さて、ここまでは普通だった。
安穏で代わり映えの日常であった。
でも、部屋に帰った時に事は起こった。
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プシュと音が鳴り私の部屋のドアが開くと、何故か部屋の電気が消えていた。
故障しているのかなと思いつつ、アルトリアがいないか見渡していると、ベッドの下からガタンと音が聞こえてきた。
この下にいるのかなと思って覗いてみると、ベッドの下には見覚えのない赤いノートが落ちていた。
アルトリアが落としていったのだろうか。はたまた、他の誰かが落としていったのだろうか。
どちらにせよ、拾っておいた方がいいのは確実だ。ベッドの下に手を伸ばし、ノートを取ろうとした。
…その瞬間だった。
「…………よ」
背後から聞き覚えのある誰かの声が聞こえてきたと思ったら、首元にチクリと針のようなものが刺された。
途端に身体に力が入らなくなって、頭から勢いよく床に倒れこんでしまった。
「…っ!」
頭を強く打ち付ける。なんだか意識も朦朧としてきた。
首だけはなんとか動いたので必死に犯人の姿を視認しようとしたが、部屋のどこにもその姿はなかった。
ただ、徐々に意識が薄れていく中で、どこからか楽しげな声が聞こえてきたような気がした。
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「ん……」
目を覚ますと、そこはお茶会の会場だった。
既にお茶会は始まっており、ナーサリーを中心とした子供組、アタランテを中心とした子供を見守るお母さん組、そしてなぜか酒を飲んでいる大人組に別れて各々が楽しんでいた。
私はどうやら、その三つのグループの内の子供組の中にいた。
目を覚ました姿を見ると早々にナーサリーとジャックが駆け寄ってきた。
「あら、マスター。目を覚ましたのね」
「えっと…私、ずっとここで寝てたの?」
「うん!おかあさん、眠そうな目でその椅子に座ってからずっと眠っていたよ!」
眠そうな目…うーむ。事の顛末が見えてこない。
というか、情報量が多すぎて処理が間に合ってない。
…まぁ、いいか。とりあえず今はお茶会を楽しもう。考えるのは後だ。
テーブルに置かれた一口サイズの卵とハムのサンドイッチを小皿に取り、一口ではむっと食べる。うん、ふわふわな半熟卵とハムがよくマッチしていて美味しい。
しかし…否が応でもあの部屋で襲われたことが気になってしまう。
それに気付いたのか、ジャックが心配そうに訊ねてきた。
「おかあさん、大丈夫?」
私の左手をギュッと握りながら上目遣いで言ってきたので、可愛い過ぎて心がしんどくなった。
「大丈夫だよ、ジャック。心配してくれてありがとう」
空いた右手でクシャクシャと髪を撫でてあげると、えへへ、えへへと可愛い声を漏らした。
しばらく撫でた後に解放してやると、ナーサリーと一緒に茨木童子近くのマカロンがあるお皿へと一目散に向かって行った。
その姿を優しく見つめながら、私は頭の中で状況整理を始めることにした。
今回急ぎで書いたせいで雑だ…