今回のお話は櫂斗くんと冥華さんと出会った話と、櫂斗くんの引っ越し先についてです。
それではお楽しみ下さい。
引っ越し先は…。
俺は今六道家の応接室にいるが、何故こんな場違いなところにいるのかはちょっとした事情がある。
それを語るには俺がまだ関西の実家にいる時に、父さんたちとの修行中の時まで遡る必要がある。
~回想~
ある日のことだ。
その日はいつものように父さんたちとの修行を終えて、母さんに頼まれた買い出しの荷物持ちに来ていた。
「……それにしても、櫂斗は幽体離脱もしなくなってきたし、霊能力の方もいい感じじゃない。」
「う~ん、未だに父さんたちとの模擬戦で勝てたこともないから、実感湧かないよ。」
母さんの言うとおり、最近は幽体離脱をしなくなったから、護符は持ち歩かなくなった…が、模擬戦中に偶に父さんたちが力加減を間違えて、幽体離脱してしまうことは何度かあった。
「……あの時は悪かったわよ。でもあれぐらい避けるか防御しないとダメよ?」
「いやいや、体制を崩されて死角から攻撃されたら、誰だって防御もなにも出来ないって!?」
「ナギやアンタの兄さん姉さんなら、軽く弾くか避けるわよ?」
「父さんや兄さんたちと比べるなよ!?俺は人間だぞ!?」
…とまあ、母さんと出掛ける時は専ら俺の修行のことや、最近の天界の様子を聞いたり話したりしながら買い物をするんだが、この日はそれだけでは終わらなかった。それは買い物も終わり帰り道の途中にある、古い屋敷前を通った時だった。
この屋敷はある富豪が住んで居たらしいが、株で失敗したらしく数カ月前に家族共々無理心中したんだとか。その後この屋敷は借金のカタとして売られることになったが、誰一人買い手が付かなかった。…お察しのように、この屋敷の元主人とその家族の幽霊が出るため、今では幽霊屋敷としてこの界隈では有名になっているぐらいだ。
そんな屋敷の前に何人かの人がいるのに気付いた俺と母さんは、ついにGSが出張ってきたかと、しばらく様子を見ていた時だ。
『……また来たのかぁ~!!?此処は私達家族の家だぁ~!!!誰にもこの屋敷は売らんぞぉぉっ!!!!…ヘブッ!?』
たぶんこの屋敷の元主人の幽霊が現れて、屋敷の前にいた男性(不動産屋かな?)を殴りつけようとしたが、突然壁のようなモノが現れ、ソイツはぶつかっていた。幽霊が屋敷の敷地外に出られない結界が張られていたのだろう。そこにいた男性は慌てて距離を取るように逃げ出たが、たぶんGSだろう人だけ残っていた。
『ぐぉぉぉっ、なんだこれはぁ~!?屋敷から出られんぞぉ~!?』
「あらあら~、聞いていたより~、随分と元気みたいね~?」
『貴様、GSかぁ~!?私達を此処から出せぇ~!?』
「それは駄目よ~。そんなことしたら~、ご近所さんから~苦情がくるから~出してあげないわ~。」
シュッ…ドォォンッ!!
『ギャアァァァッ!?』
…GSの女性(たぶん六道冥華さんだと思うけど)はそう言いながら、懐から出した除霊札をソイツに向けて投げつけた。
投げつけられたら幽霊は除霊札で強制的に除霊されたのか、爆発が収まった頃にはその姿は何処にもなかった。
「はい、お終い~。不動産屋さん~、終わりましたよ~!」
「も、もう大丈夫なんですか?」
「はい~、あとは~周辺の浄化をすれば~、二度と幽霊が出ることは~ないですよ~。」
そう言って冥華さんが不動産屋さんに説明しながら屋敷を覆っていた結界を解除している時だった。
『アナタぁぁッ!?うちの主人になにするのよっ!!』
「「!?」」
「…霊っ銃ぁぁん!!」
バァァァンッ!!
『キャアァァァッ!?』
たぶん元主人の幽霊の奥さんらしい幽霊が、除霊したことで気が緩んでいた冥華さんたちに襲いかかった…が、それに気づいた俺は、咄嗟に霊銃を放ってソイツを倒してしまった。
…ってやべぇ、危なかったからつい助けちまったが、俺GS免許もないのに除霊しちまった!?
「…はぁ、櫂斗…あなた何やってるのよ…。今何したか、わかってるの?」
「い、いやだって母さん、あのままだとあの人たちが危なかったから、つい咄嗟に…」
「あのねぇ、向こうはプロなのよ…あれぐらい、自分でなんとかしてたわよ!それをあんたは邪魔して、それどころかGS免許もないのに除霊してっ!!それがどれだけマズいことかわかってるっ!!?」
「ギャアァァァッ!ご、ごめんなさーい!!!?」
俺がこれからどうやって説明しようか考えていたら、母さんも俺のやってしまったことに対して説教(という名の折檻)をして数分後…
「……ほら櫂斗、あの方にしっかり謝りなさい!」
「も゙、も゙う゛じ訳゙あ゙り゙ま゙ぜん゙でじだ!!」
俺は母さんに説教(?)を喰らい、ボコボコになった身体で冥華さんに土下座をした。
「まあまあまあ~…今回は~私たちを助けようと~したらしいから~不問にしますが~今後は~気をつけて~下さいね~。」
「は、はひ!!二度とひまへん!!」
「家の愚息がお仕事の邪魔をしてしまってごめんなさいね。」
「いえいえ~。あの時~彼が除霊してくれなかったら~、私はともかく~不動産屋さんは~ケガをしてましたから~助かりましたよ~。」
「そう言われると、こっちとしては何も言えないわね。」
「それより~、息子さんは~凄い力の持ち主ね~。GSになるのかしら~?」
「いやまだまだ、他人様に誇れるものじゃないわよ…。」
「あらあら~、家の娘より~十分強いわよ~。……」
~回想終了~
…って感じで、冥華さんと母さんは仲良くなったんだ。
その後俺は父さんに勝手に他人様の除霊現場を荒らしたことがバレて、更にボコボコにされたのは割愛しておく。
…で、仲良くなった母さんたちは俺の身体が治ったことは省いて、偶にだが父さんたちとの模擬戦で勝てるようになったから上京するってことを、冥華さんと話したらしい。
そしたら冥華さんに引っ越し先のことは任せてほしいと言われたらしく、俺は上京して現在に至るってわけだ。
「……ところで冥華さん。俺の引っ越し先って、まさかここ(六道家)じゃないですよね?」
「あらあら~、家じゃダメかしら~?」
「いや、さすがにこの家じゃ広すぎて落ち着かないんですよ。(それにここにいると冥華さんに良いように使われ兼ねないしな)…それに幾ら広いからって、年頃の娘さんがいるところに男の俺が一緒に暮らす訳にはいかないッスよ。」
「…(なんか聞こえたような~…気のせいかしら~?)…う~ん~、冥子なら~大丈夫だと~思うんだけど~、櫂斗くんが~気にするなら~仕方ないわね~。」
「すみません、一応俺も男だから女性と一緒に暮らすって、なんか落ち着かないんですよ。…出来れば別のところをお願いします。最悪六畳一間でも構わないッスから。」
まさかまさかの六道家だった!
このままでは六道家に取り込まれてしまうと感じた俺は、なんとか別の物件をお願いした。
「わかったわ~。櫂斗くんが~気にするなら~別の物件を~探してみるわね~。」
「すみません、お手数かけます。」
「そのかわり~希望物件が~見つかるまでは~家に滞在しなさいね~?冥子も~櫂斗くんに会えるのを~楽しみにしていたから~。」
「はぁ…俺としてはホテル代が浮くから助かりますが…良いんですか?」
「構わないわよ~。部屋ならいっぱいあるから~好きなだけ~居てちょうだいね~。」
…なんか企んでそうだけど、ホテル代が浮くのは確かだし、母さんたちに貰った資金もそんなにないから、この際背に腹は代えられないか…。
「…わかりました。部屋が見つかるまでの暫くですが、よろしくお願いします。」
…こうして俺は、暫くの間六道家に世話になるのだった。
<続く>
…ということで、
櫂斗くんの引っ越し先はまだ決まっていません。
冥華さんは櫂斗くんのことを気に入っていますので、なんとか櫂斗くんを六道家に…と考えてますが、櫂斗くんも(霊感を発揮したのか)なんとかそれを回避しようとしてます。
果たして冥華さんの思惑通りに進んでしまうのか、はたまた櫂斗くんが切り抜けるのか。
それは次回のお楽しみにして下さい。
…最も、賢明なる読者さま達にはわかることでしょうが(笑)
それでは次回もお楽しみに。
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