「ではくーちゃん、準備はいいかな?」
「は、はいっ!」
どうも、佐橋皆人です。
突然ですが、今から幼女とキスをします。
…………。
「佐橋ちゃん、どこから見ても立派な犯罪者だね☆」
と言ってうずめちゃんが肩をポンと叩いてきた。
うるさい!
☆とか言うな!
「でも実際、幼女に迫る変態さんみたいね。佐橋さんの犯・罪・者♪」
美哉さんまで……。
ええい、さっさと終わらせてしまおう!
というわけで、ぎゅっと目をつぶって上を向いているくーちゃんの肩に両手を置き、
ちゅっ
と、触れるかどうかの淡いキスをした。
すると、くーちゃんのうなじ辺りから光の羽が広がり、羽化が完了したことを教えてくれた。
「──というわけで、部屋から出てきてください
くーちゃんを羽化させた僕は、その足で松さんも続けて羽化させてしまおうと、201号室の扉(仕掛け扉)の前まで来たのだった。
「皆人さん、そこは壁ですよ? それに松さんってどなたですか?」
結ちゃんが質問してくる。
「いやね、結ちゃん。ここは仕掛け扉でね、中には松さんっていうセキレイがいるんだよ」
「その方が次のセキレイなんですか?」
「うん、前に神座島に行った時は反応はなかったけど、今の僕は結ちゃんとくーちゃんを羽化させた葦牙だからね。たぶんそろそろ反応が──」
「みなたーーーん!!」
バンッ、と大きな音をたてて仕掛け扉から出てきた松さんは、僕にタックルするかのような勢いで抱きついてきた。
「みなたんみなたんみなたんみなたん、みなたーーーん!!」
スリスリスリスリ、と高速で頬擦りする松さんをよしよしとあやしながら結ちゃんに説明した。
「僕の葦牙としての才能は神様による特別製だからね。2人羽化させれば反応があるセキレイがどうなるかは見ての通りさ。たぶんもうすぐ焔さんも羽化できるようになると思うよ」
「それは本当か佐橋!!」
おっと、焔さんの登場だ。
いつの間にか近くに来ていたらしい。
「そうだね、松さんを羽化させればたぶんできると思うよ?」
「よし、松! 早く佐橋とキスして羽化するんだ!」
と焔さんが言うが、松さんはマタタビに酔っ払った猫のようにウニャ〜となっている。
これは復活するまでに時間がかかりそうだ。
「えー、皆さん、はしたないところを見せてしまって申し訳ありませんでしたです。はじめましての方ははじめまして、松と申しますです」
そう挨拶した松さんだが、膝をモジモジさせて僕を見つめながら顔を赤らめていた。
「これが話に聞くエロ魔人の松さんですか。噂通りの痴女ですね。兄さんにそれ以上近づかないでください、くびり殺しますよ?」
「ちょ、みなたん、妹さんにどんなこと話したんですか!?」
「何って、松さんが神座島で僕にしてきたことさ」
うん、あれは酷かった。
どんなことをしてきたのかは想像にお任せするが、一緒に遊んだシングルナンバーの中で松さんが一番僕のトラウマになった、とだけ言っておこう。
「あー、あれを話したんですか。あれは松も反省してますのでどうか許してほしいのです」
深々と土下座してきた松さん。
そこまでされては僕も許さざるを得ない。
が、
「兄さんが許そうとも、私は貴女を許すつもりはありませんよ、雌豚。さあ、豚は豚らしく豚舎に帰りなさい」
「……ユカリ、言葉使いには気をつけなさい」
「はい兄さん」
分かればよろしい。
ちなみに豚は綺麗好きな生き物だから、あまり差別用語には適さないと個人的には思うな。
「というわけでみなたん、さっそくキスをば」
「なにが『というわけで』なんですかこの痴女が。兄さんとキスするのはこの私です」
「いや、それも違うから」
えーい、ユカリが絡むと話がややこしくなる!
「ユカリ、しばらく喋るな」
「はい兄さん」
これでよし。
「それで松さん。松さんは僕のセキレイになる、ということでいいのかな?」
「はいです! 草野たんを羽化させた時くらいから急にみなたんが愛おしくなってきて、実際に声を聞いたら感情が爆発して自分を抑えられずにあのような行動をしてしまったのです」
うん、それは僕の葦牙としての能力が上がったということだな。
これならストーリーで羽化させたセキレイ以外も僕に反応するかもしれない。
まあ、それはあとあと考えるとして、今は松さんのことだ。
「じゃあ松さん、羽化したらやってもらいたい事があるんだけど、いいかな?」
「はい、松のできることならなんなりと。ちなみにどんなことですか?」
「なに、そんなに難しいことじゃないさ。
はちょっと