俺の先輩が可愛すぎるんだが 作:クールを装う先輩という概念
レディーゴォォォォォォォ!!
7.後輩と帰ろう
「ううむ」
一体どうしたものか。先輩は所用で忙しく。妹も妹で買いに行きたいものがあるらしく別行動。一人で帰るにも心寂しいようなそうで無いような。
まぁ、一人で何処かに行こうかと考える矢先、ひょこっと顔が目の前に出て来る。
「にひひ、せーんぱい! こんちわっす」
「なんだ、お前か」
「お前か、なんて酷い。酷いっすよ先輩」
後ろから現れたのは、妹のご学友。つまるところ俺の後輩になるのだが、なぜか俺によく絡んで来る。彼女曰く、先輩はからかいやすいとかなんとか。……いつか見返してやろう。
クラスでは親しみやすい女の子で通ってると聞いたが。まぁ、間違ってはいないとは思う。
「で、何の用だ? 俺は今、会長の議事録をまとめるので忙しい」
「手ぶらじゃないっすか」
「もちろん脳内で、だ」
「ちなみに内容は?」
「いかにして可愛い会長を褒め……おっと」
「うわぁ……」
何故か引く後輩。確かに会長には後光が差している。普段いたずらばかりしてくるこいつには少々荷が重いことだろう。
そんなことを考えていると、後輩はぼそっと呟く。
「にやける先輩、マジキモイっす」
「おいこら」
なんてことを言うんだ。なんてことを。……ん、いやでもあながち否定も出来ないか。なんかご機嫌そうな後輩を横目に考える。確かに会長と比較すれば俺などミジンコ以下とも言える。そんなミジンコがにやけていたらそれは確かにさぞかしキモイ。
ありがとう後輩。世界の真理にまた一歩近づけた。
「キモくて結構。何故なら会長が尊いからな。それに気づかせてくれたのはお前だ」
「うわ、自信ありげに言われても困る台詞来たなぁ」
さらに距離を取っていく後輩。……何故だ。こいつの考えていることがわからん。まぁ、困る困らないはさておき、この後輩は何をしに来たのだろう。
そんな疑惑の目を向けていると、にやぁとし始める後輩。
「あ、私っすか? 聞きたい? 聞きたい?」
「おぉう、俺がキモイとしたらお前はウザいだな」
「ひっど、酷くないですかパイセン!?」
「ここぞとばかりに呼び方変えるな、更にウザい」
「ひでぇっす、この先輩悪魔だ!」
「コンゴトモヨロシク」
あんまりにもウザい指数が上がってきたので、スタスタと帰ろうとする。すると後ろからウザいのがついてきた。
背が小さい故に、足の長さの差が大きく向こうは自然と小走りになる。
「ちょ、ちょっと置いてかないでくださいって!!」
「む、まだなにかあるのか」
「一人寂しく帰る背中を見たのでからかおうかなって」
「失礼な。先輩の事で千は考えることがあるので、一人でも忙しいのだ」
「つまり暇じゃないっすか」
ケラケラ笑う後輩。
むぅ、分かってはくれないようだ。実際に忙しいのだがなぁ。
「まぁ、いいじゃないっすか。どこか行きましょうよ」
なんというか小動物的な可愛さがある後輩。そういえば小さい生き物飼っている人がたまに自身を奴隷とかいっていたな。
「……わかった。今日は奴隷になろうではないか」
「なんで奴隷っ!?」
8.帰り道、どこにいく?
そんな会話をしつつ、校門を出る。まったく、この後輩にも困ったものだ。元気があるのはいいことだが。他の同級生や先輩方に失礼を働いてないかが心配になる。
「あ、それについてはまったく問題ないっすよ!」
後輩はそう答える。
「こんな事するの先輩だけっす」
「それは、駄目なやつじゃないか?」
「駄目じゃないっすよ! だって、先輩……」
いきなりもじもじし始める後輩。なんだろう、甘酸っぱいものを感じなくもないが、それ以上にいたずらされそうな予感しかない。
「許してくれるっすもんね!」
「そうだよ」
ほらー、ほらーでたー。そんな気持ちとは裏腹に、口から出たのは同意の言葉。
いい笑顔でにっこりと微笑まれると、こちらも男。思わず優しくもなる。
「ちょろっ!?、ちょろいっす先輩!!」
「ちょろいは余計……でもないか。まぁ、ちょろいのは認めないこともない」
「うへぇ、これからの将来心配っす」
お前に心配されるほどじゃない。
そんな気持ちもさておき。校門から出てそこそこ立つ。
「そういえば、どこかにいく予定は?」
「……予定?」
首を捻る後輩。
「あ」
「あ、って……その反応はどこに行くか決めてないな?」
「ふっ、そこに気づくとは……さては天才っすね先輩」
「そっちがアホなだけだ」
「ひどっ!!」
しかしまぁ、どこかに行こうと誘って来てどこにも目的地がないのも後輩ムーヴ的にいつもの事だ。
ため息を漏らしながら、方向転換。
「うぇ、どこにいくんすか?」
「このままではお互いに帰り道が分かれてしまうだろう?」
行くなら街の方だ。流石にそっちなら何かあるだろう。
すると後輩が、ぼそりと呟く。
「……なんだかんだ優しいのはやっぱりポイント高いっすよ先輩」
「すまないが、会長笑顔ポイントカードしか持ってないから、貯められないんだ」
「いまならボーナスポイントもつくのに?」
「ポイント交換すると何が出来るんだ?」
ぴたっと一瞬会話が止まる。隣を見ると、そっぽを向いてる後輩。何故かこっちを見ないようにしているようにも感じる。その仕草にどこか青春っぽさとか感じなくもない。
そんな後輩が口を開く。
「……聞きたいっすか?」
「いや別に」
会長一筋なんだよなぁ。
──なぜか、足を蹴られた。ちょっと痛い。
9.いつもの場所
「で、いつもの場所っすか」
「いいだろ、小腹も満たせる」
入ったのは愉快なピエロが立っているバーガーショップ。何故かネットだと、こいつやたら強キャラ扱いなのだよな。まぁ、見た目的に分かるけども。
「うぅ、女子的にはカロリーが……」
「とかいいつつ、しっかりと食べてるじゃないか」
「だって、シェーキとか美味しそうじゃないっすか、あと激辛フェアっすから」
もー、とか抗議しつつもパクパクとポテトを食べる後輩。何か全体的に赤い。そういえば辛いもの好きなんだっけ。
「んー、胃にボディーブロー入れてくる感じ。けどこれが、やめられない止まらない!」
非常に美味しそうに食べているところを見ていると……こう、和む。実際ハムスターとか飼ったらこんな感じだろうか?
その視線に気づいたのか、後輩がこっちに赤いポテトを差し出す
「ん? 先輩も欲しいっすか? 激辛ジョロキアポテト~カオスMAX~」
「やたらと赤いポテト食べてるなと思ったら、そんな名前のもの食べてるのか!?」
「なんというか、全身煮え立つ感じっす。やめられない止まらない」
「おおぅ、フードファイター」
ちなみに刺激臭というか、近くにいると目やら鼻やらが痛いので周りのお客さんは退避済み。もはや食べものなのだろうか。このバーガーショップの将来が心配でならない。
まぁ、でも辛いもの好きな後輩的にはありなんだろうか。
「ちなみに先輩、聞いて良いっすかね?」
「ん? なんだ?」
「手袋あります?」
「……手まで痛いのか」
前言撤回。これは刺激物か何かの間違いだ。絶対そうに違いない。経営傾いてしまえ、こんなバーガーショップ。
というか、何故ここをいつもの場所にしてしまったのか。後悔が絶えない。
結局、刺激が強過ぎたのか、涙目になりながらも食べる後輩を不憫に思ってしまい、手を貸してしまった。
「いやー、久々に真面目に辛いもので死ぬかと思ったっす!」
「俺の手は死んだよ。あと口とか」
色々ひりひりする。明日の生徒会業務に支障が出ないかが心配だ。
夕陽の中物思いしていると、後輩がこちらを振り返る。
「せーんぱい。今日も楽しかったっす! まぁ、あの……手伝ってもらったのも助かった、デス」
バツが悪そうな顔を向ける後輩。そんな姿を見て、小さいため息と笑みがこぼれる。
「気にするな。これも俺の役割だ」
「……やっぱりちょろいっす。先輩も」
ぼそぼそという後輩だが残念だが、聞こえている。
「ちょろいは余計だ。ほら良い時間だ、帰るぞ」
「先輩、先輩」
「なんだ?」
「もちろん送ってくれるっすよね!」
ニカリ、と笑う後輩にもう一度ため息が零れる。
「お前なぁ……」
「先輩、先輩早く帰りましょ! 送り狼してもいいっすから!」
「誰がやるか!」
結局、長い間二人の影は並んでいた。
唐辛子「おい、デュエルしろよ」
ジョロキア「雑魚だったろ?粘膜」
ドラゴンズ・ブレス・チリ「キングは一人この俺だ!」