「恋は渾沌の隸也」を聞きながらサササーット書いた。
まずは仮想世界の女帝から
突然だが、俺はウロボロスに転生した!
嫌だ。最高に嫌だ、ナイスバディで可愛い声が出る以外に何一つメリットが無いよ。せっかく性転換がついでに終わってしまったハッピー展開までは完璧なのに、何がダメって俺が鉄血ってことだよね。
ああ、現実逃避でウロボロスという美少女について解説させてくれ。俺は今相当キテしまっている、理由は後で分かるさ。
俺が言うウロボロスは「ドールズフロントライン」のウロボロス。
お団子ヘアとツインテの組み合わせという詳細不明な髪型をしている彼女だが、姿形は威圧感の有る部類だ。鉄血特有の人間離れした白い肌、怜悧な瞳、余裕ぶった口端、何故かへそ出しセーラー服。ミニスカで絶対領域持ちな辺り、鉄血工造に変態が居たのは言うまでもない。
さてさて、ウロボロスと言うか羽衣狐を思い出す風貌の彼女だが――――――まあ、所謂「噛ませ犬」と言っても良いかもしれない。
日本版だと確か9月あたりに始まった404小隊の株を爆上げするイベント、「CUBE作戦」。此処で登場した彼女は面白い。鉄血の上からは期待されており(実際はなかったみたいだが)、電脳空間で三千世界の鴉をも殺す大殺戮の中を生き残ったという肩書まではカッコいい。何なら渋めの主人公だ。
だが結果は散々。色々崖っぷちな45姉達にボッコボコにされて屈辱の内にさようならするのがウロボロスだ。ちなみに独断で動いて代理人に見捨てられたも追加な、悲惨すぎる。
しかも45姉のラストの台詞――――「私達は皆の汚点だから」、アレがカッコ良すぎて負けゼリフすら印象に残らない徹底っぷり。俺は苛められるってことだなひっでえの。
で、現在電脳空間。まあ、要するに俺はこれから大体数千ぐらいのAIをぶっ壊さなくちゃならないのだった。
「…………あーあ、運が無い」
自分の胸でも揉まないとやってられん――――えげつない虚無感を感じたからすぐ辞める。すっごい気持ち悪かった。
景色なんて黒い背景に緑の線だけ。辛うじて建物らしきものの線画は有るものの、簡素すぎて風情とかはない。廃墟マニアだったら廃墟じゃないやんけと怒鳴り散らす映像だろう。
――なんて言ってると、擬似的な風景らしきものは出てきた。
青空、超青空だ。多分現実世界よりも綺麗な快晴の中に突然放り出される。
「――――っと、持ち物確認はチュートリアルの基本だな」
つっても、こんなへそ出しセーラーにモノなんて…………。
有った。スモーキンググレネード、スタングレネード、催涙ガス――――――投げ物ばっかじゃねえか。俺にプロ野球選手ばりのピッチングでも期待してんのか代理人さんよお。というか内股にまでホルダーとか有るってウロボロスちゃんはどうしてそんなえっちなファッションに拘ってたんだ、ちょっと好きになれるくらい見た目頑張ってるやんけ。
とにかく出来るだけ体中をまさぐっていると、目の前に突然インターフェースらしき映像が投影される。そっか、電脳空間だからこんな感じなのか。
――何かよく分からん文字列にしか見えないが、俺はそれが「初期装備を選べ」と指示を書いていることが分かる。アレか、電気信号的なものか?
「…………色々有るな」
変態ライフルWA2000、何かを間違えた大型拳銃デザートイーグル、お前はジャンルが違うぞパント銃、中世じゃねえかアパッチ・リボルバー、素人が作った熟練を超えたシロモノAK-47、むしろこれ以外何を使うのよM16、伝説のUZI、ドイツの安定感最強ライフルKar98k。
本当に色々有る。鉄血の割に古臭い銃(だって今2062年だぜ? もっと凄い銃有るだろ)が多いのは気になるが、俺がゲームで触れたことの有るレベルの界隈ではメジャーな銃は大体あった。
「えー、どれが良いかって? 俺銃なら皆好きなんだけどなあ…………」
どうだろう、銃って何を考慮して選ぶべきなんだ。
――真面目に考えてみる。
ええっと、今回の戦闘はつまり他のAIとの生存競争。他のやつも銃自体は持ってるんだろ?
だから死体漁りでメジャーどころというか、鉄板は結構簡単に拾えるはず。AK-47とかアホほど落ちてる、多分WA2000とかもだな。コスト考えなけりゃアレは最強クラスの自動小銃だ。
そんでもって軽いと嬉しいな。ウロボロスの身体がどんだけ怪力か分かんないし、軽いほうが足は速い。
――――――分かんねえな。どれ選んでも俺が頑張ればどうとでもなる。所詮は初期武器というか。
最初に表に出るほどアホじゃないから、まあ遭遇戦に強い銃にするか――――――あっ。
「Vectorだ、アレなら建物でばったりとかには最強じゃねえか」
決まりだ、急いで画面をスライドして選択する。時間制限とかはないのか、焦った~。
Vectorを選択するとふわっと目の前にポップする、まるでVRMMOだなこりゃ。
――軽い。試しに撃ってみると反動は腕力でほぼ抑えきれる。
「力は有るのか、イイじゃんこの体」
これなら近接も出来るように銃剣付きの突撃銃でも良かったやもしれんな、もう後の祭りだが。
意味はないのだろうがラジオ体操とかをしながら、身体を慣らして静かに開戦の合図を待つ。ちょっと絵面はアホっぽいが、こういう小さな事をキッチリできない奴は数千分の一にはなれまい、恐らくウロボロスもストレッチぐらいはしていた。
しかし見れば見るほど細い。腕も、足も、お腹周りも皆が羨むくびれ持ち。全く、この恵まれたビジュアルからの負けボスムーブよな…………。顔も結構可愛かっただろ。
伸びをするといよいよお腹が見えてこれ恥ずかしいじゃねえかと一人で憤慨――――していると、またインターフェースが出てくる。
「ええい、次は何だ…………トラップだぁ?」
もう俺よく知らねえよそんなもん。銃だってゲーム知識が半々だったのに、L4D2にトラップなんかねえんだよコラ。Borderlandsにもトラップなんぞねえよ。俺のゲーム知識は狭いんだ。
一応スクロールして色々見ては見たが、全然分からん。カッコいいの選んどけ、分からんなら直感で良いのだ直感で。
結構数が選べたので、俺の直感チョイスはかなりカオスなものになった。地雷、地雷、地雷、紐付き手榴弾、鳴子、ワイヤートラップ、etc…………まあ、色々? 後で確認しよう、俺は実銃だって(いやこれ電脳だけど)さっき持ったばかりの元大学生だ、多くのことを考える暇などあるまい。
――――――こうして彼。いや、彼女の『破壊』は始まった。
まず始まって数分でビル内で一体を破壊した。遭遇戦に強い選び方をしたのが正解だった、相手は支給品のHGで対応しあっさりと蜂の巣になった。
次にテリトリーに近寄るものを巧妙に始末した。時に鳴子で待ち伏せし、時に地雷で相手を誘導し、そもそも入った時点で手榴弾で殺した事もあった。
次にテリトリーを理解した外敵の狙撃に狙撃で反撃した。拾い物のKar98kを愛用した彼女は、ボルトアクションライフルの利点たるその精度と射程範囲で猛威を振るう。
来るもの全てを千切り、打ち抜き、爆破し、壊した。一つ壊す毎に彼女は学んだ、それはそこらのAIなど比較にならない速度だ。元より才があったと言わざるを得まい。
壊すことに躊躇はなく、容赦はなく、そして手段に残虐さはつきもの。あくまで大学生などと嘯いたその真意は靄にかかるほどに彼女は「壊すこと」にどんどんと傾倒し特化する。
段々と彼女を襲うものは居なくなった。貴重品だけを剥がれた死体が転がるそのビルはそれだけで異様さを放ち、そして彼女に挑むには考えうる最高の準備が必要というのがAI達の共通認識となった。
殺し合いを彼女は眺めた。参加する意味など無い、自分は生き残ればそれで良いのだから。とうとう狙うものすら居なくなった彼女は、更に他物の生存競争を傍観することでその在り様を識り、学び、そして己がモノとした。
そうしてその空間の時間で言うと、一体何日経ったのだろう。彼女は確かに其処に活きていた。
彼女の傍らには数え切れない死体が有った。彼女は服すら傷つけていなければ、まるで洗礼を受けた兵士としての顔など持ち合わせなかった。唯不敵に笑うさまを代理人は、ほんの少しだけ恐れてしまったほど。
彼女は何の苦労をしたわけでもなく、息をするように戦闘に身を投じ、自然と敵を自滅させていき、単純に「存在そのものを戦争」に置き換えることでその
――――――これは、ある蛇の物語。
分不相応であることに身を投じ、生き続けた規格外の蛇が不変の物語を転がしてしまう。そんな単純な、神の一手の物語。
さあ、知恵の実を喰ませる地獄の始まりだ。蛇は彼女達を唆す。
勢いだけ。下手したら最後まで書き終えない。10話は絶対越えない構えでスッキリ終わらせる予定、他の更新にガッツリ響かせないように頑張る。
ウロボロスとして悪役令嬢ムーブを決めるのが目的。書いてて面白そうだと思ってる、一人で面白そうとか思っててとほくれすカワイソー。
【ウロボロス】
中身は大学生の青年。前々からTS願望は有ったがそういう問題ではない。
長いものに巻かれる主義で事なかれ主義、天運に身を任せる適当さを持つ。やられ役をに意気込むのも自然である。
状況を受け入れ、前に進むという点は英雄の資質すら有ったり。元々おかしなやつだったということ。
ただちょっとアホの子っぽいことはする。