IS~傷だらけの鋼~   作:F-N

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お待たせしました。

全っ然地の文が成長しない……。

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第四十六話

 ……強さとは、何だ。

 

 ──俺もよくわかんねえ。強いて言うなら心の在処。己の拠り所。自分がどうありたいかを常に思う事じゃないかと、俺は思う。多分な。

 

 ……何だ、それは……。

 

 ──だから言っただろ、よくわかんねえって。なんて言えば良いのかな……。ああ、あれだよ。自分がどうしたいかもわからねー奴は、強い弱い以前に歩き方を知らないもんなんじゃないか?

 

 ……歩き、方。では、お前は? お前は何故、強くあろうとする? どうして強い……?

 

 ──馬鹿言うなって。俺は強くねえよ。俺は、全く、強くない。俺だって自分探しの最中だし。あの人の方がよっぽど強い。

 

 ……何、だと? 自分探し? あの人?

 

 ──おう。自分が何をしたいのかを。あの人は本当に強いぞ? 自分だけで精一杯の筈なのに、俺や箒達を助けて、支えてくれたりする。本当に頭が上がらねえよ。お前にだっているんだろ? 助けてくれた人が、支えてくれた人が。

 

 ……私、は……。

 

 ──お前もやってみろよ。自分探しを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は夕方。IS学園の特別医療室にて。

 

「──う……あぁ……」

 

 ぼんやりとした光、香る薬品の匂い。それ等によってベッドに横たわる少女──ラウラは意識を取り戻す。それと同時に襲い掛かってきたのは全身に走る激痛であった。

 

「──イ゛ィッ……!? はぁっ……」

 

 いったい何が起こったのか。身体が思うように動かない。激痛にその顔を歪めつつ、おもむろに自身の手を見ると満遍なく巻かれた包帯が。顔も布の感触がある事から、自分は包帯まみれという結論に辿り着くのは簡単な事であった。

 しかし、その記憶が全く無い。覚えているのは学年別タッグトーナメントの一回戦。対戦相手の少年──一夏に最後の最後で一撃をモロに受け、『何か』が自身に囁いた。その後は謎の空間で彼と朧気な会話をしたという事だけ。全く以て状況が理解出来ないでいた。

 

「……? 何、が──」

 

「気がついたか」

 

 突然と隣から聞こえた声。その声には聞き覚え──いや、聞き覚え処ではない。ソレは一瞬で判断出来た。自らが敬愛してやまない──。

 

「……教、官」

 

「…………」

 

 隣に首を動かすと、そこにはぐったりと椅子に座り込む千冬が一人。その目は何故か赤く腫れ、全身からは脱力感が漂っている。その姿は自身がよく知る世界最強では無かった。

 わからない。何故、そんな表情なのか。何故、そんな姿なのか。いつもの凛々しさは、いつもの堂々とした姿は何処へ行ったのか。

 

「どう、したんですか……? 私、は……?」

 

「全身に多大な負荷が掛かった事による筋肉疲労と打撲、外傷が多数だ。暫くは動けないから無理をするな」

 

「何が……起きたのですか……?」

 

「…………」

 

 上半身を起こす彼女はじっと千冬を見詰めた。痛みにより顔は再び歪むが、瞳だけは真っ直ぐ。包帯の間から見える、右目の赤色と左目の金色。そのオッドアイが千冬に問い掛ける。

 見詰める事、暫く。黙り込んだままである千冬は小さく息を吐き、漸くその口を開く。

 

「……重要案件である上に機密事項だが、当事者のお前には知る権利がある」

 

「……?」

 

 そう言って千冬は側にあるリモコンを操作し、彼女の前に空間ディスプレイを呼び出す。そう、彼女は絶対に知らなければならない。

 未だ疑問の表情を浮かべる彼女を余所に、千冬は操作を続けて一つの映像を出す。それは忘れる筈も無い、一回戦の試合。それを早送りし、彼女の機体が変異した所で一旦停止した。

 

「『V.T.システム』は知っているな?」

 

「……正式名称『Valkyrie Trace System(ヴァルキリー・トレース・システム)』。過去のモンド・グロッソの部門受賞者達、その動きをトレースする……いや、確かアレは──」

 

「そう、条約でどの国家、組織、企業においても研究、開発、使用全てが禁止されている。それがお前のISに積まれていた」

 

「……!!」

 

「巧妙に隠されていた。操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ。そして……何より操縦者の意志──いや、願望か。それ等が揃うと発動する様になっていたらしい。我々IS学園だけでなく、各国がドイツに問い合わせている。何れ、IS委員会からの強制捜査が入るだろう」

 

 淡々と語る千冬。それを聞いた彼女は痛みなど忘れてシーツを握り締めた。視線はいつの間にかうつむき、彷徨ってしまう。

 千冬になりたいと望んだが、なったのはそれとかけ離れた──『別の何か』。

 

「私が……望んだからですね……」

 

「……ラウラ」

 

「は、はいっ」

 

 ファミリーネームではなく、教官時代に呼んでくれた名前呼び。このIS学園に来てから呼ばれる事の無かったその名前を、千冬は確かに呼んだ。その声は何処か優しくて、何処か哀しげで。

 

「お前はラウラ・ボーデヴィッヒだ。他の誰でもない、たった一人の、人間なんだ」

 

「あ……」

 

「お前は私にはなれないぞ。……いや、なっちゃいけないんだ。お前は、お前なんだ」

 

「────」

 

 意外過ぎる千冬の言葉に彼女は口を開く事しか出来ない。それは励ましなのか、または別の何かなのか。今の彼女には全くわからないでいた。

 

「……さて、ラウラ。お前には知る権利がある、私はそう言ったな?」

 

「は、はいっ。何か……?」

 

「『V.T.システム』も問題だが、それより大きな問題がその後に発生した。……正直言うと、私はもう二度と見たくはない」

 

「……何を、言っているのです?」

 

「再生するぞ」

 

 そう言った千冬は震えるその手を無理矢理抑えてリモコンを操作する。停止していた映像が再生され、彼女の目に留まったものは──更に装甲や人体部分が鮮明となった『V.T.システム』。

 

「……!!」

 

「柳の回復装置によって『V.T.システム』は更に変異、驚異的な戦闘力を手に入れた。鎮圧に来た部隊は一瞬で全滅、その後柳を襲った。最低で、最悪なプログラムによってな」

 

「……それは?」

 

「……『灰鋼』の破壊と柳の抹殺だ」

 

「なっ──」

 

「『V.T.システム』が発動した際に機体にエラーが発生し、二つのプログラムが追加されていた。その後どうなったかは……その目で見た方が早い」 

 

 絶句する彼女に、千冬はディスプレイを見ろと促す。視線を戻すと、映るのはステージの中央で激闘──いや、死闘を繰り広げている三機のIS。千冬を象った自分自身、それに立ち向かう隆道、そしてそれに介入する千冬の姿。響き渡る怒声とかち合う金属音が彼女の耳に届く。

 競技などとても言えない斬り合いと殴り合い。試合みたく生温いものではない。一目見ただけで嫌でも理解してしまう。それは正に──殺し合い以外のなにものでもなかった。

 

 

 

 そして、彼女は見た。見てしまった。

 

 

 

 彼が次第に傷を増やし、血塗れになる光景を。右腕が斬り飛ばされる、その瞬間を。胸に凶刃が貫かれる、その瞬間を。袈裟斬りで崩れ落ちる、その瞬間を。そこから広がる──血の海を。

 

「……やはり、くるものがあるな」

 

「────」

 

「生体反応消失のログも出ている。間違いなく、確実に、あの場所で……柳は、死んだ」

 

「──っ!?!?!?」

 

 彼女に襲い掛かるのはとてつもない程の悪寒。それが彼女を震わせ、縮こませた。

 

 

 

 柳隆道を──殺した。

 

 

 

 世界で二人しか存在しないその片方を、自身が死に追いやった。代表候補生である自分が、軍人である自分が、殺した。

 彼女は目の焦点が合わなくなってしまう。呼吸が徐々に乱れ、そして荒くなる。

 確かに彼女は彼等を排除しようとした。だが、それは千冬に自分を見て欲しい、認めて欲しいが故の歪み──所謂、只の嫉妬。

 彼等を排除した所で何も変わらない。変わったとしても何も得られない、全てを失うだけ。

 人は過ちを犯した時に漸く気づくものだ。今の彼女が正にそれだろう。

 それに気づいた彼女だが──もう遅い。

 

「わ、わた、わたし、は──」

 

「ラウラァッッッ!!!」

 

「──!?」

 

 暗い闇へ墜ちそうになるその瞬間、千冬の声によって引き戻された。目の焦点を無理矢理戻し、千冬の方を見やる。

 

「まだだ。まだ終わっていないぞ」

 

「終わって、いない……?」

 

「最後まで見ろ」

 

 再びディスプレイを見るよう千冬に促される。視線を戻すと、今は白いIS──一夏が自分自身と戦っている。雄叫びを上げながら。

 しかし、だから何だというのだ。彼は確実に、間違いなく死亡した。それは揺るぎ無い筈だ。

 

「柳をよく見ておけ」

 

「…………」

 

 彼女は言われるがままに深々な傷を残した彼を虚ろな目で注視する。

 どこからどう見ようと彼は死んでいる。千冬は自分にいったい何を見せるつもりなのか。

 ディスプレイを注視して暫く、それは起こる。

 

『──がっはぁっっっ!?!?!?』

 

「!?」

 

『ゲッホォッッッ!!! オ゛ヴェ……!!!』

 

 彼女は刮目せざるを得なかった。死んだ筈の彼が息を吹き返した。しかもそれだけでなく、深々とした傷は急速に再生し、切断された腕も接合、それは動く。最終的に彼は血塗れであるものの、全ての傷はさっぱりと無くなっていった。

 そして、事態は終息を迎える。シャルロットの狙撃と一夏が放った一撃。それによって暴走した機体から血塗れの彼女が放り出され、そこで漸く映像が止まった。

 たった数分間の映像。しかし、彼女にとってはそれがとてもとても長く感じられる程の出来事。

 有り得ない、不可解だ。彼女もまた、千冬達と同じくして呆然とするしかなかった。

 

「いったい、何、が……」

 

「柳の機体に操縦者の蘇生と生体再生システムが組み込まれていた。臓器も含めて全て完治済み。今は徹底的に検査をしている」

 

「……はぁっ。生きて、いるん、ですね」

 

「ああ、結果的に怪我を負ったのはお前だけだ。しかし……」

 

 千冬の言う通り、怪我を負ったのは彼女だけであるが、彼が死亡した記録は確と残されている。それの意味する事は──。

 

「この記録は……既にIS委員会に知られている。男性操縦者に危害を加えた責任は誰が取るのか。あんなものを積んだドイツが責任を取るのか……お前が切り捨てられるのか……。恐らく、後者の可能性が非常に高い……」

 

「…………」

 

 ──責任の押し付け。

 恐らく、ドイツは知らぬ存ぜぬを貫くだろう。自国は一切と関係無い、軍が勝手に搭載したと。そうなれば責任は彼女の所属する軍になるのか、その軍にすら切り捨てられて彼女だけになるか。

 そんな事──千冬は絶対に許しはしない。

 

「……安心しろ。もしも、そうなれば私は全力で抗議して見せる。守って見せる。何せ……お前は私の生徒、なのだからな」

 

「教、官……」

 

 弱々しくも、真っ直ぐと彼女を見詰める千冬。その瞳に偽りは一切と無かった。例え、IS学園に留まれる可能性が限り無く低くあろうと。

 だが、自身の過ちに気づいた彼女は今や冷静。末路などわかりきっている。

 故に、彼女は──。

 

「……あの、教官。私の事はもう──……?」

 

「……? 何だ?」

 

 その時だ。廊下から何かが聞こえたのは。

 

「────!! ────────!!」

 

「────!! ────────!!」

 

 聞こえるのは二人の声と足音。どちらも大声を上げているが、片や怒鳴り声に近いもの。それは次第に此方へ向かって来ている。

 

「駄目ですよ柳君っ!! お願いですから戻って下さいっ!! まだ検査はっ!!」

 

「いい加減にしろ牛眼鏡っ!! いったい何時間検査すれば気が済むんだっ!! 怪我なんか無えって言ってんだろうがっ!! それより──」

 

「あぁっ!! そこはっ!!」

 

 自動ドアが開き、ズカズカと室内へ入り込んで来たのは隆道と、遅れてやって来た真耶の二人。彼は今、制服の上着を脱いだYシャツ姿であった。

 そう、彼はまたもや脱走したのであった。四月の事件以来の脱走だ。この男、もう少し大人しくしていられないのだろうか。

 それも仕方無いかもしれない。何せ、錯乱したその後に徹底的な身体検査と怒濤の事情聴取だ。午前中から夕方までに掛けたそれ等により、彼は再度気が狂う寸前までに達していたのであった。安否を確かめる為とはいえ、今の彼を長時間拘束するのは流石に無理があった。

 

「……よお、ブリュンヒルデにドイツ人」

 

「柳……! おま、え……!」

 

「……!」

 

 彼を見た二人は、言葉を詰まらせた。

 彼の傷は完全に塞がった。それは確かである。しかし、傷痕と後遺症が残ってしまった。

 彼女達の目に留まったのは彼の右顔面。額から右目を通過し、顎まで到達した一本の太い傷痕。

 そして、黒色の左目とは違う──灰色の右目。

 

「……ああ、これ? 虹彩異色症て言ってたな。他は何て言ったか……ああそう、オッドアイだ」

 

「…………」

 

「何しけた面してんだ。目は見えるんだから何も問題ねえだろ。傷痕なんて増えただけ、今更だ。本当はあのままくたばりたかったんだけど、な。はっ、ははっ、はははっ」

 

 乾いた笑いをする彼は、傷痕と右目には一切と意に介して無い様子であった。先程までの怒声もまるで嘘の様にすっぱりと消えている。

 それが、逆に彼女達の心を更に締め付けた。

 

 

 

 何故、そこまで自分を無下に出来るのだ。

 

 

 

 何故、そこまで平気でいられるのだ。

 

 

 

 何故──笑っていられるのだ。

 

 

 

 今は生きているとはいえ、一度は死んだ身だ。平常心でいられる筈は無い。絶対に有り得ない。なのに、それを気にしている様子は一切と無い。

 

 

 

 狂っている。

 

 

 

 彼女達は背筋に悪寒が走った。正気ではない。マトモではない。頭がおかしい。彼にそんな感情など抱きたくないのに、嫌でもそう感じさせる。

 そんな彼女達の心情などつゆ知らず、彼は近くにある椅子に凭れ掛かり、彼女を見詰める。

 

「よっこいせと。……ほー、随分弱々しくなったもんだ。今までの高圧的な態度は何処行った?」

 

「……柳、何しに来た。まさかラウラを──」

 

「様子見」

 

「──何……?」

 

「報復するとでも思ったのかよ。まあ……少しは考えたさ。……けどよ」

 

 その濁った目は真っ直ぐに彼女を捉えている。何かを見定める様に。それに対し彼女も弱々しくあれど、少しも目を逸らさない。

 弱々しくある彼女からは敵意を一切感じない。まるで捨てられた子犬の様で、同時に何かしらの覚悟を決めた目付き。それは今までに会った醜い畜生共と全く違うものであった。

 

「…………」

 

 本当は彼女をここで仕留めるつもりであった。徹底的に壊し、全てを奪う。その気であった。

 彼女は一夏を脅かす存在、即ち──『敵』だ。自身の『敵』でもある。なら、動けない今こそが千載一遇の好機。故に、態々この部屋へと来た。

 

 

 

 ──どうか、あの娘を許して欲しい。あの娘は機械に操られた、ただそれだけなんだ。

 

 

 

 しかし、最後に聞こえたあの言葉が頭に響く。

 それは何度も反復、大きくなっていく。ハルがそれを決して望まない、そう訴えてるかの様に。

 彼の行動力は基本的に他者の為。だが、それを上回るものは一つ──今は亡き家族だけである。もし、あの時の声が本当にハルだとするならば。

 彼女の『V.T.システム』に関しては事情聴取で嫌と言う程聞いた。あとは──確かめるだけ。

 

「おい、ドイツ人。織斑が憎いか」

 

「……もう、そんな想いは、無い」

 

「……ほー」

 

 嘘は言ってないであろう。それは声でわかる、顔付きでわかる、目でわかる。

 だからこそ──徐々に敵意が薄れていく。

 

「勝手に嫉妬して……それで勝手に毛嫌いした。ただ、それだけだ。私は只の、愚か者だ……」

 

「……はんっ。じゃあもういいわ」

 

 仕留める理由が今、綺麗に消えた。

 最早、彼女の事などどうでもよくなっていた。敵意が無いのなら此方も大人しく引き下がろう。彼女が今後どうなろうと知らない。関係ない。

 それにだ。自分も勝手に暴走し暴れ散らした。言及する資格など少したりとも無い。死んだのは自業自得、その結論に辿り着くのは早かった。

 ここに居座る理由はもう何も無い。それ故に、彼は立ち上がりこの場から去ろうとする──が。

 

「ま、待って、くれ……!」

 

「……あん?」

 

 不思議と、彼はその足を止めた。もう話す事は何も無いというのに。

 だがしかし、足を止めた以上は仕方の無い事。故に、彼は振り向いて耳を傾ける。

 

「聞きたい、事が、ある……」

 

「……なんだよ」

 

「織斑一夏が言っていた……。何故、お前は人を助ける? 何故、お前は人を支える? 自分探しとは……いったい何をすれば良い……?」

 

「…………」

 

 ラウラは不思議で仕方がなかった。

 謎の空間で一夏が言っていたあの言葉、それを知りたいが故の問い。あれ程の強さを持つ一夏が強いと断言する彼は、いったい何者なのか。その欲求だけが彼女を駆り立てていた。

 沈黙する事、暫く。彼はその口を開く。

 

「……さあ、なんでだろうな。あと、自分探しは文字通りだ。自分で探せよ」

 

 はっきりとした答えは──返ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は過ぎ、夜。食堂にて。

 

『学年別タッグトーナメントは事故によって中止となりました。ただし、今後の個人データ指標と関係する為、全ての一回戦は行います。場所日時の変更は各自個人端末で確認の上──』

 

 テレビに流れ出る帯。それを見た多数の生徒は酷く落胆をしていた。その沈みっぷりは遠くからでもわかる。何故、彼女達は落胆しているのか。

 覚えているだろうか。トーナメントで優勝した者はどんな報酬を得るのかを。

 

『学年別トーナメントの優勝者は男子三人の誰かと交際出来る』

 

 そう、例の噂を信じきっていた彼女達は報酬が無効になった事に嘆いていたのだ。優勝した所でそんなふざけた話が通る訳無いのに。お花畑か。

 

「交際……チャンス……消え……」

 

「交際……無効……」

 

「……うわあああああんっっっ!!!」

 

 そんな数十名が泣きながらも走り去っていった食堂の片隅。そこにはこれでもかと言う程に暗く沈んでいる生徒が三人いた。雰囲気だけでなく、表情もかなり暗い。まるでそこだけが別空間。

 

「「「…………」」」

 

 その三人──一夏と箒、そしてシャルロットはテーブル席で黙り込んだまま。そこには食事など一切と無い。いや、今の彼等に食事を出した所で恐らく食べやしないであろう。それ程に気持ちが沈んでいる。先程走り去っていった彼女達の様な活力は微塵たりとも無かった。

 彼等が来たのはつい先程。教員から事情聴取を受け、解放された頃には夜。取り敢えずは食堂へ行くかと席を確保したら生徒達から質問の嵐が。

 言えない、言える訳が無い。重要案件である上に機密事項。仮にそうでなかったとしても言える内容ではない。絶対に。

 故に、はぐらかして人を払った訳だが──。

 

「……なあ。なんか、食おうぜ」

 

「……食べればいいだろう。私はいい」

 

「……僕も、いいかな」

 

 完全に気が滅入っている。腹は空いてはいるが喉を通る気が全くとしない。オーダーストップの時刻もあと数十秒程となる。彼等は何しに食堂へ来たのであろうか。

 黙り込み続ける三人。だれも声を発しようとはせず、ただただ時間が過ぎていくのみ。人は次第に減っていき、食堂には彼等だけが残った。

 そして、ついに耐えられなくなった者が一人。

 

「夜風に当たってくる」

 

 箒は立ち上がり、逃げる様に去っていった。

 無理もないだろう、あの惨劇を見た後では何も食べられやしない。完全にトラウマものである。勿論、彼女だけではない。残された二人も同じ。

 親しい者の"死"。それは誰だろうと生涯で一度は遭遇するものだ。だが、それが寿命以外である突然のものであったならショックは凄まじい。

 結果的には隆道は生き返り、五体満足な身体に戻った。それでも──一度死んだ事は事実だ。

 

「「…………」」

 

 気まずい。非常に気まずい。話題を捻り出そうにも話題が出てこない。一夏も、シャルロットも同じく考えなのだろう。頭を悩ませている様子。

 何か無いのかと精一杯に悩む彼。そこでふと、ある事を思い出した。

 

「……そういえば、ちょっと聞きたいんだが」

 

「うん、何? 何でも聞いて」

 

 これには彼女も願ったり叶ったり。会話が無いこの状況に危うく耐えられそうに無かったのだ。可能な限り会話を続けようと気分を切り替える。

 

「ISで会話って出来るのか? その……秘匿回線とは違う、二人だけの空間みたいな所での会話」

 

「……多分、操縦者同士の波長が合うと起こる、特殊な相互意識干渉(クロッシングアクセス)かな。情報交換ネットワークの影響だって言われてる」

 

「波長、ねぇ。なんかよくわからん」

 

「ISはよくわからない現象や機能が多数あるよ。開発した篠ノ之博士は全機能を公表してない上に現在も失踪中だし、前にインタビューで自己進化する様に設定した部分があるから、全て把握するのは無理だって言ってた気がする」

 

「自己進化……か」

 

 隆道のIS──『灰鋼』が正にそうなのだろう。他の専用機とは違った、常に進化──いや、変異していくあの機体が。研究員ですらない一生徒の自分達が把握するのは絶対に不可能だ。

 尤も、彼等も、研究員も、開発元である篠ノ之束も、絶対に把握する事は出来ない。非科学的な存在が隆道の側にいるのだから。

 

「「…………」」

 

 またしても会話が途切れる二人。もう、話題が浮かんで来ない。完全にネタ切れだ。

 もう帰ろうかと思った、その矢先──。

 

「織斑君にデュノアさん、ここにいたんですね。事情聴取お疲れ様でした」

 

 ──真耶、現る。

 探していたのか、此方を見掛けるなり早歩きでやって来る。何か朗報でもあるのか。

 

「……どうも。山田先生こそお疲れ様です」

 

「いえいえ、私は昔から地味な活動が得意です。心配には及びませんよ。何せ、先生ですから」

 

 そう言っているものの、かなり参っている様子であった。それはそうだろう、真耶もあの惨劇をその目で見てしまったのだから。無理もない。

 心配を掛けまいというその一心が見て取れる。それを見抜いた二人は何も言わない事にした。

 

「ところで、どうかしたんですか?」

 

「ああ、そうです。実はですね、今日から男子の大浴場使用が解禁ですよ!」

 

「……てっきり、来月からになるものとばかり」

 

「それがですねー。今日は大浴場のボイラー点検があったので元々生徒達が使えない日なんです。でも点検自体はもう終わったので、男子に使って貰おうって計らいなんですよー」

 

「…………」

 

 素直に喜んで良いものであろうか。今日起きた事件が無ければ大はしゃぎしたのかもしれない。しかし、そんな元気などとっくに失っている。

 本当は喜びたい。トラブル続きであった疲れを湯船でしっかり癒したい。なのに──。

 

「一夏」

 

「っ!? な、なんだ?」

 

「入ってきなよ。疲れ、取った方が良いよ?」

 

「あ、えと……」

 

「大丈夫だよ。今日は無理だろうけど、柳さんは明日には顔を出すってば。気にせずゆっくりした方が良いよ。ね?」

 

 それは彼女なりの気遣い。彼女もまた、真耶と同じく彼に心配を掛けまいという計らいである。誰よりも疲労しているのは、紛れもなく彼自身。癒しを与えなければ隆道だけでなく彼も壊れる。彼女達は勿論、隆道もそれは望まない。

 彼女と真耶の二人は彼の応えをじっと待った。ここまで言われれば、ここまで気を遣われれば、断るというのは無粋だ。故に、彼は──。

 

「……ありがとう。んじゃ、行ってくる」

 

 ──立ち上がり、食堂から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。屋上にて。

 本来なら誰もいないその場所に、少女はいた。

 

「…………」

 

 すらりとした身長、そよ風にゆらりと靡く黒髪のポニーテール姿の少女──箒はただ一人佇む。月明かりに照らされる彼女は外を一切と眺める事はせず、ある一点だけを見詰めていた。

 その視線の先は彼女自身の携帯。その画面には羅列した番号が。そう、何処かへの連絡先だ。

 画面を見るその目はとても厳しく、携帯を持つその手の指は迷いが見て取れる。コールボタンに近づけては離す、それを何度も繰り返していた。

 掛けるか、掛けまいか、迷いが生じる。何せ、その連絡先は自身が嫌う人物なのだから。

 

「っ……」

 

 歯を食い縛り、より一層と厳しい表情になる。本当ならここに電話など掛けたくはない。声など聞きたくはない。一切と関わりたくはない。

 だが、それでも迷う。

 

 ──力が欲しい。

 

 その欲求が彼女を徐々に満たしていく。それが欲しくて堪らない。どうしても使いたい。

 IS学園に来てから引っ込んでいた、沸き起こる暴力への衝動。それが抑えられなくなっていた。

 画面を見据えて数分後、彼女は遂に決心する。深呼吸し、そのコールボタンを押そうと──。

 

「──っ!?」

 

 

 

 ──真後ろからの物音でその指は止まった。

 

 

 

「あ……」

 

 咄嗟に振り向けば、扉には一つの人影。それは段々と彼女に近づいていき、距離間が数メートルとなった所でその姿は月明かりに照らされる。

 腕捲りしたYシャツ姿。右腕には古い犬の首輪。右顔面に増えた一本の傷痕。灰色となった右目。小さな紙袋を抱え、空いた手にはボトルタイプの缶コーヒーを持つ青年──隆道。

 

「……柳さん」

 

「ん」

 

 いつもの素っ気ない返事に、いつもの無表情。その首に──ISは無い。恐らく調査中であろう。

 

「先客がいるとは思わなかったわ。邪魔か?」

 

「……いえ。漸く、検査終わったんですね」

 

「ああ。何度調べても怪我は完治済み。残ったのは右目の変色と傷痕だけ。虹彩異色症だとよ」

 

 他人事かの様に淡々と語る彼はどこから見ても普段通り。意に介していない。これっぽっちも。一度死んだ人間と思えない。それが、彼女をより一層と堪らなくさせていった。

 

「……どうして、ですか」

 

「あん?」

 

「どうして、平気でいられるんですか……!! 貴方は今日──」

 

「止めろ」

 

「──っ!」

 

 彼は手を翳して彼女の言葉を制した。それ以上言うなと。それ以上思い出すなと。彼はゆっくりと視線を彼女に向け、口を開く。

 

「事は済んだ。それで終いだ。今日の事は絶対に忘れろ。そんで絶対に思い出すな、蒸し返すな。それにドイツ人とも話は付けてある。どうなるか知らねえけどな。だから、もう、なんも、ねえ。わかったか」

 

「……はい」

 

 何度目なのかわからない、真っ直ぐに見据えるその表情と強い言葉に彼女は頷くしかなかった。彼が望まぬ以上、無理にでもそうするしかない。

 故に、目を瞑り、深呼吸をする。それを何度も繰り返し、彼女は次第に落ち着かせていく。

 瞑想に近いものだ。神に祈るか、集中するか、無心となるか。それは健康の向上に心理的治療、更には自己成長や自己向上となる。

 そうする事、約数分。彼女は漸くと落ち着きを取り戻す。

 

「……もう大丈夫です。なんか、すみません」

 

「謝る事なんて無えよ、元々は俺がでしゃばったからだしな。……さて」

 

「……?」

 

「ああ、こっち近寄るなよ。匂いが移っちまう」

 

 落ち着きを見届けた彼は何故か距離を離した。いったい何をするというのか。匂いが移るとは。

 疑問を浮かべる彼女など知らず、彼は紙袋から一個の箱と金属を取り出す。そう、それは──。

 

「んっ……。あっはぁー……」

 

「な……。あ、あ……」

 

「あ、これ秘密な。楽しみが無くなっちまう」

 

 ──煙草。

 そう、これが彼が屋上に来た理由。単に煙草を吸いに来ただけ。クソガキの極み、ここに有り。流石IS学園ブラックリストの一人なだけはある。

 彼女とは反対方向に煙を吹かせ、落ちる寸前の灰を缶の中に落とし、また吹かす。ずっと前から吸っているのだろう、かなり手慣れていた。

 もう絶句するしかない。不良臭いとは前々から思ってはいたが、ここまでだとは思わなかった。彼女の脳内にはホームラン宜しく雑念等が綺麗に弾き飛ばされていったのであった。

 

「……そういえば篠ノ之」

 

「──えっ!? は、はい」

 

「お前、何処かに電話掛けるんじゃねえのかよ。携帯握ったままだぞ」

 

「はえ? あ……」

 

 今更ながらも彼女は気づいた。握り締めていたその携帯を。何処に掛けようとしていたのかを。自分は──何をしようとしていたのかを。

 

「…………」

 

 

 

 それはもう──綺麗に消えていた。

 

 

 

「……いえ、いいんです。必要無くなったので」

 

 彼女は携帯の電源を切り、それをしまった。

 壊れ掛けたその抑止力を、彼が直してくれた。薄い氷の膜の下にあるその暴力を、彼が抑えた。本当に頭が上がらない。感謝しきれない。

 

「ありがとうございます」

 

「あん? 何だそれ」

 

 彼女はほんの少しだけ、笑顔を取り戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隆道と箒が屋上にいる同時刻。

 誰しもが知らないその場所に『天災』はいた。

 

「…………」

 

 至る所に散らばる、数々の機械に数々の部品。その中央には銀色に光り輝く、奇妙過ぎる椅子。それは大きく歪んでおり、一人の女性を檻の様に取り囲んでいた。恐竜の骨格を彷彿とさせる。

 そう、ここは──『天災』の秘密ラボである。そして、そこにいる彼女こそがこの世界を変えた──いや、変えてしまった張本人。箒の実姉。

 

「…………」

 

 

 

 ──篠ノ之束。

 

 

 

「…………」

 

 ゆらゆらと椅子を揺らす彼女は何処か無気力。何もする気が無いと言わんばかりにだらんとし、その目も凄まじく虚ろとなっていた。

 普段の彼女ならこの様な様子になりはしない。常に何かしら思考をし、異常なまでの無駄をし、馬鹿馬鹿しい程にぶっ飛んだ事をしてきたのだ。『()()()()()()()()()()()()』と自称する程に。

 だが、今の彼女からはそれを一切と感じない。何もしたくない、何も考えたくない、そんな風に全身から滲み出ている。正直、近寄り難い。

 そんなどんよりとした雰囲気を漂わせる最中、突然に音楽が鳴り響く。彼女の携帯電話から。

 

「! こ、この着信音はぁっ! トゥッ!!」

 

 豹変。無気力であった彼女は笑顔を全開にし、それに向かって大ジャンプ。もとい、ダイブだ。工具等が激しく散らばるが、彼女にとってそれは些細な事。意に介せず携帯を耳に当てる。

 その相手は──。

 

「も、もすもす? 終日? ちーちゃん?」

 

『その名で呼ぶな』

 

「おっけぃ、ちーちゃん!」

 

『……まあいい。今日は聞きたい事がある』

 

「何かしらん?」

 

 ──千冬その人。

 そう、千冬は繋がりを持っていたのだ。現在も各国から追われている、『天災』と。

 織斑千冬と篠ノ之束。二人の関係は小学生の頃からである。以来ずっと同じ学校、同じクラス。奇妙であるが、それは至極当然の事。何せ、彼女がそうなる様に仕組んだのだから。勿論、千冬もそれは理解していた。必然的な腐れ縁である。

 しかし、二人の関係はそれだけに留まらない。

 

 

 

 千冬は、彼女の──IS開発の協力者。

 

 

 

 つまりだ。千冬は元々からして知識は誰よりも一枚二枚も上手、理解のレベルが最初から違う。

 しかも、その上であの驚異的過ぎる身体能力。『モンド・グロッソ』にて世界最強を勝ち取ったのは何も不思議ではない、当然の結実であった。そこら辺の人間では千冬に勝てる筈が無いのだ。

 その様な関係を持つ千冬が今日、彼女に連絡を取った。その目的は二つある。

 

『お前は今回の──『V.T.システム』の件に一枚噛んでいるのか?』

 

「……ああ、アレ? ちーちゃん、あんな不細工な代物をこの私が作ると思う? 私は完璧にして十全な篠ノ之束だよ? 即ち、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『…………』

 

 彼女は『黒の剣士』に関与していない。それは確かである。しかし──事件に干渉した。それは長年の付き合いである千冬を驚愕させる。

 

「ああ、言い忘れていたけど……ドイツの娘なら何も心配はいらないよん。アレを作った研究所は既に特定済みで研究員は全員拘束、積んだ凡人も縛り上げてIS委員会にポイっと。これであの娘も責任取る必要が無くなったねー」

 

『──何っ!? 束、お前、今何と言った!?』

 

「痛っ!? もー、いきなり叫ばないでってば。だーかーらー、アレを作った凡人と積んだ凡人は全員捕まえたんだってば。言ってる事わかる?」

 

『……それは本当、なんだな? 本当にラウラは助かるんだな?』

 

「助かるよー? 証拠もたんまりあるし。赤子の手を捻るより簡単だねー」

 

 しれっと答える彼女に、千冬は愕然とするしか出来ないでいた。それは意外の中の意外だ。

 絶対に有り得ないのだ。彼女の性格上、身内と認識している者以外には全くと興味を持たない。自分に興味の無い事には冷酷なまでに無関心。

 そんな極端が過ぎる彼女が、ラウラを助けた。その真意は──千冬にはわからないであろう。

 

『……そう、か。ありがとう、束』

 

「とんでもないとんでもない! ちーちゃんの為なら何でもー!!」

 

『そうか。なら、まだ聞きたい事がある』

 

「何かな? 何かな?」

 

 笑顔が全開な彼女はとても嬉しそうだ。それは宛ら無邪気な子供の様に。身体を揺らしつつも、千冬の問いを今か今かと待つ。

 が、その問いで──全てが消える。

 

『柳隆道と篠原日葵の──』

 

「じゃあね、ちーちゃん」

 

 ブツリと、彼女は一方的にその通話を切った。先程までの感情は全て消え、揺らしていた身体もぴたりと止まっている。その部屋に残されたのは携帯から鳴る電子音と──全くの"無"だけ。

 

「…………」

 

 二度と掛かって来ないように電源すらも切り、それを投げ捨てる。表情は今や、凄まじく暗い。元から笑顔など無かったと、その様に見えた。

 千冬と通話する前と同じだ。深く、そして暗い雰囲気が徐々に部屋を満たしていった。

 

「……何が、完璧だ。何が、十全だ」

 

 そんな雰囲気の中で一人佇む事、暫く。突然と部屋の扉が開かれる。そこから入ってきた人物は──ラウラと瓜二つな銀髪の少女。その目は何故だかずっと閉じている。盲目なのであろうか。

 

「束様、ただいま戻りました」

 

「あ! お帰り、くーちゃん!」

 

 またもや豹変。笑顔を全開にする彼女は銀髪の少女に向かってダイブ。この女、情緒不安定か。

 銀髪の少女に飛び付いて頬をすりすりする彼女からはもう暗い表情など無くなっていた。最早、全く以て理解出来ない。全く以てわからない。

 

「えへへー。それでくーちゃん、頼んだ()使()()は終わったのかな?」

 

「はい。回収は完了、既に部屋へ移しています」

 

「どれどれ、見に行こうかなっと」

 

「此方へどうぞ」

 

 そう言って、彼女は銀髪の少女に付いていく。彼女の言う()使()()とはいったい。

 暗い空間を歩く事、暫く。二人はとある部屋へ到着する。扉を開いたその先には──。

 

「容態はどうかな?」

 

「安定しています。今は眠っているだけです」

 

「オーケーオーケー、あとは様子見だねー。何て呼ぼうかなー?」

 

「束様のお好きな様に」

 

「だよねー」

 

 ──ベッドに横たわる、一人の少女。

 その姿は異質。首から下は全てボディスーツで包まれ、至る所にはコードらしきもの。それは、今まで機械に繋がれていたかの様に思わせる。

 そこで眠る少女の名は──。

 

「……ゆっくりおやすみ、えーちゃん」


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