わたしがウロボロスだ   作:杜甫kuresu

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今回から超適当。飽きたら辞めますし、導入クソ雑。
書いてなかった部分の話。


第十三大隊監督役、最後の日①

「起きなさい、ウロボロス」

「え、はい!? 何でしょうか代理人殿!?」

 

 だから私室に普通に入ってこないでくれませんかねこの人!? 鍵かけてない俺も悪いんだけどさぁ!

 

「引き継ぎです、今日の行動は私を常に連れ歩いてもらいます」

「全く脈絡がないですね貴方。ホント…………」

 

 

 

 

 

 

 

「えー、じゃあまずダイナゲートとかと遊んでます」

「………………はい?」

 

 代理人が冷ややかに目を細めると、冗談じゃないんですと手をブンブンと振って必死で弁明する。

 

 鉄血の本部で放し飼い状態のダイナゲートであるが、これは基本的にどの部隊が持っていっても良いことになっている。

 プロウラーも例に漏れないのだが、人型ではない下級AIはそもそも教育なども不可能だし、大抵捨て駒が良い所だ。

 

 何も声も出していないというのに、ウロウロとしていたダイナゲートがウロボロスの足元に集まってくる。代理人はそんな上級AIは見たことがなく、少し新鮮な気分だ。

 

「おーよしよし、おぬしらは今日も可愛いなあ。なぜ鉄血では飼うのが禁止なんですかこやつら」

「捨て駒じゃない」

「代理人殿は分かってないなー。ほら、お手」

 

 一匹が差し出したウロボロスの手のひらに前足を乗せる。足が短いから両足だ、ウロボロスがニコニコとしてボディを撫でてやる。

 

「捨て駒でもAIが動いてるんですから、こうやって生き残った連中ぐらい良くしてやらないと。こやつはわたしが此処に来た頃から居るダイナゲートでしてね、名前はアンポンタンです」

「そのダイナゲートが嫌いということ?」

「ヱ? いや違いますよ、一際気に入っていますが?」

「…………アンパンとでも名前を変えておきなさい」

「何でです?」

「何でもです」

「はあ……」

 

 何処からともなく取り出したキレイな雑巾でウロボロスがダイナゲートのカメラを拭き始める。

 よく見ると汚いものも居るし、逆に妙なくらい綺麗なものも居る。あんまりアイカメラが汚いダイナゲートは代理人達が見えていないのか、ずーっとくるくると回っていたり。

 

 一体を拭き終えると、困ったような顔をしたウロボロスが向こうでクルクルしている一体を捕まえる。暴れるのを抱きついて抑えつけるなりまたアイカメラを拭き始める。

 

「おー逃げるな逃げるな、上官命令だぞー」

 

 上機嫌に手入れをしているウロボロスだが、ぞろぞろとダイナゲートが寄ってたかってきている。個体によっては服に飛びついたり髪を短い前足で引っ張ったりとかなり懐かれているのが分かる。

 

「これはやりにくいな…………はい、待て!」

 

 軽く声を張ると、ダイナゲートがピタリとウロボロスから転げ落ちて固まってしまった。まるで電源切れのようだ。

 

 プロウラーまで寄ってくる始末に代理人が目を細める。

 

「変な部下を持ったものだわ」

「そうですかね? でもちゃんと手入れしておけば簡単な命令は聞けるようになるものです、毎日言い聞かせてると流石に学習するらしくて」

 

 

 

 すぐに一通り磨き終えたウロボロスは、ダイナゲートとプロウラーを集めて何やら始める気のようだ。

 

「良いか? おぬし達は単体だとぶっちゃけ馬鹿だ」

「酷い出だしね……」

「だから自分より上のAIに付いて行くのだぞ、プロウラーとか、まあRipperでも良い」

 

 横に立っていたプロウラーをダンダンと叩くと、カメラだけがウロボロスの方をじぃと見る。

 そのうちダイナゲートの方にカメラが動いていった。何もない所に軽く機銃を撃ったかと思うと、ダイナゲートがビクリとする。

 

「こらこら、先輩がいきなり脅したらビビるだろうに」

「今のはアレですか、プロウラー的には」

「アレです。多分挨拶」

 

 代理人にはさっぱり理解は出来ない。

 どうやらさっき言っていたことが事実なら、ウロボロスはこの内容を何度も何度もダイナゲートに言って聞かせていることになる。

 

 実際彼女はスラスラと教育をしていて、何処か手慣れた様子が有る。

 

「後わたしについてくる阿呆が沢山いるが、ついてくるんじゃない。死ぬぞ」

「それは切実ですね」

「全くですよ、こやつらわたしが飼い主か親みたいなものだと思ってるのか何処行ってもついてきたりしますからね! 駄目だと言っているのに」

 

 よく分からないが、そこまでして手入れしてやる意味はないのでは。とだけ代理人は思ったが、恐らくウロボロス的に外せない理由が有るのだと適当に結論づけて此処は黙っておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、言った側から付いて来た」

「ウロボロスさんがまたダイナゲートにくっつかれてる」

 

 仕方なくついてきたアンポンタン――――改めアンパンを抱きかかえるウロボロス。不満なのかアンパンはしばらく短い足でジタバタとしていたが、ウロボロスが軽く揺すると静かになってしまった。

 

 喋りかけていたのはメット――――隊長らしい。と言ってもウロボロスは見分けがイマイチ付いていないらしく、イントネーションとかで辛うじて隊長だけは認識している程度のようだ。基本は自己申告らしい。

 

「で。部隊はどうだ?」

「全員起きてます」

「じゃあ適当に訓練しておけ。終わり」

「やっと監督役らしいことを――――――――――はい? 今ので終わりですか?」

 

 それじゃあ、と言ってすぐに別の方へ歩いていくウロボロス。代理人は表情に出なかったが完璧に呆気に取られている。

 

 代理人が妙な凄みを帯びた顔でメットの肩を手だけで揺らす。身体は微動だにしていなくて非常に怖い。

 

「待ちなさい、ウロボロスはいつもこうなのですか?」

「え、ああ、まあ、そう、です。それ、で、ですね、喋れ、ませ、ん」

「…………取り乱したわ」

「珍しい」

 

 代理人自身、此処まで取り乱すのは予想外だ。

 頭が痛くなったのか、こめかみを擦るメット。代理人も予想以上に強く揺らしてしまったので、正直動揺しているが申し訳ないとは感じていた。

 

「あの人、ぶっちゃけ実務的な面ではオワコンですよ」

「オワ、はい? 今何と」

「ああすみません、ウロボロスさんの喋り方が移りました。要するに、一般的に見て最低の上司です」

 

 最低とまでは言わないが、かなり酷い上司には違いないと代理人には見える。

――どちらかと言うなら。

 

 今回はウロボロスの真意云々よりは、それでも付いてくる部下の真意の方が代理人の興味を引いた。

 

「何故、あんな荒唐無稽なAIについて行けるのですか」

「それは代理人さん譲りだと私は思いますけど…………まあ、何ていうかあの方がラクです」

「楽?」

 

 楽です、とメットは復唱する。

 

「私達って多分ですけど、鉄血の方針とかとあんまり合わないタイプの部隊でして。臆病だし、几帳面だし、別にAIの尊厳も興味ないですぶっちゃけ」

「それを私に言ってのける辺り、貴方はウロボロスの部下よ。誇りなさい」

「照れますね」

「褒めてないわ」

 

 そうなんですか、と頭を掻いていた手が止まる。素っ頓狂に開かれた口元はウロボロスのそれとよく似ている。

 

「あの人は放任主義ですけど、だから私達のやり方に注文も付けません。どちらかと言うなら、ギブアンドテイクですね」

「その心は」

「あの人は勝手に動いてくれる部隊が欲しくて、私達は自分のやり方を十全に活かしてくれる上司が欲しかった。利害の一致です、恩は勿論有りますけどね」

 

 利害の一致。ウロボロスにはどうしても似合わない言葉だ、代理人は彼女をその言葉から一番程遠いもののように常に感じていた。

 

 何よりも感情的で、何よりも直情的で、何よりも自己中心。

 其処には一方的なギブやテイクが横たわっている――――何処かそう考えていた節があった。

 

 首を傾げて尋ね直した。

 

「そういうものでしょうか」

「そういうものですよ。ウロボロスさんが一方的でも尽くすとするなら――――――それは、まあ自分で考えてください」

 

 代理人は歩いていったメットに目も向けず五分程考えていたが、結論は出なかった。




ダイナゲート可愛くない…………なあ、おぬしらも可愛いと思わないか。

あやつらを触っているときは気分がいい。人懐っこいしな、お手とか両手でしか出来ないんだぞ、わたしは短足萌えに目覚める。
懐いてくると従順でいじらしいしなあ…………ダイナゲートとのほほんと別荘で暮らしたい。

あーでも代理人殿がボッチになるな。駄目だ、この案は忘れてくれ。

ずばり掛け算はどれですか

  • ウロボロスx代理人
  • ウロボロスxグリフィンの変態
  • ウロボロス(表)xウロボロス(裏)
  • お前固定CPナメてんのか逆のしかねえよ派
  • CPしない聖なるオタクです

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