東方頭文字D外伝 峠の白兎 --Rabbits dream of becoming HASHIRIYA--   作:Atno108

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てゐ 「話がすごいめんどくさくなるので 年齢ネタはこの作品ではスルーでお願いします。」

ナズ 「鈴仙はまだ2ケタだけど てゐは」

てゐ 「女の子に年齢聞いちゃいけないんダゾ☆ ・・・てかナズリンもウチと同年代でしょ。」
 
屠自古「霊体だけどアクセル踏み込めるのかって? うん。なんだ。細かいことは深く考えるな。」


第十話 「 SENN WO KOETE 」

 

 

 

 

 

~これまでのあらすじ~

 

鈴仙 「私、鈴仙 うどんげいん イナバ!

    今絶賛売り出し中のきゅーてぃ&くーるな走り屋なの!」

 

てゐ 「ハイハイ。」

 

 

こっわ~いお隣さんの走り屋集団にバトル吹っ掛けられちゃってさあ大変!

天子 「サツガイしてやる。」

いつの間にか巻き込まれてるてゐ。

てゐ 「ファッ!?」

 

 

なんとか天子とのバトルに勝った鈴仙

鈴仙 「うっそ~っ 勝っちゃった☆」

多分なずりんのアドバイスが無かったら負けてたのは内緒だゾ♪

なず 「 ・・・・。 」

 

 

 

まあ、ワケ分からなかったら素直に第一話から読んでね。

 

 

 

 

 

 

 

 

東方頭文字D外伝 峠の白兎 --Rabbits dream of becoming HASHIRIYA--

 

 

 

 

この作品は東方二次創作作品です。

キャラ崩壊、設定崩壊等にご注意願います。

この作品は作者の妄想で出来ています。

素人並みのクルマの知識、誤った情報等にご注意願います。

 

 

 

 

この物語はフィクションであり、

登場する人物・地名・団体名はすべて架空のものです。

車の運転は交通ルールを守り、

ゆっくり安全運転を心がけましょう。

 

 

 

 

 

 

 

T山峠の上りのスタート地点は川沿いのT字交差点からのストレートである。鈴仙達が立つそのT字交差点から、朱塗りの欄干の橋が対岸へ伸びており、渡った先には不気味な鳥居のような何かが ひっそりと建っている。

 

 

その朱塗りの欄干の橋から ゆっくりと ガンメタのGC8インプレッサが スタート地点に並ぶために進み出る。

 

  「ブオ ブオ ブオ ブオ ブオ ブオ ブオ 」

 

 

 

まもなく T山峠の交流戦 ヒルクライムが 始まろうとしていた・・・。

 

 

鈴仙 「 ・・・それで てゐの様子はどうだった? 」

 

ナズ 「別に。そんな喋ったりとかしてなかったし。かといって緊張した調子もなく。」

 

鈴仙 「う~ん アイツちゃんとやる気あんのかな? ナズーリンからちょっとでもアドバイスもらっとけばよかったのに。」

 

ナズ 「・・・まあ、あのWRXには弱点があるっちゃあるんだがな。教えてやろうと思ってたけど 顔見たら急にニクたらしくたらしくなってきたし やめた。 どうせ負けねーよ あいつは。」

 

寅丸 「まさか ナズーリン この前このコースで てゐさんに負けたこと 恨んでたりしてるんじゃないでしょうね?」

 

ナズ 「どうだろうな~~?」

 

ナズ 「(・・・どうだろうな。そりゃ、多少アドバイスした方が、勝ちに行く分には確実なんだろうが 多分 このバトルはそれじゃダメだ。てゐがてゐ自身の力で 自分の車で 勝つ。それが出来なきゃ 何も始まらないだろう・・・。)」

 

 

スタートラインに並び 止まるGC8。

 

 

ナズ 「(・・・・いずれにしろ、これがてゐの卒業試験になる。このバトルで勝てば その車を自分のモノにできたという最大の証明になるんだ。だが、てゐ、決してうぬぼれるな。それはお前がようやく自分の「エモノ」を手に入れたに過ぎない・・・)」

 

 

じっと てゐの乗るGC8を見つめるナズーリン。

 

 

 

ナズ 「( お前はようやくスタートラインに立てたんだ。お前の伝説は そう ようやくここから始まるんだ。 )」

 

 

 

 

 

 

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第十話 「 SENN WO KOETE 」

 

 

 

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屠自古「そいえば、教えなくてよかったんですか? ・・・GC8が「あの」白いフィールダーのドライバーだって事。」

 

天子 「 えっ 」

 

スタートライン近くの歩道に並ぶT山峠のチームメンバーとその仲間達。

 

衣玖 「ん~~。まあ、多分知ってたとしても知らなかったとしても結果は変わらないと思うんですよ。あの人、マシンの種類見ただけで目の色変えてましたし。」

 

屠自古「 ? 目の色? 」

 

衣玖 「あるんですよ。特定のマシンに乗っているとそのライバル車種に対して ひがみ というか対抗意識を持つようになるんです。インプならばランエボ。FDならばGTR。そうした対抗意識は 時として大きな精神面のポテンシャル維持に繋がる・・・」

 

屠自古「いや、ちょっと待てよ。セイガのあのVAB型WRXは 名前こそ変われどインプレッサの系統のはずだろ?どうして・・・」

 

衣玖 「フフフ。そうなんですよ。なぜか 初代インプレッサであるGC8を意識する。奇妙かもしれませんが 少なくともあの人にとってはそうせざるを得ない相手なんですよ。」

 

 

 

スタートライン前に並べられた2台の4WDハイパワーターボ車。

 

川岸側に てゐのマシン ガンメタのインプレッサGC8 

崖側に  青娥のマシン 蒼いVAB型WRXが並べられる。

 

 

 

モブ 「こうして並べちゃうと一回り いや、二回りは違うか・・・」

 

モブ 「初代インプレッサと 最新のスバルの4駆マシンだからな・・・ いろいろと差は歴然だぜ。」

 

 

 

 

青娥 「私は霍 青娥。ここの峠の上り担当をやらせてもらってるわ。あなたがヒルクライムのドライバーかしら。」

 

てゐ 「因幡 てゐ って言うんだ。まあ、よろしく・・・。」

 

 

てゐの 幼女のような外見に 戸惑う青娥。

 

 

青娥 「(この子が 向こうの上りの担当?あのGC8のドライバー? まあ、何というか パッとしないというか・・・。

 

なにより オーラってモンがまるでない。もしかしてザコ?本当に上りは捨てに来てるのかしら・・・? )」

 

それぞれ自分の車に乗り込み、スタートの合図を待つ。

 

 

   「バゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・」

 

    「ブガガガガガガガガガ・・・・・」

 

 

屠自古が スタートの合図に立つ。

 

布戸  「 お~い霊体! 吹き飛ばされるなよ~~ 」

 

屠自古 「 やかましいわ 」

 

 

 

 

改めて 2台の前に向き合い カウントダウンを始める屠自古。

 

屠自古 「それじゃあ、始めるぞっ! 5ォ! 4! 3! 2! 1・・・!」

 

屠自古の高く掲げられた右手が振り下ろされる。

 

 

屠自古 「GOォッ!!!」

 

 

次の瞬間 

 

 

 

 

  「ヴォ ガッ バスン!!」

 

     「バガアアアアアアアアアアアアッ ガアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

その場で ビクン と動いただけで止まってしまったGC8。青娥のVABは一気にストレートを駆け抜け、一つ目の左タイトコーナーに飛び込み、そのまま消えていった。

 

 

 

「キアアアアッ ガアアアアアアアアアア・・・・」

 

 

 

 

 

 

てゐのGC8を残して。

 

 

 

 

 

 

 

モブ 「・・・・・・」

 

モブ 「・・・・・・・」

 

屠自古「・・・・・・・。」

 

衣玖 「・・・・・・・・・」

 

寅丸 「・・・・・・・・え。」

 

布戸 「あ、あるえ? 今の・・・・」

 

 

 

 

 

 

ナズ 「(・・・あのっっ馬鹿っっ!!エンストさせやがっったっ・・・!!!)」

 

 

 

 

 

モブ 「(エンスト・・・・)」

 

モブ 「(え、エンスト・・・したぞ・・・?)」

 

モブ 「(エン・・・スト・・・だな・・・・)」

 

 

  「キュルキュルキュル・・・ブロロロロロォォォォォ! バスン! ボスン! プスン!」

 

 

 

 

  「「・・・・・・・・・」」

 

 

 

 

 

モブ 「(二回目・・・・)」

 

モブ 「(エンスト・・・二回目・・・・・・)」

 

モブ 「(さ、騒ぐんじゃねえ!初心者は緊張すればするほどエンストしやすくなるんだっ・・・!)」

 

モブ 「(また・・・エンスト・・・・)」

 

 

  「キュルキュルキュル・・・・ブロロロロ。ブロロロロン、ブロッ、ブロロロロロ。」

 

 

慎重に一速、二速と繋ぎ、そろ~りと出発するGC8。

 

 

モブ 「・・・・・・・・」

 

モブ 「・・・・・・・・・・・」

 

 

 次の瞬間、GC8が吼えた。ドッカンターボを使ってのフル加速。

 

  「バガアアアアアアアア! バゴッ! ガアアアアアアアア!!!」

 

 そのまま第一コーナーに突っ込み、あっという間に見えなくなってしまった。

 

 

 

  「「・・・・・・・・・・」」

 

 

 

モブ 「えと・・・  な、なんだあのGC8!?あんなブランクあけての発車!見たことねーぜっ!!」

 

モブ 「えっ・・・あっ、ああ!そうだな!なっ、なめプレイっていうヤツかナーー!?」

 

モブ 「そっ、そうだな!なめプだな!きっと! 話には聞いたことあるけど、みっ・・・見るのは初めてだぜ!!!」

 

 

 

衣玖 「フッ・・・我々に対してそれだけの余裕。さすがと言って差し上げましょう。私の目に狂いはなかった、ということですね。」

 

 

屠自古&寅丸「(( えっ!!? 乗るの!? ))」

 

 

 

寅丸 「えっ、ええ。ええ!! こっ、これは作戦です!あ、あはは!てゐさんの仕掛けた罠はもう発動してるん・・・ですよ! たぶん!!」

 

屠自古「あっ、ああ。ああ!! だっ・・・だが!そっ、その余裕が、い、命とりにならなきゃいいがなーー!!」

 

ナズ 「・・・まあ、ただ一つ、確実に言えることがあるとするならば、」

 

 

 

 

 

 

ナズ 「 今夜のバトルは・・・ 伝説になる・・・・(遠い目  」

 

 

 

 

 

 

 

布戸 「のう、あれってやっぱエンスむぐっ」

 

屠自古「お前はだまってろ。」

 

 

 

 

 

 

 

「ファガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

S字コーナーを抜け、長いストレートに入り一気に加速する青娥のWRX。どっしりとした4WDの機体は、爆発的な加速力を持ちながらも車体は全くブれず 安定して速度を上げていく。

 

 

モブ 「来た!青娥さんのWRXだ!完全に独走状態だぜ!」

 

モブ 「バトルになってねーよこんなの!」

 

 

  「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

そのストレートの終わりは チルノ達が観戦していた分離帯があるバス停がある あのコーナーである。ヒルクライム側になると長いストレートの終わりに見通しの悪い下りの左コーナーが現れ、そのまま高低差のあるS字に突っ込んでいく形になる。

 

さすがにチルノ達はコンクリート製の分離帯から撤退し、奥の歩道で大妖精を休ませていた。

 

 

大妖精 「う~ん う~ん う~ん」

 

チルノ 「大ちゃんったら 夜遅いから眠くなっちゃったのね!」

 

ルーミア「・・・そーなのかー?」

 

 

そのコーナーに 青娥のWRXがさしかかる。

 

 

  「ファアアアアアアアン アアアアアア」

 

 

スピードをしっかり落としつつも、カーブ中盤からしっかり立ち上がり、加速しながら抜けていく。

 

 

   「ファガアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

大妖精 「 ヒンッ ヒグッ ううっ 」

 

ビクンビクンしている大妖精。

 

チルノ 「きっと何か夢の中で踊ってるのね!」

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

かなり間をおいて てゐのGC8がコーナーに差し掛かる。

 

 

   「ガアアアアアアアア アアアアアアァァァ・・・」

 

 

チルノ 「・・・あん?」

 

 

振り返るチルノ GC8のテールがコーナーの先へと消えていく。

 

 

ルーミア「 どうかしたのかー? 」

 

 

チルノ 「・・・あ、いや、その。」

 

思わず ルーミアと顔を見会わせるチルノ。

 

 

チルノ 「い、今のクルマ、なんか、異様にあっという間にコーナー突き抜けていった気が・・・・」

 

ルーミア「気のせいなのかー。」

 

大妖精 「スヤァ。」

 

ルーミア「 ・・・・・。」

 

 

ルーミア「(・・・あの車、あのGC8、チルノの言う通り、とんでもないスピードでコーナー突っ込んでそのまま抜けていきやがった。いや、すごいのはそれだけじゃない。

 

あのオーラ、あの走り、まるで 走り出してしまえばこっちのもんだと言わんばかりのオーラを感じる・・・。あんなヤツが この峠にもいるのか。 この勝負、多分このままじゃ終わらない。とんでもないバトルを見に来てしまったのかー。 )」

 

 

 

 

 

青娥  「( ・・・・ )」

 

青娥 「(あれ? ついてきてない?)」

 

 

 

 

 

   「ガアアアアアアアアアアアアア・・・」

 

 

 

右コーナーを立ち上がっていくGC8。左側には切り立ったガケ、右側にうっそうとした林と川。その間にあるストレートを てゐは駆け抜けていく。

 

 

てゐ  「(・・・もう、だいぶ離されちゃってるよなあ・・・。まあ、後ろにつかれるよりは プレッシャーなくてラクなんだろうけど、いや・・・))」

 

 

下って 上り。チラリと ルーフミラーを見るてゐ。

 

 

てゐ  「これだって いつもと変わらない。ただ、自分のベストで攻めるだけさ。もう油断できない。・・・スタートダッシュは気にしたら負けだ。 全開で行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

屠自古 「あ・・・ あのさ。さっきの話の続きなんだけど、」

 

衣玖  「ん?GC8とWRXのライバル意識の話ですか?」

 

屠自古 「そう!それ! 年式は違えど同じスバル車だし。親近感とか覚えるのが普通じゃないの?」

 

衣玖  「ええ。実際、VABがインプの後継だと大抵の人は思うでしょうし、インプからVABに乗り換える人も多いです。しかし、それでも「GC8」は特殊で特別なんですよ。」

 

 

屠自古 「あの 軽さか。」

 

衣玖  「ええ。GC8は コンパクトセダンのボディに ハイパワー4WDのパワーユニットをブチ込んだらどうなるかをコンセプトに開発されました。ラリーでの戦闘力を十分確保した軽量でパワフルな車両。だけど その分代償も伴うことになった・・・。

 

まず 狭いボディにギチギチに4WDのパワーユニットを詰め込んでるんですが、特にフロントは幅がデカイ水平対向エンジンとターボを詰め込んでいるので 場所の余裕がなくなってしまった。その結果 タイヤのサイズに制限が出来てしまったんです。改造なしで入るのがせいぜい7J215ぐらいなんですが、これは同世代のスポーツクーペと比べても狭い。ましてタイヤサイズが大型化している今では差はデカイでしょうね。」

 

 

屠自古 「競技用のラリーカーとか 22Bなら幅 大きく作られてるんだろ?」

 

衣玖  「22Bはもはや別物ですからね。GC8は 加速はいいが かなりピーキーな車になってしまった。サーキットよりもダートラ走ってる方が多いですよね。GC8を あれをキチンと操れる者は少なかった。だから乗り易くするために インプやランエボは大型化し、重量も重くなっていったんです。」

 

屠自古 「だが、大きくなれば その分弱点も増える。」

 

衣玖  「ええ。結果的に 市販された小柄でハイパワーな4WDセダンは あのGC8の世代だけになってしまった。軽くて加速のいいGC8をうらやむと共に ピーキーな車を操るドライバーを意識するようになった。安定性では GD系やVABのほうが上のはずですからね。どうしても負けられない車 としては GC8はやはり特別なんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

寅丸  「確かに この勝負 もう勝てないかもしれません。」

 

 

スタート地点付近。佇む寅丸 星。てゐがマガリなりにも出走してしまった今、彼女らにできることは報告がくるのを待つことだけである。

 

 

寅丸  「後追いで この差。自分が追う相手が見えなければ、走るモチベーションは失われますし、追いつけなければあせってミスが出ます。てゐさんがこの状況に慣れているか疑問です。置いていかれてる状況で そこから逆転することは あまりあり得ませんよ。」

 

鈴仙  「出だしで あんなミスしなければ・・・。」

 

寅丸  「戻ってきたら みんなで慰めてあげましょうね。」

 

ナズ  「・・・ちょっぴり 光明が持てるとするならば、「スタートの時のタイム差」が出ただけだ と考えることができる事だろうな。走ってて生まれたタイム差じゃ ない。 それこそナメプじゃないけど、てゐがホンキで走ってくれればもしかしたら・・・勝機はある・・・んじゃないかなタブン。」

 

寅丸  「でも、先ほど言ったようにモチベーションが・・・!」

 

ナズ  「・・・実はそのことなんだけどね、その点に関しては、あんまり心配いらないと思うんだ。 まあ、走りだしはアレだったが、走ってされくれればアイツなら全力で走るだろうさ。今のアイツには はっきり見えているだろうからな・・・。」

 

鈴仙  「 ? 」

 

 

ナズ  「 自分を追いかけてくる  白い「ゴースト」の姿が・・・。」

 

 

 

 

 

ストレート。青娥の蒼いVABが 一気に駆け抜ける。

 

  「ファアアアアアアアアアアアアアン・・・」

 

VABが次のコーナーに消えた瞬間、GC8が手前のコーナーから姿を現す。

 

   「ファガアアアアアアアアアアアアアン・・・・」

 

てゐの目に まだ青娥のVABは写っていない。しかし、てゐはアクセルを緩める気など毛頭なく、ストレートをかっ飛ばす。次の右コーナー。構わず突っ込んでいく。

 

 

「バガアアアアアア   ガアアアアアアアアア!!」

 

 

崖沿いの右直角コーナーへ差し掛かる てゐのGC8。できるだけスピードを落とさず、やや アウト寄りから突っ込んでいく。

GC8の右側のタイヤが 道路真ん中に描かれている 黄色い線に触れる。

 

   「 グッ グッ グッ 」

 

てゐ  「・・・よし 使えるな。」

 

コース中盤からアクセルを踏み込んでいくてゐ。立ち上がり GC8が吼える。その先の上りを 弾けるように加速していく。

 

 

  「バガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

ナズ  「調べてみて驚いたよ。てゐが乗っているZRE162Gフィールダーと GC8インプレッサの車重はほぼ同じなんだ。履いてるタイヤサイズもほぼ同じ。それでいながらフィールダーの馬力が140馬力なのに対してGC8は280馬力。トルクもほぼ倍なんだ。」

 

寅丸  「 え 車重同じで パワーウェイトレシオが二倍・・・?」

 

ナズ  「ホイールアーチ 駆動方式が違うし ブレーキ サスの作りも違うからそう単純に比較できないけどね。もちろん、パワーが2倍になったからってタイムが半分になるとか そんなバカな話はない。」

 

鈴仙  「それでもGC8のほうが圧倒的に早い。にもかかわらず、てゐはフィールダーにも乗り続けている・・・」

 

寅丸  「 え 」

 

鈴仙  「どうしてなんだろ。まあ壊れるの怖いとか まだマニュアル慣れてないとか そういうこともあるんだろう けど 普通マシン乗り換えたなら ましてパワーアップしたなら 前の車はキッパリやめるのが普通じゃない? やっぱ未練とかあるのかしら。」

 

ナズ  「ふむ。アイツ もしかしなくても 同じコースを 2台それぞれで 走りこんでたり してるんじゃないかい?」

 

鈴仙  「  ?  まあT山峠とかD坂道 ちょくちょく来てるみたいだけど・・・」

 

ナズ  「おそらく それがてゐの練習法なんだ。変わりばんこで走ってみて、フィールダーで走るときは前を走るGC8のイメージを必死で追いかけ、 逆に GC8で走ってる時は後ろのフィールダーのイメージから逃げる。両車の走りを知ることで 始めて見えてくるものもあるだろうしな。」

 

鈴仙  「でも・・・ それでもGC8のほうが 圧倒的に速く走れるはずでしょ? てゐなら、コースレイアウトもわかってるし どこでどれだけ差が生まれるかも 直観的に把握できるはず。GC8のイメージの方が はるかにフィールダーを引き離しちゃうんじゃないの?」

 

ナズ  「・・・そう思うか?本当にそう思うか? 考えてみろ、 GC8に乗ってるのも フィールダーに乗ってるのも アイツ自身なんだ。それが どういうことか。」

 

寅丸  「・・・・!」

 

鈴仙  「まさか・・・!」

 

 

ナズ  「てゐがある日 フィールダーに乗ってて 何か新しい発見をしたとする。それが何か新しいライン取りだとか それでコンマ一秒縮められた とするよな。でも 次の日から インプも同じラインで走るようになるんだぜ? 

・・・逆に GC8に乗っててひとつミスをすれば 一気にミラーにフィールダーのあのツラが近づいてくるんだ。アクセルなんか抜けねえよ。」

 

鈴仙  「てゐを追いつめているのは もう一人の自分・・・!!」

 

ナズ  「亡霊を装いて戯れるならば 汝 亡霊となるべし。アイツは1人で走っててもバトルモードから抜け出すことはない。 むしろセイガがてゐを引き離したと思って、油断、 ぁ  してたとしたら、・・・。」

 

鈴仙  「油断してたとしたら?」

 

 

ナズ  「・・・・。」

 

ナズ  「・・・うん。ごめん。なんというか自信なくなってきた。どう計算しても勝てる気がしない。マイナス要素がデカすぎる。」

 

鈴仙  「せやな。」

 

寅丸  「ナズは何も悪くありませんよ。」

 

 

 

 

 

 

屠自古 「もし、てゐが あのGC8のドライバーがエンストせず、ちゃんとしたレースやってたら セイガは勝てたか?やっぱりGC8はVABや他の大柄な4WDセダンには敵わないのか?」

 

衣玖  「さあ?私は彼女の走りを見てませんもの。むしろ二人の走りを知っている屠自古さんの方が そこらへん分かるんじゃないですか?」

 

屠自古 「・・・・。」

 

少し 考え込む屠自古。

 

 

屠自古 「・・・私が走ったのは アイツのフィールダーと だからな。そりゃ あのフィールダーよりは あのインプの方が速いんだろうさ。でもな、ヤな予感がするんだよ。そう。フィールダーの時点で もうアイツはタダモノじゃない走りをしてた。勝てはしたが いずれ負けると思ったね。もし、なにか速くなるキッカケを 新しく掴んでいたとしたらーー 」

 

衣玖  「・・・・・。」

 

 

屠自古 「もうおそらく いや、多分もうすでにあいつは私より速くなっている。もし始めからマトモな追いかけっこやってたら 青娥じゃアイツに勝てなかったかもな。」

 

 

 

 

   

上りの緩やかなS字を駆け上がっていくGC8。 アクセルを踏み足し 上り坂も物ともせず加速していく。

 

   

     「バガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

てゐ  「(・・・フィールダーでは ここまではできないけどな。けどな、こういう走らせ方出来るのは やっぱりフィールダーやカローラに乗っていたからなんだよ。)」

 

右タイトコーナー。オーバースピード気味のGC8を入口でうまく減速させ IN側に切り込んでいく。

 

 

てゐ  「(楽しいよ・・・ 見える景色が違う!まだミスも多いし完璧とは言えない状況だけど・・・ まだまだもっと速くなれる!!)」

 

 

 

 

 

 

清蘭  「鈴仙さん こんばんは。」

 

鈴仙  「えっ あっ。」

 

清蘭 「すいません遅れてしまって。もうヒルクライムもスタートしちゃったようですね。どうですか? バトルの様子は。」

 

 

清蘭は てゐのGC8の前の持ち主である。鈴仙はそれを知っていた。思いがけない訪問者に 少し言葉を濁す鈴仙。

 

 

鈴仙  「えっと、なんて言えばいいかな、ちょっとトラブルがあって、ま、でも ナンとかなるかなー?みたいな感じ?」

 

 

清蘭 「そうですよね。てゐさん すごいですもん。」 

 

鈴仙  「 ・・・え? 」

 

清蘭  「 実は 私 てゐさんの走り 見たことあるんです。ずっと前ですけど あのGC8でD坂道走ってたら あの車に 追いつかれたんです・・・」

 

鈴仙  「(あ。あ~~。)」

 

 

 

清蘭  「 てゐさん あのフィールダーで 私の乗るGC8を ブチ抜いていったんですよ。 」

 

鈴仙  「( 知 っ て た 。)」

 

 

暗闇へ 目線を落とす清蘭。

 

清蘭  「・・・この話 秘密にしといて下さいね。てゐさんは気付いてるか知らないけど 私はあのフィールダーを見てすぐ気が付いた。そして売ろうと思ったんです。てゐさんなら もっと速く走らせられる あのGC8をーー。」

 

 

 「チカッ」

 

 

道の駅の前のストレート。コーナーから抜け見通しが良くなった一瞬、てゐの目は赤い光が前方で一瞬光るのを捉えた。

 

てゐ  「・・・今、何か見えた!」

 

続くテクニカルセクションを抜け、上り勾配のS字。右のコーナーを てゐは構わずアクセルを踏み返すかのように何度も踏み込み 加速しながら登っていく。

 

 

 

清蘭  「あの人は 間違いなく 「バケモノ」 ですから。」

 

 

  「バガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

S字コーナー出口 右コーナーから躍り出るGC8。その先 長いストレート。はるか先であるが、今度ははっきり見ることができた。先行する 蒼いVABを。

 

思いっきり アクセルを踏み込むてゐ。

 

 

てゐ  「・・・うまくいけば 追いつくことぐらいはできるかも? あせるな あせるな ミスしたら負けだ・・・!」

 

 

 

   「バガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

緩やかなS字コーナーをクリアしていく青娥のWRX。

 

青娥  「・・・しかし、あの子もホント大したことなかったわね。まったくついてこない。前半でハイスピードでトばし過ぎたかしら。まあ、「バトル」でやってる以上、容赦はしないけどね。」

 

右コーナーを立ち上がっていくセイガのWRX。右側は崖の壁。抜けた先に少しストレート。コーナーからWRXが踊りでる。

 

青娥  「今頃は 遥か後ろで・・・ 何っ!?」

 

青娥は 急に後ろから照らされるのを感じた。

 

  「ファガアアアアアアアアアアア!!」

  

    「バガアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

左手に工事事務所を見ながらの左コーナー。コーナリング。曲がっていくWRXに じわじわと 確実に近づく光源。その光源の後ろは 不自然なほどにドス黒い。

 

その正体を 青娥は頭ではわかっていた。

 

 

 

青娥  「姿すら見せなかったのに!冗談じゃない・・・!」

 

 

 

青娥の蒼いVABに 迫るガンメタのGC8。

 

ニカッと笑う てゐの口元

 

 

青娥  「こいつっ・・・!!」

 

次 右のゆるいコーナー。VABが加速体制に移る。近づけていたとはいえ、間は車体2台分以上。それが広がり始める。

 

 

  「ガアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

緩い右を抜けたその先はさらに上りがきつくなる区間。ストレート。上り坂などまるで気にしないとでも言わんばかりに VABが加速し一気に車間を稼ぐ。加速で出遅れるてゐのGC8。

 

 

   「バガアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

右に 左に 緩やかにウネウネしながら登っていく道。VABのテールライトを追うように走るGC8。距離はそのまま。

左コーナーからのS字コーナー。入口でためらうかのように 少し速度が落ちるVAB。

 

てゐ  「 ! 」

 

一気に間合いを詰めていくGC8。追いつかれてたまるかと言わんばかりに 次の右コーナーの立ち上がりで猛加速するVAB。再び距離を離す。 

 

 

   「ファガアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

再びウネウネ道。右に 左に切り返していく青娥。GC8のライトはVABを捉え続けている。

 

 

 

てゐ  「 行け 止まるな 私は限界を超えて走り続けたい・・・ 」

 

 

あえて言うと 青娥はまったく手を抜いてはいなかった。単走でも 独走状態でも 彼女は自分の100%の走りで突っ走っていたつもりだった。

 

 

てゐ  「 振り切れ 私を満足させて見せろ・・・ 」

 

 

あとから追いつかれる かもしれないという考えも 頭にはあった。だが ミラーに相手のライトが写らないという事実が 意識しない油断を産んだ。

 

 

てゐ  「 焦りは禁物 心配は無用 」

 

 

 

左ブラインドコーナー。その先に現れるのはU字のタイト右コーナーである。

 

 

 

てゐ  「 お前は 私が倒す。 」

 

 

 

 

ブレーキング。左コーナー入口で一気に速度を落とすVABに 一気にGC8が食らいつく。

 

 

青娥 「くっ!」

 

左に曲がった先には右のU字コーナー。上りのうえタイトなこのコーナーで VABはうまく加速できない。GC8が後ろにピッタリ張り付く。

 

 

  「ファガアアアアアッ ガアアアアアアッ」

 

       「キャ キャ キャ キャ キャ キャ」

 

         「バガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

縦に並んだ状態で、次の右コーナーを立ち上がっていく。その先は湖沿いの超高速セクション。

 

 

レミ  「あ~~。なるほど。ああいうの ね。」

 

咲夜  「ちょっと今回のバトルじゃ参考にならないかもしれませんけど・・・ でも こうやって見比べれば明らかですね。」

 

 

高速セクションへ加速していく二台を見送るレミリアと咲夜。

 

 

   「ファガアアアアアアアアアアア!!

   

    「ブガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 

寅丸  「報告入りました! コース後半 超高速セクションに切り替わる地点で GC8後追いで二台並んだまま通過していったそうです!!」

 

ナズ  「お、追いついた・・・?」

 

鈴仙  「あのU字コーナーの地点で後追い・・・ それって・・・」

 

報告を聞いても 蒼白の鈴仙達の表情は晴れない。

 

鈴仙  「ダメじゃん!その先全部高速セクションじゃん!抜かせる所ないじゃん!負け確じゃん!」

 

寅丸  「序盤のテクニカルセクションで勝負できなかった時点でもうダメだったんだぁ~~ 終わったぁ~~。」

 

 

 

ナズ  「・・・いや 違う・・・!」

 

ふと、あることに気づき、思わず口走るナズーリン。

 

 

ナズ  「本当に 本当に車重が軽い車が一番武器になるのは タイトなコーナーが続く区間や スネイクコーナーが続くテクニカルセクションじゃあ ない・・・ 車重が重い車を追いつめるとしたら むしろロングストレートの方が ロングストレートの「終わり」の方が ラクなんだ・・・  まさか・・・! 」

 

 

 

 

 

青娥は 超高速セクションでのVABの優位性に関しては 寅丸星達と同意見であった。

 

 

  「ファガアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

直線路を快走するVAB。車体二つ分ほど開けて てゐのGC8が追いかける。

緩やかな右コーナー。ほぼスピードを落とさずに突っ込んでいくVAB。

 

 

青娥 「そう・・・そう! こういう緩いコーナー、ここはもう高速セクション!ハイスピードならこの車は負けない! ましてや 抜かされるものか・・・!」

 

 

GC8も加速にかけては比類ない車の一つである。だがしかし、高速走行での安定性となると これまた一難ある車であった。5ナンバーでまとめられた車体は単純に左右のタイヤ間の幅がなく、タイヤそのものも比較的細い。

 

かまわずアクセルを踏むてゐ。だがしかし その不安のせいか 今一つVABに追いすがれずにいた。

 

 

   「バガアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

てゐ  「・・・・・。」

 

 

トラス橋を超え 左コーナーが現れるが 緩すぎてほぼ直線である。ほぼ踏みっぱなしの二台。速度はまだ上がる。

 

 

てゐ  「(もしかしたら リミッター引っかかるかもな・・・)」

 

 

てゐのGC8は リミッターカットされてない。次の右コーナーの先は二つのトラス橋が直線で繋がっている かなり長めのロングストレートである。

 

  「ファガアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

右コーナーから飛び出し、一つ目の橋を猛スピードで渡っていくVAB。GC8との差が開き始める。

 

青娥  「!? 追ってこない・・・!?」

 

 

ふと スピードメーターに目を落とす青娥。メーターが190キロまでいっている。

 

青娥  「そうか、リミッター! 向こうは180までしか出せない!でも迂闊だったわ・・・ ここでこんな勝負になるとは・・・!」

 

 

二つ目の橋の先。薄暗い。そこは右の中速ブラインドコーナー。普段、通り過ぎるにはなんてことはないコーナーではある。だがしかし、今のVABはスピードが乗り過ぎていた。

 

青娥の肌に 汗が走る。 

 

 

青娥  「 オーバー スピードっ!! 」

 

 

ナズ  「・・・ストレートエンド。長いストレートから中速コーナーに入る入口。そこで 車重が重いVABは 絶対的にブレーキングが苦しくなる・・・!」

 

 

アウト側 コーナー入口へ突っ込んでいくVAB。長く 赤く光るブレーキランプ。大きく速度を落とすVAB。GC8との間にあったマージンが あっという間に消える。 

 

 

 

ナズ  「因幡てゐが ヤツが ずっと四駆乗りだったら 加速力に甘えて突っ込みのスキルなんて身につかなかったかもしれない。だが、ヤツはついこの間まで 非力なフィールダーでバトルしていたドライバーだ。非力な車にとっては 「突っ込み」は重要な武器なんだ。突っ込みで てゐが負けるはずがない・・・!」

 

 

 

瞬間、てゐは車を右側へ振った。高速で猛追していたてゐにとって そこは ブレーキをかけるポイントではなかったのだ。ただ、ぶつからないことを考え、IN側へ抜けていくGC8。減速するVAB。

 

GC8が インから 並ぶ。

 

青娥  「ぐ・・・ううっ!!」

 

コーナーへ 二台 横に並んで突っ込んでいく。スピードを殺し切らず、右側からそのままコーナーへ侵入するGC8。鼻ヅラが VABよりも前へ出る。

 

 

   「バガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 

コーナー中盤。アクセルを踏みたし、加速し始めるGC8。アクセルを踏み切れない青娥。それどころか VABの車体は コーナー外側へと傾き、よろけかかっている。

 

 

  「キャ ガ ガ ガ ガ」

 

青娥 「(こっちはオーバースピードだっていうのに・・・こんな・・・こんな・・・!)」

 

コーナー出口で GC8はもう車体半分以上抜きに出ていた。次の左コーナー。今度はGC8がアウト側である。

もはや、青娥にできることは何もなかった。アウト側から突っ込んでいったガンメタのGC8はそのままVABを引き離し、立ち上がりで突き放した。

 

 

 

   「バガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

青娥 「ま、負けた・・・・ 何てヤツだ・・・・」

 

 

車体2台分ほど離れ、GC8の後を追う青娥のVAB。しかしその後、VABが抜き返すことはなかった。

 

 

 

 

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寅丸 「やりましたっ! てゐさん! 勝ちました!! いつのまにか抜いて 先にゴールしたようです!!」

 

鈴仙 「えっえっえっえっ どこで? どうして?」

 

イマイチ状況が掴めず混乱する中 とりあえず勝利を祝い始める 寅丸星ら。

 

 

ナズ 「(勝ちやがったか。運のいいやつだ・・・ いや、どうだろうな・・・?)」

 

 

少し離れたところで 考えをまとめ始めるナズーリン。

 

 

 

ナズ 「(・・・この長いコースで 後半の超高速セクションで勝敗が決まるなんてことは まずない。レベルが拮抗してるならば初めのセクションからの長期戦で 最後の区間ではどうしても消化試合になるし、明らかなレベル差があるならあそこでは差が明らかについてるハズだ。旋回性能のバトルなら手前のテクニカル・セクションで勝負するだろうし、パワー勝負なら序盤のストレート勝負で片がつく・・・)」

 

思わず苦笑いするナズーリン。

 

ナズ 「(青娥が十分時間かけて対策を練ったとしても あそこで勝負になるとは100%予測できなかっただろう・・・ 計算狂いが起きたんだ。あそこで スタートの時点で てゐがクラッチミスを起こしたせいで すべて狂った。VABの高速性能に自信を持っていた青娥は 油断して負けた・・・ 全て繋がってはいるが・・・・

 

あいつ、よっぽどの幸運持ちか それとも・・・ いや、そんなまさかな・・・・ )」

 

 

 

 

 

 

 

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数時間後。

 

 

天子  「見てよこれ。靴ごしでもスパイクみたいにツンツン立ってるのがわかる。ここの路面がこんな荒れてたなんて・・・。」

 

天子達が立っているのは 鈴仙が天子を追い抜いたバス停留所 そのバス停車スペースのアスファルトの上である。

 

天子  「こんなトコで何度もフル加速しまくったらすぐタイヤダメになるわよ。」

 

衣玖  「じゃあ二本目あったら勝てました?」

 

天子  「冗談。あんなことやるヤツと何回も走ってたら命が持たないわ。」

 

 

青娥  「・・・まだ天子様はいい方じゃないですか。私の方がショックですよ。姿が見えないとは思ってましたが スタートであそこまで その あんなタイム差があったなんて・・・ しかもそれで負けるなんて。」

 

天子  「フッ それだけアイツ等の実力が凄かったってことよ。てゐって子はともかく、鈴仙ならもうガチクラスとヤリ合っても勝てるぐらいまで実力あるんじゃないかしら。」

 

 

衣玖  「・・・ほう。では、私の出番ですかね。」

 

意味ありげに呟く永江 衣玖。 天子はそれをたしなめる。

 

天子  「アンタはまた来週に猿岸で 別のバトルがあるんでしょう? 私 個人的にはソッチのバトルの方が 負けちゃうとイヤなんだけど。」

 

ふむ と手を顎にあてる衣玖。

 

 

 

衣玖  「あの 八雲 藍 という者とのバトルですか。」

 

 

 

天子  「そうよ。なにあの高圧的な態度。バトル申込の時私も聞いてたけど、コッチのことバカにしすぎでしょ。しかも多分アイツ、マシンの性能で天狗になってるだけよ? 峠ってものを分かってない・・・」

 

衣玖  「まあまあ。峠でマシンを走らせてる以上 同じ穴のムジナ。バトルする時は正々堂々と戦うべきです。 」

 

天子  「それでいながら自分は峠の走り屋とは違う 自分は正しい っていう態度貫くから余計頭にくるのよ。気に入らない。いい、衣玖?あんなのに負けるのは本当に許さないから。」

 

 

フッ と笑いを漏らす衣玖。

 

 

衣玖  「 言われなくても。 そういうヤツを負かすのが 私の走りですから。」

 

 

 

 

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   「 ガシャッ コン 」

 

 

 

自動販売機から 缶入り野菜ジュースを取り出すてゐ。販売機の明かりが てゐの横顔を照らす。

 

てゐ 「ふ~~。よかったあ~。なんとか勝てて。」

 

鈴仙 「 ホ ン ト に な 。」

 

 

てゐや鈴仙達の仕事場の駐車場まで戻ってきた二人。バトルの後、仲間内で話し込んだりしたこともあり、かなり時間がたってしまった。いまはもう明け方近くである。

 

 

鈴仙 「一時はどうなることかと思ったよまったく。」

 

てゐ 「うん。でも、私はいつの間にか巻き込まれてたんだよ? 私がヒルクライムやらないって言いだしたらどうするつもりだったのさ 」

 

鈴仙 「別に。いざとなったら、てゐがもう一台スポーツカー買い足したこと お師匠様にチクってやる って言って脅すつもりだったし。」

 

てゐ 「げっ・・・ そんなこと考えてたのか。鈴仙も最近やり方がエゲツなくなってない?」

 

珍しくたじろぐてゐ。

 

鈴仙 「てゐ・・・・ もしかしなくてもお師匠様にGC8買ったこと言ってないでしょう 」

 

てゐ 「まあね。言ったら絶対ごたごた言ってくるだろうし。」

 

鈴仙 「だからって・・・バれた時の方が怖いわよ?あの人、人のお金の使い方もクドクド注意しないと 気が済まないタチの人だから。」

 

永琳 「それはあなた達が勝手に散財するからでしょう。車なんかに無駄な金使って くだらない。 その点てゐはおとなしい車選んでくれた ようだからぁ 信じて いたんだけど。」

 

 

 

てゐ 「    」

 

鈴仙 「    」

 

 

 

硬直する二匹の兎。青ざめた顔で、顔だけ 無理やり声が聞こえた方へ向ける。

 

そこには 八意永琳が 静かに佇んでいた。 いい笑顔で。

 

 

永琳 「てゐ。今日は ずいぶんと派手な車に乗ってるのね。いつものカローラじゃなくて。どうしたのかしら。こんな車。ねえ?」

 

てゐ 「い・・・いや!チガウノデス!キョ、今日はたまたま知り合いの車借りて運転してきただけで! そ、そう!オモロれんたかーナノデスウサ!」

 

永琳 「鈴仙。」

 

鈴仙 「ハイイッ!」

 

永琳 「この車、誰のものなのか言ってごらんなさい。」

 

てゐ 「れ・・・れいせん・・・・た・・・たの・・・・」

 

鈴仙 「てゐ ごめん」

 

てゐ 「ちょっ、このウラギリモノっ、ってまって、違うの!これには深~い訳があって! は、話せばわかる!!  ちょ、まって、助けてーーー   」

    

    

 

 

 

 

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チルノ「古いクルマは あちらこちらでトラブル~~」

 

寅丸 「車ですもの多めに見てね」

 

響子 「ミンナ自由に生きている」

 

一輪 「次回 「 MIDNIGHT LIGHTNING BOLT 」」

 

鈴仙 「君は走るのが得意なフレンズなんだね」

 

 

 

 

 

 

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