真・仮面ライダー -新章-   作:ぱすえ

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平成が終わり令和へ……
仮面ライダーの歴史は大きく変わる。


第5話

立ち尽くす者が2人…

片方の者は、異形の男。もう片方はそれに対し、拳銃を向ける男。

 

 

「真……もう茶番は終わりだ。」ジャキッ

 

「……ア゛イ゛ィ?( な にぃ?)」

 

「……フッ…何、簡単なことだよ。

そうだ…随分と喋りづらそうだからな『こちらの方がいいか?』」

 

「 !?ッッ 」

 

 

…真が驚くのも無理もない。

何故なら、最後に発した言葉は、直接脳内で響いたからだ。

これは第1話で解説した呼応反応の一種。

テレパシーと呼ばれるものであり、普通の人間には発する事、ましてや聞き取ることすら出来ないものである。

それを結城はまるでいとも簡単にやってのけた。つまり……

 

 

『結城……お前まさか!?』

 

『ああ、そのまさかだ。俺も改造兵士(サイボーグソルジャー)になったのさ。』

 

『何故だッ!何故お前はそんなことを……』

 

『何、簡単なことさ。俺はお前と戦いたかった…対等な条件でな。』

 

 

そういうと、結城は真に向けていた拳銃を己の胸に当て、そしてニヤリと笑いながら真の方を見る。

 

 

『な、何をする気だ!結城!!』

 

『フッ…真、コイツをよく見ときな。』バンッ!!

 

 

瞬間、結城が胸に当てた拳銃の引き金を引く。しかし、結城の体には風穴どころか傷1つもつかない。さらには、ガキンッという金属音とともに銃弾が弾き飛ばされた。

 

 

「!?ッッ」

 

「ご覧の通りさ、真。俺は改造兵士になったのさ。しかも、お前と同じレベル3……いや、それ以上の存在としてな。」メキッメキッ!!

 

 

途端に結城の体が蒸気を上げ、体の形がみるみるうちに変わっていく。大きな金属板が埋め込まれた胸部が露出し、手や足からは刺々しい無数の脚が生えてくる。

顔面は、バックリと2つに割れそれらが、巨大な口を形成していく。

 

結城 卓也……彼の優しかった面影はみるみるうちに消え失せ、その代わりに凶悪で醜い異形の姿を真の前に晒す。

 

その姿はまるで巨大な蜘蛛のようであった。

 

 

『結城……何故…….お前はそんな奴じゃ無い!!そんな化け物に身を下すほど愚かな人間じゃなかったはずだ!!』

 

『おいおい、そんなに熱くなるなよ。どうだ……これが今の俺だ。お前の目の前に居るのは紛れも無い結城卓也という男だぜ?』

 

『何が、何が目的でこんな事を!!』

 

 

異形にされた苦悩。

それを嫌という程に感じてきた真は、頭を抱えその場に膝をつき崩れ落ちる。

目の前の光景に、親友が己と同じ醜い化け物に成り果てたことに悲しみ嘆いた。

 

だが、それとは対照的に結城は、さも自分が人間を超越した存在かのように歓喜し、異形の姿を進んで受け入れていた。

 

 

『目的…か、レーサーとしても一流。そして、頭脳明晰。全てにおいて完壁な人間だったお前には一生わからないだろうな。』

 

『結城ッッ!!』

 

『力のない人間が力を欲する。それは誰しもが一度は夢見る事だ。俺も同じさ…真。"お前に勝つ"それがこの姿になり、戦う理由さ。』

 

 

蜘蛛の化け物と化した友はそう言いながら、その醜い牙を真に向ける。

その様は彼のベースとなった生物、蜘蛛という生物の不気味さが滲み出ていた。

そして……

 

「キシャァァァァァァア!!」

 

『結城ッ!!やめろッ!!』

 

真の制止も虚しく、結城はその異形の力で彼を襲う。ベースとなったのが蜘蛛のせいか獰猛に大きく口を開き、鋭い歩脚が彼を捉えた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

ガギイイイイィィィ!!

 

結城…改造兵士レベル3の歩脚と真の腕部の棘刃(スパインカッター)が、けたたましい音を立て競り合う。

 

『結城……俺はお前と戦うしか無いのか……』

 

『そうだ真ッ!!俺と戦え、そして、死ねぇぇぇぇぇぇえ!!!』

 

「ーッ!?」

 

結城の叫びとともに、過膨張した臀部から白い糸のが噴出される。

間一髪のところでその糸を真がかわすが、放たれた糸は、近くの木にぶち当たり木をへし折った。

 

……なんて糸だ。噴出した勢いだけであれだけの威力。先ほどの傷がまだ癒えていない俺に直撃でもしてみろ……致命傷は免れないな。

 

噴き出された糸の威力に驚愕しながらも反撃の体勢を整えようとする。

 

例え、目の前にいる者が心を許せる大の親友だとしても、自分の命を狙ってきていることには違いない。ここで抵抗しなければ、安安と殺されてしまうだろう。

 

 

『オラァァァァア!!』

 

結城の猛攻は止まらない。

歩脚による連撃、怯んだところへの糸の噴射。徐々に真の体力が削られていく。

そしてついに……

 

バシュウウウウウウ!!!

 

真に向かって放たれた糸が、彼の足に巻きつき、みるみるうちに彼の下半身を固めていく。

「グゥッッ!?」そう呻くのもつかの間、結城が彼に馬乗りの状態になり、完全にマウントを制した。

 

 

『フッ……捕まえたぜ真。』ギギギ

 

『グッ!?…結城……そんなにも俺を殺したいのか?』

 

『ああ、そうだね……年下だったがお前は俺にとって憧れだった。そんなお前の親友だったことを俺は誇りにも思ってるさ。

………でもな、心の内ではそれと同じ……いや、それ以上にお前に対して嫉妬の業を煮やしていたんだ!!』

 

『ーッ……』

 

『だから、せめてせめて、何か1つだけでもいい。お前に勝ちたかった……例えそれがお前を殺すことになってしまっても……』

 

『……なら、なら何故!?俺と一緒にあのマシンを組み立てた?それだけじゃない。愛や新の事まで気に掛けてくれたあの優しいお前は偽りだったのか!?』

 

『なっ……』ビクッ!

 

『心の内ではそう思っていたのかもしれない。でも……それ以上に俺を……親友として大切に思っていてくれたんじゃなかったのか!!』

 

『ち、違う!お、俺は……お前が……ガ……』ピカッ!

 

『目を覚ませ!!結城!!お前は…グガッ!?』グリイイイイ!!

 

 

真の説得に狼狽する結城。

 

が、

 

急に、真を抑えつけていた結城の歩脚がの腹部を抉った。

さらに、結城の顔部にある「第三の眼」が光ったかと思うと、テレパシーが途切れ代わりに獣のような叫びをあげる。

 

 

「キシャァァァァァァア!!」

 

『クッ! ゆ、結城ィィ!!……ガフッッ!?ッ』

 

 

ズブズブと歩脚が腹部を貫いていく……

そんな状況下でも、真は結城の説得を試みるが、もう彼に真のテレパシーは届いていないようであった。

 

 

「グガアァァァァアアア!!」

 

『クソォッ!!……結城、許せよ。』ギュイイイン

 

 

ここで死ぬわけには……いかない。

だからこそ真は、反撃に出た。

腕部の棘刃が唸りを上げ、結城の歩脚を真っ二つに切断する。

切断された結城の歩脚からはおびただしい程の血が噴き出し、あたりを真っ赤に染め上げた。

 

「ギャァァァァァァァァァァァァァァア」

 

『……結城………いや改造兵士ッ!!お前が、これ以上俺の事を襲うのなら、俺も貴様を殺す!俺には守るべき息子がいるんだ、だからこそ、こんな所で死ぬわけにはいかないからな……』

 

「ゴ……ロ゛……ズゥゥゥ!!」ダダダダダ!!  

 

 

切断された歩脚を再生させながら、こちらに向かってくる結城。

 

 

『それが……答えか……』

 

 

その様子を見て真は痛感した。

 

目の前の異形は、もう、かつての友ではない。自身を狙う敵なのだ。

 

辛酸を舐める思いで真は、最後の切り札を切った。

 

『来いッ……"グラスホッパー"!!』

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

ドルゥゥゥゥゥゥゥゥンッッ!!

真の第三の眼が一瞬キラリと光ったと同時に、何処らからともなく一台のバイクの……

鉄の心臓の鼓動が聞こえてくる。

 

 

「 ガウッ!? 」

 

その音に、結城の進撃が一瞬止まる。

その瞬間、真は結城に向かって突き進んでいった。

 

「ガァァァァ!!」ズバッ!!

 

「ーッ!?!?」

 

向かってくるバイク音に気を取られていた結城は真の反撃に全く気づくことができず、その事実を理解した時には、真によって肩から腹にかけて袈裟斬りにされていた。

 

だが、それだけでは決定打とはならない。

 

レベル3は真を含め、異常なほどの細胞再生能力を持っているため、これぐらいの傷だけではビクともしない。

当然の如く斬られた傷も瞬時に塞がり結城は、すぐさま真を攻撃しようとする。

 

が、

 

肝心の真がいない。

 

 

「グルルルルルルッ!!」!?!?

 

 

あたりを見回すにも、そこにはあるのはまばらに生えた木々だけ……

すると結城は、手当たり次第にその木々を糸やら歩脚やらを使いメチャメチャに破壊していく。

隠れているであろう場所を手当たり次第に、なくしていこうという魂胆だろう。

 

程なくして周りの障害物を全て蹴散らすが、そこにも真の姿は無い。

 

 

「キシャァァァァァァア!!」

 

 

まるで悔しがる様に咆哮する結城は夜空を見上げると、そこに一粒の黒い点………真がいた。

 

 

『かかったな!!』

 

「ジィィィィィィィィインッッ!!」

 

はるか上空に飛び上がった真が、落下の勢いを利用しこちらに降下してくる。

結城が慌てて、落下してくる真を狙い糸を噴出しようとした瞬間。

 

ドルゥンッ!!

 

先程からこちらに向かって来ていたグラスホッパーが唸りを上げ結城にぶち当たって来た。

体勢が大きく崩れ、糸があらぬ方向へと飛び出し虚しく弧を描く。そして……

 

 

『うおぉらあああああああああああ!!!』ズガァァッ!!

 

 

急降下して来た真のキックを顔面に喰らい、貫かれる。さらには、結城の体幹部まで真の足が突き刺さった。

 

『これで……終わりだッッ!!』ギュイイイイン

 

「ブギァァァァァァァァア!!!!!」

 

両腕の棘刃そして、突き刺さった足の棘刃を振動させ、結城の体をバラバラに斬り飛ばす。細切れになった肉片が辺りに飛び散り、真っ赤な血の噴水が出来上がる。

 

 

 

 

 

これで決着はついた……はずだった。

 

 

 

 

 

 

細切れになった結城の肉片が、少しずつゆっくりとだが、また1つに固まり始める。

これは、……細胞再生能力という忌々しい能力が、改造兵士として死を認め用とはしないからだ。

だがもうそこには、結城の意思も感情も無い。その様は、兵器として再生しようとする化け物の成れの果てであった。

 

 

『……グラスホッパー……トドメだ。』

 

<リョウカイ>

 

静かに、そして絞り出す様に真が命令を下す。

それと同時に、グラスホッパーの後輪の横に備え付けられてあるサイドバックから火炎放射器が展開する。そして、結城だった残骸へとその銃口を向け火を放った。

 

 

 

 

 

化け物の肉を、友の成れ果てを焦がしていく炎を見ながら真は、ただ呆然とそこに立ち尽くす。

 

真っ赤に染まった両目と額の「異形の証(第三の眼)」から一筋の涙を流しながら………

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ー財団技術本部ー

 

 

 

スクーリンには、荒い砂嵐の様に通信の途絶えた映像が流れる。…先程の、事の一部始終を見届けていた死神博士は額を抑えひどく落ち込んでいた。

 

その様子を見た周りの白衣の男たちは背筋が凍る。何故ならば、死神博士の様子が最初の嬉々としたものから打って変わって、酷く落胆していたからだ。

 

 

「は、博士いかがなされましたか?これで飛蝗めの情報や戦闘力を得ることができましたし、作戦は成功なのでは………」

 

 

空気の読めない男の1人が、死神博士に声をかける。するとその声に、ピクッと反応した彼は、おもむろに顔を上げる。

その表情は無表情であった。

 

 

「そんな事は……今はどうでもいいんだよ。なぁ?君達に問う。…………誰だね、あんな駄作を作った馬鹿者は?」

 

 

ーッッ!!

全員に戦慄が走り、男たちの顔からは血の気が失せ真っ青になっていった。

なぜなら、死神博士、彼がそう言われる理由の1つである、敵味方問わず人をまるで紙クズ程度にしか思っていない冷血的思考を全員が理解していたからだ。

 

これ以上下手な事を言えば殺される。

 

その意識が彼らを支配した。

 

 

「……何故あれが駄作なのか、理由を述べられるものはここにいますか?」

 

 

博士の質問に対して男達は固まって動くことができない。彼らにとってあの結城卓也…いや改造兵士レベル3の強化型は、持てる力を全て出し尽くした結果だ。

……誰も駄作の理由がわからなかった。

 

 

「はぁ……全く……」

 

 

呆れかえるようなため息をつき博士は、ゴミを見るのような目つきで、男達を見つめる。そしてこう続けた。

 

 

「何故、兵器に感情や意思などという下らないものを残しておいたのです?

私が命じた飛蝗の殺処分を淡々と行えば良いだけなのに、あのような個人的な因縁付けは入らないのですよ。」

 

「し、しかし……それらはレベル3に完全変態した際に失われる様、遺伝子レベルで組み込み込んだので………」

 

「馬鹿者が!!そんな風に中途半端に、個人的な感情や意思などを残しておくから、あの飛蝗やあの駄作のような欠陥品が生まれるのです。

その点、変態直後完全に意思を消し去った鬼塚君のあの姿こそ、本来あるべき改造兵士の姿なのです!なのに……あなた達は、それを全くもって理解していない!!!」ガンッ!!

 

「ヒィッ!!」

 

 

普段怒りをあらわにすることは決して無い博士が、デスクを思い切り叩きギロリと男達を睨む。男達はもはや悲鳴をあげることしかできなかった。

 

 

「……まぁいい。君たちにはもっと役に立つ仕事についてもらうことにしましょう。」

パチン!

 

「は、博士!死神博士!!お待ちください!どうか、どうかお考え直しをぉぉ!!」

 

 

博士が指を鳴らした途端、暗い室内に屈強な男が1人現れる。その男はどこか無機質な出で立ちで……先程真に破壊された改造兵士にどことなく似ていた。

 

 

「やりなさいレベル2.5。この不良品供は製造工場行きがお似合いです。馬鹿は死ぬまで治りませんから。」ニコ

 

「リョウカイ.タダチニジッコウ.」キュイイイイ

 

「やだぁぁぁぁ!!」「"素材"になんてなりたく無い!なりたく無いぃぃい!!」「博士!お許しをお許しをオオオオオオオオ!!」

 

 

男達の断末魔が室内に響くが、死神博士は一切気にせず、砂嵐のスクーリンを見てぼやいた。

 

 

「はぁ……折角のショーが台無じゃないか。まるでこれでは、くだらない虫相撲……結果的に大佐が来なくて良かったなぁ。はぁ………」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

真は歩く。

未だに癒えぬ腹部を抱えながら、結城が置いて来たという新の居場所を探している……

 

しばらく、林の中を彷徨っていると、何か白い塊が見えた。

 

「!?ッ…『こ、これは……』」

 

その白い塊は、先程結城が武器として使用していた糸であった。

その糸は新たを柔らかく包む様にして、まるでゆりかごの様に木と木の間にプラプラとぶら下がっている。

 

 

『結城……これがお前の本当の気持ちだったんだろう?もしも、本気で俺を憎んでいるのなら、新にこんな事はしないはずだ……』

 

 

糸のゆりかごの中で、スヤスヤと寝ている新を真は起こさぬ様にそっと抱き抱えながら、そう嘆いた。

……振り返れば、煌々と燃え盛る炎が2つ、1つは先程まで自分達が暮らしていた我が家。そして、もう1つは友の残骸……

 

 

『グラスホッパー……』

 

<ナンデショウ?>

 

 

……俺が進むこの先の未来には、今以上の地獄が……待ってるのか?

そう言いかけるも、真はその先の言葉を飲み込む。

 

 

 

 

 

もう気づいてるんだろ?俺もお前も、戻れやしない……この先は地獄に……決まってるさ。

 

 

 

 

 

 

ふと、親友(結城)のそんな声が聞こえた気がしたからだ。

 

<ライダー?>

 

『いや…何でもない。……行こう。じきにここには財団やらCIAやらが押し寄せてくるだろう。それまでに何処か……誰も知らない遠くまで…な。』

 

<リョウカイ>

 

 

 

 

 

ドルゥンッッ

 

 

 

 

 

 

人の皮を被った異形は、行く。

その手に自分の守るべきものと、友と作り上げた相棒を手に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、序章から新章へと物語は繋がれた。

 

が、

 

彼はまだ、"仮面ライダー" ではない。

今の彼は、異能の力を得た、改造兵士だ。

 

 

 

風祭真、そしてその息子、風祭新。

 

彼らに正義(仮面ライダー)という風が吹くのはあと少し……先の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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