ジャックとマスターの話   作:海沈生物

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フォウ・フォウ・フォウ(6)

かなり話が長かったので要約するが、どうやらマーリンが言う”まずいこと”とはフォウのことらしい。

詳しくは話してくれなかったが、フォウが厄介なことになっているので、少し貸してほしいそうなのだ。

 

霧が晴れたのでナーサリーと共に食堂に戻ってきたフォウは、マーリンに触れられることを威嚇して断固反対の姿勢を貫いていたが、マーリンがコソコソと彼の耳に何かを吹き込むと、人の言葉の意味を理解したのか、仕方なさそうな顔をしてマーリンに持ち上げられることを許した。

 

「それじゃあ、まぁ。一分後には幻術を解くと共に返しに来るから、待っていてくれ」

 

そう言うと、ササっと理想郷へと姿を消した。隣を見ると、ジャックとが厨房の棚の中にあったお菓子をハムハムと食べていた。食べているのは…クッキーか。いいな、美味しそう。

ぼんやり眺めていると、ジャックがこっちを向いた。

 

「はむ…おかあさんもクッキー食べる?」

 

そう言って、チョコ味らしいクッキーを差し出してきた。

 

「ありがとう、ジャック、もらうね」

 

手を伸ばして、クッキーを受け取る。

ジャックの温かい手が私の手に触れて、幾つもの急展開で疲弊していた私の心を安らがせた。

 

…そういえば安らぎついでに、”フォウが叫ぶとドアが開く理由”など、結局未解決の謎がたくさん残っていることに気付いた。

もう疲れたし正直なことを言えば、どうでもいいので寝てしまいたいが、それが原因でまた誰かに襲われる羽目になるのは避けたい。とりあえず、あとでアルトリアに色々聞いてみよう。

サクッと一口クッキーを食べると、ほんのりビターなチョコの味がした。

 

 

数分後、やっとマーリンが戻ってきた。

 

「いやーすまないね、立香ちゃん。処置は終わったし、もう大丈夫だ」

 

「良く分らないですが、ありがとうございます」

 

「……ところで、あの可憐で小柄な少女はどこに?」

 

可憐で小柄…ジャックはすぐ横で私の手をギュッと抱きしめているし…ナーサリーのことだろうか。

そう言えば、フォウを連れて入ってきた時っきりその姿を見ていないが。

 

「……あっ」

 

その時、マーリンが驚いたような声を出した。ナーサリーの行方に心当たりでもあるのだろうか。

 

「千里眼で未来を見ていたのを忘れていたよ、すまないね、立香ちゃん」

 

「……それならば、彼女は今どこに?」

 

「えっと確か…立香ちゃんの背後だよ」

 

恐る恐る振り向くと背後には目を赤く光らせ、私を殺そうとしている”ナーサリーライム”の姿があった。




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