黄金少女の英雄譚   作:Raina-lι

5 / 13
洞窟探検の部分は原作と変わらないため殆ど端折ってます


黄金少女の洞窟探検

仲直りをしたその週の休息日、その早朝、まだソルスが顔を出して間もない時間の台所に、エプロンドレスに身を包む少女がいた。その少女は眠たげな表情で、口だけを動かしている。それでも台所の食器や調理器具が、誰の手も触れずに、まるで意思を持つかのように動いていた。そんな事ができるのはいくら広いアンダーワールドの中でも1人しかいない。それは、かの世界の管理者さえも…そしてその管理者を倒そうとする世界の擬人化である存在も、その領域までは至っていない、正しく神業であると言えよう。そう、その神の如き力を息をするかのように行う少女は…

 

(アリスのアは、愛人のア、アリスのリはNTRのリ、アリスのスはストーカーのス、3つ合わせてア・リ・ス☆)

 

やっぱりその可憐な姿に似合わない思考をしていた。

 

アリスside

 

(よし、後は水を入れて…熱素を離す神聖術を唱えて…神聖術半端ないって!あいつ半端ないって。冷蔵庫とかなくてもずっと冷やしてられるとか、そんなんできひんやん、普通)

 

いつも通りふざけた事を考えながら、お弁当を用意する(アリス)。最初の頃は毎日ご飯持っていくとか通い妻じゃね、とか思っていたけど、キリトもユージオもそんな気が一切無いようで安心している。ただ、もしキリトが色目使ってきたら抜刀妻様に報告するつもりだったので、逆につまらなく感じていたりもするのだが…

 

(大体朝早すぎなんだよ、なんだよ鐘が鳴り始めたら出発するって。そりゃあんたらの仕事は木を朝から晩まで叩くだけやから、朝起きるのにも慣れてるだろうさ。だけどうちの仕事は夜にもあって、いつも起きるのは午前の真ん中らへんなんや。その事を考慮してくれんとあかんと思うんやけどな)

 

そんなエセ関西弁(元東京民)を炸裂しつつ、お弁当を完成させる。ていうかその時間に設定したのは何を隠そうこの俺である。時間を変更したら例の戦いを見れなくなっちゃうかもしれないが故の、苦渋の決断であった。

 

(よし、準備完了!)

 

「いってきま〜…寝てるんだよね、こっそりと…」

 

俺は静かに出発した。時間は…結構ギリギリである。ぶっちゃけ何時に動き出したかなんて細かい描写を忘れてしまったので、余裕を持っていこうとか心の中で思っていた気がするけど気のせいだったぜ☆。

 

ちょっと足早に移動し、約束した村はずれの木のところに向かう。そこには既に2人が待っているのが見えたため、その瞬間ダッシュした。

 

「おまたせ、2人とも!」

「おはようアリス、そんな待ってないぜ」

「おはよう、じゃあ行こうか」

 

2人は俺の荷物を持ってくれる。こういうのは女の特権(偏見)だと思うので、ありがたく2人の気遣いを享受することにしている。俺は北の山脈を指差し、軽快に宣言した。

 

「それじゃ、しゅっぱーつ!」

 

 

特に言うこともなく、例の洞窟に到着した。実際、洞窟に近づく道は()()()ことがあるため、さくさく進んでいけたのもある。俺は洞窟を覗き、光源を作り、ついでにユージオの背中に引っ付いた。

 

「ユージオ…怖いから、前にいて…」

 

これが俺の必殺戦術(タクティクス)、その名も『ぶりっ子大作戦』(俺命名)である。説明しよう!この作戦はこのヒロインたる容姿を活かして自分の望んだ状況を生み出すのだ…

 

「そう言って僕を最初に行かせる気なんだろ…」

 

(あっれれぇ?)

 

この俺のたくてぃくすが敗れるだと…なっ、なぜだ!

 

「まあ、お姫様の頼みだし、仕方ないんじゃないか?」

 

ニヤニヤしているキリトからの援護射撃!ちょっとその笑い嫌だけどナイス!てかニヤニヤすらカッコいいなんてイケメンはずるいなぁ!

 

「はぁ…全く、しょうがないなぁ、キリトは1番後ろから来てね」

「おう、任された!」

 

…結局この作戦は成功したのか?と、疑問に思いつつ、進んでいく俺なのであった。

 

ユージオside

 

「なあ、2人とも寒くないか?」

 

と、後ろのキリトが話しかけてきた。

 

「えっ、別にそんなことはない気がするんだけど…」

 

僕がそう返して首だけキリトの方を向くと、腕をさすって震えている様子が見える。なんでだろうと首を傾げていると…

 

「あっ、それ私がユージオにくっついてるせいだ…」

 

と言ってアリスが離れた。その瞬間、僕も強烈な寒気を感じた。

 

「えっ、こんな寒いの、待ってアリス、何したの…?」

「えっと、入り口のとこで寒いなって思ったから外で熱素集めてた…」

 

てへっと笑うアリスにキリトはやはり白目を向ける。

 

「なーんで自分だけ温まろうとしたんですかねぇ…」

「キリトのこと忘れてた…いひゃいいひゃいほっへひっはるのひゃめて!」

 

頬を引っ張るキリトに同情しつつ、僕は2人をなだめる。

 

「ほら、もうやめなよ。アリスはキリトにもあったかくして…」

 

その言葉を受け、2人は離れてすぐにアリスが複雑な術式を唱える。そうしたらすぐに、

 

「おっ、全然違うぞ、全くアリスは…」

 

えへへと言いながらアリスはまた僕の背中にくっついた。そのおかげで僕もすぐに暖かくなる。それじゃ、いこっ!っとアリスに耳元で囁かれた僕は、先の見えない恐怖とは違うドキドキを感じた。

 

アリスside

 

ちょっとした俺のやらかしがあった後は原作の通りだった(と思う)。竜の骨や青い剣やらを見つけて、ついでに氷をゲットし、帰りに迷って、ダークテリトリー一歩手前まで来れた。

 

「ここは…ダークテリトリー…」

「ねぇ、引き返そうよ、みんな。まずいんじゃない?」

(引き返すと別の意味でまずいんですけど…)

 

とか悪いことを考えていると、空に急に白い竜とそれに乗る騎士、所謂整合騎士と黒い竜に乗る騎士、つまり暗黒騎士が現れ、戦い始めた。

 

(やったぜ、時間とか違っても現れてくれる歴史の調整力ってすげー!)

 

そんなことを考えている俺の前と横の2人は、その戦いを食い入るように見つめていた。やっぱり男の子なんだろうな、とか考えつつ、俺は詠唱を開始し、タイミングを計っていた。そう、ユージオをダークテリトリーに入れるタイミングを。

 

暗黒騎士は地に落ち、俺たちのすぐ側に墜落した。そして騎士さんが俺たちに手を伸ばした瞬間、俺は術式を展開した。

 

「ディスチャージ」

 

その瞬間、前方のダークテリトリー側にある空間の空気を取り除かれる。そして、それにより、俺たちに強風が発生した。そう、これこそが俺の考えた最強の作戦、『吸引力の変わらないただ一つの神聖術』(俺命名)である。

 

「うわ!」

「のわ!」

2人は強風に煽られ、バランスを崩す。そうだ、そのまま入ってしまえ…

 

 

 

 

 

俺はこの作戦を考えた自分を殴りたい。なぜなら…

 

 

 

 

2人はその場で転ぶだけで、(アリス)だけがダークテリトリーに入ってしまったのだから。




ガバガバ作戦アリスちゃん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。