃った所でなー。城を一つ吹き飛ばせるような威力は流石に出せねーよ」

 

「やはり、一度退いて戦力を整えてから「いいえ、それではいけません」何?」

 

 沈黙を保っていたセイバーが口を開く。

 

「あれは放置すればする程に、被害が増します。今、この場で対処するべきです」

 

 ………セイバーの言う通りではあるのだが、それが出来れば苦労しない。というかさっきから何なの?私ってセイバーの人格とか思考とかも再現したっけ?戦闘能力重視でイメージした筈なんだけど。

 

(いや、それは後でいいや)

 

 とりあえず今は、あれをどうにかする方法が先だ。

 

「マスター、宝具開帳の許可を。私の宝具であれば、確実にあの怪物を消し飛ばせます」

 

「却下」

 

 セイバー?の申請は思考の余地なく却下。そんなもの(宝具)まで再現した覚えはない。

 

「なッ、マスターもあれを放置しようというのですか!?」

 

「そんなわけないでしょう」

 

 私の言葉に意外そうな表情をする皆に向けて言った。

 

「三分。それだけでいいから、各々のやり方で時間を稼いで頂戴。その後は私が片づけるわ」

 

 

 

 

 

 

 

〈sideグレン〉

 

「ーーーってもなぁ、どうにかなんのかよこれ。まるで足止めできてる気がしねぇんだけど」

 

 怪物の進行方向に次々と罠を仕掛けてはいるが、それが効いてる様子はない。いくら俺が三流魔術師とはいえ、流石に自信を失くしそうだ。

 

 バーナードがリィエルとセイバーとかいう少女を率いている極一部では、どうやらそうでもなさそうだが。

 

「そんなこと言ってないで、早く次の場所に行こう?まだまだやれることはあるよ」

 

「………そうだな」

 

 セラが駆使する風で移動して、また別の場所に罠を仕掛けている最中に、ふと気になって彼女に尋ねる。

 

「白犬。イヴは一体、何をどうするつもりなんだ?どんだけ強力な軍用魔術を当てても、あの再生速度を上回るのが困難なことは目に見えてる」

 

「うん。だからその再生速度を上回る一撃を、しかもお城と同じくらいの規模で当てないといけない。多分だけどイヴは、固有魔術(オリジナル)を使うんじゃないかな?」

 

「………は?あいつ、そんなの持ってんの?」

 

 固有魔術。魔術特性(魂の在り方)を取り込んだ、個々の魔術師によるオンリーワンな魔術。俺の《愚者の世界》もそうだし、確かイヴの眷属秘呪もそうだった筈。

 

 再び移動しながらそう尋ねると、セラは不思議そうに首を傾げこう言った。

 

「もしかして、セリカさんから聞いてない?」

 

「何を?」

 

「イヴ、その固有魔術でセリカさんに勝ったことあるんだけど………」

 

 絶句した。そんなの聞いたこともない。そもそもあのセリカに勝てる奴がいるなんて、想像すらしたこともない。

 

 セリカ=アルフォネア。この大陸で唯一の第七階梯であり、俺の育て親である女性。長きに渡り務めた特務分室を辞めた今でも尚、その実力に陰りは一切見えない。

 

 そのセリカに勝った。それがどれ程のことなのか、分からない程馬鹿じゃない。

 

 例えば仮に、特務分室のメンバー全員で、有利な地の利を得たとして、さらにその上に完璧な奇襲を仕掛けることができても。

 

 ーーーそれでも、セリカが勝つだろう。

 

 それくらいにセリカ=アルフォネアという魔術師と、他の魔術師との間には大きな隔たりが存在している。

 

「勿論、無条件でってわけじゃなかったけど………グレン君。ちょっと離れよう」

 

 セラの視線が上を向く。それに釣られて俺も上を向いた。

 

「でないと、巻き込まれちゃうから」

 

 ジャティスの天使に乗り、空から怪物を見下ろすイヴがいた。

 

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