ロクでなしの紅炎公(憑依)   作:紅ヶ霞 夢涯

9 / 50
 
 受験も終えて合格したので、肩の荷が降りました紅=李江です。いや~ホント進路が決まって一安心してるのです。
 
 それから時々日間ランキングに載るので、自分のことながらとても驚きでした。沢山の方に読んで頂いて、とても嬉しいです。ありがとうございます。

 無駄に長い前書きで申し訳ない。

 では、どうぞ。



第9話 吸血鬼編2

 

『イヴ』

 

 アルベルトはただ私の名前を呟く。

 

 そこには向ける場所のない苛立ちと、心配するような響きがある気がした。

 

「何でもないわ。それよりグレンのことよね」

 

 グレンを休ませるのは確定として、他二人をどうするか少し悩む。

 

 ………………よし。

 

「いいわ。貴方の言うように、グレンは少し休ませましょう。あまり無理させて潰れても困るし」

 

『…そうか。悪いな、イヴ』

 

 そのまま通信を終えようとする彼に、「ただし」と続ける。

 

「グレンだけ贔屓するわけにいかないから、貴方たち全員に同じだけ休みをあげる。それでどう?」

 

『いやセラはともかく俺は』

 

「ダメ。それが条件よ」

 

 焦っているように感じられるアルベルトに言い放つ。これくらいしないと、彼はなかなか休んでくれないのだ。

 

『……………………………………………………分かった』

 

 かなり長い沈黙の後、アルベルトはそう言って通信を切った。

 

 悩んだのだろうか?このブラックな職場(特務分室)での貴重な休みくらい、大喜びで受け取ってくれてもいいのに。

 

 さて。

 

「少し働いてもらうわよ、ジャティス」

 

「………なるほど。こうなるのか」

 

 さっきまで空気だった彼にそう言うと、どこか納得した風な反応を見せて立ち上がる。

 

 ジャティスはコートを翻して扉に近づく。杖を持っていない方の手を、まるでエスコートでもするかのように此方に伸ばした。

 

「それじゃあ、行こうかイヴ」

 

 私は柔らかい笑みを浮かべて言った。

 

「今日は無理だから明日からね」

 

「色々台無しだよ」

 

 うるさい。こっちは書類が阿呆なくらい溜まってるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 みたいなことがあったのだ。

 

 ちなみに私たちの昼食はサンドイッチ。王都にある店だけあってとでも言うべきか、普通に美味しい。

 

「使い魔だって飛ばしてるし、遠見の魔術も使ってる。でも全く見つからないわね。そっちはどう?」

 

「こっちも芳しくないよ。………強いて言うなら、セラとグレンが一緒に居ることくらいか」

 

「え?何それスッゴい気になるんだけど」

 

 恐らく偵察用の人工精霊(タルバ)を飛ばしているだろうジャティスの言葉にそう言った。

 

 デートかな?後でセラに根掘り葉掘りと聞いてやろう。

 

(いや、それよりも)

 

 私たちがここまでやって見つけられないとか、『カーミラ』の潜伏スキルはかなり高いらしい。

 

「ところでジャティス。少し聞きたいんだけど」

 

「ん?何だい?」

 

「貴方ひょっとして体調………それとも機嫌でも悪いの?」

 

 サンドイッチ片手に尋ねると、彼はお茶を飲んでから口を開いた。

 

「どうしてそう思うんだい?」

 

「いやどうしてって、それ本気で言ってる?だって任務に集中できてないじゃない」

 

 これまで人工吸血鬼『カーミラ』と遭わなかったわけじゃなく、何度か捕捉することはできているのだ。

 

 しかしその全てにおいて彼女に逃げられてしまっている。

 

 ………別に誰のせいとも言わないが。偶にはそういう時もあるだろう。

 

 それに部下が不調ならそのことをどうにかするのが私の役目だ。

 

 この任務を気分転換代わりにしてくれたら良かったのだが、どうもそう上手くはいかないらしい。

 

(この任務が終わったら休ませよ)

 

 ……何となくだが、彼がこうなる原因はわかる。

 

 十中八九、グレンだろう。

 

 ジャティスは自分自身を、唯一絶対の正義だと定義している。そんな彼にとって、グレンはさぞかし気にいらないことだと思う。

 

(でもなぁ………)

 

 何だか、それだけじゃない気がする。

 

「………別に何でもないさ」

 

 ジャティスはそう言うと、何故か私の顔を見てため息を吐いた。

 

 喧嘩売ってんのか、こいつ。

 





 次回はジャティス視点で書くつもりです。

 良かったら感想下さい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。