2というより任務後の話ですね。
<sideアルベルト>
《業魔の塔》にある職務室で、俺とイヴは今回の報告書を仕上げていた。
「そういえば」
しばらく経ってからそう言ってイヴに視線を向けると、彼女の手は止まっていた。どうやら既に報告書を書き終えたらしい。
「何?どうかした?」
「いや、あの会場で視線を他の場所に誘導するというのは分かる。だが、あれから一体どうやったのかと思ってな」
「あー、それね」
脳裏に浮かぶのはイヴが起こした爆発。
一瞬だけなら人の意識を逸らせるだろうが、それを持続させるのは難しい。
「別に大したことしてないわ。少し一暴れさせただけよ。[コール・ファミリア]で喚んだ、ちょっと人に似せただけのゴーレムをね?」
「………他にやりようがあっただろう」
「結果オーライってやつよ。気にしない気にしない」
ひらひらと手を振りながらイヴはそう言った。そんな彼女の態度は常にどこか尊大さを感じるものだが、自分でも何故かは分からないがそれに嫌気を感じることはあまりない。
そんなことを考えていると、イヴはおもむろに椅子から立ち上がり給湯室に足を運んだ。
少しして戻ってくる。その両手には一つずつマグカップを持っていた。
「はい、コーヒー」
「頼んでないが?」
「上司のささやかな気遣いよ。文句言わずに受け取りなさい」
半ば強制的にだが受け取った。
とはいえ時間が時間だ。若干とはいえ眠気を感じていたので、正直ありがたい。
「それにしても面白いくらい上手くいったわね。そうは思わないアルベルト?」
片手に天の智慧研究会と関わりがある貴族の名前が記されたリストを持って、イヴは自慢気に見せつけてくる。
件の貴族の屋敷から抑えた証拠の一つだ。これからは他の部署に回すことになっている。
早ければ明日にでも片が付くだろう。
「分かっていたのか?」
そして気になるのが、リストにある名前は今後調べる予定だった者ばかりだということ。
「まぁね。まとめ役の一人くらいはいると考えてたわ」
それが今回の奴だとは思ってなかったけど。
リストを他の証拠と纏め終えると、イヴはマグカップを傾ける。
「そうか」
「そうよ」
会話が途切れる。
コーヒーを飲みながら報告書を書いていると、ふと思い出したという風にイヴが口を開いた。
「あぁ、そういえばね。今度、新しく入ってくる子がいるのよ」
「それはまた珍しいな」
特務分室の任務には危険なものが多い。欠員は………言ってしまえばよくあることだが、新しく入ってくるという者はそういない。
そこまで考えてふと思った。
こいつが室長になってからは一度も欠員が出ていない。
「それでその子の名前なんだけどーーー」
イヴは不自然に間を空けてその名前を口にした。
「ーーーグレン=レーダス、っていうのよね」
以前に原作まで長いとは言いましたが、主人公が出ないとは言ってない………ですよね?
というわけで、次回に出します。