ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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 上弦の鬼とかが反英雄として、か。………うん、無理でしょう。鬼殺隊の誰かとかその鬼に縁のある物があるなら別だとも思うけど、そもそも鬼を召喚しようとするマスターがいない。偶然偶々その条件を全て満たす人がいるなら話ほ別だけど。あと会敵した相手は基本的に生き残ってない=情報が残ってないってこともあるので、尚のこと可能性は低いと思われます。



第46話 弓兵

 

「もう中には従業員が入ってる時間よ。そんな派手なことはできないわ」

 

「………では、正面から行きます。決して私から離れないで」

 

 そして私がセイバーと共にED郵便社の敷地を囲う塀を飛び越え、そこそこに広い庭へと着地した瞬間だった。

 

「ッ、マスター伏せて!!」

 

 セイバーの言葉に従って頭を低く下げると、彼女は上から飛来した“何か”を不可視の剣で弾いた。

 

「今のはッ!?」

 

「狙撃です。恐らく、敵はアーチャーのサーヴァント」

 

「ーーーーーーその通り。よく分かっているじゃない」

 

 頭上から降ってきた声に顔を上げる。

 

 ED郵便社の屋根上に立つ、水色の髪を持つ少女が視界に入った。彼女は此方に真っ直ぐ白い弓を向け、そこに光の矢を番えている。

 

「どこのどんな英霊か知らないけど、次の一撃で終わらせるわ。悪く思わないで」

 

(………ん?)

 

 逆光でよく顔は見えないが、声といい大まかな容姿といい服装といい、何かどこかで見たこたがあるような………気のせい?

 

 ここはなるべく慎重に、アーチャーの正体を見極めーーー

 

「ほぅ、大層な自信だな弓兵。しかしこの距離であれば、瞬き一つの間に貴殿を斬り捨てられるぞ?」

 

 ーーーたかったのに、どうして挑発しちゃうかなぁ?

 

 まぁ確かに、セイバーが一人でこの場に来ていれば、あるいはそれも可能だっただろう。地面と建物の上との距離など、彼女にとってはあってないようなもの。そしてアーチャーがこれ程に近くにいるならば、セイバーの敵ではないと言っていい。

 

 だが、それは………

 

「その瞬き一つの間で、私は貴女のマスターを射抜けるわよ」

 

 足手まとい()がいなければの話。セイバーが悔しそうに唇を噛み、チラッと私の方に視線を流したその時。

 

 ーーーーーーアーチャーの手元がブレ、光の矢が消え………否、私に向かって矢が放たれた。

 

「はあぁッ!!」

 

 その矢を再びセイバーが弾き飛ばしたかと思えば、彼女は私の前から姿を消してアーチャーへと一瞬で迫っていた。

 

「なッ!?」

 

 驚きを見せるアーチャー。しかし私も一瞬焦ったが、考えてみればこうなることも当然だ。

 

 何せ、セイバーはアーチャーの不意打ちから私を守ったのだ。その相手を視界に捉えていて、セイバーが防げない道理はない。

 

 既にアーチャーはセイバーの間合いの中。アーチャーが新しく矢を構えるよりも、セイバーが剣を振り抜く方が断然速い。

 

 胴に向け斜めに振り下ろされた不可視の剣を、アーチャーは弓で受け止めすぐに後ろへと飛ぶ。そして宙で身を翻してセイバーのいる場所へ弓を構える。

 

 が、既にそこにセイバーの姿はない。彼女はアーチャーが身を翻す間に屋根の縁を蹴り、アーチャーの真上に位置している。

 

 それに気づいたアーチャーが弓を上に向け、特に狙いを定めることなく矢を放つ。セイバーは自分に向け真っ直ぐ飛んでこない矢から意識を外し、剣に纏わす風の結界を開放しようとする。

 

 直後、矢が幾筋にも別れてセイバーを襲った。

 

「何ッ」

 

「セイバーッ!!」

 

 私が思わずそう叫んだ瞬間に、セイバーは炸裂する光に包まれる。

 

 その光を背にして舞い降りるアーチャーの顔が、ようやく私の目に映ったそのとき………

 

 

 

 

 

 

 

 私はアーチャーの真名に思い至った。

 

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