表現力が皆無な人間が無理やりひねり出した結果、投稿がとっても遅れちゃいました…申し訳ないです
でもやっぱり気に入ってはいないので後で変えるかも…変える時にはメインストーリーに影響がないようにします
人界歴372年8月15日
アリスside
(今日は終戦記念日か…もちろん
俺は、そんなことを考えながら洗濯物を干しに外へ出る。その荷物はとても軽い。俺が昨日着ていた分しかないからだ。そもそもオークは、というよりこの村ではあまり洗濯をしない。この村の服のメイン素材は毛皮ということで、そもそも洗濯が大変という事情があり、洗濯文化を破棄したらしい。もちろん、完全に消えたわけでもなく、ごく稀に洗濯は行われている。そんな中、ジャパニーズ精神が染み付いてるからなのか、俺は洗濯しないと気が済まない。別に
服の替えの予備として、俺の持ってきたやつとキリトの分で計二着、下着は俺の分の三枚である。…キリトのを履くのはなんか恥ずかしい。昔は女物の下着を履くのなんて、と思っていたのに、慣れって怖い。ちなみに上はフルフラットなので着けていないが、そろそろ年齢的に来そうだからちょっと不安。だってアリスってまあまあ成長してたし、第二次性徴期に入ったらどうなるか俺にも分からない。TSした人って大体精神的BLしてるし(偏見)、その心もなんとなく分からんくは…
(…ダメダメ。俺は俺、あの2人はあくまで親友、幼馴染。幼馴染は負けフラグ。Q.E.D.)
ただ、かたや妻子持ちでありながら、老若男女問わずフラグを立てまくる一級フラグ建築士。その守備範囲は、下は2歳(ストレア)、上は200歳以上(カーディナル)と圧巻の領域である。そしてもう一方は、一級とはいかないまでも後輩を気付かぬうちに落とす天然ジゴロ。それに対するは女になって約10年、無意識のうちに女言葉で固定化されている
「おはよう、アリスちゃん。今日もいいでんきだね」
「ひょえっ!?あっ、ミシナラさん。おはようございます…」
将来の人生設計について考えてたら、隣の家の奥様、ミシナラさんが話しかけてきた。とっさに出る声がいつも汚いのは俺の短所である。
「アリスちゃんが教えでくれだハンバーグ?っで言うの、子供にすごい人気だっだだよ。ありがどうね」
「いやいや、ミシナラさんの調理が上手なだけですよ。お肉も美味しく食べられて喜んでいると思います。もちろん私も嬉しいです!」
「ふふ、アリスちゃんは偉いねぇ。うちのどなりに来でくれだのに感謝しなきゃねぇ」
「そ、そうですか?えへへ、ありがとうございます…」
なにかあったら私に頼るんだよ、と言いつつお家に戻っていくミシナラさん。感謝を述べ、手を振りつつ俺は心に決めた。
(とりあえずサラシ作っとこ…)
将来のことはとりあえず棚上げが俺のジャスティスである。特にそういう性に関することはスルーである。正直なところ女の子と百合百合したい気持ちもないし、だからといって男とそういうことをしようとする気もない。恋というのは頭じゃなくて心で考えるもの、なるようにしかならない。そう、
「アリスちゃん、終わっだかい?」
「あっ、おばあちゃん。ごめん、ちょっと待ってて!」
そんなことを考えていたせいで、まったく手が動いていなかった。急いで洗濯物を干し、すぐに家に戻る。これからおばあちゃんと一緒にお出かけなのだ。鏡となるいつもの髪留めは望遠鏡にして、狩りに行っているランさんに貸しているため、手持ちがない。ゆえに、かつて俺がモテ男2人と共に編み出した技を使う。まずは神聖術で水を拡散、次いで再構築、具体的には、その水を空間に貼り付け、水のカーテンを作るのだ。最後に、光素を操ってそのカーテンの前と後ろに明暗をつけることで、簡単な姿見を生み出す仕組みである。…神聖術が便利すぎてやばい。まあその分洗濯機がないからさっきも手洗いしたし、冷蔵庫もないから保存もきかない。そしてそれらの代わりとして使える神聖術はごく一部の人に限られている。本当に不便、これもアド何とかさんってやつのせいなんだ!絶対許さねぇぞアド何とかぁぁぁぁァァァ!!
「おばあちゃん、準備OK!」
「おーけー?」
「あっ、ごめん。大丈夫って意味なの。村で使ってたんだ」
ちょっとボロを出しながら俺は鏡を片付け、おばあちゃんと一緒に外に出る。今日もいい天気、とは言い辛い、暗い空だった。
このお散歩には二つの目的がある。一つ目は、宅配のお兄さ…ロリっ子である。
「こんにちは。どうぞ、今週のお肉です!」
「あらあら、ありがどね。アリスちゃん」
俺はこの前ひき肉という新しい肉の調理法の文化を生み出した。だがしかし、ただでさえ足が早い肉をさらにひき肉にしてしまっているので、ごりごり天命が削れていく。だから俺がそのひき肉の天命を保護しながら、それぞれのお家に配って回るのである。昨日の夜一生懸命包丁で叩きつけたお肉、自分で言うのも何だが丹精込められてできている。みんなにも好評であり、これは俺の大切な仕事となった。
2つ目はそれとは別の、そして俺の本命となる目的は…
「アリスちゃんはかわいいし、娘に欲しくなっちゃうだよ。…うちに来ない?」
「えへへ、売却済ですっ」
そう、顔を見せることによる印象アップである。おばあちゃんが俺に説教、というより忠告?をしてくれた後に、一緒に考えてくれたのだ。何だかんだ言っても、おばあちゃんも心配してくれていたらしい。そしておばあちゃんが思いついたのがこれ。簡単に言えば、俺はオークから見てもかわいいらしい(当社比)ので、俺が顔を出すだけで好感度が上がるシステムなのである。…難易度イージーの乙女ゲーの主人公かな?でもこれは、今のところ女の人にしかうまくいっていない。子供にはやっぱり逃げられるし、男の人には目をそらされる。乙女ゲーかと思ったらギャルゲーだった!?…なんかラノベのタイトルでありそう。『俺の転生先が乙女ゲーだと思ってたら、スピンオフのギャルゲーでした。』みたいな。でも俺TS転生だし、そもそも攻略対象がオークな時点でニッチすぎる市場だよね。
「あっ、マリナちゃんだよね。こんにちは」
「…っ!」
ほら逃げられた。子供にはまったく効果なしである。…ちょっと寂しい。
「こら!マリナ!ちゃんと挨拶せんどいかんだよ!…ごめんね、アリスちゃん」
「えっと、謝らなくていいですよ。警戒するのは当然ですし、むしろ怖がる方がいいですよ。色々な人間もいますし…」
その時、俺はちらりと後ろにいるおばあちゃんを見た。あの時のことを思い出さないか心配したのだが…杞憂だった。めっちゃニコニコしている。この目を俺は知っている。これは、孫の成長を見守る目だ。そう、かつての、祖母と同じ目。
守れなかった目。
俺は足を早める。主婦の長話に付き合うと時間がいくらあっても足りない。…その会話が割と好きになってしまっているのが問題なのだが。
俺は振り返っておばあちゃんを急かす。
「おばあちゃん、こっちだよ。早く行こ?」
「はいはい、急がんでもいいだよ。時間はゆっくり…おや?」
おばあちゃんが俺の頭から先を見る。おばあちゃんの視力は俺よりいい。というより俺の視力が左目分しかない上に本の読み過ぎでちょっと悪い。俺は目を細めて前を見ると、オークが走ってくるのが見えた。
(あれは…ランさん?なんでここに…)
ランさんは今朝狩りに行ったはずだ。まだ帰ってくる時間でもないし、ちゃんとお弁当は渡したはず…あっ、もしかして望遠鏡壊しちゃったとか?素材さえあればすぐ直せるから気にしないで…
「アリス、母さん。すぐに逃げるだよ!」
その
俺が動けていたら、俺が神聖術を使えていたら、守れたかもしれない。俺にとって第三の故郷である、オークの村の、その崩壊の
村の家々に、火の手が上がる。それを見た俺の脳裏に、
あたり一面の炎。あの日、あの時、俺を俺じゃなくした
(やめろ…やめてくれ…見たくない…)
俺は自分の体を抱きしめ、目を閉じる。
しかし、俺のまぶたの裏にはあの光景が、家族が死ぬ光景が焼き付いていた。
絶叫が聞こえる。女の、高い声だ。それにより、思い出させられる。姉の、母の悲鳴を。苦痛の叫びを。
俺は必死に耳を塞ぐ。しかし、頭の中では、その声が反響し続けていた。
身体が、皮膚が、喉が、焼かれる。
熱い。
痛い。
苦しい。
息が、できない。
……
………
……………
生きたい。
死にたくない。
おれは、まだ、何も成せていない。
おれは、おれは——
(もう、後悔したくない…)
メンタル最強系ヒロインアリスちゃん
以下裏設定
アリスちゃんの脳内がうるさい理由に、自分を見失わない、さらに言うと男だった事を忘れない、といった想いが無意識下に存在する、という設定があります。本文中では出さない(というよりアリス自身で独白できない)ので、後書きで説明いたしました。
なぜこのタイミングかと言うと、最初のプロットの時点で、アリスちゃんの性別感を説明するときにネタバレしようと決めていたからだったり。