「危ない!おかあさん!」
ジャックが咄嗟に懐からナイフを取り出して、”ナーサリーライム”の攻撃を防いでくれた。
「あ、ありがとうジャック」
とりあえず、”ナーサリーライム”から距離を取り、彼女をよく観察してみる。
赤く目を光らせた”ナーサリーライム”は、どこかいつもの彼女とは異なる雰囲気を帯びていた。
まるで、全く別のサーヴァントにでもなったかのような、そんな雰囲気を。
でも、反転…オルタ化した、と言った感じではなかった。
ふとマーリンの姿を見ると、ぼんやり椅子に座って私たちを見ていた。
千里眼で何かしらの未来でも見た故の行動なのだろうか。考えても分からないし、今は放っておこう。
それよりも眼前の”ナーサリーライム”だ。
「……ねぇ、おかあさん」
ナーサリーと睨みあっているジャックが、ふと声をかけてきた。
「どうしたの、ジャック?」
「…なんかね、あれから私たちと同じ感じがするの」
「同じ感じ…?」
「うん、良く分らないんだけどね」
同じ感じ…つまり”生まれられなかった子供たちの怨霊”が”ナーサリーライム”の中に混じっているのだろうか。
そんなこと、有り得るのだろうか。というか、根本的になぜ怨霊が憑いているのだろうか。
「マーリン、どういう…」
「…立香ちゃん。薄々君も感じているだろう?”いくらなんでも、有り得ない展開が多すぎる”という事実に」
確かに、朝なのに誰もご飯を食べに来ていない食堂、既に処分されてとっくにないはずであろう脅迫状、そしてこんな緊急事態なのになぜかロマンが緊急時用のアラームを鳴らさなかったことなど、沢山有り得ないことはあった。しかし、それがなんだと言うのだろうか。
「つまり…どういうこと?」
「……これは君の夢だ。いや、正式に言えば”君の記憶や思いから作られた夢”だ」
「えっと…普通の夢ではないの?」
「あぁ、君自身の成長の為に私が用意した夢だ」
成長の為の夢、と言われてもいまいちピンと来ない。どこに私を成長させる要素があったのだろうか。
マーリンの目を見つめると、はぁとため息をつきながら私の方に近づいてきた。
そして一言、こう言った。
「例え彼ら英霊が座に帰ってしまったとしても、その”記憶”は君の中に残るんだ」
そう言うと、私の頭をクシャクシャ撫でた。
「今までの君たちの旅だって、実質”なかったこと”だ。歴史が修正されれば、全て消えてしまう。でもね、”記憶”は君の中に残るんだ。…既にカルデアの二人の碩才のどちらかが言ったかもしれないがね」
「でも、そんなの…残された側はずっと寂しいだけで…」
「ずっと…ではないさ。人は移ろいやすいからね、いつかそんな胸焦がれる思いも色あせていくさ。だからね、立香ちゃん…君は…………」
マーリンが何か言おうとしたその瞬間、忽然と目の前が真っ白になった。
エレシュキガル爆死しました。
心が萎れました。
課金したいけど、そんなにお金ないので諦め。
病みそう。