それは忌々しい程に、色鮮やかな炎だった。
「ーーーあぁ、ジャンヌ」
貴女様も最期は、このような炎に焼かれて逝ったのですか。魔女だと数多の人間に罵られ、そして灼熱の業火に包まれ、一人死んでいったというのですか。
「信じた神に、救われることもなく………」
何と酷いことか。しかも死して尚彼女の魂は開放されることなく、神めの呪縛に囚われたままでいる。
願わくば冥府の淵より蘇った聖処女を、今度こそこの手で救いたかった。神などという不確かなものではなく、かつて貴女様と共にあった、この私の手で。
だが、もはやそれは叶わない。しかし奇跡は確かに起きた。再び聖女をこの目に映すことができた。
一度起きたのならば、二度目も必ずある。
「次こそは必ずや………貴女をお救いいたしましょう、ジャンヌ」
やはり私を滅ぼすのは神ではなく人なのだと思いながら、私は天から落ちてきた巨大な炎よってこの世界から退去した。
〈side????〉
一面が荒野と化した森林に視線を向ける。あれ程に存在感を放っていた巨大な怪物は、灰の一つも残さずに焼き尽くされた。英霊の宝具にすら匹敵するマスターの魔術には、脱帽する他にない。
(それにしても、やはり聖杯からのバックアップがない。現在の知識がまるで与えられない上に、知名度の補正もないとは………何かイレギュラーが起きているのか?)
それにマスターは私が口を開く度に、不思議そうな顔をしていた。思っているのと違う、とでも言いたげな表情だった。まさかマスターが召喚しようとしていた英霊は、私ではなかったとでもいうのだろうか?
視線をチラリと向けた先にいるマスターは、仲間と紹介された者らに囲まれている。どうやら「やり過ぎ」だと叱られているようだ。
(やり過ぎ、か)
確かにそうなのかもしれないが、しかしサーヴァントに対して有効な魔術を所有しているというのは、素直に感嘆するべきことだ。そしてそれほど強力な魔術なら、この光景にも納得がいくというもの。
(その大魔術を行使して尚、マスターからの魔力供給は潤沢………どうやら今回のマスターは、かなり優秀な魔術師なようですね)
例え何かしらのイレギュラーが発生していたとしても、このマスターと聖杯戦争に挑むのならば負けはしないだろうと思う。相手がどこのどんな英霊であっても。
「まずはお見事でした、マスター。まさか魔術師でありながら、サーヴァントを討てるとは」
声を掛けるとマスターは再びキョトンと表情を崩し、唐突に左腕を軽く振って私への魔力供給を完全にカットする。
思わずマスターに詰め寄った。