ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

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ざっと2…3?年ぶりの更新。
サブタイはもう止めます。そこまで考えるのメンドクセー…。


50話

 

 万能の願望器である聖杯。七人のマスターと七体のサーヴァントが、それを求めて殺し合う埒外の戦争ーーー聖杯戦争。

 

 理由も過程もさっぱり分からないことだらけだが、私とヴァイオレットはマスターになってしまった。そして既に、英霊を召喚してさえいる。

 

(なら、勝ち抜かないと)

 

 それも求めなければならないのは、ただの勝利ではない。

 

 ヴァイオレットは勿論、彼女のサーヴァントとなった少女………シノンにも危険が及ばないようにする必要があるし、どこの誰にも聖杯を渡す訳にも行かない。

 

 例えどこの誰がマスターとなり、どんな英霊を召喚しようとも、確実に勝ちを積み重ねないといけないのだ。

 

「………足りないわよね」

 

 その為に必要な確かな実力が。圧倒的な戦力が。

 

 アルザーノ帝国を裏から守護する特務分室。その室長を務める私が、まさか弱いなどという筈はない。というか誰が相手であれ、最終的に【ダモクレスの剣】を使えばほぼ問題ない。

 

 言わば【ダモクレスの剣】は、初見殺しの反則技。破壊という概念そのものを操るのだから、防御など叶う筈もない。

 

 が、それを以てしても必ず勝てると言えない人が、この国に一人だけいる。

 

「という訳で、その人を巻き込むことにします。何か異論はある、セイバー?」

 

「異論しかありません、マスター。既にサーヴァントを従えている者ならまだしも、貴女の言う『その人』はそうではないのでしょう?」

 

「知らないわ。直接会ってみないと、流石にね」

 

 調査、討伐、探索、護衛にその他諸々。いくつもの様々な任務を短期間で強引に片付けた私は、そうして無理矢理に作った時間を用いてセイバーと共にフェジテに訪れていた。

 

「マスター。この異常な聖杯戦争において、戦力を求める貴女の気持ちは理解できる。ですがその行動は、貴女のサーヴァントである私を軽んじるものだ………私では、不足ですか?」

 

「そんな訳がないでしょう」

 

 即答する。私が召喚した英霊が彼女であって不足だなどと、そんなことあり得ない。

 

 ブリテンの騎士王ーーーアルトリア・ペンドラゴン。世界で最も著名と言って差し支えない、聖剣・エクスカリバーの担い手。最優のサーヴァントとして、これ以上ないカードとされる彼女が私のサーヴァントで、文句なんてある筈ない。

 

(ただ、それはそれとして………)

 

「けど。私もヴァイオレットもシノンも、貴女だけで守れる保証はどこにもないわ」

 

 基本的に私は、フェジテに長く滞在しない。まして今みたいな状況でフェジテに引き籠もれば、「何かありますよ」と言っているようなもの。かと言って彼女らを常に私と同行させるなど、論外。

 

「私か、ヴァイオレットとシノンか。どちらかを優先すれば、当然どちらかが穴になる。それはセイバーも分かっているでしょう?」

 

「………だから、『その人』を巻き込むと?」

 

「協力を仰ぐだけよ。嫌な言い方しないで」

 

 北セルフォード大陸において唯一存在する第七階梯の魔術師であり、元執行官No.21『世界』のセリカ=アルフォネア。

 

 かつて私の特務分室には不要と断じたその人の力を、私は再び求めなければならなかった。

 

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