受験も終えて合格したので、肩の荷が降りました紅=李江です。いや~ホント進路が決まって一安心してるのです。
それから時々日間ランキングに載るので、自分のことながらとても驚きでした。沢山の方に読んで頂いて、とても嬉しいです。ありがとうございます。
無駄に長い前書きで申し訳ない。
では、どうぞ。
『イヴ』
アルベルトはただ私の名前を呟く。
そこには向ける場所のない苛立ちと、心配するような響きがある気がした。
「何でもないわ。それよりグレンのことよね」
グレンを休ませるのは確定として、他二人をどうするか少し悩む。
………………よし。
「いいわ。貴方の言うように、グレンは少し休ませましょう。あまり無理させて潰れても困るし」
『…そうか。悪いな、イヴ』
そのまま通信を終えようとする彼に、「ただし」と続ける。
「グレンだけ贔屓するわけにいかないから、貴方たち全員に同じだけ休みをあげる。それでどう?」
『いやセラはともかく俺は』
「ダメ。それが条件よ」
焦っているように感じられるアルベルトに言い放つ。これくらいしないと、彼はなかなか休んでくれないのだ。
『……………………………………………………分かった』
かなり長い沈黙の後、アルベルトはそう言って通信を切った。
悩んだのだろうか?この
さて。
「少し働いてもらうわよ、ジャティス」
「………なるほど。こうなるのか」
さっきまで空気だった彼にそう言うと、どこか納得した風な反応を見せて立ち上がる。
ジャティスはコートを翻して扉に近づく。杖を持っていない方の手を、まるでエスコートでもするかのように此方に伸ばした。
「それじゃあ、行こうかイヴ」
私は柔らかい笑みを浮かべて言った。
「今日は無理だから明日からね」
「色々台無しだよ」
うるさい。こっちは書類が阿呆なくらい溜まってるんだよ。
みたいなことがあったのだ。
ちなみに私たちの昼食はサンドイッチ。王都にある店だけあってとでも言うべきか、普通に美味しい。
「使い魔だって飛ばしてるし、遠見の魔術も使ってる。でも全く見つからないわね。そっちはどう?」
「こっちも芳しくないよ。………強いて言うなら、セラとグレンが一緒に居ることくらいか」
「え?何それスッゴい気になるんだけど」
恐らく偵察用の
デートかな?後でセラに根掘り葉掘りと聞いてやろう。
(いや、それよりも)
私たちがここまでやって見つけられないとか、『カーミラ』の潜伏スキルはかなり高いらしい。
「ところでジャティス。少し聞きたいんだけど」
「ん?何だい?」
「貴方ひょっとして体調………それとも機嫌でも悪いの?」
サンドイッチ片手に尋ねると、彼はお茶を飲んでから口を開いた。
「どうしてそう思うんだい?」
「いやどうしてって、それ本気で言ってる?だって任務に集中できてないじゃない」
これまで人工吸血鬼『カーミラ』と遭わなかったわけじゃなく、何度か捕捉することはできているのだ。
しかしその全てにおいて彼女に逃げられてしまっている。
………別に誰のせいとも言わないが。偶にはそういう時もあるだろう。
それに部下が不調ならそのことをどうにかするのが私の役目だ。
この任務を気分転換代わりにしてくれたら良かったのだが、どうもそう上手くはいかないらしい。
(この任務が終わったら休ませよ)
……何となくだが、彼がこうなる原因はわかる。
十中八九、グレンだろう。
ジャティスは自分自身を、唯一絶対の正義だと定義している。そんな彼にとって、グレンはさぞかし気にいらないことだと思う。
(でもなぁ………)
何だか、それだけじゃない気がする。
「………別に何でもないさ」
ジャティスはそう言うと、何故か私の顔を見てため息を吐いた。
喧嘩売ってんのか、こいつ。
次回はジャティス視点で書くつもりです。
良かったら感想下さい。