続くかは未定
夜の公園。妙な格好をしている男と女は、そこでにらみあっていた。
「やはり、逃げるというのに無理があったか…」
「そのようね…」
二人の間で空気がピリつく。とてもロマンチックなロケーションなのに、この二人からは欠片もそんな気配が伝わってこない。
だが、ロマンチックではないとは言い難い。この二人ほど運命という言葉が似合う二人はいないのだから。もしくは、ある意味究極のベストカップルと言っても良いかもしれない。
何故なら彼らは異世界から訪れた
魔王と勇者なのだから。
エンテ・イスラという世界がある。そこでも、地球と同じように人間が平和に暮らしていた。
しかし、その平和は魔王サタン率いる悪魔の襲来によって、あっという間に崩された。
このままだと人間が支配されるのも時間の問題と思われたが、ここで今度は魔王サタンにとって想定外の問題が起こった。
勇者エミリア。彼女は魔王軍によって占領された土地を瞬く間に解放していった。
この状況を魔王サタンも流石に放置できずに、自らが前線に立ち、勇者を倒そうとしたのだが
(くっ!?ここまでの化物だとは!)
魔王が言うなと全力で突っ込みたい。
結果は敗色濃厚。魔王は体勢を立て直すために、唯一残った側近であるアルシエルとこの場から逃げようとする。
「良く聞け、人間ども!俺たちは、ここを支配するために再び戻ってくるぞ!」
その言葉と同時に移動魔術であるゲートを発動させ、そこに入ろうとする…が
「させるか!魔王!」
「何!?」
「魔王様!?」
勇者の攻撃により、先にゲートに入ったアルシエルに続くことができなくなってしまった。
加えて、その隙をついて勇者と、その仲間の一人が自分の所に突撃してくる事実に、流石の魔王も冷や汗をかく。
「私が魔王を抑える!アルバートはアルシエルを追って!」
「了解だ!」
「ち!貴様ら!」
勇者と魔王が剣を交える隙をついて、アルバートはアルシエルが開いたゲートに飛び込んだ。
勇者ほどではないが、アルバートも歴戦の戦士。このままだとアルシエルが危ないことに思い至った魔王は、勇者を振り払い、ゲートに飛び込もうとする。だが、またしても
「させないって言ってるでしょ!」
勇者としても、魔王をアルシエルと合流させるわけにはいかないので、魔王とゲートの中間に入り込んで魔王がゲートに入るのを食い止める。
「くっ!勇者エミリア…貴様、どこまでも…!?」
魔王としては、こんな所で勇者と戦っている場合ではない。
しかし、勇者を倒さねばゲートに入れないが、倒せるのならばさっさと倒している。
この事実に魔王は、あのゲートを使うのを諦めた。多少場所は変わってしまうかもしれないが、自らの力で別のゲートを開き逃げようと思い至ったのだ。
(先程の魔力の感じなら…このくらいのゲートならば、それほど遠い場所にはならんはず。くそ、まさか、こうなるとは…格好つけて、捨て台詞なんか言わなきゃ良かった…)
心底情けない魔王の後悔だが、過ぎた時間は戻せない。
タイミングを見計らってゲートを作った魔王は、今度は前回の反省から何も言わずに文字通り逃げるようにゲートに飛び込んだ。ぶっちゃけ、色々残念な図だ。
飛び込んだ魔王は後ろも振り向かずにゲートを閉じ、後は流させるようにゲートの出口へと向かった。
だから、気付かなかった。
ゲートが閉じられる寸前に、そのゲートに勇者が飛び込んだことを。
「…む?」
移動の衝撃で少しばかり気を失っていた魔王。
魔王として少し情けないが、周囲の景色が変わっていることから移動に成功したことだけは分かった。
とりあえず、ここが何処かを調べてアルシエルと合流しようと周囲を見渡すと
「ここにいたのね!!まお…う?」
「勇者エミリア!?」
一番居て欲しくない敵がいた。何でこいつから逃げるために移動したようなものなのに、こいつがここにいるのだろうか。
泣きたくなってきた。魔王が泣くなと言ってはいけない。
しかし泣く前に戦わなくてはならない。残り少ない魔力を振り絞って戦おうとするが、どうも勇者の様子がおかしい。信じられない者でも見たかのような顔だ。
勇者は震える指で自分の方を指さしてくる。
「あ、あ、あ、貴方その姿…」
「はあ?」
俺の姿がどうしたというのだろうと思い、自らの体に目をやると、魔王は驚きに目を見開いた。
「な…な…な…」
本来の自分の体とは似ても荷つかぬ弱々しそうな体。麻触ってみると弱々しい感触。そう、それは悪魔の体ではなく、自分が今まで戦っていた別の種族
「なんじゃ、こりゃ!?」
人間だったのだ。
他のも色々詰まってるんで、続くかは未定です。