IS~傷だらけの鋼~   作:F-N

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お待たせしました。

書きたいのに筆が何度も止まる経験、皆さんにもありますか?
作者は今回、それが何度もありました。

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文章修正


海と兎と銀翼と
第四十七話


 真っ暗な空間にて、隆道は必死に逃げていた。自身を追って来る『何か』から。それが何なのかは不明だが、自身の本能が逃げろと告げていた。

 

「はぁっ、はぁっ……!!」

 

「■■■■!! ■■■■!!」

 

 どれだけ走っても『何か』は追って来る。何かを叫んでいる様であるが、彼はそれに一切と耳を傾けなかった。聞く余裕が無い、聞く気が無い。

 

「ちくしょう……!! こっち来んな……!!」

 

「■■■■!! ■■■■■■!!」

 

「ああ、くそったれがぁっ……!!」

 

 全力を出しても距離は全く広がらない。寧ろ、声からして縮まりつつある。ノイズ混じりであるその声は次第にと大きくなり、彼の頭に響く。

 

「■■■ん!! ■■くん!!」

 

「来るんじゃ、ねえよっ!! 頼むからっ!!」

 

「■■くん!! ■■■■■■■■!!」

 

「あああああ、うるっせえぇぇぇっっっ!!! 俺に近づくんじゃねぇぇぇっっっ!!!」

 

 走りながら両耳を塞ぎ、悲鳴に近い声で叫ぶ。 聞きたくない、此方に来るな、関わるな。それを心の底から訴え、必死に逃げる。

 それでも、『何か』から発する声がはっきりと聞こえてしまう、迫り来るのがわかってしまう。逃れられないと理解してしまう。

 ノイズ混じりである声は、既に自身の真後ろ。恐ろしい、とても恐ろしいという感情だけが彼を駆り立てる。故に、全力を以てその足を動かす。

 しかし、それも虚しく──腕を掴まれた。

 

「っ!? あ……」

 

「お願い……待って……」

 

「……? 光、乃……?」

 

「ぐずっ……」

 

 鮮明に聞こえる声。その声の主は、自身が最も信頼する人物──光乃その人。

 その声を聞いたからなのか、襲い掛かって来るのは安心感と脱力感。それに耐えられなくなった彼はその場でへたり込んでしまう。もう、立つ事すら出来ない。完全に力尽きてしまった。

 彼女なら安全だ。何も心配する事は無い。

 

「何、だよ。驚かせ、やがって……」

 

「…………」

 

「はぁ、ふぅ……。お前ならお前って先に──」

 

 故に、彼は振り向く。

 

 

 

「────」

 

 

 

 そこにいたのは彼女ではなかった。

 

 

 

「さあ、一緒に行こ?」

 

 

 

 自身の腕を掴むのは紫髪の──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 令和四年、七月二日。早朝。

 IS学園、一年寮の一室──一◯三◯号室にて。

 

「──あああああぁぁぁっっっ!?!?!?」

 

 部活動の朝練すらも始まっていない時間帯に、隆道は突然と悲鳴を上げて目を覚ました。部屋が防音仕様で無かったなら大迷惑極まるところだ。扉付近に誰かしらいれば聞こえたかもしれないが今の時間帯は早朝、誰一人としていない。他人に聞かれる事は無かった。

 問題はその後。発狂に近い目覚め方をした彼は──大錯乱に陥る。

 

「────!! ──────!!」

 

 ベッドから飛び起きた彼は誰しもが見た事無い程に暴れ散らす。それは猛獣という他無かった。

 至る所を殴り、蹴り飛ばし、頭を打ち付ける。皮膚が裂け、血が滲もうと止まる事を知らない。部屋中は物が散乱し、血が飛び散っていく。

 誰しもがこの惨状に気づく事は無いであろう。いや、気づいた所で成す術は全く無いに等しい。彼の異常を知らせる『灰鋼』は当然外している。それ以前に、例の事件によって手元には無い。

 そうして部屋で暴れる事、約数分。息を荒げる彼は何を思ったのか、足元に転がる医療キットを机に置いて乱雑に漁る。取り出したのは──。

 

「フーッッッ!! フーッッッ!!」

 

 ──一本の医療用鋏。

 

「オ゛ラ゛ァッッッ!!!」

 

 彼は一切の躊躇などせず、叩き付けるかの様に左手に突き刺した。ソレは意図も簡単に貫通し、机には鮮血が滴り、床に落ちていく。

 紛れもない。それは──自傷行為。

 

「グ……ギッ……ア゛ァッッッ!!」

 

 突き刺した鋏を勢いよく引き抜き、辺り一面に血を滴らせる。貫通したその手を強く握り締めて約数十秒、目の焦点が徐々に合って漸くと錯乱が治まり始めていった。

 彼は錯乱がどうしようもなくなる際、破壊衝動に駆られる。抑える方法は身内が側にいる時か、自傷行為に走るかの二択のみ。周りに誰もいない今、選択肢は自傷行為の一つだけであった。

 この様な事は初めてではない。千冬の目の前で自傷行為に走った事もあるし、誰も見てない所で自身を傷付けた事も何度かはある。自分一人では無事に抑える事が出来ないのだ。信頼出来る者が側にいる事といった都合の良い事は滅多に無い。

 故に、彼は今日も傷を増やしていく。

 

「……ふぅっ。……あーあ」

 

 漸くと治まった錯乱。辺りを見渡すと散乱した物がちらほら。またやってしまったと後悔するが後の祭り、全て片付けなくてはと身体を動かす。

 手を縫い合わせて周囲を片付ける事、暫く。壁等に付着した血も綺麗に拭き取り終わった頃には丁度良く食堂が開いた時間帯となっていた。

 

「…………」

 

 全てを片付けた今、彼は洗面台の前半裸状態。自身をじっと見詰めていた。

 頭と両手は巻いたばかりの包帯、灰色となった右目、顔面や身体の真新しい大きな傷跡の数々。どこをどう見ようとカチコミに行ったヤ◯ザ──いや、チンピラと言った方が良いかもしれない。少なくとも、全うな人間の姿ではないのは確か。

 だがしかし、それでも全く気にしないのが彼。今更傷跡が増えた所で気に留める人間ではない。白髪だけは気にするらしいが。

 顔面の傷跡と変色した右目はOKで白髪はNG。この男の価値感がいまいち謎。

 

「はあっ……」

 

 そんな事より、彼は他に考える事があった。

 思い出すのは、いつも見る悪夢とは違った夢。至近距離で目の当たりにしてしまった──自身が最も憎む人物。光乃とは真逆である存在が自身を引き込もうとしたその意味とは何なのか。

 以前に見た斬り殺された悪夢は正夢であった。ならば、今回の夢も何か意味があるに違いないと彼は考察する。確かめる術は全くと無いのだが。

 もし、あの人物に出会したら──。

 

「……おっ?」

 

「私だ。起きてるか?」

 

 不意に聞こえたのはノックする音と千冬の声。彼女が部屋に訪れる理由はたった一つしかない。『灰鋼』を受け取る為の同行である。

 『灰鋼』は件の事件以降、長期間に渡る調査が行われた。例の不可解な現象を考えれば当然だ。突如として発動した蘇生と生体再生に、奪われた『打鉄』の行方等を調べる必要があった。尤も、解析は全て無駄に終わってしまった訳なのだが。

 『灰鋼』は依然として一切の解析が出来ない。解体も凍結も許可が下りない上に通達されたのはデータ採取の続行。IS学園が唯一出来る事は彼の元に返す他無いのだ。無茶苦茶にも程がある。

 そんなIS学園の裏事情など知らぬ存ぜずな彼は今日も今日とて大きく溜息を吐き、錠剤を飲んでISスーツと制服に手を伸ばす。

 

「少し待ってろ、と」

 

 着替えを終えて部屋を出たその直後、頭や手の包帯について彼女から散々と問い詰められたのは言うまでもない。当たり前の事であった。

 IS学園生活、四ヶ月目。彼の苦難はまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日──学年別タッグトーナメントで起きた事件は不慮の事故として処理された。事の詳細を知るのは当事者達と教員達、そしてIS委員会。

 試合中に発動した『V.T.システム』そのものに関してはあまり語る事は無い。匿名からの贈り物──研究員やシステムを積んだ人間と物的証拠によって事態はスムーズに解決し、ドイツやラウラ本人が責任を取る事は無かった。もし、それ等が無かったならば十中八九──いや、確実に彼女を切り捨てたに違いない。身勝手にも程がある。

 彼女も責任を取るべきではとの発言もあった。だが、優秀たる人材を失いたくない、それだけの理由で綺麗事をでっち上げた。彼女は被害者だ、システムを作り、積んだ人間が加害者なのだと。実際その通りだが、なんとも都合の良い連中か。都合が悪ければ他に押し付ける癖に厚かましい。

 IS学園はドイツに関してこれ以降ノータッチ。外部事情より内部事情の方が大事である。勿論、当事者の中の当事者──隆道の件について。

 彼の顔面に残った傷跡と変色した右目も同じく不慮の事故として処理された。後付武装の暴発によって負傷し、後遺症が残ったとされている。

 事の詳細を一切と知らない生徒達は当然の事、いつ、どこでといった疑問等が浮かぶ訳なのだが──そこは千冬の一喝により無理矢理黙らせた。殆どの生徒達は納得せざるを得なかったのだ。

 そう、殆どだ。どうしても納得出来ない生徒は確かに存在する。意識が高い者──例えば一組の生徒達は決して疑問が消えやしなかった。

 教員や代表候補生の監視下に置かれている筈の彼がその様な事になるのか。絶対に有り得ない。ならば、彼が一人で勝手に仕出かした事なのか。

 一番手っ取り早いのは本人に聞く事なのだが、彼自身が何も言わない以上それは不可能である。そもそも、対話する事自体未だに困難を極めるのだから彼女達がどう思おうが知る術は無いのだ。

 疑心暗鬼が渦巻き、混沌と化すIS学園。だが、目を向けるべきなのはそこではない。

 今、IS学園が抱える最も大きな問題は──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は午前十時。第一アリーナにて。

 ステージの中央で対峙しているのは二機のIS。周囲の壁際には九機ものISが佇んでいた。

 

「「…………」」

 

 中央にいるのは『ブルー・ティアーズ』を纏うセシリアと『灰鋼』を纏う隆道。どちらも武装を展開せず、その場で浮いたまま。

 一方、周囲は千冬を筆頭に教員が五名。そして一夏、箒、シャルロット、鈴音の四名。軽く戦争出来る戦力が今、ここに集まっている。

 

「……柳。何か異常は?」

 

「……見りゃわかるだろうが。目ン玉腐ったか。有り過ぎてどれから言えば良いのやら」

 

 何故、この様な状況になっているのか。それは彼の専用機──『灰鋼』にある。

 完全に大破した筈の『灰鋼』は、四月の一件と同様に半日足らずで自動修復された。これ自体は二度目である為に、然程気にする事は無かった。問題はそこではない。

 

 

 

 『灰鋼』は、またしても変異した。

 

 

 

 先ず、身体の至る所に装甲が追加されていた。

 胸部、肩、二の腕、下腹部等といった、頭部と関節以外を埋め尽くした堅牢な装甲。世間が知る全身装甲とはまた違ったものだ。腰に携えていた二つの基本装備はオミット、拡張領域からも削除されていた。行方は全く以て不明。

 次に両腕。これがまた歪な代物であった。

 

 ──『剛鉄爪(ごうてっそう)』──。

 

 指の一本一本が鋭利な爪と化した巨大な右腕。謎の発射装置が装備されている左腕。左右非対称となったその両腕は全員に悪寒を走らせていく。あまりにも不気味過ぎだ。

 そして、最後に目に留まるのは『灰鋼』の特徴とも言える『バリアブルシールド』。本来ならば二枚であったソレは何故か四枚に増えている。

 

「何、なん、だよ、ほんとにっ……」

 

 左右に二枚ずつ浮く巨大過ぎる盾。巨大化した右腕で払い除けようと、どんな動きをしようと、ソレは絶妙な距離感を保つ。意思があるかの様に彼の動きを一切と阻害しなかった。

 

「ね、ねえ一夏。あたしには二次移行したとしか見えないんだけど……」

 

「なんで俺に聞くんだよ……。ISの事なら鈴の方が詳しいだろ……」

 

「し、知らないっ。そ、そもそも二次移行なんて稀の中の稀で……」

 

 鈴音の反応は仕方の無い事だ。今の『灰鋼』は誰がどう見ようと二次移行したとしか見えない。それ程までに変わり果ててしまっていた。

 しかし、それは間違いだ。第二形態に進化するには稼働時間と戦闘経験の蓄積、そしてISコアや機体そのものとの同調を高める事が必要なのだ。ISを忌み嫌う彼はどれにも当てはまりはしない。ならば何故、機体がこれ程まで変異したのか。

 理由は意外と単純で複雑。それは──。

 

 

 

 ──うぅ……。どうして、こうなるの……。

 

 

 

 ──奪った『打鉄』を部品にした。

 『悽愴月華』で千冬の『打鉄』を奪い、それを部品として新たに中身を変え、装備を構築した。彼と『◯一九』の意思が入り混じった歪な物へ。

 獰猛的な彼の意思、守ろうとする『◯一九』の意思。それ等が複雑に絡み合った結果がこれだ。本来ならばこの様な姿になる筈が無かったのだ。

 姿だけではない。パワーアシストも、出力も、エネルギー量も、拡張領域も、今や全て規格外。最早、この機体は競技用の範疇には収まらない。『悽愴月華』も合わされば凶悪が過ぎる。

 正しく『対IS用兵器』、正しく『IS殺し』だ。存在してはならない機体が誕生してしまった。

 

(コイツは、ISは、いったい何なんだ……)

 

 勿論の事、彼等は変異した『灰鋼』を調べる為だけに集まった訳ではない。それだけなら千冬と一夏、そして箒やシャルロットがいればいい。

 目的はもう一つ──『灰鋼』の戦闘データ。

 

「……では、取り掛かるぞ。準備はいいな?」

 

「……いつでも良いですわ」

 

「ん」

 

「総員、有事に備えろ」

 

 隆道を除く全員が一斉に武装を展開、構える。

 彼等は模擬戦を行おうとしているのであった。対戦相手はセシリアが一人。他全員は彼の暴走に備えてのメンバーである。即席の鎮圧部隊だ。

 IS学園はIS委員会から圧力を掛けられている。彼の戦闘データを取る必要があったのだ。では、その相手をするのはいったい誰か。

 千冬は『番犬』によって絶望的に相性が悪い。近接戦闘しか出来ない一夏も同じ。ならば、他の教員か専用機持ちしかいない。

 そこで志願したのがセシリアであった。そして今に至るという訳である。

 

 

 

 ここで語らせて貰おう。『灰鋼』に備わる三つのシステム──『狂犬』、『番犬』、『猛犬』。これ等には共通の起動条件がある。それは対象を『敵』と認識する事だ。それが何を意味するか。

 

 

 

 そう、彼が心の底から『敵』と認識しない限り絶対に起動する事は無い。つまりは、特定の人物──例えばこの中では一夏、箒、シャルロットの三人ならば安全、何も起こらないのだ。

 尤も、誰しもがその事実に辿り着く事は無い。彼等は知らずの内に人選ミスをしてしまった。

 不機嫌を見せる隆道と、合図を待つセシリア。『灰鋼』が変異した今、何が起こるのか。

 

「では……始め!!」

 

 千冬の掛け声と共に両者が動いた。セシリアは一気に上昇し、隆道は後方へと大きく後退する。彼女は透かさず自身の特殊兵装を展開した。

 

「行きなさい!!」

 

 飛翔する四基のビットは彼を取り囲み、瞬時に狙いを定めようとする。以前と同じであるならばここで詰み確定、嬲られるだけに終わる。

 が、しかし──。

 

 ──『バリアブルシールド』展開──。

 

 攻撃するその直前。『バリアブルシールド』は金属音と共に分離、小型の盾となってそれぞれのビットに向かい合った。そして、ビットから発射されるレーザーを意図も簡単に弾く。

 

「っ!? いえ、まだ……!!」

 

 簡単に弾かれてしまったが、終わりではない。角度、方向を不規則に変え、攻撃を続行する。

 それでも、ビットに合わせて小型の盾も動き、徹底的に攻撃を弾いてしまう。彼に攻撃が全くと届かない。彼女には次第に焦りが生まれる。

 そんな彼女に対して、彼は今や棒立ち。全くと何もしていない。それ処か、適当に歩き始めたり右腕の動作確認等で暇潰しをし始めた。彼女の事など一切と目に留めていなかった。

 それもそうだ。この『バリアブルシールド』は彼ではなく『◯一九』が制御しているのだから。彼自身、暇としか感じていない。呑気な男だ。

 しかし、それでも彼女は諦めやしない。攻撃が当たるその時まで手を止める事は無かった。

 猛攻撃を繰り出す彼女と徹底的に防御する彼。それが暫く続き、漸くと状況は変化する。

 

「……鬱陶しいんだよ。おい、『灰鋼』」

 

 彼が呟いたその直後、『バリアブルシールド』から四枚が分離、囲う様に地表へと展開される。そこから更に装甲がスライド、『凹』の形に。

 

「『双豪雨(そうごうう)』」

 

 その呼び出しによって展開されるのは政府から送られてきた、新たな後付武装。それ等は地表に刺さる四枚の盾の上に姿を現す。

 圧倒的な火力を誇る『豪雨』。単体でも強力なソレをとち狂った研究員達が更なる改良を施し、まさかの二連装仕様にしたぶっ飛びにぶっ飛んだ大型の機関砲が四基。

 

 ──20mm二連装多銃身回転式機関砲(ダブルバルカン)『双豪雨』──。

 

「!」

 

「やれ」

 

Fire(ファイア)

 

 その呟きを合図にばら撒かれるのは砲弾の雨。瞬時に判断出来た彼女は攻撃を中断してビットを回収、回避に専念せざるを得なかった。

 毎分約四千五百発の発射レートを叩き出すソレが四基、更には全てが二連装。八門から繰り出す砲弾により彼の周囲は莫大な量の空薬莢が散乱、瞬く間に地表を埋め尽くす。

 

「こ、これでは攻撃が……!!」

 

 モーター音と繋がる銃声がステージ内に響く。更に、以前の私闘にて学習をしたのか何なのか、弾倉を自動展開して勝手に装填している。弾幕を一切と途切れさせる事は無かった。拡張領域内の弾薬が尽きない限り撃ち続けるであろう。

 どんな仕組みなのか全くと知らないが、これで面倒な再装填は解決した。有り難い事だと同時にどこまで無茶苦茶なんだと、彼はしかめっ面だ。

 

「くぅっ……!!」

 

 迫る砲弾の豪雨に彼女は歯を食い縛る。

 ビットを使う余裕が無い。射撃の余裕も無い。回避しか選択肢が無い。集中を切らしたら最後、自身は瞬時に蜂の巣になってしまう。

 彼女は──こうもあっさりと完封された。

 

「…………」

 

 回避に必死となる彼女を余所に、隆道は自身の左腕へと目を向ける。追加された謎の発射装置は何なのであろうか。一見した限り単発式の大砲に見えなくもないが、弾倉が全くと見当たらない。先込め式なのであろうか。

 見詰める事、約数秒程。突然とディスプレイにその装備の名が浮かび上がる。

 

 ──『グラップルランチャー』──。

 

「んー……?」

 

 どこかで聞いた事のあるその名前。ランチャーと名が付くのだから何かを発射する事は確定だ。

 故に、試す事にした。辺りを見渡し、何も無い所へと向けてソレを発射。

 

「おっ」

 

 飛び出したのは砲弾──ではなく、ワイヤーに繋がれた三本爪のアンカー。ソレは数十メートルにも伸びて停止、爪が可動した直後にワイヤーを巻き上げて発射装置に格納していった。

 

「……ああ、掴むのか」

 

 攻撃でも、防御でも、回復でもない全く新しい武装。コレは中々の多様性がありそうだ。

 これは面白いと、彼はアンカーの射出と格納を繰り返す。上空で逃げ惑う彼女なぞ完全に放置、あろう事か遊び始めてしまう。攻撃は無人砲台に全てぶん投げてしまった。

 全力で躱し続ける彼女に、一人遊び呆ける彼。あまりにも彼女が不憫が過ぎるのではないか。模擬戦とはいったい何なのか。

 実力差で言えば圧倒的に彼女の方が上である。しかし、残念ながら学習能力が高く、防衛の為に変異する『灰鋼』の前では無意味だ。操縦技術を駆使しようと、新しい武装等で追い詰めようと、必ず、絶対に、学習し、次の防衛へと活かす。

 『灰鋼』は──()()()()()()する。

 

「も、模擬戦、中……です、よっ……!!」

 

「…………」

 

「此方を、向いて、下さいまし──」

 

「うるせえ」

 

 彼女としては少しでも目を向けて欲しいが故の呼び掛け。嫌われているのは承知だが、どの様な形であれ彼と接触をしたかったのである。今回の模擬戦相手を志願したのもそういった理由だ。

 

 

 

 だが、今は間が悪かった。

 

 

 

 忌み嫌うISの操縦、望まない戦闘、あの日から無視をし続けてきた相手、そして何より──今も頭にこびりつく、あの夢。それ等が重なり、彼の苛立ちは一気に上昇していく。

 

 

 

 喧しい。五月蝿い。鬱陶しい。話し掛けるな。頭痛がする。吐き気がする。嗚呼、気持ち悪い。

 

 

 

 もう、耐えられない。新しい装備で色々と気を紛らわしていた彼は──とうとう頭に来た。

 脳内で攻撃中止を指示し、『双豪雨』を停止。無人砲台からはモーター音だけが轟いていく。

 

「ライム女。そんなに相手して欲しいなら……」

 

「!! 漸く──」

 

「お前が来い」

 

 彼女が急停止した──その瞬間。

 

「──あっ!?」

 

 彼が繰り出すのは『グラップルランチャー』。そこから飛ぶアンカーはフラットな曲線を描いて彼女の脚部に直撃、簡単に捉えた。

 焦りから生まれた完全な油断。本来なら躱せるものが、こうも容易く捉えられてしまった。

 彼女は咄嗟に引き剥がそうとするが既に遅し。彼はワイヤーを一気に巻き上げていく。

 そう、コレは──引き摺り出し。

 

「あああああぁぁぁぁぁっっっ!?!?!?」

 

 有無を言わせない引き摺り出しは二人の距離を縮めていく。彼女を待ち構える彼は、今や右腕を大きく振りかぶっていた。

 そこから導き出される答えは──。

 

(──いけないっっっ!?!?!?)

 

 防衛本能が働いた故なのか、彼女は回避すべく咄嗟に『スターライトmkⅢ』を自身の脚部に向け発砲、装甲毎引き剥がして離脱する。その瞬間、先程までいた場所には鋭利な五本爪が高速で通り過ぎていく。

 

「「「「「っっっ!?!?!?」」」」」

 

 聞こえたのはとてつもない破壊音。見えたのは凄まじく抉れる地表。二人は、そこから生まれる大きな土煙に包まれていった。

 

「「「「「────」」」」」

 

 土煙から聞こえるのはモーター音、ただ一つ。時間が経つにつれ、次第にと土煙は薄くなり二人の姿が垣間見える。互いは動きを見せていない。

 武装を構える、汗だくのセシリア。その視線の先には右腕を叩き付けたままの隆道。その地表に刻まれるのは──歪過ぎる凹みと五本の斬撃痕。

 

「何、あの威力……」

 

 誰かがそう呟くが、答える者はいなかった。

 一目でわかる、凄まじく、出鱈目過ぎる威力。パワー型ISでもここまではならない。どんな武装でもここまではならない。決して、有り得ない。

 もし、あるとするならそれは──。

 

「はっ……はっ……はぁっ……!!」

 

「…………」

 

 息を荒げるセシリアは震えていた。もし、仮にあの攻撃を受けたらどうなっていたのか。恐らく──いや、絶対に無事では済みやしない。それは誰しもが見たらわかる。一撃で終わってしまう。

 徹底した防御性能に、計り知れない攻撃性能。ほんの数分しか経っていない模擬戦ではあるが、そこにいる全員が嫌でも理解した。

 

「……おいブリュンヒルデ、まだ続けんのかよ。こっちは苛ついてんだ、これ以上は知らねえぞ」

 

「お、織斑先生っ。わたくしはまだ──」

 

「今日はここまでだ、もう止めろ。総員、解散」

 

「……はい」

 

 千冬は解散を命じた。これ以上戦闘を続ければ誰かしら無事で済まなくなる。それ故の判断だ。セシリアはまだやれると言うが、何かあってからでは遅いのだ。無理にでも下げるしかない。

 戦闘データは少々ではあるが、確かに取った。これならIS委員会は文句は言うまい。尤も、文句が出た所で知らん顔するつもりなのだが。此方は言われた通りにデータを取った。それで充分だ。

 

「お疲れ様です」

 

「……おう。殆ど何もしてねえけどな」

 

 それぞれがピットへと戻る最中で、彼に近づくのは一夏。少しばかり不安そうな表情であった。それは『灰鋼』に関してなのか、或いは例の事件を引き摺っているからなのか。

 恐らくは両方なのだろう。この機体は自分でも気味が悪いと感じているし、あの事件は常人には刺激が強過ぎる。仕方の無い事だ。

 だが、いつまでも沈んでいては困る。周りにも影響を及ぼすし、一夏にその表情は似合わない。そんなもの、自分だけで充分だ。

 

「毎度の事ながら冷や冷やさせますね……。また大変な事になるかと」

 

「無事に終わったんだから良いだろ。それより、明日……だっけか?」

 

「ええ、はい。明日しか許可は下りてませんし。今更行かないなんて駄目ですよ?」

 

「わかってるっつーの」

 

 そう駄弁りながら彼等はステージを後にする。彼等の言う明日とは久々の外出だ。今回の目的は来週の為の準備である。

 

「臨海学校、ねえ。買う物なんて無えしなあ」

 

「気晴らしだと思えば良いかと。……あ、これを機に水着でも買いましょうよ」

 

「学校指定じゃ駄目なのかよ。野郎の水着なんてどれもほぼ一緒だろうが」

 

「それ、口にしたら文句言われますよ……?」

 

 IS学園には七月上旬に校外学習──すなわち、臨海学校が存在する。三日間の日程の内、初日は丸々自由時間、二日目は解放された非限定空間における装備の稼働試験。三日目は撤収作業だけ。

 主な目的は二日目の稼働試験なのだが、生徒達にとって最も重要なのは──初日の自由時間だ。

 十代女子が海を目の前にして何もしないか? 否、遊ぶ以外の選択肢など無い。よって生徒達はテンションが上がりっぱなしだ。しかも、男子の存在もあってか色々とぶっちぎっていた。

 故に、彼女達は念入りに準備する。男子二人に変な目で見られない様、徹底的に。あわよくば、仲良くなる好機が訪れるのではと考えていた。

 とは言うものの、片方は絶望的に鈍感、片方は絶望的に女性不信。その邪な心は無駄に終わる。嗚呼、なんと可哀想な事か。残念でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の日曜。本州のとある駅前。

 そこには日本最大級を誇る施設が存在する。

 

 ──ショッピングモール『レゾナンス』──。

 

 交通網の中心でもあるここは、電車、地下鉄、バス、タクシーといった全てが揃っている。市の何処からでも、何処へでもアクセス可能である。

 そして注目すべきなのはその品揃えだ。駅舎を含む周囲の地下街全てと繋がっているこの施設はあらゆる食文化を完備、衣服も量販店から海外の一流ブランドまでと選り取り見取り。その他にも各種レジャーは抜かり無し、子供から年寄りまで幅広く対応している。

 いわく──。

 

『ここで無ければ市内の何処にも無い』

 

 ──と言われる程。

 全く以て隙が無いこの施設は派手に凄いとしか言わざるを得ない。圧倒的過ぎる。

 その一角──水着売り場に、ある団体が。

 

「……今更だけどよ、集まり過ぎじゃねえのか。かなり目立つぞ、コレ」

 

「それは……言わない約束ですよ」

 

「同行が条件だ。こればかりは諦めてくれ」

 

 そこにいるのは七名の男女。男性が二名、女性が五名というアンバランスが過ぎる団体は周囲の注目を浴びに浴びていた。

 男性陣は隆道と一夏が。女性陣は千冬、真耶、箒、シャルロット、そして──ラウラが。

 超有名人(一夏・千冬・隆道)が三人と非常にレベルが高い女性達。一般人から嫌でも視線を向けられていた。全員が私服姿なのだがそれでも凄まじく目立っている。

 何故、こんな目立つ団体が出来上がったのか。その理由は彼等──隆道と一夏の護衛が大きい。

 一夏と少女達は知らない事だが、六月頭の事件──『六・五青少年抗争事件』により男性操縦者の外出はとても厳しいものとなった。 彼等が外出する際には側に強力な護衛が必要となったのだ。必ず教員か専用機持ちが必要になったのである。

 勿論、一夏や少女達はこれを単なる買い物だと認識している。護衛だと認識しているのは隆道と千冬と真耶の三人だけだ。意識が違い過ぎるが、臨海学校が近いのに物騒な話は出したくはない。出すとするならば臨海学校が終わってからだ。

 箒は以前から一夏との買い物を約束したから。シャルロットは一夏が誘ったから。何も不思議な事は無い。では、ラウラは?

 

「……あの、教官」

 

「そう緊張するな、ラウラ。折角の臨海学校だ、お前も好きに買い物を楽しめ」

 

 誘ったのは千冬その人。一週間前の事件以降で人が変わったかの様に大人しくなったラウラを半ば強制的に連れ込んだのだ。

 ラウラは軍人一筋だったが故に、こういった事にかなり疎い。今は学生生活を楽しんで欲しい、それだけの一心。そこに壁など存在しなかった。

 最初こそ彼等と険悪になるかと危惧していたのだが、どうやらこの一週間で和解した模様。千冬の不安は杞憂に終わっていたのであった。

 

「男と女は売り場が違うし一旦ここで別れるか。では行きましょう」

 

「ん」

 

 本来ならここでも教員の同行が必要なのだが、あまりくっついていると変に思われる事は確実。彼等が悟る事は避けねばならない。

 彼は千冬と目を合わせアイコンタクト。それが伝わったのか千冬は静かに頷き、彼女達の輪へと入っていった。何かあったとしても真っ先に駆け付けて来るだろう。それを流し目で見つつ、一夏と水着売り場へ歩き出す。

 

「つーか織斑、金あんのか?」

 

「そこそこの軍資金は。中学時代にアルバイトをしていたので」

 

「中学でアルバイトなんて出来んのか」

 

「学校に相談したら色々と紹介してくれまして。あとは知り合いの手伝いとか。そういう柳さんはどうなんです?」

 

「……まあ、色々やったからな。ガッツリある」

 

 今は互いにIS学園の寮住まい。食費光熱費等は全てタダ。金を使うのは購買程度だ。どうやって日本が運営管理しているのやら不思議である。

 彼自身もそこそこの──いや、一夏とは比べ物にならない程の莫大な軍資金がある。生前父親が貯めていた貯金に死亡保険、あとは抗争によって手に入れた戦利品などで懐はたんまり。具体的な金額は彼のみぞ知る事だが、暫く遊んで暮らせるとだけ言っておこう。尤も、IS学園にいる以上は購買程度しか使う事は無いのだが。

 

「俺はコレで」

 

「んじゃ俺はコレとコレ」

 

 男性用水着売り場へ着くなり、爆速で買い物を済ませる男子二人の水着選び。一夏はシンプルなネイビー色の水着、彼は色違いであるグレー色の水着と上半身を隠す為の白色のパーカー。少しは吟味しようと思わないのか、この男達は。

 

「どうします? ここにいても暇ですし」

 

「……行きたくねえが、あいつ等の所に行くか」

 

 決して気は乗らないが、彼女達がいるであろう女性水着売り場へ。すると案の定、全員が色々と吟味していた。色にしても形にしても、その数は男性用の比では無い。

 声を掛けようにも女性用水着売場を彷徨くのは流石に不味い。仕方無くと、二人は近くのベンチに腰掛けて彼女達を待った。

 すると──。

 

「そこの貴方達」

 

 ──一人の女性が声を掛けてきた。

 

「男の貴方達に言ってるのよ。そこにある水着、片付けておいて」

 

 名も知らない相手からの命令が彼等を襲う。

 女尊男卑の風潮によって、男性はこうして街を出歩くだけで見ず知らずの相手から命令される。

 女性優遇制度は非常に強力だ。それに染まった女性達は男性を道具としか見ていない。目の前でこうした傲慢な態度を取る女性が良い例だ。

 狂いに狂っているだろう。しかし、それが通用するのが今の世の中。逆らおうとすれば冤罪等をでっち上げられ、問答無用で人生終了だ。故に、男性は決して逆らえない。

 

 

 

 尤も、それが自分達に通用するかは別だが。

 

 

 

 こちとら男性操縦者だ。相手は自分達を一切と知らない様子、どれだけ世間知らずだ。そこら辺の男性としか見えていない程に目が腐ったのか。それとも見境無しなのか。

 

「「…………」」

 

 彼等は無視を決め込む。

 口は開かない。それ処か、目すら合わせない。まるで、そこには誰もいないかの様に、徹底的にシカトする。これは隆道の教えによるものだ。

 

『いいか、知らねえ女に声を掛けられても絶対に反応するな、耳を貸すな、口を開くな』

 

 彼自身は勿論の事、一夏もまた女尊男卑の一角に遭遇した。不注意に関わったが故の、悪意を。

 この手の人間に何を言った所でそれは無駄だ、何をしても面倒事になるのはわかりきっている。大人しく言う事を聞いた方が一番の保身となるが──生憎その選択肢は無い。

 彼等は決して、絶対に屈しない。その悪意に。

 それに、何もせずとも此方には切り札がある。

 

「……聞いてるの?」

 

「「…………」」

 

「……ふうん、そういう反応するの。自分の立場がわかってないみたいね。なら──」

 

「何をしている」

 

「……えっ」

 

 警備員を喚ぼうとした女性の言葉が止まった。そう、切り札とは今回の買い物に同行した千冬。こういう面倒事の為の彼女。彼等が何もせずとも厄介事は全て任せられる。心配する事は無い。

 

「ブ、ブリュンヒルデ……!?」

 

「私の連れだ。もう一度言う。何を、している」

 

「え、その……」

 

「とっとと失せろ」

 

 その鋭過ぎる眼光により女性は逃げる様に場を立ち去っていく。へっぴり腰のそれは滑稽な姿、無様そのものであった。 というか、片付けてから帰れ。店員が困るではないか。

 

「全く……。無事か?」

 

「おかげさまで」

 

「た、助かりました、織斑先生」

 

 こればかりは素直に感謝だ。彼女が来なければ今頃は非常に面倒過ぎる状況になる所であった。自分一人なら幾らでも対処出来るが、一夏がいる前ではあまり動きたくはなかった。

 

「今は就業中ではない、姉弟だ。名前で良い」

 

「わ、わかった」

 

「柳。すまないが一夏を借りていいか?」

 

 隆道はその言葉の意味を即座で理解する。

 姉弟水入らず、邪魔する理由など一つも無い。千冬は憎む対象だがそれはそれ、これはこれだ。

 

「あー……、えとー……」

 

「行ってこいよ。俺はここにいる」

 

「じゃ、じゃあまたあとで」

 

 一夏は千冬と共に女性用水着売り場へ消えた。ベンチに残されたのは隆道ただ一人。その表情は何処か悲しげで、何処か寂しくて。

 

「……姉弟、か」

 

『にーに! ひまりもいくの! ■■■ちゃんにあいにいきたい!』

 

「…………」

 

 突然と思い出される過去の記憶。それが脳内に響き、頭痛が襲い掛かる。息が詰まっていく。

 もしも、何かが違っていれば自分は今も兄妹水入らずな生活を送れたであろうか。幸せな生活を送れたであろうか。

 

「……はんっ。んな訳、一つも無えよ」

 

 社会は、世界は、家族は変わった。揺るぎない事実だ。決して、絶対に変えられない事なのだ。そう考える度に頭痛はより一層と強くなり、顔は歪んでいく。

 

「……くそったれが」

 

 今日一日、隆道の心が癒される事は無かった。




◆『灰鋼』(第二変異)
巨大化した右腕と四枚の『バリアブルシールド』が特徴。装甲には防刃対策が施されている。
防御力と攻撃力が競技用を逸脱している。出力も上昇しているが、追加された装甲と装備によって速度は相変わらず『打鉄』と同様。

◆20mm二連装多銃身回転式機関砲『双豪雨』×4
二連装型の『豪雨』。隆道は無人砲台として運用した。
単体でも一応は運用可能。

◆『剛鉄爪』
変異した巨大な右腕。
指の一本一本が鋭利な爪となり斬撃が可能。手持ち型の後付武装は持てない。
(『鋼牙』の様に取付自体は可能)

◆『グラップルランチャー』
変異によって追加された左腕の装備。
三本爪のアンカーが素早く対象を捉える。

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