ジャックとマスターの話   作:海沈生物

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全てが終わった後にて(1)

私たちには”かるであ”に来る前、どこか遠い場所で”さーばんと”として召喚された記憶がある。

ほとんど記憶には残っていないのだけれど、その時の”ますたー”がとても温かったことだけは覚えている。

そして、”ますたー”が最終的に××されてしまったことも。その時、”ますたー”が私たちに沢山祈ってくれたことも。

 

 

「ん…」

 

終局特異点での戦いが終わり、マシュと一緒に久方ぶりの青い空を見た次の日の朝。

心に何かモヤモヤしたものが詰まっている感じがして、私の気分はあまり優れなかった。

原因は分かっている。確かにマシュはどんな理由か分からないが、助かった。

しかし、”彼”は結局行方知れず…つまり、助からなかった。

 

それは人理を救うためには必要な犠牲であった。

それは彼自身がこの世界から消えてしまうという選択だった。

それは彼自身が考え抜いた答えであった。

 

であるならば、私はそれを受け入れるべきなのだ。

なのに、あの笑顔を思い出すと、胸がキュッと苦しくなるのだ。

いくつもの彼の表情やその姿が幾度も、頭に過る。

 

…苦しい。でも、”大切な誰かを失うことに対する恐怖”についての解決策は、終局特異点に行く前にマーリンの助言を頼りにして、既に自分なりに導き出した。だから”私”はこの悲しみや苦しみを背負って前に進むことができる。

でも、マシュはどうなんだろうか。私以上に長い時間を彼と過ごしていた分、その悲しみや苦しみは計り知れないであろう。それこそ、胸がはち切れそうなほどに。

相談に乗ってあげたいが、彼女はそんな暗い感情は表に露出させないであろう。

うーん、まぁ…彼女はじっくり考えて答えを出すタイプだけども、何か私にできることはないだろうか。

 

「おかあさん、入っていい?」

 

ちょうどそう考え始めた時、ドアの向こうからジャックが私を呼ぶ声がした。

絵本でも読んでほしいのだろうか。「いいよ」と声を返した。

プシュゥと音が鳴って自動ドアが開いた。

すると白いドレス姿のジャックが駆け寄ってきた。

 

「見て見て、おかあさん!似合ってる?」

 

目をキラキラと輝かせながら言う姿は、今の私とは対照的でとても眩しかった。

それにしても、ジャックは何を着ても可愛いなぁ。

 

「うん、とっても似合ってるよ」

 

心を込めて本音を言うと、えへへと照れた表情をした。

抱きしめたいな。流石にせっかくのドレスがクシャクシャになってしまうからしないけど。

 

「えっとね、それでね…はい、これ!」

 

ジャックはそう言うと、一枚の紙を渡してきた。

紙には「人理修復祝賀パーティーのお誘い」と書かれていた。




ということで最終のお話が始まりました。
今週中には終わるかな、多分。
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