セキレイはありですか?   作:四季式

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長らく更新せず申し訳ありませんでした。


第10話

「という感じです」

 

 ズズッ、と味噌汁を啜りながらユカリの説明は終わった。

 

「なるほどね、『あれ』を使ったのか。それなら椎菜くんを連れて来られたのも納得だ」

 

 しかし、もうあの力を使ってしまったのか。

 できれば後半戦にとっておきたかったのだが、まあ使ってしまったものは仕方が無い。

 能力に不備がなかったのが確認できただけでも良しとしよう。

 

「あの、ユカリさんのあの『力』ってなんなんですか?」

 

 おずおずと手を挙げて椎菜くんが質問をしてきた。

 他のみんなも興味がある様子。

 まあ身内に隠すようなことじゃないから説明してもいいかな。

 

「あれはね、ユカリの葦牙としての特殊能力さ。セキレイに対して絶対の命令権。『ギアス』と僕たちは呼んでいるよ」

 

 そう、ユカリの転生特典は『コードギアス』の主人公が使っていた絶対遵守の力。その劣化版だ。

 

 そう、劣化版なのだ。

 

 この能力は人間に効かずセキレイにのみ効果があり、さらに回数制限付きという縛りがある。

 ちなみに回数は合計7回まで。

 今回1度使っているのであと6回だ。

 

「しかし佐橋。制限があるとはいえ、この能力は明らかに人の域を超えているぞ」

 

 と焔さん。

 人の域、ね。

 

「確かにその通り。だって、この能力は神様に貰ったんだもの」

 

「ちょ、兄さん。そのことは──」

 

「いいんだ、ユカリ。遅かれ早かれこのことはいずれバレるだろうし、バラすつもりだったんだ」

 

「兄さん……」

 

「僕たち兄妹は転生者。この世界とは別の世界から来たんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから僕はユカリの補足も交えて、僕たちが一度死んでいること、死神に能力を貰ったこと、何故か僕は知識と共にこの世界に送られたことなど、微妙に嘘を混ぜながら説明していった。

 

「なるほど、あなたたちの非凡さの理由は分かりました」

 

 聞く側の代表として美哉さんが言葉を発した。

 

「このことをあなた方のお母様はご存知なんですか?」

 

「まあ、今話した程度のことは既に話しています」

 

 そのせいで母さんは僕のことを過大評価したり、セキレイ関係の問題を丸投げしてきたりするのだろうけど。

 

「最後にひとつ。皆人さんは『私』についてどの程度知っていますか?」

 

 鋭く、冷たい視線で僕を射抜く美哉さん。

 咄嗟に結ちゃんたちが臨戦体制になったが、僕が手で制した。

 

「美哉さんがNo.01だということ位しか、僕の知識にはありません」

 

 と、軽く嘘をつく。

 ほんとはNo.00ってことも知ってるんだけど、それを言うと下手すると殺されちゃいそうだから黙っておく。

 

 数瞬の視線の交差。

 

「……そうですか。それならいいでしょう。あ、お話に夢中でご飯が冷めてしまいましたね。温め直してきます」

 

 そう言って美哉さんは席を立った。

 ふぅ、どうやら切り抜けられたらしい。

 額の汗を腕で拭う。

 

「大家さまもセキレイだったんですね。結、びっくりです」

 

「僕は前から知ってたけどね。美哉とはそれなりに長い付き合いだし」

 

「それも驚いたけど、佐橋ちゃんと妹ちゃんが異世界人って方が驚きだよ。でもその『知識』のおかげで千穂(ちほ)が助かった、ってことであってるのかな? 佐橋ちゃん」

 

 嬉しそうにそう言ううずめちゃん。

 そう、うずめちゃんの葦牙である千穂ちゃんは既にM・B・Iの病院で順調に快復している。

 あそこの薬(未認可)は良く効くからなぁ(遠い目)

 まあ、この話はそのうちするとしよう。

 

「それで、ユカリと椎菜くんはとりあえず僕の陣営に入るってことでいいのかな?」

 

「はい」

 

「ふぇ?」

 

 ユカリは間髪を入れずに答え、話に置いてけぼりだった椎菜くんはいきなり話しかけられてびっくりしたようだ。

 

「あの、ユカリさんのお兄さん良い人そうだし、くーの葦牙さんだから僕は別に構いません」

 

 椎菜くんから高評価をいただいた。

 しかし、

 

「んー、ちょっと違うな。僕はまだくーちゃんの葦牙じゃないよ?」

 

「え?」

 

「まだ羽化してないんだよ、くーちゃんは。まあ僕に反応してたみたいだから、僕が葦牙でもそこまで間違いというわけじゃないんだけどさ」

 

「は、はあ」

 

 とはいえお腹いっぱい食べてウトウトしている幼女にいきなりここでキスするほど僕は変態ではないので、くーちゃんの羽化は明日以降かな。

 

「皆さーん! お料理を温め直したので自分のぶんを取りにきてくださーい!」

 

 台所から美哉さんの声が聞こえた。

 

 僕はテーブルに突っ伏して寝てしまったくーちゃんに僕の上着をかけてから台所に向かった。

 

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