「兄さん。私は別に怒っているわけではないんですよ? だいたい私が兄さんに対して怒ったことなんて一度もありません。小学生の時に兄さんがラブレターを貰っても、中学生の時に後輩から告白されても、高校生の時に女教師から誘惑されても、私は兄さんに対して怒ったことなどありません。だから兄さん、正直に答えてくださいね。この状況は何なんですか?」
やあ皆、佐橋皆人だよ。
今の状況を簡単に説明すると、
THE 修 羅 場
みたいな感じかな。
具体的には、ユカリが仁王立ちしててその前に僕が正座(自主的)、僕の後ろに秋津ちゃん、結ちゃん、焔さんがいる状態だ。
……なんで僕、妹相手に浮気がばれた夫みたいな役やってんだろう。
もっと堂々としてても良いんじゃないか?
「彼女達はセキレイだよ。以前話しただろ?」
「そういえばそんな話もありましたね。確か羽化、でしたっけ。粘膜接触によって覚醒させるのだったと記憶しています」
「そうそう」
「つまり兄さんはその雌豚どもとキスしたということですね」
「そうそ──」
あれ? 墓穴掘ってる?
ユカリは膝立ちになって僕と目線を合わせた。
そしてガシッと効果音が出るほど強く僕の顔を掴むと、自分の顔を近づけて──
「いやいや、待て待て」
「待ちません。んむ、ちゅ」
妹にキスされた。
妹にキスされた!
しかもディープに!
「むちゅ、ぷあ。ただのキスではありません。消毒です」
「消毒って、お前……」
「なんですか、兄さんがハーレムを作ろうとしているから第1夫人として2号さんたちに見せつけてやっただけですよ」
「いつから妹と結婚できるようになったんだこの国は。それにハーレムを作ろうとしているわけじゃない。結果的にそうなっただけだ」
ちょっと嘘が混じってるけど気にしない。
「法律なんでものに縛られないのがこの私、佐橋ユカリなのです」
「カッコつけてんじゃねーよ。……それで、結局お前は何しに来たんだ?」
「愛しの兄さんに変な虫がついてないかのチェックです。虫はついていますが変なのではないようなのでまあ良しとしましょう。ああ、あと母さんから伝言を預かってきてます」
「伝言って、どんな?」
「はい、なんでも『緑の少女は任せた』とのことです。私にはよく意味が分からないのですが、ちゃんと伝わりましたか?」
「──ああ、確かに伝わったよ。全く、母さんはどうも僕を過大評価したがるな」
よっこらせ、と正座の状態から立ち上がる。
「ユカリ、ちょっと用事ができたから雑談はここまでだ。お前は下宿先に帰るなりしなさい」
「あ、それなんですが、私もここに下宿することにします」
は?
「2食まかない付きで月5万はなかなかの優良物件です。ここなら母さんもOKを出すでしょう。ということで兄さん、私はここの大家さんと話してくるので用事とやらに行っちゃっていいですよ」
あでゅー、と1階へと降りていくユカリ。
「やれやれ、騒がしい妹ですまないね皆」
「いや、まあなんというか個性的な妹だね、佐橋」
「面白い人でしたね」
「……ユニーク」
さて、ここからはシリアスな感じで行きますか。
「それで焔さん。『緑の少女』の場所は分かるよね」
「ああ、というか今まで僕が守護していたからね。まだ他に情報は漏れてないと思うよ」
元凶とその葦牙は別だがね、と付け加える焔さん。
「なら、急いだ方がいいかな? そのうち社長が葦牙たちに一斉メールとかで知らせちゃうかもしれないし」
「……確かにやりそうだな、御中なら」
「うん、ということで『緑の少女救出作戦』を発動します。行く人は手を上げてー」
「僕はもちろん行くよ」
「はいはーい、結も行きます!」
「……マスターの望みなら」
ということで、皆で行く事になりました。
さて、一体どうなるかな?