異形種商人ギルドも転移します   作:かのんベール

11 / 13
王国対帝国

カッツェ平野で王国と帝国の兵士が睨みあっている。例年ならば既に帝国が攻め込んで来ているはずだというが……。恐らくは今年から参戦したアインズ・ウール・ゴウンによる影響だろう。となれば初撃はド派手に一発かましてくるのだろうか

 

「動きがありました」

 

帝国の門が開き……あれはデスナイトか。随分な数を使役しているようだな。まぁ雑魚が何匹集まったところで余り戦力に変わりはないが、彼ら王国兵にとっては一匹でも相当な脅威になるだろうな

 

『メッセージ:敵の正体が掴めました。恐らくはアンデットの不死王モモンガである可能性が極めて高いかと』

 

まさかギルド長その人とご対面とは……。しかし彼は生粋のマジックキャスター。近接戦に特化した部下を数人送り込めばお釣りが来るだろう。しかし相手の仲間が何人こちらに転移してきているか分からない以上余り敵対は避けたいが、果たして……

 

「な、なんだあれは!」

 

王国兵が魔法詠唱を見てどよめきをあげる。あの術式は恐らく召喚系の超位魔法だ。一体どのモンスターを召喚するつもりなのか……。なんか凄い楽しそうな気配が伝わって来るし、中々に素晴らしいモンスターなのだろう。こっちまでドキドキしてきたな

 

「イア・シュブニグラス」

 

……は?

 

黒い風が左翼の兵士の間を吹き抜けていく。次の瞬間には7万の兵士が崩れ去った

 

あの魔法はその派手さ故にユグドラシル時代も人気の魔法の1つではあったが……。あれを現実で使うとは……

 

直後空中に巨大な黒球が現れ、その重さに耐えきれなかったかのように球は地面に落ちて破裂した。中から溢れ出した黒液は倒れた兵士達を飲み込んでいき……

 

五体の黒い仔山羊が召喚された……。

 

上部には触手が生え、身体には幾つ物口があり、足は羊というなんとも気持ち悪い、黒い肉塊が誕生したのだ

 

モモンガさんも随分と興奮しているようだ。ユグドラシル時代では一度に二匹召喚できたら大成功だったからな……。だからといって現実でそこまで嬉しいかと言われれば犠牲となった7万の命の前にはそういう感情は抱けないな……

 

その後の戦いは戦いと呼ぶには烏滸がましい蹂躙劇であった。24万いた兵士達は今や殆どが死体となってしまった。次に踏み潰されるのは我々兵站部隊のようだ。

 

「だがレベル90やそこらのモンスターに踏み潰される訳にはいかないな……」

 

「了解しました!」

 

そう言うと護衛に着いていた部下が二人一斉に攻撃を仕掛け、黒い仔山羊は呆気なく地面に沈んだ

 

「二人とも助かったよ」

 

「護衛としての任を果たしたまででございます」

 

「うん。では私も兵站部隊とは言えども王国兵士としての忠義を見せねばなるまい」

 

「リバース・タイム!」

 

黒い仔山羊達が次々と崩れていき、その後には生贄となった兵士達が大量に横たわっている

 

「トゥルー・リザレクション!」

 

倒された兵士達が次々と復活していくのは、正直この世の光景とは思えないな……。神が見たとしたら大激怒は免れない行為だ

 

「トュル・オーダーライン!」

 

遠くまで逃げ出した兵士達を含め総勢24万の兵が元通り最初の配置へと戻っていく

 

そして最後に……

 

「コントロール・アムネジア!」

 

記憶消去で彼らのトラウマはきれいさっぱりリセットということだ

 

「我々は一体……」

 

混乱している兵士達の前に出て状況を説明することにしよう

 

「あなた方は負けたのです!」

 

「なんだと……!」

 

「誰だお前は!」

 

「私は今回の兵站を任されておりますスター商会会長のホースです」

 

「貴様一体何をした!?」

 

「だから言っているでしょう。あなた方は負けたのです。そして私がこうして蘇生して差し上げたのですよ」

 

「誰かあの狂人をつまみだせ!」

 

 

王国兵の前にスクリーンをだし、先程までの惨状を投影する

 

「どうだ?思い出したかな?まぁ思い出されても困るんだがな」

 

見ると兵士達の足が小鹿宜しく震えている

 

「覚えていなくとも君たちを殺した者の姿は魂が覚えているだろう!」

 

「分かった!分かったからこの映像を止めてくれ!」

 

要望に応え直ぐにスクリーンは閉じる。私は余りサディスティックな趣味はないしな

 

 

 

「そろそろ良いかな?」

 

絶望のオーラ全開のモモンガがこちらへと尋ねてくる。ここでまた殺されても堪らないし、彼らには最高の防御魔法を付与しておこう。これなら一度死んだくらいでは死なないだろう

 

「なんの御用ですかな?不死王殿?」

 

「下らない言葉遊びをする気はない。貴様は何者だ」

 

「その絶対的強者の態度が貴様の欠点のようだな」

 

「なんだと?」

 

「そう怒るなよ。そんなに短気ではとてもではないがギルド長なんて務まらないぞ?」

 

「私は魔導王であり決してギルドなどというちっぽけな存在の長ではないのだが?」

 

「そうか……。皆で作り上げたギルドをちっぽけ呼ばわりとは……ベルリバーさんが聞いたらなんと思うか……」

 

「何故その名前を……!お前は一体…… 」

 

「そういえば質問に答えていませんでしたね。私はスター商会会長のホースと申します。以後よろしくお願いします」

 

「スター商会……ホース……プレイヤー」

 

おっ?気づくか?

 

「まさかギルド紋STAR☆のギルド長馬ん魔さん……」

 

「バレたら仕方ないよね?」

 

そう言って死神のフードと馬の骨のマスクと大鎌を装備する

 

「まさか人間種が死の獣の振りをしていたというのか……」

 

「そういうことです。おめでとう、あなたが初めて私の秘密にたどり着いたプレイヤーですよ。ついでにもう一つ秘密を暴いてくれませんか?」

 

「もう一つ?」

 

「スター商会がここまで力を蓄えているこの現状。やり口。ユグドラシルで見覚えがあるんじゃないですかね……?」

 

「…………!?いや、まさか……そんなことが…………有り得るのか……?死の獣がBIなどという……」

 

「おめでとう!これで私の秘密を全て暴いた唯一のプレイヤーになれましたね。非公式ラスボスに攻略して頂けるなんて感激の極みです」

 

緑色の淡い光がモモンから立ち上がり、直ぐに収まる。ユグドラシルでは見たことがないエフェクトだ……

 

「世辞はよせ。貴様がわざわざこの事実に誘導したのだろう。なにが目的だ」

 

目的か……。誰かにこの秘密を知って欲しかったのかもしれないな。信頼できる部下に囲まれていたとはいえたった一人で異世界の地で孤独だったんだ、やはり同郷のプレイヤーに哀愁の念を抱くのは自然な流れだろう。

 

例え相手が人間としての情を忘れたアンデットであってもだ。そもそも私の部下のアンデットはカルマ値が極善に設定されているからな。そこら辺の違いが精神に影響を与えているのかもしれない

 

「君たちがギルドの名を冠して行動しているというのに、我々だけ正体を隠して戦うのは卑怯というものでしょうからね」

 

「確かにその通りだ。しかし無闇に相手に正体を晒すのは愚策とも思えるが?」

 

「あなたには言われたくないですね。それに、相手が巨大異型種ギルドと巨大商人ギルドと分かればあなたがたも無意味な争いを仕掛けて来るとは思えませんしね」

 

「平和的かつ友好的な解決を望んでいると?」

 

「そういうことですね。どうですか?我々に服従するというのは?」

 

「冗談はよせ。たかが商人ギルドと中堅異型種ギルドの連合体に我々アインズ・ウール・ゴウンが負けるとでも?確かに君たちプレイヤーによって構成されていた攻略部隊は強かった。しかし……」

 

「かつて貴方に倒された1500人の中に討伐隊も入っていますからね。警戒する程ではないんじゃないですか?」

 

「その通りだ。彼らのドロップしたアイテムは非常に高価だったからよく覚えているよ」

 

そう、あの頃はまだ弱かった。私はユグドラシルが過疎化するにつれて、課金額も増えていき、皮肉にもプレイヤー減少に反比例するかの如く強くなってしまったのだ。課金アイテムによって……

 

「まぁそのプレイヤーという存在がギルド長たる私たちしかここにはいない。恐らく貴方のギルドから転移したのはあなただけのようだ」

 

「それはそちらも同じのようだな。ならば戦力は互角とはいかない。我々の方が上だろう」

 

「それはどうでしょうね?デスナイトや黒の仔山羊を連れ回して喜んでいる小山の大将よりは遥かに強い部下を揃えていますけどね」

 

「グレーターテレポーテーション!」

 

私の牧場で飼育している黒の仔山羊総勢10体を彼の前に転移させる。お互いに警戒しているからこそ、200mは距離を取って会話をしていたからこそできるショーでもある

 

「アインズ様お下がり下さい!」

 

「ここは我々が!」

 

どこからか現れたアルベドとデミウルゴスの指示により、次々と私のペットが倒されていく。階層守護者7人が揃ったようだ

 

「なんと愚かな……」

 

「下等種族が……!」

 

「貴方には死すら生温いでありんす」

 

とてつもない殺気を放つ階層守護者たち。まだこちらの力が分かって居ないようなので……

 

「死の軍勢!」

 

と唱えつつ実は部下のアンデットを大量に転移させる。といってもその数は100に満たない程度ではあるが、その見た目はエランテルの墓地で見たのと同じだ

 

「下級アンデット如きが幾ら束になったところで、所詮はゴミはゴミでありんす」

 

「脳みそが足りない下等種族に力の差を教えて差し上げましょう」

 

真っ先に武人であるコキュートスと、戦闘能力の一番高いシャルティア。そして激おこのアルベドがアンデットを屠らんと突撃してくる。

 

だが彼らの一撃は前列のスケルトン達に容易く防御され、意味を成さずに終わる。それもそのはずだ。彼らは驚いているようだが、これには種も仕掛けもない。単純に彼らの一体一体がレベル100であり、純粋に階層守護者と同等の戦力を持っているというだけの話だ

 

「バカを言うな!レベル100NPCを一体つくるのに幾らかかると思っているんだ!」

 

「20万あれば充分だと思うぞ。つまりこの軍勢は2000万くらいの価値がある」

 

「バカな……」

 

「ワールドアイテムを際限なく増えていくだけだし、余ったお金をちまちまNPCに入れてたらこうなってしまっただけのことさ」

 

「一体幾ら課金したんだ」

 

「平均して年に数千万入れてたからな……10年以上続けてるから……うわ……」

 

「億いってませんか?それ……」

 

「いってるね。知ってたけど目を向けないようにしてたんだよ」

 

「そんな頭のおかしいギルドがあったなんて……」

 

「絶望の中で敗北を知るといい!ナザリック地下大墳墓ならばいざ知らず、このなんの準備もされていない平野では物量こそが、力こそが全てだ!存分に戦いを楽しんでくれ」

 

『メッセージ:私は本部に帰る。彼らもワールドアイテムをここで使用する程愚かでは無いだろうけど、使用してきた場合は君たちに預けたワールドアイテムを躊躇わずに使用してくれ』

 

どの道押し切られて、彼らは撤退するだろう。私も居なくなったあの戦場で律儀に帝国を守る意味があるとは思えないしな




次回、アインズ様視点を挟んでから最終話になります。で1日2話投稿です

ご都合主義によりアインズ様の動きが微妙だと思います。普通のアインズ様ならこう動くんじゃね?とかあったらコメント貰えると嬉しいです。その他の感想もお待ちしています!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。