明かされる原因
◇◆◇◆一夏side◇◆◇◆
いつもは愉快犯の様な雰囲気の束さんが由貴を優しく抱きしめて数分が経ち、束さんは由貴から離れ由貴の頭を優しく撫で隣に座る
「飲み物用意しますね?」
「ありがと、いっ君」
直ぐに紅茶を入れて束に出しソファーに座り束さんを見る、彼女は紅茶を一口飲んで
「ユッキーが女の子になってしまったのは、2人共理解しているよね?何故 性転換が起こったのかを私は知っているんだ」
由貴は不安そうにマグカップを両手で包み、少し俯いたまま束さんが話を続けるのを待つ
俺も無言で頷き、続きを待つ
「1年と少し前、君達は 誘拐されユッキーは いっ君を守ろうと重傷を負ったよね?どうやら その時に非合法の薬・・・ううんナノマシンを2人に投薬されたみたい、目的は男でもISに乗れる様にする事で成功率は かなり低かったみたい。失敗した場合はナノマシンが暴走して死亡する・・・筈だったのだけど、ユッキーは特殊な体質だったのか治療に使ったナノマシンが干渉してしまったのか、性転換をしてしまったみたい」
そこまで言い束さんは再び由貴に向き ごめんね と謝る
束さんにとって由貴は彼女の実妹 箒に並ぶほど可愛がっている弟分だ、それ故に負目を感じているのだろう
それに由貴に対して負目が有るのは俺もだ、1年少し前に有った第2回IS国際大会モンドグロッソの時、俺の実姉 織斑千冬は第1回大会で総合優勝し最強のIS乗りブリュンヒルデの通り名を持っていて、第2回大会も優勝筆頭だった
そして決勝戦の日、千冬姉の二連覇を阻止する為だけに俺と由貴は誘拐された
監禁先は廃倉庫だった、誘拐された時に薬で眠らされたせいか頭がボーっとしていたが直ぐに由貴を起こして小声で話した
幸い見える範囲には監視が居なかったので、由貴は手先が器用だったから隙を見て手錠をヘアピンで外して2人で脱出しようとして誘拐犯の仲間のISと遭遇してショートブレードで切り掛かってきたが俺は反応しきれなくて死を覚悟した、でも由貴が俺に体当たりする様に俺を退けて俺の代わりに切られてしまった
直後、壁をブチ抜いて千冬姉が現れ誘拐犯を遠ざけてくれた。その後の事は あまり覚えていない、気付いたら病院のベッドで寝ていた
由貴は何日も寝たままで千冬姉が束さんを呼び出して治療をさせて漸く由貴は目を覚ました、でも由貴には大きな傷跡が残ってしまった
それが俺の負目
「そして2人が気になっている事、特にユッキーが気になってるであろう事、ユッキーは男に戻れるのか否か・・・結論から言えば理論上は可能だと思う、ただ実際にやるのは無理だね。元に戻す為のナノマシンなりマシンを今から作らなきゃだからね」
束さんは真面目な表情で言い紅茶を一口飲む
そして今まで黙っていた由貴が俯くのをやめて顔を上げ束さんを真っ直ぐに見つめ
「具体的に装置なりを作るのに、どれぐらいかかりますか?」
由貴は戻れる可能性に、希望を見たおかげで何とか精神を保てている様だ
何があっても必ず守ってみせる
◇◆◇◆由貴side◇◆◇◆
僕は理論上男に戻れると言う束さんの言葉に何とか自暴自棄にならないで済む程度には希望を持つ事が出来た、だから尋ねる 耐える期間を
「ん〜そうだなぁ・・・アプローチ方法を何個か思い付いたから、それの中から1番成功確率が高いのを選ぶとして最低でも4年・・・いや3年は欲しいかな?」
最低3年、つまり少なくとも この先3年間は女の子として生活をしないといけない訳だ
でも3年あれば束さんなら解決出来ると信じている
「・・・分かりました、なんとか耐えてみます」
僕は彼女を安心させようと微笑んでみたが、逆に抱き締められてしまった
「無理しないでいいからね?大丈夫、私が必ず治してみせるから、必ず」
「そうだぞ由貴、無理するな。お前の悪い癖だぞ?」
束さんは抱き締めながら、一夏は僕を真っ直ぐに見て言う
その2人の様子を見て僕の中で張り詰めていたモノが決壊して、ポロポロと涙が流れ始める
「うぐっ・・・ごめん、なさい」
「我慢、しなくていいんだよ由貴。私が・・・私達が君を受け止めるから、大丈夫。大丈夫だよ」
束さんは僕を更に抱き締め諭す様に言ってくれる、それから僕は彼女の胸借りて落ち着くまで泣いた
暫くして落ち着いたので束さんから離れると、少し残念そうな表情をしていたけど気付かなかった事にしよう
服の裾で顔を拭いていると
「さて、さっきも言った通り最低でも3年はユッキーは女の子として生活する事になる訳だけど、どうする?」
束さんの質問の意味が分からず一夏と2人で首を傾げる
「えっと簡単に言うと、3年間を どう過ごしない?って意味。女の子として学校へ通うか、身を隠すのかって感じかな?」
束さんは、いつもの笑顔で選択肢を提示する
3年間の過ごし方、それを僕は考える
僕は きっと世にも珍しい存在だろう、正体が明るみに出たら面倒事が起こるかもしれない
かと言って3年間も引き篭もるなり身を隠すなりするのは馬鹿馬鹿しいし、癪だ
それに僕は この家を離れたくない、家族との思い出が詰まっている この家を離れたくない、離れる選択肢は無い
なら、答えは決まっている
「僕は此処に残って学校へ通いたいです、引き篭もったりしたら癪ですし、それに千冬さんから一夏の事を頼まれてますから」
僕が束さんにニコっと笑んで言うと彼女は頷き
「分かった、君の願いを叶えるよ。じゃぁ色々と工作してくるね? 夕方ぐらいには戻るから、あと ちーちゃんにも連絡しておくね?」
そう言って束さんはリビングから出て行ったので、多分玄関から出て行くんだろう
そして すっかり冷めてしまった紅茶を一口飲んで
「一夏・・・その・・・ありがと」
改めて言うと途端に恥ずかしくなってしまい一夏の顔を見れずにお礼を言う
「気にすんな、俺と由貴の仲だろ?」
相変わらず一夏はイケメンな事を言ってニカっと笑みを浮かべる、それをチラ見したら少しドキッとした
とうとう一夏は男にもトキメキを味あわせる様になってきたらしい、この先が怖い、色んな意味で
とりあえず邪念を振り払い、いつもより遅い朝食の準備を始める事にしよう
これで大丈夫か少し不安です
なんか違う様な気もするような?