黄金少女の英雄譚   作:Raina-lι

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キリ×アリみたいになってますがくっつかないのでセーフ
ユージオは不遇ポジが似合うと思うのはなぜ?(ユージオ好きの方ごめんなさい)


黄金少女の災難目録

 

アリスside

 

俺はこの日が来るのを恐れていた。当たり前だ、原作が始まったのだから。原作通りならばアリスは禁忌を破り、連れ去られ、最終的に<アリス・ツーベルク>は死ぬ。だが…

 

(また、死にたくない…)

 

そう、俺は1度死ぬ経験をしている。よくある転生トラック、ではなく家に火がついたのだ。その時俺は高校生だった。母子家族であり、2人姉弟。祖母も一緒に同居、というか母方の実家に転がり込んだ、というのが正しい。父は死んでいる。俺が産まれたときに、仕事場から急いで病院に向かっていた最中、暴走車が突っ込んできたのだ。加害者も死亡し、加害者側の100%責任として損害賠償を請求したのだが、結論を言えば、自賠責保険の分までしか受け取れなかった。そのため、母の稼ぎだけでは養育費や生活費のもろもろが足りないと見た母は家を売却し、引っ越したのだ。俺は物心がついたときに、父が亡くなったことを母から聞いた。その時の俺はこう尋ねたという。

 

「なんでお父さんは死んだの?」

 

と。母は後で、その質問の答えをとても困ったと話していた。しかし、その時母はこう答えたという。

 

「偶然よ…暴走車が1番悪いんだけど、そこにたまたまいたお父さんの…そして私たちの運がなかっただけ。貴方が悪いわけじゃないわ」

 

その頃の俺は半分も理解できなかっただろう。しかし母が続けて言った言葉は、今でも鮮明に、母の声で思い出せる。

 

 

「生きなさい、強く生きなさい。生きていれば、いいことが必ずあるから、足掻きなさい。必死に足掻くの。死んだら終わり、何にも出来なくなっちゃうのよ…」

 

 

 

そう、その言葉のおかげで俺はここにいる。

 

 

俺は足掻いた。たとえ皮膚が焼けて爛れても、喉が焼けて息が出来なくとも、涙が乾いて目の前が見えなくなっても、俺は必死に足掻いた。そしてその様子を見ていたものがいる。それこそが俺をここ(アンダーワールド)に転生させたものであり…悪魔である。

 

その悪魔は変わっていた。所謂ラノベにはまっており、神の格好をし、トラックに轢かれた若い人を転生させ、チートを持たせて、調子に乗らせ、だが魔王を倒せるほどのチートではないため殺される、というのが好きな、途方も無いほど趣味の悪い悪魔だった。なぜそのことを知っているのかと言えば、本人(人じゃないが)が偉そうに語ったのである。だが、その悪魔は俺のことを感心していた。死ぬことは火を見るよりも明らか、それでも生きようとするその生への執着心に。だから俺に尋ねたのだ。

 

「俺が好きなトラックじゃないが…転生するか?」

それはまさに悪魔の囁きであり…俺は必死になって頷いた。そして俺は生まれ落ちたのだ、この世界に。悪魔は俺には干渉しないと言っていた。その世界で生きるお前を見たいのだと。しかし…

 

(そもそも割と詰んでね?)

 

アリスになってるってだけで詰んでると思うんだ、俺は。

 

 

「いいじゃねーか、休みなんだし」

「だめ!絶対だめ!だって…ダークテリトリーに行っちゃだめだって禁忌目録にも書いてあるし!」

 

ねっユージオ!と俺はユージオに顔を向けて同意を促す。しかし…

 

「うーん、行っちゃダメとはあるけど、近づいちゃダメとは言ってないよね」

(まさかのユージオの裏切り!あれ?ユージオって(アリス)に惚れてるとかの設定なかったっけ…)

 

と考えたのだが、すぐに理由を思いつく。

 

(絶対(アリス)のキャラが違うからだ…)

 

ここまでやらかしたと思ったことはなかった。 悲報、砲雷援助なし!しかしここで勝たなければ俺は(物理的に)死ぬ!

 

「そうだ!村の掟だと子供たちであの山脈に行っちゃダメってあるじゃない!だからダメよ!」

 

そう、この問いに答えたのはアリスである。つまりこの俺が発言したのだから絶対答えられない!勝ったな風呂入ってく…

 

「それって遊びに行っちゃダメってことだろ。弁当を冷やすってことができるようになれば村のみんなが喜ぶ。だったら大丈夫なんじゃないか」

「それって屁理屈じゃない!」

「いや、ちゃーんと理屈は通ってる」

「ない!」

「ある!」

「ふっ2人とも喧嘩はやめなよ…」

「「ユージオはどう思う!」」

「あっえっと…僕は…意見不表明で…」

 

…一瞬ユージオはいつの間にその単語知ったんだ?と思ったが、直ぐに時折俺が使ってたことを思い出す。

 

「もう知らない!2人で勝手に行ってくればいいわ!」

「ああ勝手にするさ!弱虫アリスちゃんは家で震えてればいいさ」

「ええ、おバカな2人はゴブリンにでも食われてればいいのよ!」

俺は走り出した。キリトがあんなに聞かん坊だったなんて思いもしなかった。俺は最初来た時とは違う理由で顔を赤くし家まで走っていく。…アリスは激怒した。…そういう気分じゃなかった。俺は家にたどり着き、直ぐにベッドに飛び込んだ。

 

 

(ふんだ、キリトのバカ…)




アリスは不貞寝した。
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