今では、公式にもネタにされ、見放され、子どもにも怖がられる彼。
ヒーローショーを出禁になった唯一の仮面ライダーでもある。
不遇と言っても過言ではない。
その容姿は怪人と呼ぶにふさわしいだろう。
でも…
これだけは覚えておいてほしい。あの「始まりの男」も「伝説を塗り替えた男」も、元は「怪人」であったことを…
この物語は、真・仮面ライダーという作品に対し、敬意を持って描く二次創作である。厚かましくも、私は、誕生26年の月日を記念して、二次創作の場であったとしても「序章で終わった作品」というレッテルを剥がしたい。
この作品は、そんな作者の個人的なエゴで生み出されたものです。
私の稚拙な文章、勝手な解釈が耐えられない方も多くいらっしゃると思いますが、その時はブラウザバックをお願いします。
長文失礼。
それでもよろしい方は、どうぞよろしくお願いします。
暗く冷たい地下道の中を何かが歩いていた。
その何かは全身が緑色の外殻に覆われ、頭には触覚が生え、目は3つあり、そのうちの2つは大きな複眼でそれらは色は血のように赤い。
まるでバッタのようなその外見は、人間とは言えず 「怪人」と呼ぶにふさわしい。
怪人は、1人の女性を大事に抱えていた。だが、その女性には血色はなく、ピクリとも動かない。
…抱えられている女性は死んでいた。
ピタァ ピタァという音が地下道の中に響き渡る。怪人は歩き続けながら考えていた。そして、絶望しかけていた。
時間は数時間前に遡る。
「 ×××ッ ×××ッッ!! 」
けたたましく鳴るUZIの銃声が響く中で、その言葉がこだまする。
女は身重の体で「×××」と呼んだ男を庇った。男は、一瞬何が起きたのか分からず、血だらけになりながら倒れこむ彼女の姿を見てようやく状況を理解することができた。
男は、必死に彼女の …愛する人の名を叫んだ。
「 ーーッッ!!!」
男は血まみれの彼女に駆け寄り、彼女の名前を叫ぶ。
彼女が男を庇ったのを見て、白衣を着た男、氷室 巌はその手に銃を抱えながら驚愕の表情で目の前で起きた光景を凝視していた。
そして、手にUZIを抱えたまま、男達を見て呆然と立ち尽しているだけだった。
自暴自棄になり、自身の手で非常に貴重なサンプルを殺してしまった故の戸惑いか? それとも、バケモノを庇ったーーという女に驚いたのか?ISS所長 氷室 巌が、何をを思い、何を考えていたのか、今はもうわからない。
そんな呆然とする氷室に対し、
男はすぐさま、近くにあった椅子を片手で掴み上げ思いっきり投げつけた。椅子は見事に命中し、氷室を持っていたUZIごと弾き飛ばす。
弾かれた氷室は壁に激突し意識を失った。
男は、すぐさま倒れた彼女を抱き寄せる。
「 ーーッ しっかりしろッ!!」
男は、もう一度彼女の名前を呼ぶ
彼女の背中は血でぐっしょりと濡れており、力が抜けぐったりとしたまま薄く目を開けている。
だか、彼女は残る力を全て絞り出し男に何か伝えようとしていた。
「ごめんね… ×××… 騙して…でも愛してた。×××のことを本当に…」
「 ーー …」
彼女が男を騙していたのは事実だ。
しかし、彼女の愛は本物だった。
自分がバケモノとなったも姿を拒絶せず、それどころか、優しく抱きしめてくれた。自然と、男の抱きしめる腕に力が入る。
「×××…お願い…この子を助けて…たとえ…どんな姿で生まれようと…私と×××との結晶…」
「この子さえ…この子さえ残せたら…私は安心して…」
少しずつ彼女から力が抜けていく
背中の血は止まらない、生暖かい感触がどんどん広がっていく。
「お願いッ…この子を…この子をぉ…」
それが最後の言葉だった。
「 ーーッ!! 」
すり抜けないように、もう一度強く抱きしめる。だが、ガクッと糸が切れた彼女の体は重いままだ。彼女の髪を撫でる。死に顔は綺麗だった…その時男は、ーー という人間の、最愛の人の「 死 」を受け入れざる得なかった…
その直後
「う…うぅ」
壁に横たわり気絶していた氷室が意識を取り戻した。
ギリッ…
手や口に力入り、鈍い音がなる。
その力はさっき程まで、愛しい人を抱いていたようなものではない。今にでも爆発しそうな程、危険で大きな力だ。目の前の愛するものを奪った者に対して、明確な殺意を持った。そして、男は… 初めて自身の意思で、バケモノに成り変わった。
それから後のことは記憶が薄い。
断片的に覚えているのは、
怒りに任せて氷室を惨殺した事。
本能に任せて
男は、誰1人として守ることができなかった…
そう、誰1人として…
そして、今、彼女の亡骸を抱き、
男は、徐々に肌寒さを感じてきた。
ふと見れば、バケモノだった自分の姿が、元の人間だった頃の姿へと戻っていく。
それと同時に今までふけっていた数時間前の記憶から現実に引き戻される。
ー 大切なものを同時に2つも失い俺はこれからどう生きていけば良いのだろうか? ー
思考が冷め、男は前を見る。光のない地下道、それはこれから辿って行くであろう自身の運命を示唆しているようだった。
男は、非情過ぎる現実に打ちのめされた。
だが、
トクン… トクンッ
彼女の体から聞こえるはずもない心臓の鼓動が聞こえる。その鼓動は小さくも、力強く男の耳に響いていた。その鼓動はお腹のあたりから聞こえる。それは、男と彼女の間に生まれた新しい命だ。そして、男にとって最後の希望であり光であった。
ー×××…お願い…この子を助けて…たとえ…どんな姿で生まれようと…私と×××との結晶…ー
彼女の言葉がこだまする。
ー 俺は…この子を守るよ。君との約束だ。 ー
決意は固まった。
進む暗い地下道に光がだんだんと差す。出口は近い。男はその光に向かって駆けた。
その手に、「
26年の時を経て ようやく「