厨房に落ちていた紙には、こう書かれていた。
【マスターへ どうやらこの騒動の犯人はマーリンだったみたいです。金の部品の破損に気付いた彼が、マスターがあたふたする姿を見るために行ったそうです。新しい金の部品と地図は取り戻しましたので、あとは私が責任を持って修理してきます。ですから】
なるほど、マーリンが犯人だったのか。どうやって突き止めたか気になるが…触れぬが仏だろう。
そんなことよりも、この最後の文が途切れているのが何とも気になる。
大概の本だとこの後にかなり重要なことが書かれているパターンが多い。
そして、その事実を知った時には既に手遅れであるパターンも多い。
こういう時にマシュがいてくれたら、なんかいい感じの打開案を出してくれるのだが…まぁ、いないものは仕方ない。頼りになるか分からないが、ホログラムから一緒に紙を見ているロマンに尋ねてみる。
「ロマン、”ですから”の続きなんだと思う?」
「……”この部屋から出ないで”…とか?」
「うーん。何か違う気がする」
「じゃあ、”この部屋から早く出てマスターの部屋で待機しといて”…とか?」
「うーん、それも何か違う気がする」
ロマンは小さくため息をついた。
「じゃあ…”------”とか?」
「えっ?」
「だから…”------”とか?」
あれ。どうしてだろうか、重要な部分にだけ酷くノイズがかかって聞こえない。
機械の不調だろうか。
「ねぇ、ロマン。さっき言ったことをそこら辺の紙に文字で書いてくれない?」
「あ、あぁ…?良く分らないけど、やってみるよ」
ドタバタと音を立てて画面から離れ、数十秒後に画面に戻ってきて、その言葉を書いた紙を見せてくれた。
予想通りと言えば予想通りだが、その言葉の部分は視力が悪い人が見る世界のように、かなり歪んでいて読めなかった。
なるほど、これでようやく真相の概要が見えてきた。
「ありがとう、ロマン。ということで…ジャック、霧出せる?」
「…?良く分らないけど、任せておかあさん!」
ジャックは自信満々で懐から短剣を取り出した。
「出すよ、おかあさん!」
その宣言の後、ジャックの周囲が白い霧が漂い始めた。
ナーサリーはいつのまにかフォウと共に部屋の外に出ていた。
「……それでおかあさん、誰を解体するの?」
「ううん、違うよ。この霧は酸だから…しばらく待てば分かるよ」
「待つの?うーん…それじゃあ、おかあさん。待っている間、退屈だからちょっとお話して!」
「うーん…どんな話でもいい?」
「うん!いいよ!」
特別面白い話でもないが、少し前にアタランテから聞いたとある神様の話をすることにした。
進展遅いけど、色々事情があるので許して…