「……ぱい!…先輩!」
マシュが私を呼んでいる声がする。いつもより軽く感じる身体を起こし、目を開く。
「よかった…先輩、一週間も眠り続けていたんですよ!」
私的には半日も経っていない気分で夢の中にいたが、そんなに経っていたのか。
マーリンが夢がどうとか言っていたし、その影響だろうか。
「そうなんだ…って、それじゃあ第七特異点行く準備もう出来ているんじゃ」
「はい、もちろんです……ってストップです、先輩!まだ立ち上がろうとしないでください!ダヴィンチちゃん達にも先輩が目を覚ましたことを伝えにいかないといけませんし、なにより一週間も眠り続けていましたので、先輩の身体に何か異常が発生していないか検査が必要です!せめて今日一日はベッドで安静にしていてください!」
マシュは急いでドアを抜けて、管制室の方へと走っていった。
「……」
部屋の中には私一人になった。なんだかんだ一人になったのは、数か月ぶりだ。
色んなサーヴァントのみんなに囲まれていたせいで、一人がこんなに静かなことを忘れていた。
もしサーヴァントのみんなが役目を終えて退去したら、きっとこんな寂しい気持ちが長い間続くのだろう。
マーリンは時間が経てばこの気持ちもいずれ薄れていくと言っていたが、薄れていくということはつまり彼らのことを忘却していくということに変わりない。
なんだかそれは正しいのだけれど、一方でもの悲しさを感じてしまう。
…離れて寂しく思うのは嫌、でも彼らを忘れて寂しさが消える代わりにもの悲しく思うのも嫌。
改めて自分の主張をまとめてみると、自分の主張がどれほど我が儘なものだということが強く認識された。
別段私はそれを嘲笑するわけもないし、悲観することもない。
ただ、私は事実と向き合うだけだ。ただ、それらを否定しながらも向き合うだけだ。
…ドアが開く。マシュが息を切らして帰ってきた。
「マシュ・キリエライト、ただいま戻りました!」
「お帰り、マシュ」
マシュは頬を少しだけ薄赤色に染め、ベッドの上に浅くお尻を置いた。
「…先輩が倒れている間、色んなサーヴァントの皆さんから先輩のことを聞きました。特にジャックさんは先輩のことをよく知っているらしく、私の知らない先輩の話を教えてくれました」
「…うん」
「…私、少し…ほんの少しだけ、ジャックさんに嫉妬しちゃいました。同時に、私が先輩に一番近いサーヴァントのはずなのに、全く先輩のことを知れていなくて、自分に失望しちゃいました」
「…うん」
「だから…先輩!私、決めました。私、マシュ・キリエライトはこれから先輩がソロモンを倒すまで、ずっと先輩の傍にいます!流石に寝るときまではアレですが、おはようからおやすみまでは付き添うようにします!」
「…えっ」
つまるところそれは、これからストーカーしますと言っていると同義ではないのだろうか。
別段困りはしないが、なんだろうか、少し問題が起きる予感がする。
まぁなんにせよ、今日一日ぐらいはマシュと一緒にいることにしよう。
ということで”フォウ・フォウ・フォウ”の話は終わりです。
次回閑話、薄々気付いている人もいるかもしれませんが、閑話の次のお話でこの作品は終了します。
次回作はオリジナルの作品と考えています。
この作品を書いて学んだ”大まかでもいいからプロットを書いてから話を書こう”をしっかり実践して、執筆していこうと思います。
来年の三月までには執筆完了を目途にしていますので、もし覚えていたならば、暇つぶしがてらに読んでくれたら幸いです。