セキレイはありですか?   作:四季式

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第12話

「いやいや、みなたん。いくら松でもあの2大勢力を相手にサイバー攻撃を仕掛けるほどの力量は持っていませんよ」

 

「そうなの?」

 

 懲罰部隊時代の松さんならお茶の子さいさいだと思うんだけど。

 

「あの頃は、他のセキレイたちを守るために特別な調整をされていたのです。なのであの頃と同じことができるかと言われれば『NO』なのです」

 

 そっか、残念だな。

 

「その代わりと言ってはなんですが、M・B・Iからパクったデータなら松の部屋で閲覧することができるです。どのセキレイが誰に(くな)いだのかがほとんど全て分かるですよ」

 

「おお、いいね。じゃあ今から松さんの部屋で秘密会議だ」

 

「秘密って、なんだかかっこいいですね!」

 

「ひみつー!」

 

 わーい、と結ちゃんとくーちゃんが両手を上げる。

 

「兄さん兄さん、もうしゃべってもいいですか?」

 

 そういえば、ユカリには黙っているように言ってたんだっけ。

 

「いいよ。というかユカリと椎菜くんはどうする? 別行動でもOKだけど」

 

「兄さんのいるところが、私のいるところです。私はキメ顔でそう言った」

 

「えっと、ユカリさんのいるところが僕のいるところです。ぼ、僕はキメ顔でそう言った」

 

 いやいや、椎菜くん。ユカリのセリフは基本的にネタだから真似しなくてもいいよ。

 ユカリも無駄に凛々しい顔してないでさっさとどうするか答えなさい。

 

「ですが残念ながら私は行くところがあるので、兄さんと共にいることは断腸の思いで諦めます」

 

「あそ」

 

 特に興味がないから適当に応える。

 

「放置プレイですか。兄さんも私の嗜好を心得てきたようですね」

 

 僕の妹は若干M気質だった。

 

「というわけで行きますよ、椎菜」

 

「は、はい」

 

 ここでユカリと椎菜くんは退室。

 残りのメンバーは、美哉さんを残して松さんの部屋に行くこととなった。

 

 

 

 

 

■■■■■■

 

 

 

 

 

 隠し扉を開けてゾロゾロと皆で松さんの部屋に入ると、なかなか窮屈だったがなんとか全員入った。

 

「で、松さん。調べて欲しいセキレイがいるんだけど、いいかな?」

 

「はいです。どんなセキレイですか?」

 

 カタカタとキーボードを操る松さん。

 

「No.09、水のセキレイの月海(つきうみ)

 

「ぶほっ!」

 

 焔さんが思いっきり吹き出した。

 

「さ、佐橋、まさか『あの』月海が次のお前のセキレイなのか?」

 

「うん。この世界の正史では松さんの次のセキレイは月海なんだ」

 

「しかし佐橋。月海は葦牙嫌いである意味有名なセキレイだぞ。どうやって手懐ける気だ?」

 

「そうですよ、みなたん。たとえNo.09がみなたんに反応していたとしても、会ったら即座に殺される可能性大ですよ」

 

 そこなんだよね。

 本来の流れとは違うから、僕はまだ|瀬尾【せお》さんに会ったことがない。

 だから原作のように瀬尾さんたちに追い詰められた月海を発見できたとしても、引き渡してもらえるかどうかは分からない。

 

 ここで松さんの出番だ。

 

「松さん。さっき御子上と氷峨のハッキングは無理って言ってたけど、その下位組織や部下の端末に情報を送る、なんてことはできる?」

 

「はい、その程度なら証拠を残さずできるです。でも、一体何をするつもりですか? みなたん」

 

「なに、僕らの代わりに月海を捕まえてもらおうってだけさ」

 

 

 

 

 

 作戦はこうだ。

 

 まず松さんに、御子上と氷峨の部下のケータイに『次のターゲットはNo.09だ』という命令と月海の特徴をメールで送る。

 2つのグループは月海を捜索を開始。

 ここでほんとは松さんにその捜索中の情報をリークしてもらいたかったけど、ハッキングが無理なのでこれは諦める。

 

 そして僕らは、僕の『葦牙の才能』の探知能力を頼りに月海を捜索。

 先に僕らが見つければ最高だが、おそらく僕らより2つのグループが先に月海を見つけるだろう。

 そして2つのグループは月海を巡って戦闘に入ると思われる。

 月海と2つのグループの三つ巴の中でピンチになった月海を、颯爽と登場した僕らが助ける。

 

 月海が僕に婚ぐ。

 

「といった感じの作戦だよ」

 

「いやいや、みなたん。最後の方、端折り過ぎでしよう……」

 

「そしてそこまで上手くいくかかなり疑問なんだが、佐橋……」

 

 大丈夫大丈夫。

 

「御子上と氷峨の部下はボスに婚がせるために月海を自分のセキレイにすることはないだろうから、先に誰かのモノになるとは考えづらい。たとえ捕まったとしてもそこで僕らが助ければ好感度アップにつながる。僕らが出遅れない限り作戦に支障はないよ」

 

 というわけで。

 

「作戦の成功率を上げるために、松さんと焔さんには僕に婚いでもらいます」

 

「おお!」

 

「はいです!」

 

 ではまず松さんから。

 

「ふっふっふっ、初めての交合です」

 

「じゃあいくよ」

 

 チュッ、と。

 うむ、舌でも入れてくるかと思ったけど意外と初心だな、松さん。

 

「さ、佐橋。僕は本当に羽化できるのだろうか……」

 

 松さんとのキスを終えたところで、焔さんは不安そうに言った。

 

「大丈夫だよ、焔さん。僕を信じて」

 

「佐橋……。──分かった、信じるよ」

 

 チュッ、と焰さんの方からキスしてきた。

 その瞬間、うなじから光の羽が広がり、焰さんが羽化できたことを教えてくれた。

 

「佐橋」

 

「みなたん」

 

『幾久しく』

 

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