妄想フロントライン   作:杭打折

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結婚式を書いていたらいつの間にか子供が出来ていた。
な……何を言っているのかわからねーと思うが……


HK417-ar
「貴方の筆が遅いだけです」


ヘヘッコラボ回ダゼ……

因みに我が家のHK417はこんな感じのドレス姿でしたとさ。
イメージの手助けになれば幸いにござる。

【挿絵表示】



EX2.D08の結婚式(後)

 式が始まった。

 先程受け付けをしていた戦術人形――イサカと呼ばれていた――が、司会運行を行っている。先程目の前でいちゃついていた時の幸せそうな笑顔とはまた違って、今は穏やかな微笑みをたたえている。

 先程言葉を交わしたスオミや、他のすれ違ったD08の戦術人形たち、皆が同じように微笑んでいる。受付の際に見かけた緑髪の戦術人形も、狙撃任務中でありながらも嬉しさを隠せていないように思えた。

 ただ、なぜかは知らないが、私に時折スコープを向けてくるのだけは止めてほしかった。トリガーに指をかけずに居ることからも撃つ気はないのは分かるのだが、銃口を向けられてるのとは違う何か嫌な感覚を覚えた。

 

「心配してた事はなさそうですね……」

 

 まあ、なんにせよ、彼女達の結婚が同じ基地の戦術人形にも受け入れられてるというのにはホッとした。衣装合わせの際に聞いた話では、中には戦術人形との誓約が原因で、式当日に大規模な実弾演習をした基地もあるらしい。この雰囲気なら、その心配もないだろう。

 しかし気になるのは、廃棄都市から脱出したあの作戦に支援部隊で参加してくれたメンバーに挨拶をしに行こうと、FAL、Mk23、G36Cの居場所を聞いたときのスオミの反応だ。

 

『今は忙しいみたいですけど、すぐ会えますよ』

 

 何処か遠い目をしていたスオミの表情が印象的だった。まあ結婚式当日だし、彼女らも式で何らかの役割があるのかもしれない。

 そう考えていると、新郎の入場が始まった。白のタキシードできっちりと決めた姿、髪型や肌もしっかり整えられてだらしない雰囲気はない。俗に、あれが決めた姿というやつなのだろう。

 事前に調べた時は様々な悪評を耳にしたわけだが、言われていたほど悪い印象は受けなかった。

 

『それでは、新婦達も準備ができたようです。皆様、拍手で迎えてあげてください』

 

 そして次は新婦達の出番だ―――待て、新婦"達"って?

 荘厳な音楽が流れ、私は振り向き、ヴァージンロードを辿って式場の入り口へと目を向ける。仮設ではあるのだろうが、しっかりとした佇まいを感じさせる扉がゆっくりと開いた先には、各々に合わせてデザインされた白のドレスを身に着ける花嫁"達"。 

 

 ひい(HK417)ふう(HK416)みい(FAL)よお(G36C)いつ(Mk23)むう(春田)なあ(WA2000)やあ(Uzi)ここの(ハイエンド)―――総勢九名の花嫁博覧会である。スオミがなぜあんなことを言ったのか私は理解した。D08の指揮官は両手の指全部に指輪を嵌めるつもりなのか。

 そして、それだけならばまだ落ち着いていられる。しかし最後の一人がそうはさせないと豊満な胸部装甲とともに存在感を主張する。データと外見はだいぶ異なっているが、どう見てもデストロイヤーだ。9人同時の重婚で、うち一人は鉄血製のハイエンド。前代未聞にも程がある――はずなのだが、意外なことに周りはあまり驚いていない。

 

 夫婦連れのような指揮官と戦術人形や、頭にベルトリンク巻いたりしてたり、ピエロ仮面を半分かぶった仮装パーティーのような戦術人形御一行。そして、その他含め、あまり驚いてるようには思えない。

 つまり驚いてる私がマイノリティというわけで、現実とは小説よりも奇なりと言った過去の人物は、きっとこんな気持ちだったのだらう。

 

――気を取り直して(まあいいや)

 

 通り過ぎていく花嫁たちの姿を拍手で迎え、送り出す中で私は彼女らを見つめる。HK417のドレスは谷間を見せつつも、どうしてか清らかさを感じさせる仕立てになっている。花飾りやレースに彩られ、華やかさも演出し――と、自分のドレスを他の人形に選んでもらった自分が褒めても仕方がないし、むず痒い。

 言うまでもなく、他の皆もドレス姿はとても良く似合っている。なにはともあれ、その笑顔に祝福のあらんことを。

 

 

 

 

 新郎と新婦たちが誓いの言葉を交わし合って、キスをする。指輪はどうやらHK417が代表するらしく、新郎であるタカマチ指揮官から受け取っていた。その時の彼女は、私が知る中で一番の幸せそうな笑顔だったと思う。

 ちなみにブーケトスの結果だが、私には来なかった。私の近くに居たベルトリンクを巻いた人形と、夫婦連れだと先程見かけたときには思った人形が受け取っていた――後者のSMG、貴女は誓約をしていなかったのか。なんというか、もうくっついてしまえよと言いたくなるような雰囲気だったのだが。

 その後は食事会である。各テーブルごとに参加者と歓談をしながら食事を進める。私の所属を聞かれたが、答えると一部の反応が少々変なものになっていた――まあ、私が気にすることではない。きっと政治的ななにかがあるのだろうが、今それを気にするのは無粋というものだろう。

 私は出される料理に舌鼓を打つことに専念する。料理はどれも美味しく、普段前線で口にしているものとは全く異なるものだった。食事は最低限以外は不要であると考えていたのだが、こういう料理ならば定期的に食べたくなる。なお、切り分けられて配られたケーキは私には少し甘さが強かったが、それでも美味しいものだった。

 

「楽しんでる?」

 

 声をかけられる直前、二人分の足音を拾い上げていた私は口元を拭きながらそちらを見る。色直しを終え、挨拶回りをしている新郎新婦の二人がそこには居た。

 

「おめでとうございます、HK417にタカマチ指揮官殿。とても素敵な式ですね、此処に参加出来ることを光栄に思います」

「相変わらず堅すぎじゃない?」

 

 主催である彼女らに礼を尽くして挨拶をする。招待を貰ったときは少々困惑したのは事実だが、今となってはそれも良かったと本心から伝える事ができた。

 

「それにしても、貴女が結婚をするとは……」

 

 初めて顔を合わせた廃棄都市での作戦の頃と比べ、だいぶ雰囲気が変わったように思う。何が変わったかまではっきりと言葉には出来ないが、何かが違う。そんな感覚だ。

 

「んふふ、素敵なダーリンに巡り会えたからね♪」

「花嫁が9人も居るのには流石に驚かされましたが」

「私のダーリンは懐が広いからね」

 

 喜色満面の笑顔を見せながら、隣に立つ新郎の腕にぎゅっと抱きつく花嫁。胸を押しつけて変形するほどに――いや、谷間に挟み込むくらい強く押し付けてる。新郎はどんな顔をしてるのかと見てみれば、真面目そうな顔を作ろうとしていた。しかし口元は若干緩み始めているし、目元も愉しげだ。口では諌めるようなことを言いながら身を捩っているが、私は理解した。あれは、自分から挟まれに行っている――!

 ふと視界に入ったテーブル席の方では、先程までケーキを食べていた参加者達が胸元を抑えている。私も気持ちはわかる。今すぐ口の中にコーヒーを流し込みたい気分だ。それもかなりきついやつを。

 

「……見せつけは良いです」

 

 若干の呆れが混じった溜息を吐き出す。

 本当に、幸せそうで何よりだ。

 

 

 

 折角なので、面識のある花嫁たちにも挨拶に行こうかと、パーティーの中で向かったのだが――

 

「おめでとうございます、ヴィオラさん」

「ありがとう。ヴィオラで良いぞ、えっと……」

 

 私は何故か、デストロイヤー・ヴィオラと向かい合っていた。最初はFALやMk23辺りと軽く近況報告を兼ねた話を、G36Cからは最近G36の何が可愛かったかを話されていたのだが、その流れでいつの間にか、である。FAL辺りが若干意地悪な笑みを浮かべていたのを見る辺り、彼女の謀略であろう。

 

「HK417です、そちらの彼女とは別の」

「417が二人?よくわからないぞ、うん……だけど覚えたぞ、よろしく」

「はい、こちらこそ」

 

 むず痒いような、何処かすわりの悪そうな表情でヴィオラと軽く自己紹介を交わす。

 まあ、当然の反応なのだろう。私とて同じ名前の戦術人形が二人も同じ場に居たら困惑する。彼女についてグリフィンのデータベースに潜ってみたところ、彼女が今此処に居る経緯に関しては情報規制がされるレベルで重いものであることがわかった。

 部外者である私にはただ、不運だったなとしか言いようがない案件だが、彼女がこうしてこの場にいられることは祝福したい。そしてその幸福が長く続くことも。

 そう考えていると、ヴィオラは私の手を握りながら好奇心に輝く目を向けていた。その姿に、大型犬のような耳と尻尾を幻視する。

 

「ところで、417は417と何処で知り合ったんだ?もしよければ、教えてくれないか?」

「いいですよ。ではそうですね、まずは――――」

 

 どんなにつらい過去があったとしても、幸せな現在があれば、未来の幸福を信じることが出来るのだろう。

 そこに人形も人間も違いはないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<おまけ>>

 

 私は後悔していた。それは先程、ヴィオラに対してある一言を聞いてしまったことをだ。

 

――新郎の何処が一番好きですか?

 

 軽い気持ちであんなことを聞くべきではなかった。その言葉を聞いた途端彼女は目の色を変え、先程HK417とタカマチ指揮官が生成していた蜂蜜ゾーンを形成して、彼が如何に素晴らしい人間であるかを語り始めたのだ。私にそれを止める術はなく、かつて廃棄都市でスオミからメタル談義をかまされた時と同じように、ただ相づちを打つしかなかった。

 途中で気付いたFALがヴィオラに何かを嗅がせて沈静化させたことで、難を逃れたが、果たしてあの布切れは一体何だったのだろうか。私の電脳は、それは知らないほうが良いと告げている。

 立食会のようにみんな好きなようにパーティーの空気を楽しんでいる中、私は少し休憩がてら壁際によりかかっていた。そして、気づくと先程のベルトリンク頭がグラスを片手に其処に居た。

 

「足りてねえよ、あんた」

「は?」

「シケた面しやがって。あんたもHK417なんだろう?だったらあたしの話を聞いてもらうぜ。まず第一にマシンガンがどういうものかということについてだマシンガンって言われたら何を思い浮かべる?ああ言わなくても良いわかってるそう瞬間火力だ。っていうか瞬間火力って概念を考えたやつは天才だとあたしは思うぜなにせ弾を100発でも1000発でも吐き出すってのは時間をかけりゃあライフルでもリベレーターでも紅茶足りてない時の英国(L85A1)にだって出来ることだからなだが瞬間火力を出せる銃器ってなるとそいつは誰にでも出来るもんじゃない―あ?レートならばサブマシンガンのほうが早いのがあるって?―馬鹿かお前はよく見てから物を言え頭22LRかよ瞬間火力ってのは秒間にいくら弾を出せるかってだけじゃねえどれだけデカくて重い弾を敵のいる場所にブチ込めるかってのが重要なんだよつまり何が言いたいかっていうとそれが出来るのはマシンガンだけでありマシンガンってのは銃火器のベスト・オブ・ベストでありマシンガンこそ最高位の銃器を示す称号ってことだマシンガンは世界を救う。わからねえ?しょうがねえなだったらもっとわかりやすく説明してやるぜシュライク5.56って知ってるか?知ってるって顔してるな知っての通りベストセラーアサルトライフルなんて世の中では呼ばれてるAR15カービンをLMG化するっていう神パーツだんでもってRPKだがこいつはAKMをLMGにするっていうトールにゼウスをかけ合わせてタケミカヅチでコーティングしたような超正当な進化を果たした形態だなんでどいつもこいつも西も東もアサルトライフルをLMGにするかわかるか簡単な話だ全ての銃はマシンガンに通ずるつまりマシンガンこそ至高であり原初の存在であり原点にして頂点ってことになるジ・モスト・オブ・ベストガン・イズ・マシンガン OK?OK! それにお前らHK416シリーズにもIARとかいうLMGになった素敵な姉妹が居るだろつまり全ての存在の本能レベルでマシンガンを求めるってことできっと人間もマシンガンが作――」

「M27IARは弾幕を張る目的の銃器ではありませんが」

「オーケィ……ぶちかましてやるよ!」

「やめろバカ!」

 

 金色の流星が包帯頭をぶっ飛ばし、そのまま引きずって立ち去っていく。

 なんだったんだ今のは。




遅くなってごめんねカカオさん。

あと、現時点で出してもらったと認知している限りの方を出し返しますた。出されたら出し返す、当然のことだ。
ただどの程度やってよいのかわからなかった部分もあるので、そこは許してくだしあ。


~コラボ作品一覧~
元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん(作:カカオの錬金術師)
G&K補給基地の日常(作:ソルジャーODST)
ドールズディフェンスライン(作:Rione)

では次の更新は本編となります。
今週末から来週を目処にあげたいところ……


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