気づいたら一歩だった   作:konya

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いじめの原因?

11歳の誕生日プレゼントにはヘッドギアを買ってもらえた

 

これで父さんとのトレーニングを捗るはずだ

父さんは手の空いてる時なんかに僕の相手をしてくれる唯一のトレーナーの用に思えてきた

 

実践的なトレーニングは父さんしかしてもらえる相手がいない

週に何度か朝食前に10分程、運が良い日は休日でも相手をしてもらえる

 

家族仲は良好で僕と父さんが家の中でボクシングの試合を見た後に興奮してドタドタしてると母さんのタオルが振るわれるようになっただけだ

 

初めて母さんがタオルを振るってから

僕と父さんが遊んでいると何度か振るわれるようになって

制裁対象者には僕も含まれるようになったのだが周辺視野トレーニングを欠かさずコツコツしていた僕は最近になって母さんがタオルを取る前に冷静になることができ僕だけタオルで打たれなくなった

 

これも日々の努力の賜物だ

 

タオルだから当然鞭のようにシナるわけで素人が振っても並のボクサーのパンチ程度の速さはある

僕が進化しているように母さんのタオル打ちも進化している

母さんのタオルはスナッピーなパンチを受けた後のように一発で腫れる

 

母さんには目に当った際の危険性を教えているのでゴーグルを付けていない時は顔は狙われないはずだ と思う

 

あのタオルに水分が含まれる事があれば冗談では済まなくなってくる

 

まぁその時がくればその時に対処すればいいさ

ヘッドギアもゴーグルも揃った僕には通用しないよ?母さん(震え)

 

11歳の夏に一歩のいじめの原因になった可能性がある事件が起こった

 

学校のプールでみんなで着替えている時にある一人の生徒から広まった

 

「なんだアレ汚い」

「うわ、大きい」

「なんかグロい」

「先生のより大きい」

 

最近ボクシングの事しか考えてなかったから忘れていたが

この頃から僕はヘビー級の片鱗を見せていた

 

やけに騒ぎ立てる一人を捕まえて壁ドンならぬロッカードンをした

 

熱くなってロッカーを殴る所だった

 

「おまえのせいでみんな騒ぎ出したじゃねーか!」

 

「知らねぇよ、おまえがそんなもん見せるからだろ!」

 

子供の喧嘩だ、ちょっとくらい軽く殴ってみても大丈夫だろ

騒ぎの元凶に一発 うん 自分でも納得のいく理由だった

記念すべき一人目の名前は覚えておこう

 

「おまえ、名前は?」

 

「な、なんだよおまえ 俺の名前も知らないのかよ」

 

空いてる手で逃げ道を封じるように圧をかけてロッカードンをする

 

「いいから答えろ」

 

「う、梅沢だ」

 

「は?」

 

一瞬頭が真っ白になった

梅沢って原作キャラじゃなかったっけ?

まだ全然ヤンキーっぽさはないけどあの梅沢?

梅沢君なのかな?

 

「梅沢だって言ったじゃねーか幕ノ内!」

 

「う、うん 下の名前は?」

 

「正彦だよ!クラスメイトの名前くらい覚えとけよ」

 

おもわず出てきた名前に軽くボディを入れてしまった

 

目の前でボディをもらって悶絶してるのがあの梅沢君?

 

「悪かった、でも梅沢君も僕の事を悪く言ったからこれでお相子ね」

 

悶絶している梅沢君に手を差しだす

 

「僕の事は呼び捨てで一歩でいいよ」

 

爽やかな笑顔で差し出した僕の手を払って殴りかかってこようとする梅沢君

殴られる前に殴ろうとしていた肩を手で抑える僕

 

呆然とする梅沢君と騒ぎ出すクラスメイト

 

すぐに先生に呼び出されて二人揃って叱られて

お互いに悪かった事を謝り保護者に連絡されるという事態は避けられた

 

子供の喧嘩だ、一度話しあえばすぐ仲良くなれた。

 

梅沢君にはボディはともかく何で肩を抑えられたのか聞かれたので

内緒の話でプロボクサーになるのが夢で練習している事を教えた

プロボクサーになれなかったら恥ずかしいから絶対に秘密という事を念を押して教えたらブンブン首を縦に振ってキラキラした目で僕の事を見てきた

 

記念すべき一人目は僕の初めてできた友達第一号になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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