セキレイはありですか?   作:四季式

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第8話

「それじゃ、行ってきます」

 

「お夕飯までには帰ってきてくださいね」

 

「佐橋ちゃんがんばー」

 

 美哉さんとうずめちゃんに見送られ、僕達は緑の少女──草野(くさの)を助けるべく彼女のいる場所へと向かう。

 

 ………結ちゃんに背負われて。

 

 だってしょうがないじゃん、僕が走るよりこっちの方が速いんだもん。

 いくら身体能力向上があってもセキレイには勝てません。

 

「ところで佐橋、緑の少女を助けるのは良いんだがそのあとはどうするんだ? 佐橋ハーレム(笑)に加えるのか?」

 

「ちょ、ユカリの言うことを真に受けないでよ焔さん」

 

 まあ、結果としてはハーレムになってるんだけれども。

 

「そうだね、もしその緑の少女が僕に反応してるようなら羽化させるかな」

 

 原作知識として草野が僕に反応するのは知っているから必然的に仲間入りするんだけどね。

 

「そうなると4人目ですね、皆人さん」

 

 羽化させた人数で言うと、正確には2人目なんだけど。

 

「そうだね結ちゃん。結ちゃんはそういうのに嫉妬とかしないの?」

 

「うーん、考えたことがないので分かりません。でもなんだかモヤモヤする感じです」

 

 それが嫉妬です。

 これが最終的には熊拳(くまけん)になるのか。

 ………できるだけ結ちゃんは怒らせない方針で行こう、うん。

 

 

 

 

 

 

 

 雑談を交えながら屋根の上を走っていると、目的地である森?みたいなところに到着した。

 

 森の周りはM・B・Iの武装した人達が見張りをしていた。

 

「君たち、ここは立ち入り禁止だ。立ち去りなさい」

 

「セキレイの守護者の焔だ。既に緑の少女を狙った者が侵入している可能性がある。悪いがそこを通してもらうよ」

 

「し、しかし、ここは誰も通すなと社長からの命令でして」

 

 なるほど、つまりは実力で通り抜けろということか。

 

「それじゃあ秋津ちゃん。怪我させない程度にこの人達を痛めつけておいてね。僕達は緑の少女のところへ向かうから」

 

「……了解、マスター」

 

 秋津ちゃんは返事と同時に氷のつぶてを発生させ、武装局員に向かって放った。

 

「うわぁ!?」

 

「危ない! 逃げろ!」

 

 という感じで道が開たので、僕、結ちゃん、焔さんは森の中へと侵入した。

 

 

 

 

 

■■■■■■

 

 

 

 

 

 木々が鬱蒼と繁る森の中、僕はセキレイ感知能力を頼りに歩を進めていた。

 

「佐橋、こっちの方向で合っているのか? 一応森の中心部へ向かっているみたいだが」

 

「うん、こっちで間違いないよ」

 

 それに、さっきから草野の幻影が方向を指差すのが何度か見えている。

 切羽詰まった様子ではないが、不安げで今にも泣きそうな表情をしている。

 恐らくまだ元凶のセキレイには見つかってないみたいだな。

 そのことに安堵しつつも急いで草野の元へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく行くと、草でできた洞窟のようなものが見えてきた。

 

「あれが緑の少女の隠れ場所みたいだね」

 

「ああ、元凶よりも先に見つけられたのは僥倖だな」

 

 守護者の仕事を全うできて嬉しそうな焔さん。

 

「それじゃあ、2人は周囲の見張りをお願いするよ。僕は緑の少女と対話してくる」

 

「ああ、分かった」

 

「分かりました」

 

 返事をした2人を残して草の洞窟へ入って行く。

 そこには10歳くらいの少女が不安げな表情で横になっていた。

 ガサガサと僕が草を揺らしながら進む音を聞きつけたのか、パチリと目を覚ます草野。

 

「こんにちは、やっと本物に会えたね。僕は佐橋皆人。君の名前は?」

 

 ゆっくりと優しく話しかけるよう努める。

 

「くー、草野」

 

「そっか、くーちゃんっていうのか、よろしくね」

 

 にこりと笑うと、その笑顔に安心したのか、草野も笑顔になった。

 

「くーちゃん、もうくーちゃんを虐める人達は来ないからここから出よう?」

 

 そう言って手を差し出す。

 

「うん。……おにいちゃんも一緒?」

 

「うん、一緒だよ」

 

「じゃあ、出る」

 

 くーちゃんは僕が差し出した手を取り、一緒に草の洞窟から出てきた。

 するとそこには折れた大鎌と倒れている女性がひとり、結ちゃんと焔さんの間にいた。

 

「この子が例の元凶ってやつ?」

 

「ああ、佐橋が草の洞窟に入って行ったあとに出て来たから倒しておいたのさ」

 

「鎌は危ないので結、折っちゃいました。えいって」

 

 結ちゃんの服が一部切られてるの以外は2人とも目立った外傷はないみたいだ。

 

「そっか、じゃあM・B・Iの回収ヘリが来るまで待っていようか」

 

 と言ったところで、くーちゃんが寝落ちした。

 結ちゃんに手伝ってもらってくーちゃんを背負う。

 今まで気を張っていたから疲れたのだろう、僕の背中から微かな寝息が聞こえた。

 

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