先日のデミウルゴスとの戦いで私、漆黒の英雄モモンの名声は不動のものとなった。同時に大量の人間の捕獲にも成功した。全てはデミウルゴスの思惑通りということだ。
「しかし懸念事項は多い」
「申し訳ありませんアインズ様。八本指の仲間を数名取り逃してしまいました」
「一人でも十分な失態だというのによもや複数名も取り逃がすとはどういう了見なんだい、セバス?」
「お言葉ですがデミウルゴス。娼館で強者が八本指にいることはお伝えしたはずです。私とソリュシャンだけでは力不足だと思いますが?」
「つまり作戦の人員配分を行った私の責任だと?」
「もうよい。過ぎたことをいがみ合っても仕方がない。もしかしたらその者達がプレイヤーであった可能性は高い。そうでなくとも強者がこの王国内にいると分かっただけでも、今後のナザリックの行動を決める重要な要素になるだろう」
しかし、セバスをもってしても抑えられないということはかなりの強者だ。それに複数人となると今後の戦闘にも慎重にならなくちゃいけないな……
「それと今回のアインズ様の計画を不敬にも利用した人間共のことですが……」
アルベドのいう人間とは、スター商会のことだろう。最近創立されたリージー製薬会社が力を伸ばしていたが、その親会社がスター商会だという。私が王国で冒険者として活躍し始めたのとほぼ同時期にカルサナス都市国家連合からやってきた商人で、先の戦いで崩壊した街の復興に多くの人員を投入し瞬く間に街を復旧させた人物だ。今回の戦いで冒険者モモン以外にも第二王子のように名声を高めた者もいる。しかしこれはデミウルゴスの想定内であったらしく、ラナー王女と協力して王国を支配する準備が整いつつあるようだ。しかし、スター商会はポット出である上に完全なイレギュラーである。最近では王国や貴族の兵団にポーションをはじめとした大口の契約を結び、更には次の帝国との戦争における兵站を一手に担うことになったと言う。ラナー王女も相当の切れ者であると聞くが、彼も中々の手腕だろう
「やはり殺した方がよろしいかと」
「まぁ待て、彼の手腕は中々のものだ。人間とはひ弱であるが故に、我々の想像以上に強かで傲慢な生き物でもある。彼には近い将来我々が王国を支配した時に活躍してもらうかもしれない。今は手出し無用だ。引き続き監視を続けて欲しい」
「アインズ様がそう仰るのであれば……」
「それで?スター商会及び傘下のリージー製薬に関して変わった点や新たな動向は掴めたか?」
「はい、アインズ様。スター商会が用意した人員でありますが、あれだけの人数が今まで屋敷で生活していたということがそもそも不信かと。彼らがエランテルに運び込んだ物資は合計での馬車20台であり、荷馬車の中身全てが従業員でなければ説明がつきません」
「この地で従業員を増やした可能性はないのか?」
「ポーションの大量生産に伴い、失業した薬師を中心に新たに従業員を雇い入れているようですが、大規模な人員雇用を行ったという話は聞きませんでした」
「確かに不信だな……従業員の身元はどうなっている?」
「復興した家に住んでいる者が大半のようです。戸籍や名前も以前から存在するもので身元に不審な点は見当たりませんでした」
ならば前々からスカウトして集めていた従業員ということか?それも少し引っかかるが……
「次にリージー製薬ですが、最近はンフィーレアへの勧誘を行っているようです」
「なに……?」
「本人は断っているようですが、一定の期間を空けて定期的に直属の部下がカルネ村に勧誘に訪れているようです」
ンフィーレアの才能は確かなものだ。本来であれば祖母のバレアレも囲い込みたいが、先に商会と契約を結んでしまったからと断られてしまった。その上ンフィーレアまで持っていかれるのは不味いな。それに彼には道具を幾つも貸し与えている。やはりナザリックで軟禁状態で研究をさせるべきか?
「我々を裏切る可能性はあるのか?」
「ルプスレギナの見立てによれば、その線は薄いかと。彼の忠誠心は薄れていないようです」
「ならばこのまま様子を見ることこする。だが勧誘が余りにも執拗いようならば対策はしよう」
一先ずは様子みかな。トブの大森林にはアウラに任せている施設の建設が行われているし、そちらに手を拡げられると困るが……。
こんな怪しげな組織がアレばアインズ様であれば慎重に行動すると思いますが、そこは申し訳ないです。原作と同じルートを辿って頂こうと思います