ラブライブ!WEST!!   作:ガテラー星人

123 / 190
パート4 廃校にさせる側

「あれ立火、テスト勉強してるん?」

 

 意外そうに声をかけた未波の机には、赤本が広げられている。

 

「そりゃ中間テスト始まるし……って未波は捨てるの!?」

「この時期になったら意味ないやん。受験に集中した方が賢い」

「おお、その手があったか!」

 

 景子までぽんと手を打っている。

 確かにその通りだし、特に入試で受けない科目は全くの無意味だが……

 そこまで割り切るのも嫌で、立火は机にかじりついた。

 

「いやっ、私は真面目に受けるで。

 問題作って採点してくれる先生に申し訳が立たへんやろ!」

「まーた人情に流される。どうなっても知らんで」

 

 未波が呆れる通り、部活を続けている立火はますます不利になるだけだ。

 それでも今は、まだ普通の高校生でいたかった。

 みんなそこまで急いで、卒業に向かうこともないだろうに……。

 

 

 *   *   *

 

 

 そうして三日間のテストはあっという間に過ぎ去り――

 

「うーん、終わった終わった」

「小都子、今回はずいぶん伸び伸び受けてたんやな」

「他のことで色々忙しかったからね。そこそこ出来ていれば十分や」

「いつもそれくらいの気持ちでいいと思うけどね」

 

 そうかもね、と隣の席の忍と話していた時だった。

 

「橘、ちょっとええか」

 

 テストが終わるのを待っていたように、一人の教師が声をかけてきた。

 用件は分かっているが、一応立って聞く小都子に、教師は手を合わせて頭を下げる。

 

「頼む! 生徒会長をやってくれ!」

「何度も断ってるやないですか。私はWestaのみんなと全国に行きたいんです」

「そこを何とか! 誰も立候補する奴がおらへんのや」

 

 教師が周囲を見回すと、とばっちりを恐れた級友たちはそそくさと逃げていく。

 忍だけが動かない前で、深々と溜息をつかれた。

 

「ほんま最近の若い奴は。自分さえ良ければそれでええんか」

「自分がやりたいことに夢中になるのは、住女生らしいと思いますよ」

「しかしそれでは社会は回らへんのや。

 なあ、Westaの方はまだ広町がいるやろ。橘はいつも影が薄いし会長と兼任でも……」

「はあ!?」

 

 小都子が切れる前に忍がぶち切れてしまった。

 椅子を蹴って立ち上がり、友達をかばうように立ちふさがる。

 

「この子、次のラブライブでセンターなんですよ!

 今まさにスポットライトを浴びようとしてる時に、何ですかその言い草は!」

「え、そ、そうやったん?」

「知らなかったで済む話じゃ……!」

「まあまあ忍。ですが先生、教職にある方としていささか軽率な発言とちゃいますかねぇ」

「す、すまん! 出直してくる……」

 

 肩を落として廊下へ出ていく教師に、忍は憤懣やるかたない。

 

「全くもう!」

「まあまあ、もう再来週が選挙やからね。先生も大変なんや」

「あんたはいつもいつもお人好しすぎ!」

 

 あははと笑って、小都子は部活へ行こうとする。

 彼女がセンターを務めると聞いて、忍はもちろん大喜びだった。

 でも一歩踏み出した友人に比べ、自分はどうなのだろう……。

 

「……私、立候補しようかな」

「え、忍が!?」

 

 驚いて立ち止まる小都子の前で、忍は机を見つめたまま言葉を続ける。

 

「あの先生を喜ばせるのはシャクやけど。

 そうでもしないと、しつこく小都子に頼んできそうやし」

「だからって忍が犠牲にならなくても……」

 

 何で小都子のためにここまでするのか、忍自身もよく分からない。

 高校に入ってから知り合った、単なる同じクラスの友達なのに。

 でも去年小都子が辛そうだったとき、一年生だった身には何もできなくて……。

 今さらだけど、何でもいいからしてあげたかった。

 

「だいたい人を助けてばかりの小都子に言われたくない。たまには助けられる側になって」

「……美術部の方はええの?」

「どうせ適当に描いてるだけやから。……うん、私だって、高校生活に何か残したいんや」

 

 まっすぐに顔を上げた忍に、小都子もそれ以上言うことはなかった。

 机の上の彼女の手を取り、しっかりと握る。

 

「なら、せめて応援演説はさせて。その時には予備予選は終わってるから」

「はぁ……ほんまにお人好し。

 ま、私なんて別に長所もないし。上手く誉められるのは小都子くらいやな」

 

 一つの机の上で笑い合う。

 センターなのだから、急いで部室に行かねばならないのだけど。

 もう少しだけ話したくて、小都子は頭の後ろの髪に触れた。

 

「ところでこのポニーテール、どう思う?」

「私と同じ髪型で聞かれても返事に困るんやけど!」

 

 

 *   *   *

 

 

 再開した部活でミーティング中、小都子は熱季との一件を報告する。

 そうして花歩に視線を振ると、相手は困ったように首を傾げた。

 

「その後のことは特に聞いてないです。私もあんまり首突っ込むのはどうかと思って……」

「確かにね。後は聖莉守の問題やな」

「あっちゃんの気持ちも分かるけど、うちはその蛍ちゃんって子に頑張ってほしいです!

 どんなハンデがあっても輝けるんやって証明してほしい!」

 

 元気に言う勇魚は、この中では一番聖莉守寄りだ。つまりは勝利への執着が薄い。

 ちょっと心配そうな小都子を見て、夕理が心の中で何かを決意した。

 そして立火が、腕組みしながら晴に尋ねる。

 

「Westaに有利な話ばかりで逆に不安やで。不利な話はないの?」

「最近は鶴見緑地学園のGreenTeaPodがかなり上げ潮ですね」

「そういやよく話題聞くなあ」

「引退した前部長より、新部長の方がかなり優秀なので」

「あ、そう……」

 

 三年生としては複雑だが、そういうこともあるのだろう。

 世代は少しずつ変わっていくのだ。

 

「ナンインは相変わらず強いし、瀬良だって蓋を開けてみな分からん。みんな、油断せずにいくで!」

『はいっ!』

 

 

 テストで午前放課後の部活だったので、練習は四時で終わった。

 一年生五人が昇降口に着くと、夕理が少し深呼吸して口を開く。

 

「勇魚、帰りにどこか寄ってかない? できれば一年生のみんなも」

「夕ちゃん!?」

 

 飛び上がった勇魚は、尻尾を振らんばかりの大喜びだった。

 

「行く行く、どこへでも行くで! 夕ちゃん、最近積極的やね!」

「喜んでるところ悪いけど、耳に痛い話をするから」

「あ、お説教……? そ、それでもええで。夕ちゃんと行けるなら!」

 

 誘われた他の三人も、同行することにはもちろん異存はない。

 

「天名さんなら無いとは思うけど、もし理不尽に勇魚ちゃんを傷つけたら許さないわよ」

「夕理がそんなんするわけないやろ。姫水はいつもいつも勇魚に過保護すぎ」

「だって幼なじみだもの」

「幼なじみにばっか執着するって、人間関係として進歩がないよね。子供の頃の狭い世界に閉じこもってるだけやっつーの」

「彩谷さん」

 

 歩きながらの姫水がジロリとにらむ。

 

「あなたに関係ないでしょ」

「ああ!? そ、そういうこと言う!?」

「まあまあまあ。せっかくのお茶会やから、ねっ」

 

 花歩になだめられつつ、学校近くの喫茶店へ向かう。

 席に着いて注文してから、夕理は単刀直入に言いたいことを言った。

 

「勇魚はデリカシーがなさすぎる」

 

 ああ、うん……と他の三人が大いに納得する。

 なのに当の本人は、無垢な顔できょとんとしている。

 

「え、そう? どのへんが?」

「自覚なし! ほんまにタチ悪いで!

 花歩と藤上さんはちょっと耳ふさいで」

 

 二人が言われた通りに音を遮断する中、夕理は勇魚に顔を近づけ小声で話す。

 

「もう一ヶ月前やけど。

 つかさが藤上さんを見てばかりなのを、本人の前でバラしたんやって?」

「うんっ。何かあかんかった?」

「そういうとこや! ほんっまに無神経!!」

「ゆ、夕理。あたしは別に気にしてへんから……」

「つかさだけの問題とちゃう! あ、二人はもう聞いてええで」

 

 耳から手を放すジェスチャーを見て、姫水と花歩は音声を回復させる。

 お冷を飲んでから、夕理は真剣な目で切り込んだ。

 

「他の仕事につくなら私もうるさく言わへん。

 でも看護師になるんやろ? デリカシーのない看護師って最悪やないか。

 少なくとも私は看護してもらいたいとは思えへん」

 

 これには姫水も反論できない。

 病に苦しむ人に対し、勇魚のずかずか踏み込む性格は、時に問題を引き起こすかもしれない。

 

「で、でも逆にそれが救いになる人もいるかもしれないし……勇魚ちゃんの長所と表裏一体で……」

「そんな運任せで務まる職業とちゃうやろ。

 藤上さんも花歩も、もっと早く言うべきことやないの? ほんまに勇魚の友達なら」

「い、いや~面目ない……。でも夕理ちゃんも割とデリカシーないと思うけど」

「私は自覚した上でやってるからええの!」

 

 長居組の三人がしゅんとなる中、上手くまとめたのはつかさだった。

 

「まあ相手の気持ちを察するのって、あたし達もなかなか難しいからね。

 勇魚も少しずつ気を付けていけばええんとちゃう?」

「う、うん。まだよく分からへんけど、頑張ってみる。

 ありがとう夕ちゃん、うちのこと真剣に考えてくれて」

 

 素直にお礼を言う勇魚は、本当にいい子ではある。

 だからこそ夕理も、次の話をするのは気が引けるが……。

 これからが本題なのだ。

 

「もう一つ。みんな大阪Bはチェックしてる?」

 

 大阪市以外の大阪府。それが大阪Bブロックであり、予備予選は分かれている。

 夏は直前に地震があったため、北部の学校は振るわず、泉南や岸和田、東大阪の学校が突破した。

 ちなみに堺の学校はあまり強くない。

 

「うちがボランティアに行ったとき会った学校、今回は調子いいみたいやで!」

「高槻のORANGE SPLASH!やな。

 けどそれ以上に、千早赤阪のグループが人気急上昇中や」

「千早赤阪村? あそこに高校ってあったんや」

 

 花歩が意外そうに言った地名は、大阪府で唯一の村だ。

 大楠公こと楠木正成が、鎌倉幕府の軍をさんざん苦しめた地でもある。

 スマホを取り出しながら、夕理はグループ名を皆に告げる。

 

「千早赤阪高校『Camphora(カンフォーラ)』。

 三学年合わせて六十人しかいない学校やけど、生徒を増やそうと結成されたグループや」

「わあ! うち、そういうとこはめっちゃ応援したいで!」

 

 勇魚はそう言うと思っていた。

 なので悩ませることになるのは分かっているが……

 心を鬼にして、そのグループのホームページを見せる。

 そこには一番上に、切迫感のある大きな文字が躍っていた。

 

『次のラブライブで優勝できなかった場合――

 

 千早赤阪高校は、来年度で廃校になります』

 

 

 

「くそ~、姫水のやつ……」

 

 帰りの電車で、つかさが本題と外れたところで落ち込んでいた。

 

『あなたに関係ないでしょ』

 

 今頃になってじわじわとダメージを受けている。

 隣に座る夕理は呆れ気味だった。

 

「わざわざ虎の尾を踏むからやろ。

 私をかばってくれたのは嬉しいけど、勇魚との仲にケチつけるのはやりすぎ」

「だってあいつ、いつも勇魚勇魚って!」

「……勇魚のこと、嫌いになったりせえへんよね?」

「それは……大丈夫。あんな姿を見たら嫌えへんわ」

 

 Camphoraが大阪Bを勝ち抜いた場合、地区予選でWestaと争うことになる。

 シビアな現実を前に、勇魚は落ち込んで帰っていった。

 何とか元気を取り戻してほしいが……。

 

 

 *   *   *

 

 

「どうしたんや勇魚。体調悪いん?」

「い、いえ……」

 

 案の定、翌日の勇魚はすっかり精彩を欠いていた。

 心配そうな部長に、夕理が昨日のことを正直に話し、桜夜に呆れられる。

 

「なんで本番前にそういうこと言うんやろなあ……」

(全くよ! 桜夜先輩、もっと言ってやってください!)

「本番前だからこそです。勇魚は優しすぎます。

 勝ち負けが容赦なく分かれるラブライブ、覚悟して参加すべきです」

(……まあ、その通りよね)

 

 内心穏やかでない姫水も、夕理の正論には納得せざるを得ない。

 今まで目を背けていた自分の方こそ、親友失格なのかもしれない。

 立火が少ししゃがんで、勇魚と同じ目線で言い聞かせる。

 

「なあ勇魚。勝つ奴がいれば負ける奴もいるんや。

 夏の私たちの夢も、他校の奴らに打ち砕かれたと言えなくもない。

 けど、だからってそいつらを恨むなんてことは絶対ないやろ?

 試合が終わればいつもノーサイドや!」

「そ、それは分かってますけど……」

 

 確かに夏は辛かったが、学校があればこうして再起も図れる。

 でもCamphoraの方は……。

 

「負けたら廃校なんや! 学校がなくなるんです!

 うちはμ'sやAqoursの話が好きでした。

 廃校を阻止したことも、阻止できなくても最後まで輝いたことも、話を聞いて憧れてました。

 なのに、うちが廃校させる側になるなんて……」

 

 うつむく勇魚だが、そう言われても皆いかんともしがたい。

 晴が例によって冷徹なことを言おうとしたところで……

 遮るように、穏やかな声が部室に響いた。

 

「勇魚ちゃん。今度の日曜、千早赤阪高校に行ってみる?」

 

 部員たちの視線が集中する先で、小都子は静かに微笑んでいる。

 

「それで何がどうなるわけでもないけど。

 聞いただけの話で悩むよりは、実際に目にして、それから考えてみいひん?」

「は、はいっ! 確かに、どんな学校か見てみたいです!」

 

 勇魚は話に乗ってくれたが、晴からは冷ややかな声が刺さる。

 

「都会の奴が同情心で物見遊山に来たと思われかねないが」

「日曜なんやから誰もいてへんやろ。

 もし練習に来てたら、遠くから見るだけにするよ」

 

 本番まであと九日。どのみちこのままでは、勇魚は補欠に逆戻りなのだ。

 とにかく行動に出る小都子に、立火は感心しきりだった。

 

「小都子、今月はめっちゃ前に出るな~。小都子月間やな」

「あはは。そろそろ部長を受け継ぐ準備を……しないとですし……」

 

 それがどういうことか気付いて、小都子の語尾が消えていく。

 立火も寂しそうに笑いながら、次期部長の肩に手を置いた。

 

「言いよどむ必要はないで。全くその通りや。

 私は日曜は用事があるし、小都子に任せるで」

「安心して部長を継がせられるとこ、見せたってや!」

 

 桜夜にも言われて、小都子も強くうなずいた。

 そのためには、と横目で晴を見る。

 夏休みに受けた忠告が頭によみがえる。

 

『夕理からは少し距離を置け』

 

 この前のデートでは盛大に無視したが、その時の約束を忘れたわけではない。

 

『他の子とも今まで以上に話すようにする!』

 

 だから勇魚を誘ったし、勇魚が行けば当然……

 

「私は、もちろん同行します」

 

 ずいと姫水が申し出てきた。

 この二人の後輩とも、もっと仲を深めないと!

 

 

 *   *   *

 

 

『行ってらっしゃい! 私はまだ不安やから、公園で練習してるね』

 

 花歩のメッセージに見送られ、幼なじみたちは電車に乗り込む。

 阿部野橋で合流した小都子は、今日は三つ編みだった。

 

「先輩、めっちゃ可愛いです!」

「大変よくお似合いです」

「ふふ、ありがとうね。二人とも、ちゃんとハイキング向きの格好やね」

 

 せっかく行くのだから、金剛山にも登ろうという話になったのだ。

 さっそく近鉄に乗って、一路東南を目指す。

 

 あれから三日。問題を先送りした勇魚は、何とか部活に打ち込めた。

 小都子には感謝している姫水だが、それだけに今日は解決して帰らないといけない。

 

(と言っても割り切ってもらう以外の解決方法はないわよね)

(どこが廃校になろうが、別に私たちの責任じゃないって)

 

 天使の勇魚にそんな思考をさせるのは非常に心苦しいが……。

 楽しくお喋りしている二人に相づちを打ちつつ、姫水は話題を変えた。

 

「小都子先輩は、他校が廃校になることをいかがお考えですか」

「あ、うん。そうやねぇ……」

「ぶしつけですみません。

 でも先輩は、うちの部では勇魚ちゃんと並んで一番優しい方です。

 ぜひとも勇魚ちゃんの参考にご意見をうかがいたく」

 

 言われて身を固くする勇魚の前で、小都子は困り笑いで正直に答えた。

 

「私は、言うほど優しい人間でもないけどね。

 廃校は結局のところ生徒の需要がないんやから、しゃあないことやと思ってる」

「そ、そうですか……」

「せやから……」

 

 大阪市を出て松原市に入りながら、上級生は静かに話す。

 

「それを覆すいうんやったら、奇跡を起こしてもらわなあかん」

「そ、そうです! μ'sやAqoursみたいに!」

「私はその敵として全力で立ちふさがるつもりや。

 だって私たちの本気を打ち破るくらいのことは、してもらわな奇跡とは言われへん。

 こっちも真剣にやってるんや。ただ廃校するってだけで勝たれたら納得できない」

「先輩……」

 

 窓の外を古市古墳群が流れていく。

 μ'sやAqoursの奇跡にだって、その裏には敗者がいた。

 ラブライブに参加するグループは対等であり、誰かの夢が優先されるなんてことはないのだ。

 勇魚が言葉に迷う一方で、姫水は拳を握って大いに賛同する。

 

「さすが先輩、その通りです!

 ね、勇魚ちゃん。それが真剣勝負というものじゃないかしら」

「まあまあ姫水ちゃん。出発したばかりなんやから、そう結論を急がなくても」

「あ、はい、すみません……」

 

 小都子は微笑みながら、先日夕理にしたのと同じ感想を述べた。

 

「姫水ちゃんは、ほんまに勇魚ちゃんが好きなんやねぇ」

「そうですね。私にとって最高の幼なじみであり、この世で最も大切な人です」

 

 何を当然のことを、と言わんばかりにスラスラ答えられ、勇魚は困ったようにもぞもぞする。

 

「ひ、姫ちゃん。そんなん真顔で言われたら照れくさいで」

「もちろん勇魚ちゃんは友達に順番をつける人じゃないし、そういうところが好きよ。

 でも私にとって一番は勇魚ちゃん。それは未来永劫変わらないから」

「う、うん……」

(……わあ)

 

 勇魚と小都子が少し引いていても、姫水は涼しい顔である。

 一見すると優秀で理想的な後輩だが、ある意味夕理より手強いかもしれない。

 

(いやでも、花歩ちゃんや桜夜先輩はしっかり仲良くなれてるんや)

(私が部長になった時に、この子が大阪に残ってくれるのかは分からへんけど……)

(もし東京に戻るなら、ますます今のうちに親密にならないと)

 

 そして勇魚は、やけに言葉の強い幼なじみに違和感を覚えていた。

 

(姫ちゃん、この前つーちゃんにあんなん言われてムキになってる?)

(うちの気のせいやろか)

(ううっ、デリカシーのないうちには分からへん……)

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。