ソードアート・オンライン 〜Dhampir Rosary〜   作:黒月ノ夜

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Key「ノ夜が遂に待ちきれなくなったそうです。ノ夜さんはあっちで東方とSAOを製作しています。東方は月曜あたりまでお待ちください」


デスゲーム
デスゲーム


「これがナーヴギアか」

 

マンションの一室に一人でナーヴギアの箱を開けて中を確認する青年がいた。青年は170前後の身長で少しクセが目立つ髪型だった。青年の名前は天草怜斗。高校1年である。

 

「早速遊んで見るか。ベーターテスターは無理だったけど買えた分いいな」

 

少年はナーヴギアの初期設定を無言でやり始めた。

 

「これで多分大丈夫かな」

 

少年はベッドに横になった。

 

「リンクスタート」

 

 

 

アバター名は天草をいじり空の意味を持つCiel(シエル)にし、他のアバターの設定等が終わり、気がつくとそこは先ほどまでのマンション一室ではなく西洋の街並みが広がっていた。

 

「これが仮想現実。あんまり現実と変わらないな。戦闘してみるか」

 

シエルはそういうと、始まりの街を出てフィールドへと出た。少し歩くとイノシシのようなモンスターがいたため戦闘を行ってみることにした。

 

「剣の感覚がしっかり伝わってくる。たしか、こう…」

 

シエルが構えを取ると剣が青色に輝きモンスターを貫いた。モンスターのHPバーが一気に削れ、無数のポリゴンとなって消滅した。

 

「楽しいな。まだ昼だしまだまだできるし、もっとやりたいな」

 

シエルはフィールドの奥へと進みモンスターと戦い続けた。日が沈見始めたことに気づいた少年はログアウトしようとメニューを開いた。

 

「もう5時半か、まだ Lv3だけど、とりあえず今日はここまでにしてまた明日やろう」

 

シエルがメニューを操作し、ログアウトをしようとする。しかし、普段ならそこにあるはずのログアウトボタンはなかった。

 

「……え?何でログアウトボタンがないんだ?まぁだったらもっと狩ろうかな」

 

しばらくすれば、強制ログアウトもしくはアナウンスが入るだろうと思いシエルは何処か引っかかった様な顔をしながらフィールドを歩こうとすると足元が急に光った。シエルは青白い光に呑まれ光がなくなる頃には始まりの街の広場にいた。

 

「強制テレポートってことは何かしらあるのか?」

 

周りのテレポートの光が全て消えると空が急に赤くなった。赤い部分を見るとパネルに分かれていてその1つ1つに文字が書いてあった。[Warning] 〔System Announcement]と書かれていた。するとそのパネルの隙間からすると中央部分から血液の様な巨大な雫が出現し、地面に落ちることなく一定の高さで止まった。

だんだんと雫の形が歪になり、最終的にはローブを纏った人の姿へと変わった。フードの中を覗いてもそこには何もなくただの空洞になっていた。たが、プレイヤー全員にそのローブは見覚えのあるものだった。何故ならそのローブはGMが着ているもの。つまり、アーガス社がチュートリアルの説明等で使うアバターだった。しかし、普段ならば中は空洞ではなく老人等のアバターであったためプレイヤーの不安を増強させていた。

周りからも「何で顔がないんだ?」「GMなの?」という声が沸き起こっていた。すると、アバターが動き出し両手を広げ話し出した。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

プレイヤーが動揺しているのを気にせず、GMアバターは両手を下ろしながら言葉を続けた。

 

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

普段からあまり感情を顔に出さない少年もその名前を聞いた瞬間は驚きの顔を隠せなかった。

茅場晶彦……それはナーヴギアのそのものの基礎設計者でありこのゲーム、SAOの開発ディレクターなんである。

シエルも少し茅場に興味があったため雑誌を読んだことがあるが裏方に徹することを選びメディアの露出を最低限にしGMの役も当然のように一度もしたことがなかった。

茅場は理解しようとする者をあざ笑うが如く言葉を発した。

 

『プレイヤー諸君は、メインメニューからすでにログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』

 

周りでは嘆くような声も聞こえるが茅場によるアナウンスは続く。

 

『諸君は今後、この城の頂を極めるまでゲームから自発的にログアウトすることはできない』

 

シエルは一瞬、城とは何か分からなかったがすぐにこのアインクラッドであることを察した。だが、その思考も次の言葉で完全に吹き飛ぶことになる。

 

『……また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合ーー』

 

わずかな間により、プレイヤーは息を詰まらせ、重苦しい静寂のなか言葉がゆっくりと発せられた。

 

『ーーナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』

 

シエルは数秒間意味を理解するどころか固まった。生命活動の停止それは死を意味するということと変わらなかった。ナーヴギアを停止させた場合はプレイヤーを殺す。そう宣言したのである。

一瞬、そんなことが可能なのかと思ったが、よくよく考えるとナーヴギアはヘルメットに埋め込まれた無数の信号素子によって微弱な電磁波を発生させ脳細胞そのものに擬似的感覚信号を与える。最先端テクノロジーと言えるが、しかし、原理的にはまったく同じである家電がずっと昔からあることを思い出す。そう、電子レンジである。出力さえあればナーヴギアは脳細胞の水分を摩擦熱によって蒸し焼きにすることは可能なのだ。さらには大容量バッテリーも付いている。

周りの叫び声が聞こえたのか茅場は話を続ける。

 

『より具体的には、10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試みーー以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点でらプレイヤーの家族、友人等が警告を無視してナーヴギアの強制徐装を試みた例が少なからずあり、その結果』

 

一呼吸分の間を入れ続ける。

 

『残念ながら、すでに213名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』

 

何処かで細い悲鳴が1つだけ上がったが、大多数のプレイヤーは信じられない、信じたくないというかのように、放心したり薄い笑みを浮かべている。だが、シエルは違った。シエルだけは少し嬉しそうな顔をしていたのだ。はっきり言って青年は現実世界が嫌いだった。なぜなら親に捨てられ、様々な場所でイジメや邪魔者として扱われてきたためか現実世界よりもこのゲーム内の方が居心地いいともうすでに少なからず思い始めていたのだ。だが、茅場の言っていることが本当ならば200人以上が、すでに死んでいることになる。周りでは「ただのおどしたろ?」「ここから早く出せ」などと言った喚き声が聞こえてくる。しかし、その叫びを薙ぎ払うように茅場は続けた。

 

『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーヴギアが強引に徐装される危険性はすでに低くなっていると言ってよかろう。今後、諸君の現実の体は、ナーヴギアを装着したまま2時間の回線切断猶予のうちに病院らその他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。諸君には安心して……ゲーム攻略に励んで欲しい』

 

周りから野次が飛ぶなか、茅場が穏やかな声で告げた。

 

『しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとって、《ソードアート・オンライン》は、すでにただのゲームではない。もう1つの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に』

 

ここまでくると次の言葉を予想するにはシエルには簡単だった。

 

『諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』

 

つまり、自分の視界に映っているHPバーがなくなる、ゼロになった瞬間、自分の死ぬと言うことである。そう、この瞬間からこのゲームは遊びではなく命を賭けたデスゲームになったと言うことである。常に思考を読んでいるかのように茅場はアナウンスを続ける。

 

『諸君がこのゲームから解放される条件は、たった1つ。先に述べた通り、アインクラッド最上部、第100層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保障しよう』

 

シエルの予想は当たっていたようでシエルは動じなかったが、周囲のプレイヤーは「できるわけがない」「ベータ版ではろくに上がれなかったんだろ?」などという声が聞こえてくる。だか、その声には絶望感というものを感じられなかった。おそらく、大多数のプレイヤーはこれが《本物危機》なのか《過剰なオープニング演出》なのかいまだに判断できていないのだろう。発せられる言葉全てが恐るべきものがあるがゆえに、逆に現実感を遠ざけている。さらにここで茅場は追い討ちをかけてきた。

 

『それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え』

 

そう言われシエルはほぼ無意識にアイテムストレージを確認しようとしていた。表示された所持品リストの一番上にそれはあった。

アイテム名はーー手鏡

こんなものを渡したかったのか思考を巡らせながらオブジェクト化をする。覗きこむと自分で設定したアバターの顔が映っていた。キョトンとしているとまたもや光に飲み込まれた。今度は青ではなく、白である。光が消え辺りを見回すが何も変わらない。だが、よく見ると変わった箇所に気づいた。周りのプレイヤーの顔が違うのだ。青年はハッとし鏡を見る。そこに映っていたのは見覚えのある顔だった。青がかった黒髪に生まれつきの赤い瞳。少し女よりの顔。そう、現実世界の姿だった。シエルは姿を見られたくなくたまたま入手したローブを装備した。シエルはたまたま街で購入したこのローブを改めて買って正解だったと思った。それとは別にシエルにはどうやって現実世界での容姿を再現しているかに行く。そこでまず初期設定を思い出していた。ナーヴギアは顔をスッポリと覆う程の大きさであり、さらに体型はキャリブレーション、つまり装着者の体表感覚を再現するためのもので知ることができたのだと思った。

 

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私はーーSAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と』

 

シエルが次に考えようとしたものに答えようとする茅場を改めて見た。

 

『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目標だったからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』

 

短い時間に続いて、茅場の無機質さを取り戻した声が響く。

 

『以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君のーー健闘を祈る』

 

その声が響きわたると同時に茅場のアバターは吸い込まれるように上空のパネルへと同化していった。全てが同化し消えると、パネルも出てきた時のように唐突に消滅した。NPCの楽団が演奏する市街地のBGMが遠くから聞こえてくる。ゲームが本来の姿を取り戻したのである。一部のルールを除いては。するとプレイヤー間で様々な悲鳴、叫びなどが聞こえるがシエルはそれを横目に広場を後にした。シエルは街から出るとマップで確認しつつ次の街へと向かって行った。始まりの街周辺のモンスターはすぐに狩り尽くされると思ったからだ。シエルは次々とモンスターを薙ぎ倒し、次の街へと走って行った。




ノ夜「東方が完結してから出そうと思ってましたが待ちきれず投稿しました。次の全体の投稿はSAOでその後からは東方とこうごに投稿していきます」
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