異形種商人ギルドも転移します   作:かのんベール

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今回は誤字確認がまだの状態です。すみません。


ひたひたと迫り来る戦争の足音

新しい薬草を採取してから程なくして、リージー氏が紫色のポーション精製に成功した。日頃からリージー氏にはポーションの割合は記録するように告げてあるので、一度成功すれば何度でも再現することは可能だ。部下の薬師を何人も付けて効率的に研究を進めた成果と言えるだろう。ポーションの研究を開始してからまだ時間は経っていない。この調子で行けば次々と新しいポーションを精製することも可能かもしれない。もしかしたらユグドラシルと同じ、もしくは同等の効果を持つポーションの開発も出来るかもしれない。夢は広がるばかりだ。

 

しかし、これと時期を同じくしてンフィーレア氏も紫色のポーションの開発に成功したという。調合も大体同じ構成だった。満足な部下も研究所もない状況で我社と同じ成果を上げる彼はやはり天才と形容して問題はないだろう。最初はアインズ・ウール・ゴウンの援助があったのではないかとも考えたが、カルネ村に潜伏させたゴブリンの報告を信じるならば彼はいつもあの家から紫色の煙と異臭を漂わせて研究を続けているらしい。そうなるとゴブリンでは役不足だ、人間の部下を冒険者に扮させて村に送り込むべきだろうか……。最悪の場合ンフィーレアの研究成果を盗まなくてはならないかもしれない。流石のポーションの完全系を作り出してしまえば、彼は確実に情報の秘匿を命じられるだろうからな

 

王国におけるポーションのシェア率は今やリージー製薬が9割を占める。残りの1割の駆逐も時間の問題だろう。また品種改良をしたという名目で売りに出したユグドラシル産の馬も随分と高値で売れている。次の帝国との戦いでの兵站も我社が独占して引き受けることとなった。王国や貴族、組合を中心とした軍事関連の独占もあと少しといったところだ。魔法を使ったゴリ押しの大規模農園も問題なく安定した食料を生み出している。第一次産業の掌握も時間が推し進めてくれることだろう。

 

今後は富岡製糸場をモデルとした繊維工業への着手と同時に、水族館や魔獣園などの娯楽施設を運営することで富裕者層との繋がりを築いていく予定だ

 

「会議中に失礼します。至急社長のお耳に入れたいことがございます」

 

「なにがあった?」

 

「先程カルネ村に潜伏中のゴブリンからスクロールを使っての緊急のメッセージが入りました。ンフィーレア・バレアレとエンリ・エモット並びにその妹ネムが今朝方外行きの格好をしており、その後村から姿を消したそうです。恐らくは転移の魔法で移動したのかと」

 

行き先は多分ナザリック地下大墳墓か?しかし人間を招き入れるなんてことが有り得るのか?もしかしたらNPC達もそこまで人間を嫌悪している訳ではないということか?先のヤオダバルトを名乗る悪魔との戦いの混乱に乗じて推計およそ1万人を攫ったという事実は揺ぎないが……。私も部下に食人種がいれば同じ判断を下しただろう。人の命も大切ではあるが、かつての仲間達が残していった配下であり今後の戦力を情や倫理観で手放すの愚策と言わざるを得ないだろうからな

 

「恐らく転移先は件のナザリック地下大墳墓である可能性が高い。彼らは再びカルネ村にゲートを開き戻ってくるはずだ。相手に気付かれるのはこの際構わない。何としても転移門の繋がる先の所在地を突き止めよ!」

 

「了解しました。魔法に長けた部下にふかしの呪文をかけてカルネ村の至る所に配置いたします」

 

 

 

そろそろ日没になるが、今日は帰って来ないのか?

 

『メッセージ:転移門を確認!こちらの存在に気付かれ反撃を受けております!』

 

「グレーターテレポーテーション!」

 

「お帰り、諸君。それで?早急に結果を聞きたい」

 

「はっ!自分が担当していた区域に転移門が現れましたが……」

 

「敵の居場所は掴めずか……」

 

「お役に立てず本当に申し訳ございませんでした!」

 

「恐らく彼らも対処していたのだろう。君たちのミスでは無い」

 

こちらも対策は取っているので我々の仕業であることは掴めていないはずではあるが……

 

「念の為、防衛警戒レベルを厳に引き上げておいてくれ」

 

「了解しました」

 

当初警戒していた反撃もなく、平和な日々が続いていた。王国内ではの話だが。

 

「帝国の腕利きのワーカーが全滅した?」

 

「なんでも遺跡の調査に向かったワーカー及びその荷物番を任されていた冒険者が誰一人帰って来なかったと……」

 

冒険者組合のアインザック組長がいつになく慎重な面持ちで自体を説明してくれる

 

「その調査は誰の依頼か分からないのですか?」

 

「貴族からの依頼という形でしたが、恐らくは帝国の差し金かと……」

 

その遺跡がナザリック地下大墳墓の可能性が濃厚だな……。先日一万人という大規模な収穫があったアインズ・ウール・ゴウンがわざわざ今回の事態を招いたとは考え難い。であればやはり帝国がナザリック地下大墳墓を発見したということか。私たちの本部のように隠匿魔法をかけていないのか?それすらできない程に資金難なのか……。あれを維持するには持続的な魔力供給が必須だからな。廃課金厨である私からすれば永遠とも言える期間維持することができる程度の消費量ではあるが

 

「それともう一つ不可解な点が」

 

「なんです?」

 

「帝国で突如大きな地震が発生したらしく、調べによると帝国の騎士の多くがが行方不明になっているようです。しかも帝国はその事実を隠そうとしていると……」

 

「それは……帝国内でなにか大きな事件が起きている可能性が高いですね」

 

となると、ワーカーの失踪もアインズ・ウール・ゴウンの仕業ということになるのか……。しかし今更メリットが分からないな。王国のみならず帝国の騎士までも誘拐するとは……。今回は食料ではなく兵力を集めているのか?しかしだとすればこれは好機だ。数ヶ月後に迫った帝国との戦争で疲弊仕切った帝国を叩き潰すチャンスかもしれない。今年は宣戦布告すらされないかもしれないが……。どちらにせよ帝国の内情を探った方が良いかもしれないな

 

 

 

その報告は帝国への密偵を選抜している時に入った。

 

「帝国からの宣戦布告がなされるため、兵站を担うスター商会は至急登城されたしとのことです」

 

「分かった、今すぐに向かおう。会議は一時中断、馬車を用意してくれ」

 

「かしこまりました」

 

直ぐに支度を済ませて王城へと向かう。今宣戦布告となると通常通り、戦争は2ヶ月後か

 

「帝国はアインズ・ウール・ゴウン魔導王率いるナザリックなる組織を国家として認め、同盟を結んだことをここに宣言する。バハルス帝国皇帝 ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス」

 

馬鹿な!?有り得ない!何故今までコソコソと身を隠していた彼らが今になって突然……!

 

「元々エ・ランテル近郊はゴウン魔導王の土地でありリ・エスティーゼ王国は本来の所有者に献還しなくてはならない。帝国はゴウン魔導王に協力し王国に侵攻し、領土を奪還する。これは正義の行いであり、不当な支配から解放するものである」

 

いや待て、確かに帝国で揺さぶりをかけていたのは分かる。ワーカーの一件で大義名分を得て帝国に戦争を仕掛ける。それなら話は納得がいく。しかし何故同盟関係になっているのだ。何故、王国が宣戦布告されているんだ。分からない。分からないことが多すぎる……。とにかく帝国にちょっかいを出すのは危険だ

 

「王国の歴史においてアインズ・ウール・ゴウンなる人物がエ・ランテル近郊を支配していた史実はなくこの要求の正当性も当然ない」

 

そうだ!そうだ!あの都市には我社の建物が幾つもあるんだ、奪われてなるものか!

 

「狂人の戯言ということですな」

 

「恐らく帝国は毎年攻め入るネタに困ったのでしょう」

 

「どうでしょう……」

 

戯言は正解だがネタに困って空想のナザリックを作り出したというのは間違いだな

 

「しかしその名前はどこかで聞いたことがありますな。ストロノーフ戦士長殿?」

 

「私を助けてくださったマジックキャスター殿で間違いないでしょう」

 

「発言をお許しください。彼の皇帝の宣言を受け入れるのは困難。故に戦争しかあるますまい」

 

それは……愚策だな。プレイヤー相手では分が悪すぎる。まぁそれを判断するだけの材料を持っているのはこの場では戦士長だけだろうし、無理もないか。

 

その後も戦士長の必死の訴えも虚しく、戦争の火蓋は切って落とされた

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