Q. 勇者についてどう思いますか?
「勇者がいたのって十年前でしょ?平和な今の世界にはいらないかな。」 三十代・女性
「勇者?店に来て、酒を飲んでは、魔王倒した時の武勇伝ばっかり、おまけに『勇者だぞ!!』って言って金払わないこともある。十年前は助かったけど、今は迷惑なだけだ。」 六十代・男性(居酒屋店主)
「勇者の名前なんていったっけ?」
「カ、カ、カマル?」
「えー違うよ、確か…カルタ?」
「カルタはねぇーよ笑」
「ギャハハハハハ」 二十代・女性(二人)
下品に笑う女二人のインタビューを最後にテレビを消した。
「こんなものか。」
魔王を倒し世界を救っても、十年も経てばこんな扱い。ゲームもそうだ、ストーリーは勇者が魔王を倒すまで。その後の勇者の姿など誰も興味がないのだ。
持っていた缶ビールを飲み干す。ずっと持っていたせいか、勇者を公開処刑するインタビューを見入ってしまったせいか、ビールはぬるくなっていた。
「“十年前か”…」
『勇者達は魔王を倒した。世界から魔王の手下であった魔物は消え、人々は恐怖に怯えることは無くなった。勇者たちのお陰で世界に平和が戻ったのだ。』これが世界に伝えられている俺たちの活躍だ。 しかし、残念ながら“真実”は違う。
魔王を倒したあの場にいたのは俺を含めたパーティーの四人だけ。“あれ”のことを俺たちが言わなければ“偽りの真実”だけが真実になる。
さて、そろそろ寝るかな。そもそもこんなことを思い出したのもあの番組のせいだ、だからテレビは嫌いなんだよ、もう絶対アニメ見る時以外テレビ付けない。
立ち上がり、寝室に向かおうと思った時、突然テレビが付いた。
足元にはリモコン。立ち上がった時に間違ってスイッチを押してしまったのか。付いたテレビには、さっきまでやってた胸糞悪い番組は終わり、料理番組が始まっていた。
リモコンを拾い、テレビを消そうと思った時、料理番組は突然ニュース番組に切り替わった。
テレビに映し出された男は、シワ一つ見られない綺麗なスーツを着て、髪型もオールバックで固めている。流石ニュースキャスターと言いたいところだが、何故か落ち着きが見られない。
男はカメラが回っていることに気づいたのか、はっとした表情をした後も落ち着きがないまま話し始めた。
「緊急ニュースです!皆さんお、落ち着いて、き、聞いてください!」
お前が落ち着け。
「魔王が、『十年前の魔王が、復活したようです!!』すでに多くの村に魔物の被害が出ており、詳しい調査を…」
俺はリモコンを落とした。その後のキャスターの声など耳に入ってこなかった。魔王の復活だと? 俺は叫んだ。
「話が違うじゃねーか!!!」