「エミヤ、おはよう」
「……」
朝ご飯を注文するためにエミヤを尋ねたが、何かを考え込んでいるらしく、挨拶を普通にスルーされた。カルデアの食糧事情の改善法でも考えているのだろうか。
「おーい!エミヤー!」
さっきより少し声を張って言うと、ピクッと身体を震わせて、こちらの存在に気づいてくれた。
「…あぁすまない、マスター。少しぼんやりしていた。それで、用件は…朝ごはんか?」
「うん、和食セットの材料ってまだある?」
エミヤは目を伏せて、ぴったし90°頭を下げてきた。
「すまない、マスター。実は和食セットの一部材料を切らしているんだ。昼からのアフタヌーンティー用にお菓子を大量生産していたら、つい……だから、今日のところは洋食セットにしておいてくれないだろうか」
材料がないなら仕方ない。駄々こねるのもエミヤが可哀想だし。
「分かった、洋食セットをお願いするね」
「ありがとう、マスター」
エミヤは早速、料理に取り掛かり始めた。
作業しているのを眺めるのもアレなので、隅の方で苺ジュースを飲んでいるロマンに挨拶をしにいくことにした。
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ふっさふさの髪をしたロマンはいつも通り、何かを憂いているような顔をしていた。
しかも、特異点を修正していく度にどんどん憂いが増して行っているような気がする。
私たちの前では憂いを誤魔化しているが、たまに休憩の為に一人でいるのを見かけると、いつもの二倍は憂いているように見えた。
まぁ、私にはいつも通りロマンと関わってあげることぐらいしか、してあげられることはないのだが。
「おはよう、ロマン」
ちょうど苺ジュースを飲もうとしていたロマンはその手を止め、こちらのほうを向いた。
「あぁ…おはよう、立香ちゃん…」
「…大丈夫?すごく眠そうだけど」
「あぁ…第四特異点攻略後から働き詰めでね…ダヴィンチちゃんにも”さすがに寝たほうがいい”ときつくお叱りを受けてしまったよ」
ヘラヘラ笑いながら言っているが、本当に大丈夫なのだろうか。
「サーヴァントじゃないんだし、ちゃんと休まないと駄目だよ?」
「あぁ…これを飲んで一仕事終えたら、二時間だけ寝かせてもらうよ」
二時間…二時間って。本人が大丈夫って言うならば、あまり口出しはしないけども。
もう少し話したかったが、厨房からエミヤが洋食セットが出来たと呼んできた。
「…ご飯出来たみたいだよ。ほらほら、取りに行ってきな」
「うん、それじゃあねロマン」
軽く会釈して、厨房へとご飯を取りに向かった。
ジャック成分一切ない回ですまない…